というか、前回の投稿からかなりの時間が経ってしまってすみませんでした!
というわけで、『湊君を攻略したい!』ついに最終回です!
仕事の都合で色々あってなかなか進まなかったのですが、この度無事に完成させることができました。
最終回っぽい流れを一度やってからのエピローグなので、半分ぐらい消化試合感はありますが、今回本当に終わるんだなあという感じになっています。
正直自分が一番名残惜しい感じになっていますが、皆さんにもその気持ちが伝わればと思います。
最終回特有のまとめ感がありますが、湊くんと悠君の関係を見ていただければと思います。
前書きなのに長くなってしまいましたので、このあたりで締めさせていただきます。
後はあとがきに色々書くので、気になったら見てみてください!
では2人の行き着いた幸福な日常を。
どうぞ、お楽しみください~
リビングの方から、お嬢様達と彼の妹さん達の笑い声が絶えず飛び交うのが聞こえてくる。
本人達もいないのに、ボク達についての謎の会議で盛り上がってるようだけど……一体何が楽しいのか。
「なんでこうなるかなぁ……」
はぁと溜息をつき、隣に座る恋人へと視線を向ける。
ボク達2人だけが置いてけぼり状態だけど……まあ、いいか。
「……ごめんな、俺が色々とやっちゃったせいで」
「何を言ってるんですか!それを言ったら、ボクも相当やらかしてましたよ……?」
先程の映像を思い出しながら、悠さんと共にひたすら反省する。
ボクだって、恥ずかしいことばかりしてたんだ。
だから……これは、悠さんが謝ることではないんですよ。
「でも、これに限らず……色々、ありましたね」
「……ああ、かなり濃い思い出ばかりだよな」
1つ1つが印象深い、思い出の数々。
その全てを、ただの1度も忘れたことなんてない。
「悠さん、覚えてます?」
「ん?」
「最初にボクが、ナンパに絡まれた時のこと」
「……めちゃくちゃ鮮明に覚えてるわ」
彼のその言葉を嬉しく思いながら、今も脳裏に浮かぶあの景色をボクはそっと語り始めた。
「あの時、悠さんが助けてくれて……そのまま、告白されましたね」
「あの時は……うん。はい。反省してます……」
「すごくびっくりしたんですから、反省してくださいよ……?」
当時は驚きすぎて困惑した出来事を、今となってはこうして笑って話せるのだから。
人生、何が起こるかわからないんですね。
「でもその時のことが、新聞になっちゃって」
「彼氏扱いになって困ってたら……"偽物"の彼氏になったね」
「……思い返すと、凄いですね……」
盗撮されてからの、各学校にばら撒かれてからの、風莉さんの"迷"案──もういっそ付き合ってしまおう作戦。
なんというか……当事者だけど、情報量多いな……。
「でも、ここからボク達の関係は進んでいったわけですからね」
「いやでも、まさかこうなるとは思わなかったよな……」
確かに、悠さんの言う通り、あの"偽物"の恋人同士になった頃からすると、今のこの関係は考えられない。
ボク達の関係は、それほど深くなったんだなぁ……。
「……でも、忘れられないのはこの後だよ」
「この後って……」
「湊さんとデートするはずが、まさかの女子寮に連れてかれたという」
「あー……その節はすみませんでしたっ!」
みんなが悠さんのこと気になりすぎて、美結さんが連れてきてしまったというあの事件。
大体ボクが週末にデートするなんて言わなければ、そうはならなかったんだけど……まさか本当に連れてくることになるなんて……。
「まあ、鈴女の紹介動画で可愛い湊さんをたくさん見れたから良しとするけど」
「〜〜〜!!!そうでしたね!忘れてましたぁぁぁぁぁ!!!」
いつか学園で撮った鈴女の紹介動画を、まさか悠さんに見られるなんて思ってもみなかったから、それを聞いた時はかなり恥ずかしかったんだよなぁ……。
……というか、あの時"悠さんに口説かれた"って後に美結さんから聞いたけど……。
……浮気防止のために、後で問い詰めてみようかな。
「てか、あの日逃げようとしたらお嬢様達に捕まったね……」
「……確かに」
悠さんの手を引いて、咄嗟に逃げ出したあの日。
でも、満更でもない顔でひなたさん達に捕まってたけど……いや、今の悠さんなら大丈夫……なはず。……だよね?
