今回は事前に告知していた通り、新キャラが出てきます!
一応ヒロインから外れてはいますが、思い入れのある子たちなので気に入っていただければ幸いです!
また色々諸々はあとがきに書きますので、
とりあえず今回も読んでいただければと思います!
窓から差し込む陽の光を浴びながら、部屋の中を隅々まで掃除する。
色々あったあの誕生会から早くも1週間が過ぎ、俺たちの生活はいつものような平穏を取り戻していた。
「湊さんが来るまであと……30分くらいか」
壁に掛けられた時計を見ながら、テンポよく掃除機をかける。
実は今日、湊さんがうちに来ることになっているのだ。
本当は色んな場所へデートにでも行こうかと考えていたのだが、前回うちに来た時の状況が状況だったため、もう一度今度はちゃんとした状態で遊びに行きたいと湊さんが言ってくれたのだ。
まあ、デートに行きたかった気持ちも無くはないのだが、男としては彼女が家に来てくれるだけで嬉しいというか、そっちの方が嬉しかったりもするのだ。
「さて、掃除はこれくらいにして……と」
軽快なステップを踏むように、掃除用具を片付けていく。
湊さんに粗相がないようにという気持ちと、彼女が来てくれるという嬉しい気持ちでテンションがいつもよりおかしくなっている気がするのだが……まあ、いいか。
「あとは……飲み物とお茶請けの菓子でも――と」
――ピンポーン
突然鳴り響くインターホンの音に驚き、時計を見ながら湊さんとのLINGの画面を開く。
約束の時間まであと30分……流石に湊さんじゃない……よな?
最悪の事態を考えながら、呼び出しの音に対応する。
「はーい、どちら様でしょうか?」
「……………………」
呼びかけても画面には誰も写っておらず、ただ静寂がその場を支配する。
宅配……じゃないだろうし、イタズラか……?
色々と疑問を抱きながら、玄関の扉を開ける。
すると――
「な、なんで……お前らが――」
予想外の招かれざる2人の来客が、そこに佇んでいたのだった。
そして、これが波乱の幕開けになることを――この時の俺にはまだ知る由もなかった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
新緑に包まれた街路樹を眺めながら、悠さん家への道を1人歩く。
今日は、"次こそは悠さんの家を堪能?したい"という思いで先日“お家デート?”の約束をした日であり、僕はこの日をずっと楽しみにしていたのだ。
前回は色々と迷惑をかけてしまったから、今回こそは普通に悠さんと遊びたい。
そんな思いでこうして今向かっている訳なんだけど……。
「(この服……大丈夫かな?)」
スカートの裾をつまみながら、美結さんが選んでくれた服に視線を移す。
白を基調としたフリフリのワンピースに、紫と桜色のカーディガン。
それに、悠さんから貰ったネックレスとヘアピンをいつものように付けている。
悠さんが好きそうな服かどうかは分からないけれど、男の僕からしてもなかなか可愛いのではないかと思えてくる。
……が、悠さんがどう思うか分からない以上、正直なんとも言えない。
「(悠さん、どう思うかな……?)」
そんなことを考えながら歩いていると、悠さんの住むアパートの目の前に到着していた。
確か、悠さんの部屋は……。
以前に来た時を思い出しながら、部屋を探す。
「("八坂 悠"……よし、やっぱりここだ!)」
ピンポーン
「ゆ、悠さん……湊です!」
「……………………」
「そ、その……約束の時間、なので……」
話を遮るようなインターホンを着る音が聞こえると同時に、家の中からドタバタと激しい物音が聞こえてくる。
返事してくれなかったのは辛いけど……どうしたんだろう?
なんか慌ててるようだし、寝過ごしちゃった……とかなのかな?
「(でも、悠さんに限ってそんなことは……)」
「――ちょっ、ちょっと優依ちゃん……!あの人も待ってるんだし!」
「真白ちゃんは慌て過ぎだよ〜」
「も〜っ!優依ちゃんのバカ〜!」
思考が――停止した。
悠さんの部屋から……2人の女性の声……。
「(え……え……?)」
予想外の状況に、頭が回らなくなってくる。
なんで女性の声?なんで2人も?なんで今?
色々な疑問が、頭の中を駆け巡る。
もしかして、これが浮気……って!別に僕と悠さんの関係なら別に浮気とかは無いから僕がどうこう言う権利は無いし……。
でも、もし、そうだったら……。
「(やっぱり……悠さんは、ボクのことなんて……)」
両の瞳から、自然と熱い液体が流れ落ちる。
僕は……僕は……っ!
