湊君を攻略したい!   作:Kスケ

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遅くなりました!前回の続きです!!!
前回は悠が美結さんからの誘いを承諾するというところで終わり、悠君と湊くんがどんどん離れていく感じになっちゃっていましたが……
今回は、久しぶりの妹回です!!
兄ラブの妹たちが今の悠の怪我を見てどう反応するのか?
そして美結さんとのことについてどういう言葉をかけてくれるのか?
今回も読んでいただければ幸いです~!


兄よ聞いてくれ

 

 

 

「――お兄ちゃぁぁぁぁぁん!死なないでぇぇぇぇぇ!」

「お兄が怪我……どうしよう……!?」

 

いつもと変わらない安息の地である部屋の中で、一際大きな2人の泣き声が響き渡る。

というのも、可愛い妹達が、包帯を巻いた体に泣きながらぎゅうっと抱きついているのだ。

 

「(嬉しいけど……耳が、痛い……)」

 

2人の思いが伝わってきて、凄く嬉しく思いながらも……両手でそっと耳を塞ぎ、事の発端を思い浮かべる。

……………………。

いつものように朝起きて、今日も退屈な人を過ごすのかと思った矢先――妹達から連絡が入った。

……というのも、俺が退院してこうして生活していると聞いた2人が、心配して俺の元へと来ようとしていたのだ。

まあ、前々からその話は聞いていたのだが……妹達はちょうどテスト期間で、成績を落とすわけにもいかないということで、俺の家に来るのを止められてしまっていた。

そんなわけで、テスト最終日の今日、放課後になった瞬間に2人で急いで俺の家にやって来て……今に至る、というわけなんだが……。

 

「お兄ちゃぁぁぁん!」

「お兄……っ!」

「はいはい、お兄ちゃんは元気だからね〜?死ぬつもりはないからね〜?」

 

軽口を叩きながら、傷口の痛みを我慢する。

真白がこうなるのは分かってたけど……まさか、あの優依までこうなるとは……。

 

「悠さんの妹さん達、なんというか……すごいね」

「凄いだろ?……そろそろ助けて」

 

少し引き気味の美結さんに対して同意しながら、そっと助けを求める。

ちょっと、そろそろ……全身が痛くなってきた気が……。

 

「ご、ごめんなさいっ、お兄ちゃん……私、なんてことを……うぅ……」

「ちょっ、真白さん?大丈夫だから、大丈夫だから、ね?……ああ、優依!ちょっと助け――」

「…………」

 

我が家の甘えん坊をあやしながら、クール担当に助けを求めた……のだが。

頼みの綱であった優依は……じっと黙って、俺の胸に顔をうずめている。

しかも、小刻みに震えながら、啜り泣く声付きで。

 

「ゆ、優依……?」

「……嫌だもん、離れないもん……」

「……"もん"……!?」

 

思いもよらぬ言葉に思考が中断され、全身に衝撃が走る。

あまりに信じられないその姿は、隣で泣く真白ですら驚く程のものであった。

 

「ゆ、優依ちゃん?」

「お兄は……渡さないもん……っ!」

「「!?!?!?」」

 

追い討ちをかけるように俺の体にしがみつく優依に、俺の思考が停止し始める。

あまりの光景に、うちの本来の甘えん坊の方は口をパクパクと開閉させて優依の方をじっと見つめていた。

 

「(なんだろう、優依も昔はこうだったなぁ……って、そういう場合じゃねぇ!)」

 

半ば逃避しかけていた脳をリセットし、目の前の妹達に意識を寄せる。

とりあえず、キャラ崩壊したうちのクール担当をどうにかしなければ。

 

「優依さんって、悠さんのことが好きなんだね」

「いや、違うんだ美結さん!これはいつもの優依じゃないんだよ」

「……へ?」

 

初対面ゆえに勘違いした美結さんの誤解を解きながら、へばりついた妹を引き剥がそうと痛む肩に力を込める。

しかし、分かっていたことだが……この体じゃ全然力が入らない。

これ、どうしよう……?

