続きでもなくさらにバレンタイン1日後なのにもかかわらず投稿することをお許しください!!!
というわけで、湊くんのバレンタインの話なのですが、今回本編よりもかなり時系列飛ばした話になっております。(本編はまだ4~5月なので)
紆余曲折あっても、どうにか結ばれた2人の少し甘めなエピソードをお楽しみください!
短編だから短いのは許してください!
それでは今回も最後まで読んでいただければ幸いです~!
これは、悠と湊がなんやかんやあって結ばれた――今より先のお話。
――2月14日。
それは……男達にとっての宿命の日。
自分が持つものなのか持たざる者なのかがわかる――勝負の刻。
貰えた者は、天にも昇る気分を味わい。
貰えなかった者は、地獄のような苦しみを味わう。
そんな、全てをかけた決戦の日――バレンタイン――。
俺――八坂悠は、毎年苦しみを味わい、人生を過ごしてきた。
――しかし。
遂に俺は、その人生を大きく変える出会いを果たした。
飛鳥湊さん。
彼女……彼と出会い、俺は遂に念願のリア充となった。
だが……湊さんには、1つ大きな問題があった。
それは……彼女が"男"だということだ。
まあ、カミングアウトされた時は色々あったが、今は仲良く恋人生活を送っている……のだが。
俺にとっては、ものすごく大事な問題が残っていた。
そう――バレンタインチョコを貰えるか、だ。
一応、湊さんは俺と付き合うことになった時に、彼女扱いしても良いことになったのだが……性別上は、男だ。
そのため……この一週間は悶え苦しんだのだが……。
“お姉様がたくさんチョコレートを買ってきたのを見たのだ!”と、昨日とある人物から連絡を受けた。
どうやら……俺は既に勝利を掴んでいたらしい。
そして今日。
“本日の夕方、悠さんの家に行ってもいいですか?”と湊さんからLINGで連絡があった。
…………。
……ということで、俺は家で1人湊さんが来るのを待っていた。
「そろそろ……来るかな?」
壁に掛かった時計に目を向ける。
時刻は3時55分――夕方と言っていたから、そろそろ来るかもしれない。
……と、こんなことを2時からやっているのだが、一向に湊さんの来る気配は無かった。
まあ、流石に2時はやりすぎたと思うけど、4時……ならあるだろ。
そんなことを考えながら、湊さんが来るのを待つ。
「はぁ……めっちゃ緊張す――」
――ピンポーン
来客を知らせるチャイムが、その音を響かせる。
「湊さんかっ!?」
急いでインターホンを確認する。
果たして、その画面に映っていたのは……。
「“ゆ、悠さんっ!そ、その……遅くなりました”」
「今鍵開けるから直ぐに開けるから待っててくださいまじで」
自分でも気持ち悪いと思うくらい早口になりながら、玄関のドアを開ける。
「湊さん!」
「あはは……こんにちは、悠さん」
そう言って、天使は俺の家に舞い降りたのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「遅くなっちゃってごめんなさい……その……色々と迷っていて……」
「そんなことないよ!全然大丈夫!」
リビングに通し、紅茶を入れて持ってくると、湊さんは申し訳なさそうに謝り始めた。
迷っていた……ということは、やはりバレンタイン案件で間違いないだろう。
それに、湊さんの後ろからちらりと紙袋が見えるし……。
これは……勝ったな。
「ゆ、悠さん……その……今日は……ええと……」
「あ、ああ……」
ゴクリ、と喉が鳴る。
緊張で心臓の鼓動がやばい事になっているのが分かる。
「……はぁ……ふぅ……ゆ、悠さんっ!
「は、はいっ!」
「あ、あの……これ……!」
そう言うと、湊さんは背後から綺麗にラッピングされた紫色の箱を取り出し、俺に差し出してくる。
よく見ると、その両手は……湊さんの心情を表すかのように、細かく震えていた。
「こ、これは……っ!」
「そ、その……バレンタインの、チョコ……です。い、一生懸命……作ったので、その……も、もし良かったら……貰ってくださいっ!」
「……あ……あ……ありがとうございます……っ!」
気がつけば俺は、湊さんに対して拝むように祈りを捧げていた。
念願のぉ……恋人からのちょこれぇとぉ……っ!!!
