湊君を攻略したい!   作:Kスケ

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少し遅くなりました。すみません!!!
ということで、前回の続きです!
今回の話は、悠君がお嬢様たちと久々に会う話です。
……まあ、タイトル見るとすぐにわかってしまうと思いますが、普通に会うわけではないです笑
そんな感じで悠君と湊くんがいちゃつくところも多々あるので、楽しみにしていてください!
というわけで、今回も最後まで読んでいただければ幸いです~!


八畳間(1K)の侵略者!?

 

 

 

「――湊さん、今日もありがとな」

「大丈夫ですよ、ボクがやりたくてやってるんですから!」

 

いつものような話をしながら、ゆっくりと過ごす休日の昼間。

窓から差し込む穏やかな陽の光が、俺たち"2人"を包み込んでいた。

俺の容態としては、完治……とまではいかないが、もう包帯は取れており、ある程度自分で生活できるようになっていた。

ここまで来れたのも美結さんと湊さんのおかげだし、本当にありがたいという気持ちでいっぱいだ。

 

「それにしても……"ちょっと用事を思い出した"って言って美結さん行っちゃったけど、何かあったのかな?」

「えっ、だ、大丈夫だと思いますよ……」

「……そう?」

 

予想外のぎこちない返事に疑問を感じながら、彼女の方に視線を向ける。

 

「もしかして……湊さん、何か知ってたりする?」

「い、いえっ、そんなことは……」

 

非常に怪しい彼女の態度が気になり、その顔をじっと見つめる。

やっぱり、湊さんは何か知ってるんじゃ……。

 

「あ、あの……っ、そんなに、見つめられると……」

「あ、ご、ごめんっ!つい……って、流石に嫌だよね……」

 

湊さんの言葉でハッと気が付き、慌てて距離をあける。

超至近距離で顔を見つめられるなんて、湊さんもいい迷惑だったのだろう。

なんか、流石に申し訳ないなぁ……。

 

「いえっ、そんなことはないですよ!なんというか、その……は、恥ずかしくて……悠さんの顔が見れなくなっちゃうと言いますか、その……」

「は、恥ずかしい……か……。そっか……恥ずかしい、か……」

 

彼女の言葉があまりにも嬉しすぎて、徐々に顔が熱くなっていくのを感じる。

ここまでハッキリ言われると、その……心臓バックバクになるんだけど……!

 

「と、ところでっ!今日は良い天気だな!」

「そ、そうですね!日差しも気持ちいいですし、過ごしやすい感じですよねっ!」

「…………」

「…………」

 

段々と羞恥心が働き始め、互いの間にいつものように沈黙が訪れる。

もう何回もこういうの経験したはずなのに……どうしても慣れねぇなぁ……。

 

「そ、それでさ――」

 

そうして、先程の美結さんの話をしようとした瞬間。

 

「──……が、……なのね」

 

突然、部屋の外から女性の声が聞こえてきた。

 

「あれ?なんか声聞こえない?」

「そ、そうですか?ボクにはあんまり聞こえないですけど」

 

そう言って、彼女は両手で分からないというジェスチャーをした後、空いたコップを片手に冷蔵庫へと向かう。

確かに、外から聞こえてくるのは当たり前なのだが……部屋が2階にある以上、この声の大きさだと、大声で話しているか余程近くにいるかのどちらかということになる。

となると、大声で話している可能性が高くなるのだが……。

 

「──……からね!まあ、……さんも……けど」

 

そう考えているうちに、今度は別の話し声が聞こえてきた。

やっぱり、主婦の方々の井戸端会議とかなのかな……?

