今回はキリが良いところで切ったので、量がいつもより少ないんですが……許してください
風莉様はどのような解決策をくれるのか?というか良い策はあるのか?
ぜひ読んでいただければ幸いです。
その日の夜。
家事を終え、風呂から出た後、部屋で風莉さんと2人になったタイミングで、僕は風莉さんに相談することにした。
まあ案の定、風莉さんは少し機嫌が悪そうだったけど。
「あのー……風莉さん」
「何かしら?」
「相談が、あるのですが」
「…………」
やはり、風莉さんは黙りこくっていた。
……こうなったら、沈黙は肯定って考えでいこう。
「実は、今朝の新聞のことで……」
「……男にしか興味が無い、ということかしら?」
「だから違いますって!」
「でも、あの写真は本当なんでしょ?」
「それは、そうなんですけど……でも、あれは違うんです!」
「…………?」
懐疑的な目を向けてくる風莉さんに対して、本当のことを話し始める。
「実は悠さん……あの男の人が助けてくれてた時、ナンパを追い払うために咄嗟にボクが彼女のフリをしちゃって……」
「…………」
「そのタイミングをちょうど撮られてしまったみたいで……」
「…………」
「本当、なんです……」
そうして訪れた一瞬の静寂。
そして……。
「はぁ……その様子じゃ、本当みたいね」
「信じて……くれるんですか?」
「だって、理事長……だから。生徒を疑う訳には、いかないから」
少し頬を赤くしながら、風莉さんはサラッと僕にそう言った。
その言葉には、理事長としての責務を果たす、という風莉さんの強い意志が込められているようだった。
けれど、なんだろう……紅くなった頬を見ると、それ以外にも何かありそうな感じがするんだけど……。
たぶん僕の気の所為だろう。
「それで、この噂をどうにかしてほしい、ということかしら?」
「……そうです」
「でも、写真も撮られてるし、私が言っても難しいんじゃないかしら?」
「それでも、風莉さんなら理事長として……」
「そうなると、貴船さんや皆見さんがせっかく作ったものが無駄になってしまうわ」
そっか……理事長としての立場だと、どの生徒にも公平でないといけないのか。
確かに、自分の学園の生徒の自由な活動を止めるというのは、上の立場からするとあまりしたくはないし、簡単なことではないのだろう。
そうなると、別の方法を考えないとなぁ……。
「……もういっそのこと、縁を切ったらどうなの?そうすれば、噂も消えるだろうし、湊だって――」
「それは……嫌です」
「どうして?」
「悠さんとは、仲良くしていたいんです! 離れたく……ないんです」
正直、自分でも何言ってるかわからない。
けれど、風莉さんの口から、"縁を切る"という言葉を聞いた瞬間に、口が先に動いていた。
「……その"悠"って人は、どんな人なの?」
「悠さんは……自分のことより他人のことを優先して、おせっかいで、体が先に動いてしまう人で、それでいて……。ボクの尊敬する、優しくて温かい人なんです」
「そう……まるで湊みたいね」
「ボク……ですか?でも、僕としては、出会った時の……身寄りのない僕を拾ってくれた時の風莉さんみたいだな、って。……そう、思いました」
「そう……」
風莉さんはそう呟くと、先程入れてきた紅茶をゆっくりと飲み始めた。
……心なしか嬉しそうにしていたのは、たぶん気の所為ではないのだろう。
そんな風莉さんの様子にこちらも嬉しくなっていると、風莉さんは飲みかけのティーカップをソーサーに置いて、腕を組んで考え始めた。
「うーん……解決策……
「もう、変なのじゃなければ何でもいいです……」
「……あ」
「何か浮かんだんですか?」
「もういっそのこと、恋人のフリをしたらどうなの?」
一瞬、思考が停止した。
「え?え?……え!?」
「だって、写真もあるし、言質も取られてるでしょ?」
「それは、そうなんですけど……でも……」
「湊だって、男友達欲しいでしょ?」
「それは……」
「この学園は、女の子だけだから……湊は慣れたかもしれないけど、男性の友達の1人も欲しいでしょ?」
「慣れてませんよっ!?って、うぅ……ま、まあ、そう……ですね」
「けれど、この学園にいる限り、異性の友人を持つことは、お付き合いしていることと同じことになるのよ?そしたら、恋人のフリでもするしかないんじゃないかしら?」
「うぐっ……」
「それに、男友達がいた方が湊が幸せになれるでしょ?」
その一言に、僕の心が少し揺れる。
――風莉さんが僕の幸せを考えてくれている。
事が事ではあるけれど、その事実がとても嬉しくて。
気づけば、僕の意思はもうほとんど決まりかけていた。
「でも、恋人のフリなんて……そんな難しそうなこと、ボクには無理なんじゃ……」
「……?いつも、女の子のフリしてるでしょ?」
「……あ」
そ、そういえばそうだった――!
今完全に、自分が女装しているということを忘れていた。
さっきは慣れてないと言ったけど、実はこの学園もこの姿も、もう既に慣れてしまっているのかもしれない……。
「女装して生活できるんだから、恋人のフリするのもできるでしょ?」
「それは……そうかもしれませんけど……」
「やっぱり、それしかないわね……頑張りなさい、湊」
「か、風莉さんっ!?」
「じゃあ、おやすみなさい。湊」
「ちょっ、風莉さん……!?」
そう言うと、風莉さんは電気を消して、ベッドに入ってしまった。
「(悠さん、なんて言うかなぁ……)」
あの時僕が悠さんを振ったのに、今更恋人のフリしろだなんて言われても、悠さんも困るに違いない。
…………。
でも、最初は驚くと思うけど……たぶんきっと、悠さんならそれでも笑って許してくれるのだろう。
……僕としては、逆に悠さんにそうさせてしまうのが、なんというか申し訳ないんだけれど……。
「(大丈夫、かなぁ……)」
明日の事を心配しながら、部屋の明かりを落とす。
夜の闇に包まれた部屋に、カーテンの隙間からそっと月明かりが射し込む。
その微かな光に照らされながら、僕の意識は夢の中へと吸い込まれていくのだった。
次のやつはいつも通り4000字くらいになります!
自分としてはできるだけストックを用意したいんですが、わりとギリギリで……毎日投稿している人とかすごいなと思うばかりです。
では次は、湊くんが悠に風莉様のアドバイスを伝えに行く話です!
果たして湊は悠にちゃんと話せるのか!?
お楽しみに~!