「あ、開けてもいいですかっ?」
「は、恥ずかしい……ですけど……いい、ですよ……?」
湊さんから許可を貰い、丁寧に包装を剥がす。
……この包装も箱も、一生の宝物にしよう。
「さてと、中身は――って、これは!?」
「…………」
ゆっくりと箱を取って中身を見る……と。
そこには、黒、白、ピンクの3色のハート型のチョコレートが並べられており、その一つ一つに高級チョコレートにあるような細かな模様が施されていた。
……のだが。
「(……マジすか)」
綺麗に並べてあった。湊さんらしく、きちんと並べてあったんだ。
それも……数え切れない程大量に。
「ど、どう……ですか?」
「あぁ……やべぇよぉ……」
「も、もしかして……その……お気に召しませんでしたか?」
心配そうに涙目になりながら、これの返答を待つ湊さん。
これは……嬉しすぎてやべぇって……!
「その……悠さんへの想いの分だけ、作ってきたんですけど……作りすぎ……ですよね……」
「…………」
「食べきれなかった分は……捨てても、大丈夫ですから……」
「そんなことないよ!だって、この分だけ、俺の事を想ってくれてるんだろ?なら……全部美味しくいただきます!!!」
よっしゃぁぁぁぁぁッッッ!!!
湊さんに気づかれないように平静を保ちながら、内心全力でガッツポーズをする。
湊さんからの愛が……ここまでのものだったなんて。
あぁ……生きてて良かったぁ……。
「ゆ、悠さんっ!?無理……してないですか?嫌だったら……ほんとに処分しても……」
悠「処分なんてする訳ないよ!?こんなに大事なもの、全部食べ……いや、家宝として飾るか?」
「飾らないでください!?それなら……食べて欲しいです!」
即座に、湊さんから的確なツッコミを入れられる。
流石はあの寮の人間だ……レベルが違うな。
「もうっ!そんなに拝むほどの物じゃないですよ?」
「あっ、いや……俺、いつも貰えなかったからさ。それで……1番欲しかった人から貰えたから、凄く嬉しくて……!」
「え、そうなんですか!?悠さんみたいな人が……?」
「流石に買い被りすぎだよ……毎年、義理チョコ……のみです……」
「……ぅ……」
少し気まずそうな顔を浮かべる湊さん。
流石に感情を込めすぎたか……?
「で、でもっ!大丈夫ですよ!今年からは……ボクが悠さんにあげますから」
「湊さん……!」
やはり……天使はここにいたようだ。
「……でも、その代わり……ボク以外の子から貰うのは――できる限り、やめてくださいね」
「……え?」
突然聞こえた言葉に、思わず自分の耳を疑う。
今……なんて?
「み、湊さん……?」
「“ボクの”悠さんにチョコを贈るってことは……そういう気持ちがある、ってこと……ですよね?」
「ま、まあ……義理チョコとかじゃなければ……だけど」
段々と、不穏な空気が漂ってくる。
なんか……嫌な予感がするんだけど?