 

「わ、私も……負けませんからっ!」

「ちょっ、真白さん!?」

 

そうして、もう1人の相方に助けを求めようとした瞬間。

無慈悲にも、そいつは困る俺を裏切って抱きついてきたのだった。

 

「……これ、どうしよう……?」

「――悠さん」

 

為す術なくテンパる俺に、目の前から落ち着いた声が掛けられる。

 

「こういう時は、さ。お兄ちゃんとして、向き合ってあげて」

「……え?」

「2人とも、悠さんのことをずっと心配してたんだと思うよ。あたしだって、弟が怪我したら心配になるもん」

 

美結さんにそう言われながら、2人の姿をじっと見つめる。

2人とも口では甘えん坊のように振る舞っているが、その表情は共に今にも泣き出してしまいそうで――

目が赤く腫れた状態で、もう二度と俺の体を話さないようにとぎゅっと強く抱き締めている。

それは……そこにいたのは……いつもの変わらないような、俺が守るべき愛する妹達の姿であった。

 

「だから……ちゃんとお兄ちゃんしてあげて、悠さん」

「……ああ、ありがとう」

 

美結さんに感謝を述べながら、愛する妹達の頭をそっと優しく撫でる。

すると、妹達はくすぐったそうに笑いながら、俺の体にその細く柔らかい身を寄せてきた。

やけに眩しい黄昏色の光が、窓から燦々と差し込む。

その光に照らされながら、そうして俺は2人が満足するまでその頭を撫で続けていたのだった。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「お兄ちゃ〜ん!すりすり〜」

「お兄の膝……落ち着く……」

 

猫のように丸くなって俺の膝で寝転ぶ2人を、痛みの残る腕を持ち上げて優しくそっと撫でる。

少し痛みは残っているが……まあ、これくらい妹達のためなら大丈夫だ。

 

「ほんとに仲が良いんだね、悠さんの家は」

 

そう言ってにひひと笑いながら、にやけ顔で台所から覗いてくる美結さん。

そしてその手には、使い慣れた小皿と味見用のスプーンが握られていた。

 

「でも、美結さん家も兄弟で仲良いんでしょ?」

「まあね〜!……ん〜でも、悠さん達はちょっと"特別"って感じだよね」

「そうか?」

 

美結さんの言う感覚がわからず、素直に聞き返してしまう。

特別……か。まあ、他の家よりは確かに兄妹仲は良い方だと思うけど……。

 

「そうだよ!なんか、一言では言い表せないような……そんな感じ!」

「うーん……分からねぇ……」

 

結局よく分からないまま、甘える2人を撫で回す。

まあ、確かに周りからシスコンだと言われることもあるし、2人もブラコンだと呼ばれることもあるらしいから、他の家庭の兄弟姉妹とは違うのかもしれない。

でも、"特別"……か。

 

「あ、とりあえず、今日は早めに1品作ってみたよ」

「いつもいつもありがとな」

「いえいえ〜!あ、じゃあさ……これ、味見してくれる?」

「ああ、わかった」

 

そう言って、彼女は熱々のチャーハンをスプーンですくいつつ、妹達と一緒にベッドで休む俺の元へと歩いてくる。

 

「じゃあ、いただきます……って、うまっ!」

「そう?やった!……頑張った甲斐あったなぁ〜!」

 

美結さんからスプーンを受け取り、口に放り込んだ瞬間……あまりの美味しさに頬が溶け落ちそうになった。

これ、めっちゃ俺好みの味付けじゃんか。

 

「あ〜めっちゃ美味い!」

「うんうん!それは良かった……って、悠さん口のとこ!」

「ん?」

 

そう言うと、彼女は俺の口元へとその細く美しい手を伸ばし、口元に付いてしまったご飯粒を人差し指でそっと拭う。

そして――彼女は何も気にしていないかのように、そのご飯粒を自らの口へと持っていき、パクリと食べてしまったのだ。

 

「ご飯粒、付いてたよ?」

「……あ、ああ……ありがとう」

「じゃあ、あたし次の料理作ってくるから〜!」

 

そう言って台所へと駆けていく彼女を横目に、バクバクと心臓の鼓動が速くなっていくのを感じる。

今の……今のって……!?

