湊君を攻略したい!   作:Kスケ

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思ってたよりも早めに書き終わりました~!
ということで、前回の続きです!
今回は湊くん視点と美結さん視点なのですが……美結ちゃんに結構ガッツリとした心理描写とその他諸々を施したので、人によってはメンタルにダメージがあるかもしれません笑
正直、自分でダメージを受けつつ結構頑張って書いたので、今回も読んでいただけると幸いです笑


彼女になれないあたしはしぶしぶ傍観を決意しました。

 

 

 

あれから……2週間もの月日が経った。

悠さんと会えずにいたあの日以降、僕は自分の気持ちに整理をつけて、再び悠さんに会おうと思っていた……のだが。

逸る心臓を押さえつけ、必死に想いを込めてかけた電話は……"定期テストの期間になってしまった"ということで、断られてしまったのだ。

まあ、成績のこともあるし、それは確かに仕方ないことなんだけど……。

 

「(それでも……やっぱり会いたいよ……)」

 

毎日"会いたい"とLINGで連絡しても、"成績が……"ということで断られてしまう。

そんな日々が、2週間近く続いている。

つまり……もう2週間も、悠さんと会えていないのだ。

正直な話、ここまで断られてしまうと……悠さんに嫌われたのではないかと疑ってしまうことも多々"あった"。

まあ、普通に考えれば、そう思ってしまってもおかしくはないだろう。

けれど――

 

「悠さん、どのくらい進みました?」

「あー……今回はまずいかも」

 

電話越しに聞こえる声に、自然と笑みが零れる。

テスト期間だから、"会うこと"はできない。

しかし、電話で話すことくらいはできる。

……ということで、あれから数日経ってから……僕達は毎晩のように、日付が変わるまで電話しているのだ。

 

「もうっ!ここで落としたら補習になっちゃいますよ!」

「"確かに……!補習になったら湊さんに会えなくなっちまうよ……"」

 

"頑張らないと"と笑いながら話す悠さんに対して、電話越しに応援する。

どうやら、悠さんも僕に会いたいと思ってくれているらしく、こうして毎日嫌がらずに電話に応じてくれているのだ。

それが、僕にとっては凄く幸せなのだが……時々、少し心配になったりする。

 

「あの……悠さん」

「"ん?どうしたの、湊さん?"」

「こうやって、毎日ボクと電話してくれてますけど……大丈夫、なんですか?」

 

一瞬、息を呑む音が聞こえると共に、辺りに静寂が訪れる。

 

「あ、ああ。大丈夫だよ?」

「……本当、ですか?」

「ま、まあ……テスト期間ということを除けば……かな?」

「それって、ダメじゃないですか!?」

 

画面に向かって思わずツッコミを入れる。

……なんか、さっきの様子はこういうのとは違う感じだったんだけど……なんというか、はぐらかされてる気がする。

 

「でも、俺だって湊さんと話したいし……」

「それは……っ、ボクも分かりますけど……」

「ほら、な?じゃあ大丈夫だろ?」

「それは、そうなんですけど……うぅ、上手く言いくるめられた気がします……」

 

あははという悠さんの笑い声につられ、自然と口元が緩む。

僕と話したい、か……えへへ。

 

「あ、そう言えば悠さん!」

「ん?どしたん?」

「テストが終わったら、その……どこかに、遊びに行きませんか?」

 

言おう言おうと思っていたことを思い出し、少し緊張しながらも悠さんに提案してみる。

実は、ここ最近はずっとその事について考えていたのだ。

 

「……て、テスト後かぁ……多分大丈夫だと思うんだけど……」

「あ、あの……予定とか、入っちゃってるんですか……?」

 

悠さんの反応を聞きながら、自分の声が暗く落ち込んでいくのがわかる。

そっか……悠さん、友達多いもんね。

予定とか……たくさん埋まってるよね。

仕方がないと頭では理解しているものの、気持ちが次第に沈んでいく。

そっか……そう、だよね……。

 

「いや、大丈夫だよ。ただ、その……あっ、テスト直後とかはほら、疲れ切っちゃってるわけだし?ね?」

「……え?あ、確かに、翌日とかだと辛いですね……」

「だ、だから……少し空けてからだと、ありがたいなぁ……なんて」

 

こちらの反応を窺うような話し方と声色で、至極当然のことを提案してくる。

悠さん……予定が埋まっちゃってるわけじゃないんだ……!