「そんなこと……絶対に許せません……っ!」
「……っ!?」
「悠さんは……僕だけの彼氏なんですから、他の子に目移りしちゃダメ……ですよ?」
そう言いながら、湊さんは上目遣いでこちらを覗いてくる。
……その時、俺は思ったんだ。
俺の恋人……実は小悪魔かもしれない、と。
「あ、ああ……大丈夫だよ。俺は湊さん一筋だから!ってか、湊さんガチ勢だから!」
「……っ!?も、もうっ!からかわないでくださいよぉ……!」
窓から射し込む夕陽に照らされ、湊さんの両の頬が綺麗に紅く染まる。
しかし、紅くなっている理由がそれだけじゃないことは、もう俺にも分かっていた。
「ボクだって……不安になるんですからね?悠さんが他の人と仲良くしてると……その……胸がモヤモヤするというか、なんというか……」
「もしかして……ヤキモチ妬いてくれてるの?」
「……っ!?そ、そうとも……言います……けど……」
言葉に詰まり、ごにょごにょと話し始める湊さん。
やべぇ……湊さん可愛すぎるって。
俺……もう限界だ……。
「――んんっ!」
我慢出来なくなり、湊さんの唇に自分の唇を重ねる。
ふわっと漂ってきた湊さんの甘い匂いが、俺の鼻腔をくすぐる。
「んっ……ちゅ……ん……んむっ……んんっ……」
唇の感触が、体温とともに伝わってくる。
柔らかくて、ほんのりと温かい唇。
その唇に触れるだけで、心臓がバクバクと跳ね上がる。
「んむっ……ちゅ……ん、んんっ……っ」
強引にキスしたはずなのに、湊さんは全く拒否してこない。
それどころか、むしろ積極的に唇を重ねてくる。
「んんっ……んっ……ぷぁっ……はぁぁぁ……はぁ……」
ゆっくりと、湊さんの唇が離れていく。
漏れた息が、互いの頬をそっと撫でる。
「い、いきなり……すぎますよぉ……」
「ごめん……つい、我慢が」
「も、もうっ!
……べ、別に、気持ちよかったから……いいですけど……」
そう言うと、湊さんは顔を背けながら、自分の唇にそっと手を当てる。
そんなこと言われたら、また我慢が出来なくなるんだけど……。
「あ、そういえば湊さん……時間は大丈夫なの?夕飯の支度とかあるだろうし」
「あ、その……そのこと、なんですけど……」
何か言い難そうにしながら、ちらりとこちらの顔色を伺う湊さん。
やっぱり家事もあるだろうし、今日は早めに帰っちゃうのかな?
「あ、あの……今日は、もう少し……ここにいてもいいですか……?」
「……え、ああ、全然いいよ!……ってか、俺は最初からそのつもりだったんだけど?」
「そ、そう……ですか、えへへ」
そう言いながら、湊さんはまるで子供のような無邪気な笑顔を浮かべると、ゆっくりと俺の傍に擦り寄ってきた。
「夕飯は大丈夫なの?」
「一応、風莉さんたちの分は作っておいたので大丈夫です」
「湊さんも、最初からその気だったんだね」
「うぅ……はい」
紅くなった頬を更に紅潮させながら、湊さんは照れくさそうに返事をする。
この流れは……まさか……。
「あ、あの、その……お、遅くなるかもしれないと伝えておいたので……そ、その……今日は夜まで、大丈夫ですよ……?」
「…………!?」
湊さんの口から、衝撃的な言葉が飛び出してくる。
夜まで、ってことは……。
それは……つまり……。
「だ、だから……その……き、今日は……よ、よろしく、お願いします……」
「あ、ああ……よろしく」
「……んんっ……っ……」
もう一度、互いの唇をそっと重ねる。
――窓の外の景色に、次第に夜の帳が下りてくる。
そうして俺たちは夜になるまで、2人で"ゆっくりと"過ごすのだった。
………………。
…………。
……。
そうして、今年のバレンタインデーは幕を閉じた。
日付が変わる前に、急いで湊さんを寮まで送り届けることになったのは……また、別のお話。
というわけで、いかがだったでしょうか?
今回はいつもの話よりも先の話だったので、少し先のステップまで描きましたけど……湊くんあざと可愛いなってなりました笑
多分読んでて「このリア充どもが……」となる方もいらっしゃると思いますが、許してください。
自分もそうなってるんで笑
本編の方に関しましては、8割くらい終わったので、近いうちに出せると思います!
バレンタイン過ぎたのに、唐突にこんな話書いちゃいましたが、皆さんに喜んでいただければ幸いです!
では、次回も読んでいただければと思います!