 

「(落ち着け……落ち着くんだ、八坂悠!俺には湊さんという想い人がいるはずだろ!?)」

 

自問自答して高鳴る鼓動を抑えつけながら、さっきのことを思い出す。

手を伸ばしてから口に入れるまでの所作が完璧すぎて、ついよくある恋愛ドラマやアニメなどを思い出してしまった。

やばかった……めっちゃドキドキした……。

 

「「……じー……」」

 

ふと、膝の辺りから視線を感じ、目線をそっと下に落とす。

するとそこには、かつてないほどのジト目でゴミを見るようにこちらを見つめてくる妹達の姿があった。

 

「お兄ちゃん。なんで、デレデレしてるんですか?」

「……っ、こ、これは……その……」

「お兄には、飛鳥さんがいるでしょ?」

「そ、そうなんだけど……」

 

2人の連携プレーに圧倒されて言葉に詰まりながらも、上手い言い訳を考える。

…………あ、やっぱ無理だ。

 

「もしかして……浮気、ですか?」

「違うよ!?」

「ふーん……なんか怪しい」

 

2人の目がますます冷たくなり、胃がキリキリと痛み始める。

まあ、一応俺と湊さんは"仮の恋人"だし、それに俺は1度湊さんに振られているからある意味大丈夫……と言いたいが、そんなことは何があっても言えない。

振られた相手と恋人ごっこするとか普通に考えておかしいし、なんでそんなことしてるのと言われたら、もう何も言い返せない。

そして何より、これは湊さんの周りでの混乱を避けるためなんだ。だから、このことは俺と湊さんだけの秘密にしないと。

 

「優依ちゃんやばいよ!ライバル増えちゃったよどうしよう!?」

「飛鳥さんだけでも強いのに……こんな強敵まで現れるなんて……」

「どうすればいいの……?」

「"どうすれば"って言われても……というか、飛鳥さんという彼女がいる時点で、私達負けじゃない?」

「……はっ!?うぅ……確かに……」

 

俺がそうこう考えているうちに、2人は何やら小声でブツブツと話しているが……俺に聞こえないようにしているためか、この距離でも聞き取れない。

いや、いくら考え事してたとしてもこの距離で聞こえないのは流石に難聴なんじゃ……?

……少し嫌な想像をしてしまったが、これ以上は傷つくだけだからやめよう。

 

「うーん……お兄ちゃん!」

「ん?どうした?」

「とりあえず、飛鳥さんのこと悲しませたら、たとえお兄ちゃんであっても容赦しませんからね!」

「お兄に関してはないと思うけど……浮気とか、絶対ダメだからね?」

「大丈夫だ。俺は湊さん一筋だから」

 

2人の言葉に間髪入れずにキッパリと言い放ち、グッと親指を立てる。

確かに、美結さんにドキリとすることもあるし、さっきもしてしまったのだが……それは、湊さんに対して抱いているものとは違う。

やはり、美結さんには申し訳ないが、俺はどこまで行っても湊さん一筋らしい。

 

「……それにしては、お兄ちゃん無防備過ぎるというか、隙だらけというか、彼女持ちとは言えないというか……」

「なんか、八方美人過ぎるよね」

「うぐっ……」

 

嬉しいような悲しいような複雑な気持ちになりながら、ぐうの音も出せずに2人の言葉に耳を傾ける。

誰に対しても同じような態度で接するように心がけてるだけなんだけどなぁ……逆にダメだったのか……。

 

「浮気なんて絶対に」

「ダメなんだからね?」

 

膝の上からこちらを見上げる妹達に、改めて念を押される。

自分は絶対ないと思うけど……いや、妹達からの大事な忠告だ。とりあえず心に置いておこう。

 

「――あ、悠さん!」

 

台所から聞こえた声に、3人同時にビクッと身体を震わせる。

 

「ど、どうしたの?美結さん」

「いやぁ〜実は醤油が切れちゃっててさ、急いで買ってきてもいいかな?」

「いや、でももう暗くなってきたし、明日でもいいんじゃ……」

「ううん。今作ってるのに必要だからさ……それに、お店はすぐそこだし……ね?」

 

そう言うと彼女はエプロンを外し、外出準備を整え始める。

夜も遅くなってきたから今じゃなくてもいいんじゃないか、と思えてくるが……まあ、うちから近くの店まで歩いて5分もかからないし、それに自転車でも貸してあげればすぐだから大丈夫だろう。

 

「わかった。気をつけてね」

「うん!すぐに帰ってくるから!」

 

そう言って、彼女は俺から預けられた鍵を手に、宵闇の世界へと歩いていった。

顔には出していなかったが……多分きっと、俺達兄妹だけの時間を過して欲しいということで気を使ってくれたのだろう。

まあそこまでされたのなら、こっちも断るわけにもいかないしな。

 