 

「なんか外で集まってるのかな?」

「そ、そうなんじゃないですかね?あはは……」

 

様子のおかしい湊さんはさておき、気になり過ぎて窓をそっと開けて外の様子を眺める。

……誰も、いない。

と、いうことは――。

 

「──八坂さん、元気かしら……。この人数で行くのも申し訳ないわ」

 

瞬間、玄関の方から聞き馴染んだ声がハッキリと聞こえてきた。

……てか、名前呼ばれちゃってるんだけど……。

 

「あのー、湊さん……?」

「ど、どうかしましたか?」

「本当に、何も知らないの?」

「し、知りませんよぉ……!き、聞き間違いじゃないですか?」

 

これは流石に何か知っているのだろうと思い、彼女に尋ねてみる。

しかし、その果てに返ってきたものは……挙動不審な様子から読み取れる露骨な動揺と焦りであった。

……というか、それにしてもこの2人?の声、どこかで聞いたことがあるような……。

 

「――ほう、ここが円卓の騎士の城……すなわちキャメロットか」

 

……嘘、だろ。

 

「湊さん!?」

「…………」

「いやいやいやいや、大垣さんだよね?これ」

「……………………」

「ちょっ、湊さん?」

「ひゅー(口笛?を吹く音)」

「いや、誤魔化すにもちゃんと吹けてからにしようよ……」

 

悪い予感が一瞬で確信へと変わり、逆に全身の力が抜けていく。

まじかよ……というか、誤魔化して口笛吹くなら、もう少し上手くしようよ……。

 

「てかなんで?なんでいるの?」

「そ、それは……」

 

と、湊さんが言いかけた途端。

インターホンの音が、部屋中に響き渡る。

 

「ほんとに来ちゃったじゃん……どうしよ、湊さ――」

「あ、みなさん入って大丈夫ですよ〜!悠さんも歓迎していると思うので」

「み、湊さん!?!?!?」

 

助けを求めようと湊さんに話しかけた瞬間……時既に彼女は玄関の扉を開け、お嬢様達を部屋の中へと案内していた。

 

「お久しぶりね、八坂さん。身体は大丈夫かしら?」

「あ、はい、大丈夫……え?あ、え?」

 

西園寺さんから労いの言葉をかけられるが、状況が上手く飲み込めず、動揺が言葉に表れてしまう。

しかし、それも今は無理もない話なのかもしれない。

なぜならそこには、西園寺さん、貴船さん、大垣さんだけでなく……用事で出かけてしまったはずの美結さんの姿もあったのだ。

 

「実は、湊さんと美結さんから容態を聞いていたので、八坂さんが大丈夫な時にでもみんなでお見舞いに行こうって話になっていまして」

「ククク……我が直々に見舞いに来てやったのだ!ひれ伏すが良いぞ!」

「そ、そうだったんだ……皆さんありがとう。……東方将軍ちゃんはいつも通りなんだね」

 

美結さんのことは一旦置いておいて、とりあえず皆に感謝の気持ちを伝える。

大垣さん、寮の外でもこの感じなんだ……やっぱりメンタル強いな……。

 

「と言いつつ、ひなたちゃん本当はすごく心配してたんだけどね」

「な、何言ってるのだっ!?え、円卓の騎士よ、聞かないで欲しいのだぁ!」

「そうだったんだ……ありがとう、大垣さん」

 

美結さんから告げられた事実に喜びを覚えつつ、その感謝を示すようにそっと頭を撫でる。

本来なら、気軽にこういうことをしてはいけないのだが……。

……なんだろう、この無性に撫でたくなる感覚は。

………………。

…………

……。

――あ、ペットだこれ。

 

「むぅ〜……!」

 

不機嫌そうな声が聞こえてくると共に、背後から鋭い視線を感じる。

や、やべぇ……湊さんがいるのにこんな事しちまった……。

 

「……って、そうだ!結局のところ、湊さんも美結さんもグルだったってことだよね?」

「うっ、は、はい……」

「あはは……ごめんごめん」

 

反省中に大事なことを思い出し、そのまま2人に尋ねてみると……案の定2人ともグルでこの計画に参加していたことが分かった。

やっぱり、俺だけが知らされてない感じだったのか……。

俺一応家主なんだけどな……新手のいじめかな???

 

「もしかして……お邪魔だった、かしら?」

「あ、いや、そんなことないよ!いきなりだから驚いたってだけだよ」

「そう……よかったわ」

 

心配そうに覗き込んできた西園寺さんにドキドキしながら、素直に本心を伝える。

西園寺さんって美しい顔立ちだし、めっちゃ可愛いよなぁ……って、何考えてんだ俺!?