 

「そうですね!それなら、少し経ってから遊びましょうか!」

「おう!そうと決まれば、どこに行くか決めないと……!ショッピングか?それとも遊園地か?シンプルに公園もいいな〜」

 

先程までの僕以上に声を弾ませながら、悠さんは行き先を考えてくれている。

まあ、いつもこういう時になると、悠さんが場所を決めてくれているのだけど……。

僕が……ずっと、考えていたのは……。

 

「あの、悠さん」

「ん?……あ、公園は嫌だった?」

「いえっ、そういうわけじゃないんですけど……その……」

 

盛り上がっているところで申し訳ないと思い、少し言葉を詰まらせながらも、その言葉の続きを述べる。

 

「今回は、その……2人で、決めませんか?」

「え?あ、いいけど――って、まさかっ!?俺の案じゃ、湊さんを満足させられなかったということか……!?」

「違います!もうっ!」

 

ふざけてるのか本気なのか分からないような口調で、悠さんは電話越しに驚くような様子を見せる。

まあ、多分この人の事だから本気なんだろうけど……。

 

「その……一緒にどこに行くのか話し合ったら、楽しそうだなって……」

 

自分で言っておきながら段々と恥ずかしくなってきて、最後の方は最早聞こえたのかどうか分からないほどの声量になっていた。

 

「ご、ごめん……!そんなことも、分からないで……」

「そ、そんなに謝らなくても……!」

「よしっ!決めよう!毎日話し合おう!こうなったら1日5時間くらい話そう!」

「それは多すぎですっ!もうっ、悠さんってば……!」

 

そんな他愛のない話をしながら、互いに電話越しに笑い合う。

 

「(今は会えなくて辛いけど……こういうのもたまにはいいかも)」

 

心に空いた穴が確かに埋まっていくのを感じながら、行き先決めの話を続ける。

そうして、勉強することも、今週テストだということも忘れ……刻々と夜は更けていくのだった。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

下校のチャイムと共に急いで学校から飛び出し、次第に通い慣れてきた道を通って"目的地"へと向かう。

道の途中にあるスーパーで"彼"が好きそうな飲み物や食べ物を買って、そのまま"彼の家"へと走り出す。

――ここまで来れば、もうすぐだ。

新しくはないが決して古くもない……そんな暮らしやすそうなアパートの階段を駆け上り、2階の端の部屋の鍵を開ける――

 

「ただいま、"悠さん"」

「おかえり〜……って、"美結さん"!ここ俺の部屋だけどね!?」

 

あはは、と笑いながら買ってきたものを冷蔵庫に入れ、飲み物を持って彼が座るベッドへと向かう。

 

「はい、口開けて〜」

「だ、大丈夫だからっ!もう左手は動くようになったから!」

 

嫌がる彼に構わず口元にペットボトルを運び、ゆっくりとスポーツドリンクを飲ませる。

そう、これがあたし――皆見美結の毎日の仕事であり日課であり……彼へのせめてもの罪滅ぼしであった。

 

「え〜最初の頃は、あたしが飲ませてたのに〜!あんなに可愛かったのにー!」

「可愛くはないよ!?まあ、あの時は助かったけどさ……」

 

そう言いながら、悠さんは口を尖らせ、あたしと反対の方向を向きながら感謝の言葉を述べる。

こういう素直に話してくれる所が、彼の取り柄なのだろう。

こうして、もう何日も通っていると……自然とそういう所が見えてくる。

 

「(やっぱり、慣れてきたんだなぁ……あたしも)」

 

今はこうしてふざけ合うことも出来るが、最初の頃は――本当に酷い状態であった。

あの後救急車に運ばれた彼は、一瞬目を覚まして最後の力を振り絞って誰かにLINGを送っていたが、その後電池の切れたロボットのように動かなくなり、そのまま数日間入院していた。

病院まで付き添ったあたしは、その状態を医者から聞くことが出来たのだけど……全身にかけて打撲が多く、右腕や肋骨に関してはヒビが入っているが命に別状はない……という喜んでいいのかどうか分からないものであった。

そうして、罪悪感と感謝と後悔の気持ちがぐちゃぐちゃになって、病室で泣きじゃくるあたしを慰めてくれたのは……痛みを堪えながら、必死に笑顔を作ろうとする悠さんであった。

その姿を見て、あたしは彼の体が元に戻るまで身の回りの世話をしようと決意し、病院でもアパートに戻ってからも、こうやって世話をしているのだ。

 

「それにしても、"身の回りの世話は任せて!"って言われた時は驚いたな」

「最初とか、反対してたもんね〜」

 

一命は取り留めたものの、包帯を余儀なくされる生活の彼を放っておけず、家に戻っても手伝わせてと言ったのだが……最初の頃は断られてしまった。

 

「(……まあ、結局1人じゃ何も出来なかったから、あたしが世話することになったんだけど)」

 

その時のことを思い出しながら、自然と頬が緩む。

そうして迎えた2人での生活は……初めてのことばかりで大変だったけど、とても有意義なものであった。

料理を作るために味の好みを知るところから始まり、悠さんの趣味や普段行っていること、普段見ている番組、毎日のスケジュール、好きな本や漫画……そんな、彼に関する色々なことを知った。