ガチャ――
「――こ、こんにちは……」
「……うぅ……っ……」
「泣いてますっ!?優依ちゃん泣いちゃってます!」
「あー、そうなるんだ……」
玄関が開くと同時に、1人の綺麗な女性が姿を現す。
一瞬目を奪われそうになるほど透き通った白銀の髪。
全てを見通しているかのように澄んだ青い瞳。
触れればそれだけで壊れてしまうような華奢な体。
まるで雪を彷彿とさせるような彼女の姿は――住む世界が違うようなそんな印象さえ抱かせていた。
「(こ、こんな綺麗な人が……そ、それに奥にも!)」
雪のような彼女の向こう側に――前回自分が居させてもらった場所に――黒髪の大和撫子な女性が佇んでいた。
玄関にいる女性とは対照的に、綺麗に整えられた純黒の髪。
彼女と同様に美しく透き通った青い瞳。
華奢な体なのにも関わらず、どこか力強さを感じさせる風格。
まるで古き良き日本女性を表すようなその姿は、浮世離れしている程の美を体現していた。
こ、こんなの……僕じゃ勝てるわけないよぉ……。
「ああっ、そ、そうですよね……いきなり過ぎて困りますよね!すみません……!」
「うぅ……そ、そんなに謝らなくても……ぼ、ボク……帰りますっ!」
「ま、待ってくださいっ!お願いです!」
「でも……ボクには、もう……っ!」
「あれ?やっぱ何か勘違いしてない?」
「ゆ、悠さんには、2人がお似合いですっ!……ぼ、ボクには……悠さんと釣り合う資格なんてなかったんです……っ!」
次第に苦しくなる心を抑えながら、そんな言葉を吐き捨てるように言い放つ。
やっぱり、悠さんには僕よりもこの人たちの方が……。
「あ、ち、違うんですっ!こ、これは……っ!」
「真白ちゃんテンパり過ぎ……あのね、これはあなたの考えてる様な事じゃなくて……」
「す、すみません……ボク、もう……っ!」
この場にいることが耐えられなくて、踵を返して来た道へ戻ろうと歩き始めた――瞬間。
――ドンッ
「わわっ!」
「――っと、大丈夫か?」
誰かにぶつかり倒れかけたところを、その人に抱きとめられる。
聞き覚えのある声のした方に視線を向けると、そこにいたのは買い物袋を手に提げた悠さんであった。
「ゆ、悠さん……」
「ごめん湊さん!遅くなっちゃったね」
「も、もういいです……っ!悠さんが……悠さんが!そんなに爛れているとは、思いませんでした……!」
「爛れ……えっ!?」
そう言って悠さんの手を振りほどき、この場を立ち去ろうとする。
「ボク、信じてたのに……っ!そこの2人と……末永くお幸せに……っ!」
「ちょっ、湊さん!?」
「――おかえり、お兄ちゃんっ!」
「……え?」
予想外の言葉に、自分の耳を疑う。
「(今あの子、"お兄ちゃん"って……?)」
「あ、お兄おかえり〜!」
「……え?……ええっ!?」
状況が理解出来ず、思考回路がショートし始める。
悠さんの妹……?あの2人が……?え……?
「あ、えーと……その……」
「あー……なんか勘違いしてそうだから説明するよ。2人は俺の妹達で双子なんだ」
「悠さんの……?」
「あの、申し遅れました……!お兄ちゃんの妹の真白っていいます!あなたは、その……も、もしかしなくても……お兄ちゃんの……?」
「え……?」
「真白ちゃん、その人困惑してるよ?あー……先に名前言っとけばよかったね……ごめんっ!お兄の妹の優依って言います!すごく可愛い子だけど、もしかして……お兄の彼女さん?」
妹さん達に自己紹介と同時に質問され、混乱する頭が次第に落ち着きを取り戻していく。
「そ、そうですね……ゆ、悠さんの彼女をさせていただいてます、飛鳥湊でしゅ……!……噛んじゃった……」
「か、可愛い……っ!!!何この人可愛すぎるんだけど、どゆことお兄!?」
「お兄ちゃんの……彼女……はわわっ!?」
「おい、真白?大丈夫か!?」
しっかり挨拶しようとしたら思い切り噛んでしまい、優依さんという子の方にからかわれてしまった。
というか、僕よりも真白さんの方がテンパってるんだけど……!?
