本当はもう少し早く投稿したかったのですが、色々あって遅れてしまいました。すみません!!!
というわけで、前回の続きです!
今回は湊くん視点での話で、まさかのサブタイトルがそのまんま内容を表しているとかいう状態ですが、ちゃんと書いたので安心してください笑
と、ここを長く書いても仕方ないので、前書きはここまで!
ぜひ今回の話も最後まで読んでいただけると幸いです~!
下校のチャイムが鳴り、人の波が校門から行き渡る最中。
寮から反対の方向を歩きながら、僕は一人鉛色の空を見上げる。
"これは……ボクと、悠さんの問題なんです"
自然と零れてしまった、その心無い一言。
それは、つい口から出てしまったものだったけど……同時に、嫌という程に僕の本心を表していた。
だから……後で謝らなければ。
僕は、美結さんに酷いことをしてしまったのだから。
帰り際のことを反省しながら……ふと、お嬢様達の姿が脳裏に浮かぶ。
「(ボク、は……)」
このことを、皆に相談できたのだろうか。
ここ数日考え続けていた悩みが、今日もまた僕を蝕んでいく。
正直な話、僕は……誰かに打ち明けたかった。
誰かに相談して、この抱えている気持ちを聞いてもらいたかった。
けれど……僕には、他のみんなに言えない"性別"という秘密があるのだ。
確かに、今のお嬢様方であれば……そんな僕でも受け入れてくれるのかもしれない。
でも、それでも……あの悠さんですら、こうなってしまったのだ。
1番信頼していた……悠さんですら……。
「…………」
あの日の彼の顔が頭に浮かんで、胸がぎゅうっと苦しくなる。
そうなってしまったら、僕はこの学園に居られなくなってしまう。
せっかく再び手に入れたはずの居場所を……また、無くしてしまうかもしれないのだ。
……と、ここまで考えると、1人だけその例外がいることが分かる
そう……風莉さんになら、言えるかもしれないのだ。
僕の性別のことを知る、理事長の彼女なら……。
「(……でも)」
ならば、風莉さんに相談すれば良いだけの話なのだけど。
それは……僕には、できなかったんだ。
彼との仲を応援してもらった彼女には……。
耐えられずに逃げたと、知られたくなかったから……。
「……あれ?ここ、は……」
そう考えているうちに、視界端の看板が目に留まり、ゆっくりとその場所に向かう。
そうだ……ここは、悠さんと一緒に行った喫茶店。
言わば、作戦会議をした思い出の場所だ。
確かここで僕達は、広まった噂をどうしようかと話して……。
「(……ああ、なんで……ボクは……)」
――まるで溢れ出す洪水のように、思い出が蘇ってくる。
自分でも、どうしてここに来たのか分からない。
けれど、気がついたら来てしまったのだ。
……いや、訂正しよう。
彼のことを考えていたら……ここに辿り着いてしまったのだ。
「……はぁ」
溜息をつきながら、辺りの景色を見渡す。
学生達の雑踏の中に、彼の存在が薄らと見える。
……けれど、もちろんのように彼の姿はない。
そんな上手い話は、世の中存在しないものなのだ。
……といっても、今彼とあっても気まずいだけだし。
振られて辛くなるなら……とりあえず今は会わないでおきたいんだけど。
……………………。
……それにしても。
「未練ありすぎだよなぁ……ボク」
自分の踏ん切りの悪さに嫌気が差しながらも、ゆっくりとその場をあとにする。
――けれどそれは、皆の待つ寮に向かうためではなく。
僕はそのままの足取りで……またフラフラと"次の場所"へと向かった。
………………。
…………。
……。
「――そういえば……すごい映画だったなぁ」
映画館の前を通りながら、彼と観た映画を思い出す。
初デートで映画館という定番中の定番コースのはずなのに、まさかのB級映画という思わぬ落とし穴に引っかかったあの日。
確かサメの映画を見たんだけど……それもすごいB級映画で、終わった後2人で話したなぁ……。
「感想言い合ったのって、ここだったよね……」
少し歩いて、綺麗な看板に視線を向ける。
昼ごはんを食べたカフェは、今日も学生たちで賑わっている。
あの時は、ここで2人で感想を言い合って、悠さんに何度も謝られたんだけど……。
「……ふふっ」
泣きそうなくらいに頭をペコペコと下げる彼を思い出して、思わずクスッと笑ってしまう。
確かに、あの時は微妙だったかもしれないけど、今となってはいい思い出だ。
これも……僕の忘れられない記憶の1ページに刻まれていくのだろう。
そうして感傷に浸りながらも、1歩ずつ歩き出す。
「それで……次は……」
思い出を辿るようにして、想いのままに足を進める。
確か、この後は……。
「――結局、ここに来たんだよね」
あの時と同じ道を辿り、広いショッピングセンターの前で足を止める。
そう……ここは水梅モール。
この街に住む人にとっては、非常に馴染み深い場所だ。
あの時悠さんは映画館でのことを挽回しようと意気込んでいたから、どこに行くのかと思ったけど……結局、通い慣れたここに来たのだ。
……でも思えば、ショッピングというのはデートの行き先としては良かった。
やっぱり、よくある漫画やドラマでもそういうのはあるし、世間的にも割とテンプレなのかもしれない。
「……あ」
そんなことを考えながら水梅モールの中を歩いていると――突然、強い既視感に襲われる。
確か、ここは……。
パズルのピースが揃うように、記憶が復元されていく。
……そうだ。
ここで僕達は……なぜか、色んな人に注目されたのだ。
それこそ、カップルやら子供やらOLさんにまで見られて……褒められて……。
思い出すだけで恥ずかしくなり、顔が熱くなっていくのがわかる。
「(……でも)」
ふと、気になることがある。
あの時僕は、色んな人から"可愛い"と言われ続けていた。
けれど、誰に言われてもあまり嬉しいとは思えなかった。
けれど、悠さんに言われた時、僕は……。
「……………………」
思えば……あの時から、"好き"だったのかな……?
