本当はEXの続きを先に出したかったんですけど、間に合いませんでした笑 すみません!!
今回の話からとあるキャラがピックアップされていくと思うので楽しみにしていてください!
とりあえず細かいことはあとがきに書くので、今回の話もぜひ読んでいただければ幸いです~!
「――"学園前で待っていてください"、か……」
湊さんとのLINGの画面を開きながら、周りを見渡す。
今日は湊さんと会う予定であり、LINGで学園前集合と言われたのだが……。
「俺が早すぎたってのもあるけど……それにしても、湊さん遅いなぁ……」
学園の校舎に設置された時計に目を向ける。
15時55分……集合時刻の5分前であり、普通に考えればまだ来ないのはわかるが……湊さんはいつも予定よりもかなり早めに来る人だ。
それなのに、5分前に来ないのは少し変だ。
「何かあったのか、もしくは……」
朱が混ざり始めた淡い茜色の空を仰ぎながら、原因について考えてみる。
……まあ、"あの日"だよな。
思ったよりもすぐに原因らしきものが見つかり、はぁと溜息をつく。
あの日――妹達と会った日――以来、湊さんの様子がおかしい。
別に嫌がられているわけじゃないのは分かるけど……なんというか、避けられているような感覚がある。
覚えていないだけで何かやってしまったのか、もしくは妹達が何かしてしまったのか……。
どちらの可能性も考慮したが、妹達に聞いても答えは"分からない"だった。
「何かあっても直接言ってくれれば直すし……遠慮しなくていいと思うんだけどなぁ……」
まだこの場にいない恋人(仮)のことを考えながら、学園前の塀に寄り掛かる。
湊さんのことだ、僕に言うと悲しむと思って言わないでいてくれているんだろう。
まあ、それが湊さんのいい所だとは分かっているんだけど、一応こういう関係だし……言ってくれてもいいのかな、とは思う。
「まあでも、悪いのは俺だと思うし……どちらにしろ謝らないと」
たとえどんな理由であっても、湊さんの機嫌を損ねてしまったことに変わりはない。
だからこそ、ちゃんと誠心誠意謝ってから原因について聞かないと……。
「……っと、そろそろ時間だけど……あれ?まだ来ない……」
気になって、周囲を見渡す。
しかし、探しても探しても……どこにも湊さんの姿はなかった。
ついに自分の時間感覚が狂ってしまったのかと思い、時計を再び見てみるが……その長針は一周し、しっかりと12の文字を指し示していた。
「おかしいな……こんなこと、今まで1度もなかったのに」
初めての事に驚きながら、次第に色々と心配になってくる。
やはり、何かやらかしてしまったせいで、見限られてしまったのでは――
「――八坂さ〜〜〜ん!」
と、考えているうちに、校舎の方から聞き覚えのある声が微かに聞こえてくる。
何事かと思い声の方を振り向くと、そこには見知った女の子の姿があった。
「皆見さん!どうしたの?」
「はぁはぁ……お久しぶりだね、八坂さん!」
急いで走ってきたようで、息を整えている皆見さん。
首筋から伝う汗が、そのまま鎖骨を通って少し膨らんだ胸へと――
「(って、俺変態か!?)」
頭をぶんぶんと振って、邪な気持ちを振り払う。
男として当然の反応……なのかもしれないが、一応彼女(仮)がいる今は自粛しなければ……!
「どうかしたの?」
「あ、いや……なんでもないです……ところで、なんで皆見さんが?」
これ以上は危ないと思い、咄嗟に話を逸らす。
「ああ、そのことね!実は飛鳥さんが先生から頼み事されちゃってて、遅くなっちゃうから代わりに来たってわけ!」
「そうだったのか……なんか、ありがとう」
感謝の言葉を口にしながら、軽く一礼する。
湊さんが来れないのはショックだけど、こうやって代わりの人が来てくれるだけでも嬉しいものだ。
「いえいえ〜!それに、実は聞きたいこともあったしね」
「聞きたいこと?」
「うん!あ、飛鳥さんには寮まで連れていくって言っといたから、歩きながら聞こうかな〜!」
「ああ、変な質問じゃなければ答えるよ」
「そこまで変な質問じゃないから、安心してね」
そう言って少しニヤリと笑うと、皆見さんは1歩ずつ歩き出す。
そういえば、皆見さんって新聞部だったはずだから、またやばい質問でもされるのかな……?