「からの質問攻めからのお嬢様達の本性見せつけられて、とんでもない1日だったよ……」
「そ、それは……いやもうほんと、はい。お嬢様達がすみませんでした……」
いきなり連れてこられて、捕まって、そのうえ東方将軍されたのだから、相当大変だったのだろう。
ボクもお嬢様たちの残念な姿を見た時大変だったから、きっと同じような状態だったはずだ。
「で、でも!リベンジデートできたじゃないですか!」
「……サメ映画」
「あ」
……と、どうにかいい方向へ持っていこうとした瞬間の──地雷。
いや、まあ……ギャグとしては面白かったんですけどね……?
「で、でも悠さんがエスコートしてくれて……」
「場所水梅モールだよ?」
「……すみませんでした」
結局何もフォローできず、素直に頭を下げる。
そういえばあの時の悠さん、相当落ち込んでたなぁ……。
「まあでも、湊さんに撫でられたからあの日は幸せでした」
「あれ?あの日そんなことしましたっけ……?」
「ひ、酷くない……?」
「ご、ごめんなさい悠さん……!」
「電気屋だよ……思い出して……?」
「……あー……今になって恥ずかしくなってきました」
悠さんに言われてからその"忘れようとしていた"記憶を思い出し、急激に顔が熱くなってくる。
というか、あの時点で"俺の彼女は世界一可愛い"とか言ってたの凄すぎるでしょ……。
「まあでも俺も、あの日帰った後のLINGで死ぬほど恥ずかしかったから……ね?」
「にゃぁぁぁぁぁっ!?!?」
「湊さん!?」
「オ、オボエテナイヨ」
「いや、覚えてるじゃねぇか」
悠さんにツッコまれながら、ブンブンと頭を振ってあの日の記憶を消そうとする。
正直LINGの内容よりも、その後に風莉さんに見られた方がやばかったんだよなぁ……。
「でも、そのちょっと後くらいだよ?」
「ん?何がですか……?」
「誕生日」
「────」
"誕生日"という言葉を聞いて、色々な思いが駆け巡る。
確かに家出とか色々あったけど……今思えば、かなり恥ずかしいな……!
「わ、忘れてください……!あれは……色々やりすぎちゃいましたし……」
「絶対忘れない。だってあれ以降、湊さんと更に仲良くなったんだから」
「それは……そう、ですが……」
悠さんからの正論を聞いて、思わず何も言い返せなくなる。
悠さんの言う通り、あの日を境にボク達の距離は縮まったわけですから、ある意味大切な思い出でもあるんですけど……!そうなんですけど……!
「……まあ、でも思い返すと凄かったなぁ……。最初はお嬢様達に呼ばれて、湊さんの誕生日を"先に祝え"って言われただけなのに」
「……え?そう……なんですか?」
「うん。本当は誕生日パーティーで一気に祝うつもりだったらしいけど、"湊さんの彼氏"ってことで気をつかってくれてさ」
「そう……だったんですね」
「ちなみに、あの"デートのことを根掘り葉掘り聞かれた日"な」
「それは言わなくていいです!……もうっ!」
頬を少し膨らませ、彼に向かって抗議する。
というか、なんでボク達はあんなに恥ずかしいことをさせられてたんだろう……。
「……で、家出してうちに来たと」
「そ、そうなんですけど……あー……」
「今から会いたい的なこと言われて、OKしたらキャリーバッグで来るんだもん。流石にビビったわ!」
「そ、その節は……ご迷惑をおかけしました……」
次々と浮かんでくる当時の光景を思い出しながら、赤くなった顔を伏せるようにと頭を下げる。
こ、このまま上目遣いをすれば、流石にこれ以上掘り返されなくて済むはず……!