あの時の気持ちを思い出そうとするが、当時の心までは読み取れない。
「……わかんない、けど……」
それでもきっと……この時から、彼のことが気になっていたのだろう。
なんというか、そんな気がしてくるのだ。
……というか、OLさんっぽい人達に"カップル"と言われた時、めっちゃ意識しちゃったから……やっぱり、これは……。
再び頬が急激に熱を帯びていくのを感じ、パタパタと右手で扇ぐ。
そうして僕は、赤くなる頬を冷ますように、駆け足で次の場所へと向かった。
………………。
…………。
……。
「楽しかったなぁ……」
思い出の家電量販店の前に立ち、そっと記憶を遡る。
あの日、悠さんは水梅モール内のどこかに行こうと考えてくれていたのだろう。
けれど僕は、ここに2人で来れるんじゃないかってウキウキしてしまって……。
彼に頼んで、ここに一緒に来てしまったのだ。
「(あの時は、嬉しかったなぁ……)」
……悲しいことに、学園内には同じ趣味を持つ人が居ない。
だからこそ、やっと会えた"共通の趣味を持つ人"という存在が嬉しくて、僕はつい張り切ってしまったのだ。
「初デートが家電量販店……か」
半分以上僕のせいだけど、僕達らしいなと笑いながら店内を見ていく。
……そういえば、あの日はここに寄った後帰ったんだっけ。
ということは、ここで数時間も話し続けたことになるから……。
思っていた以上の事実に驚きながら、我ながらすごいものだと感心する。
そうして、僕はあの時から一新されてしまった商品の列を眺めつつ、店を後にするのだった。
………………。
…………。
……。
「――来て……しまった」
水梅モールから通い慣れた道を通り、見慣れた建物の前でぱたりと立ち止まる。
そう……ここは、悠さんの家の前。
僕と悠さんにとって、どう頑張っても忘れられないような……語りきれないくらい色々あった、思い出の場所だ。
そんな未練すらの残る場所で、僕は少し背伸びして窓の方に目を向ける。
「悠さん……いるのかな……」
思いが溢れ出してしまい、思わず声が漏れる。
けれど、そんなことは許されない。
というか、勝手に逃げ出しておいて、今更合わせる顔なんてないのだ。
「……行こう」
今までの場所とは違い、すぐに後ずさりながらその場をあとにする。
だって、これ以上……耐えられるわけない。
逃げた僕にとっては……この場所は、思い出の場所であると共に、地獄に等しいのだから――
………………。
…………。
……。
「……ボクは……あの時……」
お祭りデートの時に寄った神社の前を通りながら、あの時の振る舞いを確かめる。
……確かに、告白に関しては自分でも賛否両論あったけど、基本的には良かったのだろう。
……というか、そう思いたい。
「……まあでも、もう遅いんですけどね」
夕日に照らされた公園のベンチが、もう後戻りは出来ないのだという非情な事実を突きつける。
だから今は……彼に逃げたことを謝って、彼からの返事を待つことしかできないのだ。
そうして僕は――再び歩き出す。
この公園は、彼と会った最後の場所。
だからこれ以降……僕は彼と会っていない。
そのため、これ以上行くところなんてないはずなのだけど……。
……けれど。
自分の本能のままに、ただひたすらに足を動かす。
これから行こうとしている場所は、きっと"あの場所"なのだろう。
残った理性を動かして、客観的に自分を見つめる。
「(だって、"あの場所"は……)」
暗みがかった夕焼けの道を一人歩きながら、彼との思い出を胸の奥にしまっていく。
そうして、歩き出した僕の行く道は――寮の場所からは正反対の方向であった。
いかがだったでしょうか?
……はい。湊くんの心情でしたけども、まあつらいですよね……。
どうなるか分からない不安感とどうせダメなんだろうなという諦めが混ざって、いつもより少し大人びているように感じたのですが、どうですかね……?笑
……と、その話はここまでにしておいて。
次はいよいよ悠君視点ですね!
決意を固めて飛び出したはいいものの、湊くんがこの状態でいるわけですから、果たして出会えるのか……?
そこがメインになると思うので、楽しみにしていてください!
というわけで今回はここまで!
前回もたくさん見てくださりありがとうございます。
もう物語的にはラストなので、これからも気を引き締めて頑張ります!
拙い文章で読みにくいかもしれませんが、次の話も最後まで読んでいただければ幸いです!