「それじゃあ、行こっか!」
「おっけ、了解!――ッ!」
背後から視線を感じ、咄嗟に振り返る。
しかし――そこには何も無かった。
「どうしたの?」
「ああ、いや……大丈夫」
疑念を抱く皆見さんにとりあえず適当なことを言って誤魔化す。
今、嫌な気配を感じたんだが……気のせい、か?
「……?大丈夫ならいいけど」
「あ、じゃあ1つだけ……何かあったら全力で逃げてくれ」
「???ひなたちゃんでもうつった?」
「違うよ!?まあでも……とりあえず心に置いておいてくれ」
「……?はーい」
少し困ったような表情を浮かべながら、再び歩き始める皆見さん。
下校時刻だから生徒も多いし、単純に男の俺を見ていただけなのかもしれないけど……。
何故か分からないが、この時……凄く嫌な予感がしたんだ。
「…………アイツ、だ…………」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「――はぁ……」
溜息をつきながら、放課後の廊下を1人歩く。
今日は悠さんと会って、自分の気持ちの整理をつけよう……と思ってるんだけど。
「(これ、言えるかなぁ……)」
あれから自分と向き合い、少しずつ分かり始めた感情に困惑しながらも、現段階で分かっていることだけでも伝えようと決意した。
……のはいいものの、内容が内容なだけにどうにも伝えにくいのだ。
「――お、飛鳥か。ちょうど良かった」
「あ、七海先生。どうしました?」
突然後ろから声をかけられ、振り向くと……そこには、忙しそうに書類を運んでいる七海先生の姿があった。
それも、首の高さまでの大量のプリントを抱えた状態で……。
「せ、先生!?大丈夫ですか……?」
「ああ、その事なんだが……少し、手伝ってくれないか?この書類を運んだ後整理しなくちゃいけなくてさ」
そう言うと、先生は手に持った大量のプリントを強調するように見せてきた。
確かに、この量を整理するのは流石に骨が折れるだろう。
それこそ、もう1人ぐらい手伝ってくれる人がいないと……。
「って、これ全部ですか?」
「ああ、どうにも1人で終わる気がしなくてな。飛鳥って器用だし、手伝ってくれたらありがたいんだが……」
重たそうに書類の束を持ちながら、半ば縋るような目で見てくる先生。
僕としても、流石に手伝ってあげたいとは思っているんだけど……。
でも、悠さんとの約束が……。
「この後、悠さんと会う約束があって……。でも手伝いたい気持ちもあって……」
「あー……無理そうならいいぞ?どうにかやってみるから」
「でも、それじゃあ……」
その続きを言いかけて……浮かんだ言葉を胸に留める。
いかにここで言ったところで、結局僕が手伝うことはできない。
それなら、言い訳がましく話すよりも何も言わずに去る方が良いのではないか?
「(でも、もう職員室だし、このままじゃ先生が……)」
他の人……はもういないし、職員室もすぐそこだ。
だからこそ、僕が手伝いたいけど……悠さんが……。
「――ありゃ?2人ともどうしたの?」
「お、皆見か」
「あ、美結さん!」
突然聞こえた声の方へ振り向くと、次のネタ探しに勤しむ美結さんが手帳を片手に歩いていた。
これは……チャンスなのでは?
「美結さん。実はですね――」
興味津々といった様子の美結さんに対して、今の事情を軽く説明する。
……………………。
そして一通り聞き終わり、美結さんは少し考えるような素振りを見せた後、何か思いついたかのような表情でその口を開いた。
「ふむふむ、なるほど〜。それなら、あたしが八坂さんに伝えておこうか?」
「え?いいんですか?」
「いやまあ、あたし書類とか苦手だからさ……手伝えるのそれくらいしかないし」
そう言うと、頬を掻きながら恥ずかしそうに笑う美結さん。
"それくらいしかない"と言っているけど、こういう時に文句も言わずに手伝おうとしてくれるだけで十二分にありがたい。
やはり、そういう他人を気遣えるところが周りから好かれている理由なのだろう。
「先生、どれくらいで終わりそうですかね?」
「ん〜、飛鳥がいるなら1時間くらいで終わるかな」
1時間……美結さんに伝言を頼むとはいえ、そんな長時間悠さんを待たせるのは流石に申し訳ないよなぁ……。
「それなら、寮まで連れて行っちゃおっか?」
「え?いいんですか?」
「うん!ちょうど新聞部の作業するために、第二寮に行くつもりだったしね」
困り果てていると、またもや救いの手を差し伸べてくれる美結さん。
本当にありがたすぎるから、これは後で何かしてあげないと!