 

「(湊さんが振り向いてくれるまで頑張る、って決めたじゃないか!)」

 

自分に喝を入れて、頭に巣食う煩悩を振り払う。

……でも、それにしても――。

 

「(いきなり、この人数か……)」

 

改めて状況を確認して……次第に頭が痛くなってくる。

そうして俺は、どうしようかと頭を悩ませながら、皆が座るようにとクッションを敷き始めるのであった。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

最初の戸惑いも徐々に消え始めた頃。

俺は"動ける範囲で"世話係2人の手伝いをしながら、お嬢様達に紅茶と菓子を準備していく。

話を聞く限り、どうやら彼女達は本当に俺のお見舞いに来てくれたらしく、先生にも後で伝えてくれるそうだ。

まあ、それに関しては非常にありがたいことではあるのだが、せめて何かしら言ってくれても良かったのではないか?と思わなくもない。というかめっちゃ思ってる。

けれど、彼女達から"驚かせたかった"という純粋な気持ちを伝えられてしまった以上、その考えは置いておくしかないのだ。

……いやまあ、嬉しいからいいんだけどさ。

 

「――それにしても……部屋のいたるところから、湊の香りがするわ……」

「ちょっ、え、どういうことですか!?」

「分かってくれるのか!西園寺さん!」

「え゛!?ゆ、悠さん!?」

 

思わぬところで西園寺さんと意気投合し、がっしりと熱い握手を交わす。

まさかこの感覚が通じるなんて……さすがは理事長だ。

 

「ふっ、西園寺さんもこの部屋のミナトニウムを感知するなんて、なかなかやるね」

「八坂さんこそ、余程のミナトニストらしいわね」

「も、もうっ!馬鹿なことは言わないでくださいよぉ……!というか、それ何なんですかっ!?」

 

俺達の高度な会話に、あたふたしながらツッコミを入れる湊さん。

今度、西園寺さんと熱い議論でも交わそうかな。

 

「それにしても……すごく整理整頓されてるんですね!」

「「「…………(真顔)」」」

「そ、そうか?そんなに気にしたことは無かったんだけど……」

 

そう言って辺りを見回して、部屋の状態を確認する。

別段綺麗に整頓されてるわけではないのだが……いつも2人が掃除してくれているおかげで、だいぶ綺麗にはなっている。

……というか、貴船さん以外顔が固まってたけど……どういうことなんだ……?

 

「キャメロットの内部なのに、聖剣がないのだ?」

「あるわけないよ!?」

「そ、そんな……円卓の騎士なら持ってると思ってたのに……」

 

いきなりぶち込まれたネタに、反射的にツッコミを入れる。

しかし、本人にとってはネタではなかったようで、上目遣いで俺の顔を見ながら泣きそうになっていた。

え、これ……俺が悪いのか……?

 

「あ、後で久々に決闘でもしようか?」

「え、いいの……?」

「あーうん……いいよ、まかせてくれ」

「……!わーいわーい!やったのだー!」

「……むぅ……」

 

まるで幼子のように嬉しそうに飛び跳ねる東方将軍ちゃんを見て、心が癒されていく。

これで一先ず大丈夫……だよな?

 

「それにしても……こんなにハーレム状態になると、なんか胸にくるものがあるんじゃないの〜?」

「は、ハーレ、む……っ!」

「……っ……」

 

ニヤニヤと笑いながら放たれた言葉に、一瞬心臓が停止しかけた。

 

「そ、そんなことは……」

「確かに、女の子に囲まれてますもんね!今どんな気持ちなんですか?」

「ど、どんな気持ち……って……」

「…………」

「血が滾っているのではないか?」

「そ、それはないと思うよ……あはは」

 

他のお嬢様達からの援護射撃に、どんどんと追い込まれていく。

てか、さっきよりも湊さんからドス黒い殺気みたいなのが伝わってくるんだけど……大丈夫なのか、これ……?

