今回も良かったら読んでいただけるとありがたいです!
何年も前のエロゲが原作のSSなのに読んでいただけるなんて本当にありがたいです!
感謝しかないです!
やっぱり湊君への愛は不滅
「――あ、あのっ!」
少し先まで歩き出していた彼女を呼び止める。
「はい……?どうしました?」
「あ、あの……自分でもこのタイミングでこんなこと言うのはおかしいし、早すぎるって思うんだけど……」
「…………?」
緊張でバクバクしてる心臓を、深呼吸でどうにか抑える。
「(たとえダメでも……この気持ちさえ伝えられれば……!)」
身体中に全ての力を込め、息を大きく吸い込む。
そして――
「その、俺……湊さんに、一目惚れ……しちゃったんだ……!」
「――――」
――遂に、言ってしまった。
それも、初対面の相手に。
ましてや、学校も違うし、身分だって違う……そんな相手に。
彼女を助けた――それしか接点が無いのに。
俺は彼女に……湊さんに、告白してしまったのだ。
「(やべぇ……まだ緊張してる)」
既に想いを伝えたというのに、心臓の鼓動は収まることを知らない。
………………。
自分でも……振られるのは分かってる。
こんな初対面のやつに言われたら、普通困惑するだろうし、OKを貰える方がおかしいだろう。
……だけど。
だけどそれでも、"後悔"だけは……俺の心にはなかった。
「あ、あの……その……それってつまり……」
「……湊さんのことが、好き……ってことです」
「…………!?」
恥ずかしながら俺の想いを説明すると、湊さんは目を大きく開いて瞬きを繰り返し、目を泳がせてあたふたし始める。
そして、その後聞こえてきた返事は――
「……ごっ、ごめんなさいっ!」
悲しいが、やはり予想通りのものであった。
「(やっぱ、そうだよな……)」
まあ、会ったばかりの人にこんなこと言われても困るだけだろう。
てか、変なことしてるって自覚はあったけど、よくよく考えたら、これ結構変人だよな……。
……恥ずかしくてまた死にたくなってきた。
「……返事くれてありがとう。なんか、変なこと言ってごめんね!じゃあ、また……」
あまりの気まずさに耐えられなくなり、そう言って帰ろうとする。
そして、一歩一歩と歩き出した瞬間。
「あ、あのっ……!」
後ろから湊さんの声が聞こえた直後、体がぎゅっと引っ張られた。
何事かと思い、ふと、後ろを振り返る。
するとそこには……俯きながら俺の服の袖を掴む湊さんの姿があった。
「そ、その……お友達、から……」
「……え?」
「お友達じゃ……ダメ、ですか……?」
――――。
予想外の状況と彼女の言葉に、思わず自分の耳を疑う。
「(え……?あ……えっ!?)」
あまりに予想外過ぎて、全く思考が追いつかない。
きっと今の俺は、鳩が豆鉄砲くらったような顔でもしているのだろう。
……けれど。
自分でもそう思うくらい……彼女の言葉は、衝撃的なものだったのだ。
「か、彼女にはなれませんけど……その……。と、友達……なら……」
「あ……、いい……のか?」
「はい。あなたには、助けてもらいましたし……それに……」
下を向いて服の袖をぎゅっと摘みながら、湊さんは続ける。
「ボクも、もう少し話してみたいなって、思ったので……」
ゆっくりと顔を上げ、彼女は上目遣いでこちらを見てくる。
その破壊力は、言わずもがな……俺を殺すのには十分なものであった。
「どう……ですか……?」
「み、湊さんが……嫌じゃないなら……」
「……!はい!これからも、よろしくお願いします……!」
そう言うと彼女は、夜の静寂の中で大輪の花が咲くように……はにかむような笑みを浮かべるのであった。
「(ああ、やっぱり――)」
この子には笑顔が1番似合う、と。
この子を助けてよかった、と。
彼女の笑顔を見ながら……改めて、そう感じたのだった。
「あ、そう言えば、湊さんって鈴女だよね?」
「そうですよ。あ……やっぱり、制服で分かっちゃいますか?」
「まあね。それに、この辺だとだいたい学校が限られてるしね」
スカートの裾をつまむという典型的な淑女ポーズをしながら、湊さんはそう答える。
まあ、鈴女の制服はTHEお嬢様学校といった感じの制服なので、ここら辺に住んでいる人ならすぐに気づくだろう。