「お兄ちゃんに彼女……お兄ちゃんに彼女……お兄ちゃんに彼女……」
「おーい真白ちゃーん?大丈夫?」
「彼女……彼女……彼女……」
「あちゃー……ダメだったか。飛鳥さん、気にしないでね」
「え?だ、大丈夫なんですか……?」
「うーん……まあ、いつもの事だから安心して。真白ちゃんはお兄のことになるとすぐこうなっちゃうからさ」
半ば放心状態の真白さんを横目に、やれやれといった感じで説明してくれる優依さん。
性別も年齢も違うし、自分でもどうしてか分からないけど、真白さんから自分と同じものを感じた。
「真白、大丈夫か?」
「ひゃっ、ひゃい!だだだ大丈夫だよお兄ちゃん!?」
「熱でもあるんじゃないか?」
「ち、近っ……!あわわ……!」
悠さんが自身の額を真白さんの額へとゆっくりと近づけていく。
そして2人の額が触れ合った瞬間、真白さんの顔は蒸発したように真っ赤に染まった。
やっぱり、この子とはどこか気が合うのかもしれない……。
「………〜〜〜ッッ!」
「あれ?お、おい真白?真白ぉーーー!?」
「はぁ〜……お兄何やってんの」
「なんかいきなり真白が……」
「ほんと、そんなんだと彼女なんて出来ないよ……って、もう出来ちゃったのか……」
あまりに鈍感な悠さんに呆れたようにツッコミを入れる優依さん。
けれど、その顔はどこか寂しそうで……なんというか、優依さんの気持ちがひしひしと伝わってきたような気がした。
「2人とも、悠さんのことが好きなんですね」
「「!?!?!?」」
「そ、そんなことは……!な、ないと言いますか……その……お、お兄ちゃんはお兄ちゃんですし……!?!?」
「だ、誰がお兄のことなんか……っ!す、好きなわけ……っ!」
「優依……俺のこと、嫌い……なのか?」
「なっ!?そ、そんな訳ないじゃな……はっ!……あーもうっ!お兄のことは……その、大好きだから!もう!あああ……もうっ!!!」
「ゆ、優依ちゃん!?……わ、私もお兄ちゃんのこと大大大好きですからね……っ!」
「おー!2人ともありがとう!」
そう言うと、悠さんは2人の頭をわしゃわしゃと撫で始める。
「ふにゃぁ〜!」
「ふ、ふんっ!お兄のくせに……!」
「あ、あはは……」
なんというか、自分を客観視したらこうなってるんだろうなと思えてきて、自然と乾いた笑いが出てくる。
というか、この2人……実はとんでもないライバルなんじゃ……?
「あ、流石にここで長話する訳にもいかないし、中に入ろうか。湊さん、改めて……ようこそ!」
「お、お邪魔します……!」
少し複雑な心境のまま、悠さんたちと共に部屋に入る。
――"八坂さんのこと、大好きなのね"
ふと、風莉さんの言葉が頭の中で反響する。
「(この気持ちは、何なんだろう……?)」
あの日からずっと、考えていた。
僕のこの"好き"という気持ちは、一体どういうものなのか。
友達としては当たり前だが……"それ以外の意味"でもあるのか。
ずっとずっと……考えていた。
だからこそ、この2人に会った今だからこそ……今一度自分に問いかける。
僕は本当に――この2人ほどに……いや、この2人以上に……悠さんのことを好きでいるのか、と。
さて、いかがだったでしょうか?
新キャラの優依&真白姉妹ですけども……何でヒロインじゃないんだろう?()と思いますね笑
皆さんがどう思ったのか少し気になりますが、受け入れられていなかったらどうしよう……笑
今回は湊くんが翻弄されていましたが、次の話でもあんな感じになってしまいそうなので、楽しみにしていてください!
ということで、次の話も読んでいただけたら幸いです!
追記
前回も感想ありがとうございます!めっちゃ嬉しいです笑
次の話もまた投稿が遅くなってしまうかもしれませんが、気長に待っていただければと思います。
そろそろこの話を書き始めて1年経ってしまうので、もう少し2人の仲を色々と進展させてあげたいのですが筆が進まず……
とりあえず、関係性についてはもう少しペースアップしてみたいと思います笑