「じゃあ、お願いしてもいいですか?」
「どーんと任せてよ!」
「男と2人きりでも、変な気を起こすなよ?」
「……へ!?あ、そんなことないって!それに、飛鳥さんの彼氏くんだもん!」
からかうような七海先生の言葉に顔を赤くしながら、必死に否定する美結さん。
なんだろう……何故か分からないけど、嫌な予感がする。
「悠さんを誘惑したら、ダメ……ですからね?」
「……っ!?し、しないよそんなこと!……というか、飛鳥さん可愛い〜!!!」
一瞬の間を置いてその言葉を否定すると、美結さんはからかいながら抱き着いてくる。
その間が少し気になったけど……まあ、美結さんだし大丈夫だろう。
「(というか、ボク達別に仮の関係だし……誘惑しても問題ないんじゃ……?)」
ふと、根本的なことを思い出し、はっと我に返る。
でも、なんで僕……こんな、気持ちに……?
七海先生に言われた瞬間、美結さんと悠さんが仲良くしている姿を想像して、胸が少しチクリと痛んだ。
ということは、やっぱり僕は……。
「とにかく!皆見美結、任務を遂行してきます!」
「おう、よろしくな」
「お願いしますね、美結さん」
足早に悠さんの元へと急ぐ美結さんを2人で見送りながら、職員室へと歩き始める。
とりあえずこれで悠さんは大丈夫だから、早くこれを終わらせないと……!
「それにしても、飛鳥が嫉妬なんて珍しいな」
「へ……?」
「ああいや、飛鳥みたいなやつでもあんなわかりやすい嫉妬するんだなって」
「し、嫉妬ですか!?ボク、嫉妬なんて……」
「いや何言ってんだ?ガッツリ嫉妬してただろ?」
やれやれといった感じで、七海先生はそう告げる。
さっき感じたあの気持ちは――嫉妬?
自分の気持ちを自覚した瞬間、全てが腑に落ちたようにすっと体の中に入ってくる。
「そっか……嫉妬、か……」
「自覚なしだったのか?まあ、それにしても嫉妬、か……お前の彼氏喜びそうだな」
「え……?」
「だってあいつ、飛鳥への愛が溢れてるからさ。嫉妬なんて愛みたいなもんだろ?だったら飛鳥からの愛ならあいつ大喜びしそうだな、と」
嫉妬が……愛、か。
先生の言葉が、胸に染み込んでくる。
嫉妬なんて醜い感情だと思ってたけど……ある種、愛の裏返しとも言えるのか。
「そう……ですか。そう、なんだぁ……えへへ」
「うぇ、気持ち悪」
「ひどいっ!?」
嬉しくて声が漏れた瞬間、いきなりいつものトーンでディスられた。
確かに気持ち悪かったかもしれないけど、一応この人先生だよね……?
「まあでも……早くこれ終わらせて、彼氏のところに行かなきゃな。……あたしのせいだけど」
「いえいえ、手伝うと決めたのはボクですから。早く終わるように頑張らないと!」
そう言って両手で握り拳を作り、気合を入れる。
これを早めに終わらせて、悠さんに会いに行って、それから……。
これから控えていることを意識しながら、ゆっくりと深呼吸をする。
嫉妬心……は恥ずかしいから、せめてこの気持ちだけでも伝えよう。
自分の中で心を決めて、先を行く先生の後を追って1歩ずつ歩き出す。
――ふと、鳥のさえずりに意識を取られ、窓の外に目を向ける。
「空が、暗い……」
雨の訪れを告げる鈍色の雲が、空一面に広がっている。
洗濯物大丈夫かなと思うと同時に、僕の心には謎の不安が染みのように広がっていった。
「大丈夫……だよね」
校門前で待つ大切な人の身を案じながら、先生の後について行く。
悠さんに限って変なことは起きないと思うけれど……何故か凄く嫌な予感がしていた。
というわけでいかがだったでしょうか?
何やら不穏な空気が漂っている上に謎の人物が出てきていましたけど、果たして美結は大丈夫なのか?って感じですね笑
一応次の話で物語が大きく動くと思うので、待っていてください!
というかその前にEXの続き頑張ります!!!
それと、いつも感想ありがとうございます~毎回毎回嬉しいので楽しく読ませていただいてます!
ほんとに原動力になるので、助かります!笑
ということで、ぜひ次の話も読んでいただければと思います!できるだけ早めに出せるように頑張るのでよろしくお願いします笑