「……ねえ、お兄ちゃん」

「ん、どうした?」

「少し、話があるんだけど……」

 

美結さんが出ていったタイミングで、2人はそっと俺の膝から起き上がる。

そして、ここぞとばかりというようにこちらに身を寄せながら、憂いを帯びた表情で俺の方をじっと見つめてきた。

 

「(何か……あったんだろうな)」

 

2人に許可を出し、俺の座っているところの両サイドをポンポンと叩きながら、座るように促す。

そうして兄妹3人で横並びになりながら、大事な大事な話し合いを始めるのであった――。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「――お兄、どうするの?」

 

美結さんが買い物に行ってしまい、3人だけになった部屋で。

俺は……妹達にそう尋ねられていた。

 

「どうする、って……」

「あの人、お兄ちゃんのこと……好きですよ、絶対」

 

少し話すのを躊躇いながらも、真剣な表情で真白はそう告げる。

分かってはいたけど……やっぱり、この話……か。

 

「……分かってるよ」

「……え?」

「分かってた上で……2人だけで出掛けようとしてるの……?」

 

核心を突くような優依からの質問に、俺はただ沈黙で答える。

先程、妹達から美結さんのことを根掘り葉掘り聞かれ、観念した俺は遂にそのことを2人に言ってしまったのだ。

 

「……なら、どうしてっ!?お兄、彼女持ちなんだよ……?」

「それは……美結さんを、悲しませたくなくて……」

「………………」

 

そうして俺は……語り始めた。

彼女を助けたこと。彼女が俺に恩返しをしたがっていること。俺自身も彼女に恩があること。彼女が俺に対して特別な感情を抱いてしまっている可能性があること。彼女が自分の感情を抑えられなくなってしまっていること……など。

できるだけ手短に……俺たちの全てを目の前の2人に話したんだ。

 

「――お兄のバカっ!」

「ゆ、優依……?」

「人を傷つけないことだけが……いい事だなんて思い込まないでよっ!」

 

俺の話を聞き終えると同時に、優依はその想いをぶつけてくる。

 

「誰かに優しくすることが……その人を傷つける時だってあるんだよ……っ!」

「……っ……!」

 

俺の根幹を揺るがすような言葉に、目眩がするほどの衝撃が走る。

今のは……結構きたな。

 

「でも……お兄ちゃんの気持ちも、分からなくないですよ」

 

優依の言葉に続けて、下を向いていた顔をゆっくりとこちらに向けながら、真白はそっとその重たい口を開く。

 

「たとえ皆見さんの気持ちに応えられなくても……せめて恩人の願いくらいは、叶えてあげたかったんですよね?」

「ああ……」

「それで、"2人で出かけるくらいなら大丈夫"……そう思ったんですよね?」

 

俺の心を読んだかのような言い回しに、ドキリと鼓動が一瞬止まる。

 

「それでも……女の子は、期待しちゃうんです」

「…………」

「叶わないとわかっている恋でも……夢を見ちゃうんです」

 

含みのある口調でそう言いながら、真白は困ったような表情を浮かべ、窓の外に広がる街を見下ろす。

 

「お兄ちゃんの優しさは……時には人を傷つけるってことを、覚えておいて欲しいです」

「真白……」

「私も……凄くわかりますから」

「……え?それって、どういう……?」

 

物悲しげに微笑む彼女が、あまりにも儚くて。

その言葉の意味を尋ねようとして……開きかけた口をそっと閉じた。

これ以上は……聞いてはいけない。

そこから先は……踏み込んではいけない、真白の中の最奥の扉なのだろう。

だから俺は目を閉じてゆっくりと考え、2人から差し伸べられた手を掴むように、妹達の言葉を胸に刻みつけていた。

 

「優依、真白……俺は……」

 

いくら俺と湊さんの関係が偽りのものだったとしても……傍から見れば、俺達は普通の恋人同士だ。

それに俺は、1度振られていても……やはり湊さんのことが好きなんだ。

……確かに、湊さんが俺の事をどう思っているのかは分からない。

やはり、友達として仲良くすると言った以上、俺の事をただの仲の良い友達としか思っていないのかもしれない。

いや、元々振られてから始まっている訳だし、そうである確率の方が高いと思う。

……けれど。

それでも……そんな俺が、自分に好意を抱く他の子と2人きりで出かけるなんて、湊さんへの……そして、自分自身への裏切りに等しい。

彼女を振り向かせようと頑張っていた俺が、ここでその気持ちに反することをしてしまうなんて……。

そうして……自分でも何が正しかったのか分からなくなり、頭の中の歯車が一つ一つ止まり始める。

俺は……選択を間違えてしまったのか……。

目の前が暗くなっていき、思考が急激に冴えてくる。

俺は……俺は……。

 