「からの、プレゼント渡したら号泣されちゃってさ」
「あー!あー!聞こえない聞こえない!」
「俺だって色々恥ずかしかったんだからな!?」
両手で耳を塞ぎ、声を出して彼の声を遮断する。
思い出すだけで、思わず顔が火傷しそうになる……けど。
「……で、でも……凄く、嬉しかったです」
「……ありがとう」
それほどまでに……あなたに、愛されてるってわかったから。
ボクは……本当に嬉しかったんですよ。
「……あ!そう言えばあの時"ずっと一緒にいる"って言ってくれたのに、意味を聞いたらはぐらかしましたよね!?」
「いや、なんで覚えてるんだよ!?」
と、話をしているうちに大事なことを思い出し、顔を上げて彼の眼前へと迫る。
「あれって……結局どういう意味だったんですか?"解釈は任せる"的な感じでしたけど」
「あー……うん。あれは、さ……」
そう言うと、彼は静かに息を飲み、ゆっくりと口を開いた。
「言葉通りではあるんだけど、さ……まあ、"プロポーズ"……も、あります」
「…………!!!」
「……勘弁して下さい……」
もはや死にかけのような掠れ声を漏らし、彼は顔を徐々に赤らめていく。
「えへへ……ありがとうございますっ!」
「ちょっ、このタイミングで抱き着くのは反則だろ!?」
「悠さ〜ん……!」
「……っ!?」
あまりの嬉しさに彼の胸へ飛び込むと、彼は恥ずかしそうに頬をかいて顔を逸らしてしまった。
しかし、それでも抱き締め返してくれるんだから……だから、好きになっちゃうんですよ。
「そう言えば、あの日ですよ?悠さんがプレゼントしてくれたの」
「忘れもしないよ。……選ぶ時の店員さんのニヤつきも含めて」
「そ、そうだったんですか……。でも、ボクのために選んでくれたんですもんね……ありがとうございます、悠さん!」
髪飾りとネックレスにそっと触れながら、お礼の言葉を告げる。
ボクのためにここまでしてくれる人は、家族以外初めてだったから……凄く、嬉しかったんですよね。
「その後の悠さんからのプロポーズみたいなものも含めて、ボクはあの日を凄く覚えてますね」
「あれは……あー……あれもプロポーズ、だな。うん」
「"一緒に住もう"って言ってくれましたもんね?」
「……間違いじゃないのがやばいな、これ……あの時の俺やべぇな……」
当時の自分の発言を思い出し、顔を朱に染めて目を泳がせる悠さん。
確かに、出会って1ヶ月くらいでそんなこと言われると思ってなかったから、ボクとしてもかなり驚いたし恥ずかしかったのを覚えている。
「でも、その説得のおかげで、ボクは家出しないで済んだんですから」
「ほんと、すれ違ったままにならなくて良かったよ」
「本当に、ありがとうございました……!」
不意に彼の頬にキスをして、思わずイタズラな笑みがこぼれる。
「……ちょっ」
「ボクからの気持ち、です……っ!」
「はぁぁぁ〜〜〜!可愛すぎるだろもう……!マジで今日も寝かさないよ???」
「……えへへ」
「ん゛ん゛ん゛っ!!!」
"寝かさない"という言葉に心臓がドキドキするのを感じながら、必死に平静を保とうと深呼吸をする。
まあ、その最中に悠さんから変な声が漏れていたけど……これなら、不意打ち成功ですかね?
「……あ!そう言えば!今度見せて欲しいんですけど……」
「……ん?何を?」
「妹さん達に会った時に言ってた、お、男の娘モノの……ほ、本……です」
「───」
以前からずっと気になっていた"本"のことを口にした瞬間、彼の顔がみるみるうちに青ざめていく。
「……忘れてくれ」
「なんでですか?」
「それだけは……本当に、やめて?ね?ね?」
「……分かりました」
あまりに真剣な顔で、ひたすら懇願する悠さん。
彼がここまで言うのなら……流石に仕方ない。
「じゃあ、妹さん達に借りますね」
「やめてぇ!?」
最早泣きそうな顔で謝ってくる悠さんに、少しの優越感を感じる。
いつもやられっぱなしだったから……たまには、こういうのもいいかもですね。
「じゃあ、冗談はここまでにして」
「悪い冗談はもう止してくれよ……」
「……あれから少し経ってから起きたこと、覚えてます?」
「少し経ってから……?」
「美結さん、不良、帰り道、音信不通──」
「ごめんね、湊さん。ずっと黙ってて」
キーワードを羅列した瞬間、彼は直ぐに察してそのまま頭を下げた。
別に、謝って欲しい訳じゃないんですけど……。
「最初から"あの日ナンパしてた人達に絡まれた"って、言ってくれれば良かったのに……」
「……ほんとに、その通りなんだけどね」
