湊君を攻略したい!   作:Kスケ

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前回の続きでーす!
前回は噂が流れたり、悠が緊張しまくったりしてましたが、今回はどうなるのか?
今回も読んでいただけたらありがたいです!

良いサブタイトルが浮かばない……
あと、投稿スピードが遅いのは許して……


ぼくたちは対策ができない

 

 

悠さんと共に歩くこと10分。

僕達はようやく、学園から少し離れたところにある喫茶店に着いた。

店の外観は少し古びており、草木も生い茂っていたが、どこか良い具合に味のある感じの店であった。

 

「(はぁ……緊張したよぉ……!)」

 

周りの目から解放されて、ほっと胸を撫で下ろす。

ここに来る途中、クラスメイトや下級生の子たちに見られ、色々言われて、恥ずかしさで死にそうになっていた。

 

「(それにしても悠さん……あんなにいろいろ言われても、じっと前だけ見つめてて、凄いなぁ……)」

 

鈴女の子たちに見られても、色々言われても、悠さんはずっと前だけを見ていた。

それに比べて僕なんか、隠すのに必死でちょくちょく下を向いて歩いていた。

しかも、ここに来るまで悠さんは、少し歩きづらそうにしながらも、僕の歩くペースに合わせてくれていた。

 

「(今は女子ってことになってるから仕方ないけど、男として完敗だよぉ……)」

 

なんというか、同じ男として圧倒的な差を見せつけられた気分だった。

そんなことを考えながら、店員さんに案内されて、窓際の席に着く。

 

「ちょっと遠かった、かな?」

「い、いえいえっ!大丈夫ですよ」

「よかった……!」

 

ほっと安堵する彼の様子が微笑ましくて、つい頬が緩んでしまう。

 

「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください」

「あ、すみません。アイスコーヒー1つ」

「あっ、僕も同じのをお願いします!」

「かしこまりました」

 

そう言うと、店員さんはメニュー表を置いてカウンターへと向かった。

 

「……それで、何があったんですか?」

「え、えーと……ごめん、湊さん!!!」

 

店員さんが離れたのを確認してからそう尋ねると、彼は大き過ぎないギリギリの声量で突然謝ってきた。

 

「元はと言えば、俺があんなこと言わなければ、こんなことにはならなかったんだよね……」

「ちょっ、悠さん!どうしたんですか?」

「……湊さんも、写真のことで大変だったでしょ?」

「そ、それは……っ、まあ……」

 

そう言われて、今日のことを思い出す。

今日は朝から誤解され、新聞で広まり、学園中の子から見られて……。

なんだろう……思い出しただけで泣きそうになってきた。

……あれ?ちょっと待って。

 

「ボク"も"ってことは、まさか悠さんも……?」

「ああ……おかげで散々な目に遭ったよ……」

 

そう言うと、悠さんは遠い目をしながら虚空を見つめる。

確かに、あの写真に関しては“悠さんの学園の写真部の人”が撮ったものらしいので、悠さんのところも大変だったのだろう。

……というか、悠さんの身に相当色々な事があったのは、その目を見るだけで十分に分かった。

 

「悠さんも大変だったんですね……」

「まあ、ね。けど、俺がこんなになってるってことは、もしかしたら湊さんも大変な目に遭ってるんじゃないかって心配になってさ」

 

彼の目が、真っ直ぐに僕を捉える。

 

「そしたら、いても立ってもいられなくなって……つい、鈴女まで行っちゃったってわけ」

「……ぁ……」

「ごめんね……俺が行っても逆効果になるのは、考えれば分かる事だってのに……迷惑、かけちゃった……よね?」

 

そう言って申し訳なさそうに、それでいてどこか悲しそうに、悠さんは笑った。

 

「(悠、さん……)」

 

少しやつれた悠さんの顔を見るに、悠さんも相当大変な目に遭ったのだろう。

それでも、悠さんは自分のことより僕のことを心配して、僕のところまで来てくれた。

僕なんか、自分のことで手一杯だったのに……。

 

「(やっぱり、悠さんって人は……)」

 

ナンパ3人に絡まれていたあの夜。

誰もいない暗い夜道の中で。

普通なら放っておくか、誰か他の助けを呼べばいいのに。

それでもこの人は……1人で助けに来た。

その場を切り抜ける考えもなく、手詰まりになる未来がわかっていながらも。

名前も知らない女の子のために。

ただ一心に地を駆ける。

そうして目の前に現れたその姿は……僕に、希望の光をくれたのだ。

この人は――悠さんは、本当におせっかいで、自分のことより他人を第一に考えて、出会った日に告白してくるほど不器用だけど正直で、体が先に動いてしまう人で……。

それでいて……優しい人なんだ。

 

「(ああ、だから――)」

 

だから僕は……この人と、友達になりたいって。

この人ともっと一緒にいたいって。

振ってしまったせいで、寂しそうに一人で帰る背中を見ながらも。

その背中を、引き止めてまで。

僕は……彼に伝えたのか。

………………。

やっと、あの時の自分の気持ちが……なんとなく、分かったような気がした。

 

「悠さんは、優しい人なんですね」

「え、あっ……そ、そうかな?自分では、あんまりそういう自覚はないんだけど……」

「謙遜しないでください。普通はそんな自分より他人を心配するなんて出来ませんよ」

「そう、かな……?」

 

謙虚に振舞う彼に対して、素直に思いを伝える。

 

「少なくとも、僕にとっては悠さんは恩人であり、尊敬できる友達だと思ってますから」

「湊さん……」

「だから、迷惑なんて思わないでください。ボクは、悠さんがまた助けに来てくれたこと……凄く嬉しいって、そう思ってますから」

「そっ……か」

 

そういうと彼は頬を赤らめながら、少し恥ずかしそうに答えた。

 

「あ、あり……がと?」

「ど、どういたしまして?」

「…………」

「…………」

 

二人の間に、静寂が流れる。

 

「(き、気まずくなっちゃったよぉ……)」

 

会話が完全に止まってしまった。

こ、こういう時、どうすればいいんだっけ!?