「それで、今日はこんな遅い時間までどうしたの?」
「あー……買いたいものがあって、ちょっと遠くまで買いに行ってたんです。そしたら、こんな時間になっちゃって……」
「なるほど、ね」
さっきの湊さんと同じような反応をしてしまい、少し口元が綻ぶ。
「悠さんこそ、この時間に制服ってことは、この辺りの学校なんですか?」
「ああ。紅月学園ってとこに通ってるんだ。鈴女とも割と近いよ」
「そうなんですか?そしたらまた、会えますね!」
そう言って、どこか嬉しそうに微笑みを浮かべる湊さん。
ああ……マジで可愛い。てか尊い。
振られた相手に対してそんな事を考えてると、湊さんがはっと何かに気づいたように口に手を当てる。
「あっ!今度こそ帰らないと」
「ご、ごめんね……引き止めちゃって」
「いえいえ、大丈夫ですよ。それでは、今日はありがとうございました!また、会いましょうね!」
「ああ。また今度」
そう言うと、湊さんは今度こそ去っていってしまった。
「(また今度、か)」
湊さんの後ろ姿を見ながら、さっきの言葉を思い返す。
――たぶんきっと、また会える。
なぜだか分からないが、そんな気がしていた。
………………。
思えば今日は、実に色々なことが一度に起きた日だった。
それこそ、こんな退屈な繰り返されるような日々を塗り替えるような……。
そんな、1日であった。
「よし、俺も帰るか」
助ける時に置いた荷物を持って、家への道を歩き出す。
――これから楽しくなりそうだ。
そんな期待を胸に、俺は一人帰路に着くのだった。
…………。
………。
……。
――しかし。
まさかこの後、この出来事がとんでもない事になろうとは……。
この時の俺には、まだ知る由もなかった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「ふぅ……今日は、いろんなことがあったなぁ……」
月明かりに照らされた道を一人歩きながら、今日起きたことを思い返す。
今日という日は、多分ここ一週間の中で、1番印象に残った1日だったかもしれない。
「八坂悠さん……か。助けてくれた時、男の僕でもかっこいいって思っちゃったよ」
彼のことを思い出して、少し表情が緩む。
八坂悠さん。
――今日、僕を助けてくれた人。
――僕の恩人。
彼に助けられた瞬間、僕は彼から風莉さんに救ってもらった時のような優しさを感じていた。
事実、あんな暗い道で絡まれていた僕を、彼は1人で助けに来てくれた。
僕の名前も知らないのに。自分が危険になるかもしれないのに。
それでも、助けに来てくれたんだ。
そんな人、優しいに決まってる。
「それにしても、凄かったなぁ……」
男たちの1人が僕の腕を強く掴んだ時、悠さんは流れるような動きで、その男をいとも容易く投げ飛ばしていた。
一応僕も多少は戦えるし、前にひなたさんを助けたこともあったけど……。
あの動きを見れば、彼がどのくらい強いのかはわかる。
それに……。
僕に向けた優しそうな目から一転して、相手へと向けた射殺すような鋭い眼差し。
「(……あれは、ボクじゃ絶対無理だよねぇ……)」
あの目を見た瞬間、自分には絶対出来ないような男らしさを、直感的に感じてしまった。
それに、自分が助けられたことで、あの時のひなたさんの気持ちがわかったような気がした。
………………。
なんというか、男として負けた気がする……。
「なんか複雑な気分だよぉ……」
絶対に言えないが、もし悠さんに僕が男だと言ったら、きっと彼は信じてくれないだろう。
それに、現に彼には告白されてしまったし……って。
「あれ?そういえば僕……なんで、お友達"から"……って言ったんだろう?」
………………。
え!?勘違いされちゃうじゃん!?
ふと我に返ると、自分がとんでもないことを口走っていたことに気がついた。
「(いやいやいやいや……嘘、だよね?)」
まさか、女子校に通ってるせいで、思考まで毒されてる!?
「そ、そんなまさか……ね」
自分に焦りを感じながら、思考をフル回転させる。
きっと、優しい人だったからキッパリと冷たく断らないで、友達になりたかったんだ!