 

「湊……?どうしたの?」

「……ゆ」

「ゆ?」

「ゆ、悠さんはっ、ボクの……こ、恋人なんですっ!だ、だから……ハーレムなんて、ダメなんですっ!」

 

左腕にギュッと抱きつきながら、湊さんは一生懸命にそう言い放つ。

その瞳は潤んでいながらも、彼女の強い意志を感じさせるものであった。

こ、これは……。

 

「湊、さん……」

「愛されてますね〜」

「愛されてるのだ」

「あ、あいっ……!?」

 

今度は湊さんが2人から追撃を食らい、漫画のように目をグルグルとさせながらあたふたし始める。

 

「湊、幸せそうね。……ごめんなさい、湊の大切な人を取ろうとしてしまって」

「取っ……!?ち、違いま……あ、違くなくて、その……〜〜〜っ!!!」

 

さらに西園寺さんからも追い討ちをかけられ、これ以上ないくらいにテンパってショートする湊さん。

俺はそんなに彼女を見て、言葉では言い表せない程の幸せを噛み締めていた。

 

「2人とも熱いね〜」

「あ、まあ……」

「そ、それは……」

 

美結さんから生温かい目を向けられ、2人揃って口を噤む。

なんか、色々と複雑だ……。

 

「あ、では最近の2人のお話でも聞かせて貰えませんか?湊さん、通い妻してるんですもんね?」

「か、かよっ……!?ち、違いますってば!」

「え……?でも、いつも楽しそうにしながら準備して、毎日のように八坂さんのところで生活しているでしょ?」

「そ、それは……」

 

貴船さんと西園寺さんにからかわれ、顔を赤くして黙り込む湊さん。

というか、楽しそうに準備してくれてるとか初めて知ったけど……流石に嬉しすぎるんだが……???

 

「あ、あと我は、敵勢力に襲われた時の話も聞きたいのだ!」

「"敵勢力"では無いと思いますが……私もその時の話を聞かせてもらいたいですね」

「あー……うん。いいよ、それに関しては全部話すよ」

 

ある程度予想はしていたが、やはり"例の事件"について聞かれ、少し複雑な気持ちになる。

まあ、流血とか骨折とか色々あったけど……喧嘩のところを軽く端折りながら説明すれば大丈夫だろう。

……大垣さん以外は。

 

「あ、じゃああたしお菓子用意してくるね!」

「我も手伝うのだー!」

「八坂さん、湊。よろしくお願いするわ」

「り、了解……」

「わ、わかりました……」

 

そうして、美結さん達がお菓子を持ってきたことを確認した後、俺たちは話し始めた。

あの日起きたこと、怪我の具合、看病のこと……。

そして、湊さんとのすれ違いや、和解してからの日々のことも――。

彼女達が満足して帰宅するまで、事細かく説明するのであった。

 

 

 




いかがだったでしょうか?
今回悠君はボケもツッコミもやっているという大変な立ち回りでしたが……いちゃついてる分このくらい苦労してもいいですね笑
途中の風莉との会話が新出語彙ばかりで困惑している方も多いと思いますが、許してください。

彼らはあれが正常です()

……さて次回ですが、次はもう一組(2人)悠君の回復を待っている方々がいるので、その話になると思います。
多分そこでも悠君たちは見せつけていくんだと思いますけど、温かい目で見ていてください笑
というわけで、次回の話も読んでいただければ幸いです~!

追記
感想ありがとうございます!&UA34000突破ありがとうございます!
もうめちゃくちゃ嬉しいですね笑
最近久々にオトメドメインを開いたのですが、各ヒロイン(特に風莉さん)があんなに良い感じの話&キャラなのに、自分が悠×湊の話を書いてヒロインを裏切っていることを自覚してめちゃくちゃ申し訳ない気持ちになりました()
特に風莉さん、すみませんでした!!!
……ということで、次回は“彼女たち”メインの話ですが、それと同時かその次の回で美結ちゃん視点の独白入れます。
美結ちゃんの決着もそろそろなので楽しみにしていてください!
それでは!
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