確か、話題を変えればどうにかなると思うんだけど……。

えーと、えーと……あ!

 

「ぼ、ボク達の噂……どうにか、できませんかね?……写真も言質も取られてますけど……」

「どうにか、か……それに、噂が広まりすぎてるからなぁ」

「確かに……僕の学校でも、もうほとんどの人が知ってましたからね……。学園内を歩く度に、話しかけられましたし……」

「そうだよなぁ……。それに、本当のこと言っても、隠してるって思われるしなぁ」

「悠さんもですか!?ボクも、"ホントのこと言ってよ〜"って今日ずっと言われてました……」

「湊さんも、か……。完全に手詰まりだな……」

 

そう言って、届いたアイスコーヒーを飲む悠さんにつられて、僕もアイスコーヒーを一口飲む。

今の状況は正直、為す術がないとしか言い様がない。

悠さんも同じ境遇に立たされていることが分かっただけでも嬉しいが、それでは何の解決にもなっていない。

 

「(どう、しよう……?)」

 

何か……できることはないのかな。

コーヒーの苦さで覚めた頭で思考を巡らせる。

写真を撮った子や柚子さん、それに美結さんに誤解を解いてもらえれば良いが、流石にこんなに証拠があるんじゃ信じてくれないだろう。

実際、今日何回も誤解を解こうとしたがダメだったし……。

 

「(うーん……この事態をどうにかできそうな人でもいないのかなぁ……)」

 

僕のことを信じてくれて、尚且つ学園全体に影響を与えられる可能性がある人……。

そんな人、そうそういるわけ……。

……あ。

 

「(風莉さんなら、どうにかできるかも……!)」

 

「あの、僕に考えがあります」

「本当?」

「はい。実は、ボクのルームメイトが学園の理事長をしてるんです」

「……え、マジで?今サラッと凄いこと言われた気がするんだけど!?」

「……まあ、そこに関してはボクも最初は驚きましたから、気持ちは分かります……それで、その人は学生の身で理事長をしているんですけど、もし助けてもらえれば……」

「……誤解を解いてくれるかもしれない、と。なるほどな……でも、大丈夫?その人は信じてくれるのかな?」

「大丈夫です、きっと風莉さんなら……あ」

 

ふと、今日の様子を思い出す。

風莉さんの様子はいつも通りだったが、朝の新聞の話が出る度にどこかよそよそしかった。

それに、お昼も一人で理事長室に行ってしまったし……。

…………。

 

「み、湊さん?……大丈夫?」

「だ、大丈夫……です。どうにかしてみせます!」

「いやまあ、そう言ってくれるのは嬉しいけどさ……無理だけはしないでくれ。もしダメだったとしても、俺も一生懸命考えるからさ」

 

悠さんの声色が、一瞬で真剣なものへと変わる。

それは本当に心配しているということを僕に伝えているかのようだった。

 

「そういう所ですよ、悠さんの優しさって」

「そう……なのか?」

「そうですよ、もっと誇ってもいいくらいですよ」

「まじか」

「では、帰ったら頼んでみますね。それじゃあ……」

 

会計を済ませようと思って、財布を出そうとバックに手を伸ばす。

 

「――あ、あのっ……み、湊さん!」

「……はい?」

 

突然、悠さんに呼び止められる。

その様子はどこか緊張しているようで、心なしか少し顔が赤くなっているようにも見えた。

 

「その、この後予定あったりする?」

「……?夕飯とお風呂の準備をするだけなので、あと1時間ほど空いてはいますけど……?」

「そしたらさ、もう少し話していかない?もっと、湊さんのこと知りたいんだ……友達として、さ。あ、嫌だったら別にいいんだけど……」

 

段々と、悠さんの声が小さくなっていく。

その様子から、僕に凄く気を遣ってくれているのが分かった。

 

「(そっか……"友達"、か)」

 

"友達"という言葉が頭の中で反芻する。

この学園に来てから、初めてできた同性の友達。

今から帰れば夕飯の支度が早く終わらせられるけど、そんな友達の誘いを断るなんて考えは、最初から僕の中には無かった。

 

「ご、ごめん……流石にもう帰りたいよね?」

「悠さん」

「き、気にしなくていいからさ」

「悠さん。せっかくですし、もう少しここにいましょうか」

「……え?」

「僕もまだ、話し足りないですし……それに、悠さんの事、もっと知りたいですから」

「湊、さん……」

「悠さんの事、ボクに教えてください!」

 

そう言うと、悠さんは嬉しそうにしながらも、少し顔を赤らめた。

………。

……。

…。

数時間後。

僕達は思いの外話し過ぎたようで、気がつけば時計の針は予定の時刻を既に回っており、この後寮まで走って帰ることになるのだった――。

 

 

 




というわけで、風莉さんに助けを求めるとこを決意した湊でしたが、果たしてどうなるのか?

次も来週くらいに投稿する予定なので、ぜひ読んでいただけたら幸いです!
……湊くん、どうやって惚れさせようかな……?
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