「お兄はさ、皆見さんと出かけて、もし告白されたら……断ろうとしてたんでしょ?」

「……ああ」

「だったら……そのままでいいと思う」

「え……」

 

今までの流れから予想できないようなその言葉に、思わず聞き返してしまった。

 

「だって、変に今から無しにする方が可哀想だし、その方が余計皆見さんを傷つけるでしょ?」

「優依……」

 

確かに、優依の言う通りだ。もうしてしまったことを、今から無しにする方が間違っている。

だからせめて……自分の行動に責任を持たないと。

 

「それに、私としては……最後にそういう機会をくれた方が、後悔しなくて済むと思います」

「真白……」

「だから……あの人の気持ちには、ちゃんと向き合ってあげてください」

「それが、お兄の通すべき礼儀だと思うから」

 

真面目な面持ちで。

真剣な声色で。

俺の妹達は……強い想いを込めて、その言葉をぶつけてくる。

ああ……俺はなんて――

 

「優依、真白……こんな兄でごめんな」

 

良い妹達に、恵まれたんだろうか。

自分が情けなくなって。

申し訳ない気持ちになって。

そうして乾いた笑いと共に出てきた言葉が……そんな陳腐でありきたりな謝罪であった。

 

「いいって、別に」

「だって、私たち……」

「「3人だけの兄妹だもん」」

 

仕方ないなと言いたげな表情で、妹達はいつものように顔をほころばせる。

――いつも面倒を見て、俺が守ってきた大切な妹達。

そんな、庇護対象にあったはずの存在が……今の俺には、縋るほどにありがたかったんだ。

 

「だから、何かあったら……私たちに相談してください!」

「誰に何と言われようと……私達だけは、最後まで絶対にお兄の味方だから!」

 

そう言って2人は再び俺の方へと体を寄せ、安心させるようにと俺の体をぎゅっと抱きしめてくる。

こんな姿、美結さんに見られたらまた勘違いされちゃうな……。

ふと、そんな考えが頭の中をよぎる。

まあ、でも……。

 

「(今はこのままで……いいかな)」

 

――ずっと、変わらないでいてくれるもの。

――ずっと、そばに居てくれたもの。

そんな何気ない日常の幸せと、妹達の温もりを噛み締めながら、窓の外に広がる街の夜景を眺める。

そうして、美結さんが帰ってくるまで……俺達はこのまま抱き合って過ごしていたのだった。

 

 

 




というわけでいかがだったでしょうか?
作者的には妹達が良い子過ぎて悠君がうらやましい……って感じでした笑
前回のことも含めてですが、悠君の「自分のためより人のため」という他人優先の考え方に対して、妹達が「それでもダメな時だってある」と言ってくれるとこは結構こだわりました笑
人の為なら平気で何でもしちゃうような悠君の危うい性格はよく物語の主人公とかにありがちなものですが、それがいかに特異であり、それが通用しないことだってあるんだというところが、実は伝えたい部分だったりします笑
ということで、次はやっと湊くん視点の自分が書きたくてうずうずしていた場面なので、気を引き締めてやっていきたいと思います!
ではまた、次の話も読んでいただければ幸いです~!

追記
感想ありがとうございます!!!前回もめちゃくちゃ嬉しかったです笑
前回は自分で見返してみて、なんかもうちょっと悠くんの心情増やした方が良かったなと反省できたので、ありがたいです笑
何気に結構長くこの話を書かせてもらっているので自分も忘れることもしばしばあるのですが、悠君視点だと「湊くんが悠君を振った後、”友達として”は仲良くなれた」という感じなので、実はまだ悠君は変化していった湊くんの気持ちに気づけていないという状態なんですよね笑
なので、今一度そういうところを思い出してから見るとちょっと変わって見えたりします(実体験)
とまあ、長くなりすぎてしまったので、今回はここまでです!
次は……修羅場です。
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