そうだ!きっとそうに違いない。
自分にそう言い聞かせ、変な考えを振り払って先を急ごうとすると……気づけば既に玄関の前に着いていた。
「(考えてて気づかなかったけど、もう着いてたんだ……
みなさん……流石に部屋に戻ってるよね……?)」
そう思いながら、音を立てないようにそっとドアを開ける。
しかし、そこには――
「――こんな時間まで、どうしたの?」
パジャマ姿の風莉さんが、ムスッとした表情を浮かべながら静かに立っていた。
「か、風莉さんっ!?どうしてここに……」
「……?私が遅いときは、いつも湊も待っててくれてるでしょ?」
さも当然のようにそう告げる風莉さん。
確かに、彼女の言う通り僕も風莉さんの帰りを待つこともあるけど……まさか僕が逆にしてもらえるとは。
「た、確かに……そうですけど……」
「少し、制服が汚れているけど……何かあったの?」
「い、いえっ!何もありませんよ!」
「本当……?」
バレないように外で払っておいた服の汚れを指摘され、一瞬声が上擦ってしまった。
「ほ、本当ですってば!ちょっと遠くまで買い物をしていただけですっ!」
「……そう。確かにたくさん荷物あるみたいだし。嘘ではないみたいね」
そう言いながら、風莉さんは僕の持つ大量の荷物に目を向ける。
しかし、その目はどこか疑心に満ちたものであるかのようであった。
「み、みなさん、夜ご飯などは……?」
「湊が作り置きしてくれていたから、それを食べたわ」
「良かったぁ……」
「…………」
淡々と事実を述べる湊さんの言葉に対して、安堵でほっと胸を撫で下ろす。
しかし、風莉さんの様子は、依然として何かおかしいままであった。
「どうかしたんですか?」
「そんな大したことじゃないわ……。ただ……」
「ただ……?」
何かが引っかかるようで、その時の様子を思い出しながら彼女は話し始める。
「……貴船さんがすごく急ぎながら、先に部屋に戻ってしまったのだけれど……何かあったのかしら……?」
「柚子さんが?」
「新聞部のことで、皆見さんと話があるからって言ってたけど……大丈夫かしら……?」
……なるほど。
きっと、風莉さんは学園を楽しくしたい故に、新聞部に何かあったんじゃないかって心配してるんだろう。
確かに、最近は新聞部の相談コーナーをやったり、勉強会を一緒に計画したりと、色々協力してるから、以前より心配になってるのか。
やっぱり……風莉さんは優しい人なんだなぁ。
「まあ、ボクも風莉さんも、新聞部に協力はしてますし……本当に困ってるなら、また相談してくれると思いますよ」
「そう……」
彼女を安心させようと、少し自分の考えを伝える。
けれど、それでもその表情は、未だ暗いままであった。
「たぶん、新しい記事になりそうなネタが見つかった、とかじゃないですかね?」
「それなら、いいのだけど……。何か、嫌な予感がするの」
「嫌な予感……ですか?」
なんだろう……嫌な予感、か。
新聞が無くなることは無いし、記事だって毎回どうにか書けてるし……。
嫌な予感……もし本当だとすれば、それは一体何なんだろう……?
「(まあ……あくまで予感だから、考えすぎるのも良くないよね)」
そんなことを考えていると、奥から缶ビールを片手に持った七海先生が出てきた。
「──お、飛鳥。帰ってたのか」
「あ、七海先生。ただいま帰りました」
「夜も遅いし、さっさと風呂に入って寝な?明日も学校なんだし。はぁ……明日も授業あるとか、だりぃ……」
珍しくちゃんと教師らしい態度を取りながらも、ため息と共に軽く愚痴をこぼす。
なんだろう……最後の一言さえなければ大丈夫なのに……。
「わかりました。あ、じゃあ、風莉さん。僕はお風呂に入ってきますね」
「わかったわ。おやすみ、湊」
そうしてお風呂に入り、明日の準備をした後、どうやら疲れが溜まっていたのか、僕の意識はすぐに夢の中へと落ちてしまった。
――しかし次の日なって、風莉さんの予感がまさかの形で的中することになるとは……。
この時の僕には、予想すらもつかなかった。
というわけで、悠君及第点ですね笑
まあ、フラれてしまいましたが、ここからどうやって湊君が攻略されていくのか?
次は日曜日くらいに投稿します!ではではー