そして、その都度出てくるあたしとの共通点に驚き、そして喜びながら2人の……2人だけの時間を過ごしたのだった。

 

「"悠さん"さ〜、1人で大丈夫って言ったそばからダメだったもんね」

「ぐぬぬ……まあ、"美結さん"の言う通りなんだけどさ……悔しい!」

 

そんな、あたしたちの過ごした日々の……最たる証がこの名前呼びだと思う。

これは、"ずっといてくれているのに、苗字呼びのままじゃなんか嫌だ"という悠さんの提案によるもので、その日以降互いに名前で呼び合うようになったのだ。

 

「からかってくるのはなんか嫌だけど……うん。本当にありがとう……美結さん」

「へっ?あ、いや、その……あ、あたしってば弟とかいるし!せ、世話とか得意だからね、あはは……」

 

ニヤけて赤くなってくる頬を隠すように、悠さんから視線を逸らす。

もう……自分でもわかっている。

こんなに一緒に過ごすと、嫌でもわかっちゃうんだ。

 

「美結さん?大丈夫?」

「あ、だ、大丈夫だよ!そ、それより!今日は何が食べたい?簡単なもので良ければ作るよ」

 

バレバレなくらい強引に話題を逸らし、その隙に緩んだ表情を引き締める。

 

「まあ、平気ならいいけどさ……。そうだなぁ……ハンバーグとか食べたいな〜なんて」

「ハンバーグね〜、おっけ〜!任せて!」

 

あたしの機嫌がいい時は、たまにこうやってあたしが料理を作っている。

流石に普段から料理を作っている悠さんには及ばないが、あたしだって全く出来ないわけじゃない。

それに、ハンバーグなら弟に作ったこともあるし、食材も揃ってるから……今日は大丈夫だろう。

 

「じゃあ、すぐに作るから、ちょっと待っててね〜!」

「あ、ゆっくりでいいからね?俺のことは気にしないで」

 

そんないつも通りの会話をしながら――少し重たい足取りで台所へと向かう。

あたしは今、こうして幸せに日々を過ごしている。

しかしそれは……本来"彼女"が得るべきものを奪い取った上で成り立っている。

 

「(ほんっと、最低だな……あたし)」

 

彼女への罪悪感から来る胸の痛みを必死に堪え、自分の決心を曲げないようにと最後の最後で踏み止まる。

――最初は、彼女のためだった。

悠さんの言う通り、あたしも伝えるべきじゃないと思った。

だからこそ、こうしてあたしがここにいるのだ。

――けれど。

ある時……気付いてしまったんだ。

あたしの胸に抱くこの気持ちが――"恋"だということに。

 

「(許されるはず……ないよね)」

 

思えば……最初から気付いていたのかもしれない。

けれど……いや、だからこそ……この気持ちを抑えて、胸の奥にしまい込もうとしていたのだろう。

……だけど。そんなこと、不可能だったんだ。

"恋心"って、そんなに簡単なものじゃなかったんだよ。

 

「(ごめんね、飛鳥さん……でもね。……あたしの、初恋なの)」

 

ここにはいない……本来、あたしの代わりを務めるはずの人に向けて、心の中で誠心誠意謝罪の言葉を述べる。

――あたしがどんなに諦めようとしても。

――この心を、消し去ろうとしても。

それでも……彼の笑顔を見るだけで、あたしは……。

 

「(だから……だからせめて、今だけは……)」

 

絞り出すように、胸に秘めた願いを告げる。

 

「(……このままで、いさせて)」

 

そうして零れ落ちた願いが、誰の元へと届くことも無く、泡沫のように消えていく。

この気持ちが抑えられないのなら……せめて誰にも言わずに、自分だけの秘密にしておこう。

──あたしが……"悠さんのことが好き"だってことは。

 

 

 




さて、いかがだったでしょうか?
自分的には、湊と悠がすれ違いながらも、今まで築いてきた信頼関係を見せつけてくるこの感じが書いていて楽しかったです笑
……とまあ、ふざけるのもここまでにしておいて……。
美結ちゃんの独白……皆さんは耐えられましたか?
書いた本人が言うのもなんですが、この“叶わない恋”という感じと、それを理解しつつもそれでも諦めきれず、“自身の秘めたる想い”を忘れることができない美結ちゃんが辛かったです……。
とまあ、今回は思いっきり重たい話になっていますが、次以降も……というか美結編は軒並み重たいので、楽しみにしていてください笑

追記
感想ありがとうございます!もうめちゃくちゃ嬉しいです笑
やはりこうして感想をいただけると励みになります!
さて、次の話についてですが、ついに悠君視点の話になります!
投稿時期に関しては自分の頑張り次第なので、できる限り早く仕上げたいと思います!
長くなり過ぎたので、今回はここまで!
また次の話も読んでいただければと思います笑
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