「ボクのためを思うなら、"信じて欲しかったなぁ"」
「ぐふっ!?」
冗談交じりに、悠さんの急所に重い一撃を入れる。
……少し、やりすぎちゃったかな。
「で、でも……!」
「……わかってますよ、悠さん」
彼の頭を胸元へと抱き寄せ、そっと耳元で囁く。
「ボクのため、なんですもんね」
「あ、ああ……」
すると彼はぐったりとその重心をボクの方へと傾け、俯いたままボクの胸に顔を埋めた。
……こうしてみると、あの悠さんですら幼い子供のように感じる。
「(悠さん……可愛いです)」
段々謎の母性みたいなものを刺激され、心が大変なことになる……けど。
「まあでも──」
「……?」
「美結さんとの件は、許しませんけどね?」
「───ッ!」
と、不意に鋭い一撃を入れられ、冷や汗ダラダラで目を逸らす悠さん。
今までボクも悠さんもその話を避けてたから、まさかこのタイミングで来るとは思わなかったのだろう。
「ジト目湊さん……可愛い……!」
「怒ってますからねっ!」
「はいっ!ごめんなさい!」
こういう話の時までこんなこと言ってくるんだから……まったくもう。
……まあ、嬉しい……ですけど。
「で、でも……湊さんも隠し事してたわけだし……」
「むぐっ……」
と、油断した途端。
思わぬカウンターが急所に飛んできた。
「ま、まぁ……それは……申し訳ない、と言いますか……」
「あの時の俺の頭の中やばかったからね?思考バグってたからね?」
「ぐむむ……」
た、確かに、"好きな人"であり"偽の恋人を演じてた人"の性別が実は違った、なんてこと普通じゃ理解できないだろう。
というか、理解したくても思考が追いつかないだろう。
これは……流石にちょっとまずいですね……。
「まあでも、最初から俺は湊さんにメロメロだったわけだし……答えは決まってたようなもんだよ」
「……でも、返事まで結構長かったですけどね……?」
「それは……って、湊さんも逃げたじゃん!」
「そ、それは……そう……ですけど……!」
互いに急所に向かってジャブを撃ち合い、ダメージを受け合う。
なんかこれ……だんだん恥ずかしくなってきた……。
「むぅ……あんなに"情熱的な告白"……してくれたのに」
「それはズルだろ!?湊さんだって、あの日以降凄く"求めて"来るくせに」
「ち、ちがっ、それはキスの話ですから!語弊しかないじゃないですかーっ!」
互いにクリティカルヒットが出てしまい、思わず恥ずかしさを通り越して笑いが込み上げてくる。
「……でも、想像出来るか?」
「……ん?何がですか?」
「俺たちが出会ったあの日──まさかこういう関係になるなんて」
「まあ……無理、ですね。昔は確実に考えられなかったのになぁ……」
遠い目をして彼方を眺める彼の問いに、ボクは迷わずそう答える。
「普通に振られたけど、やっぱり"男同士は……"って感じだったの?」
「そうですね……そこが一番大きかったですね」
正直今もそうだけど、ボクは男なのだから……"男を好きになる"なんてありえない。
だから、あの時は悠さんからの告白を断ったのだ。
だけど──"悠さんだから"、好きになってしまったのだ。
「後悔、してるか……?」
「……悠さんは、どうなんですか?」
今更過ぎる問いに答えず、そのまま彼へ聞き返す。
「いやいやいや、俺は一目惚れで告白した側なんだし、後悔なんてしてないって!」
「ふふっ……じゃあ、"一緒"ですね」
予想通りの答えに思わず顔をほころばせると、用意していた答えを述べる。
顔を背けて恥ずかしそうにする悠さんが可愛くて、正直その顔をじっくりと見たいけど……今はこうさせただけ満足しよう。
ふふふ……いつも恥ずかしい思いをさせられてばかりだし、こういう時こそ反撃を──
「──んむっ!?」
唇に柔らかいものが当たり、思わず呼吸が止まる。
一瞬、何が起きたのかわからなかった。
けれど、全てを理解する頃には……塞がれたボクの唇は、既に解放されていたのだった。
「な、何するんですか……!」
「いやぁ……仕返し、かな?」
「………〜〜〜ッッ!」
恥ずかしさで身体を震わせながら、彼の胸を両手でポカポカと殴る。
お嬢様達もいるのに、こんなの誰かが見てたらどうするんですか!
「──お姉様ー!どこなのだー?」
「八坂さんも、どこにいらっしゃるんですかー?」
「っ!?」
突然ボクたちを呼ぶ声が聞こえ、思わず体がビクりと震える。
「……呼ばれちゃったね」
「"呼ばれちゃった"じゃないですよ、もう!……どうするつもりだったんですか……!」
「まあ、その時はその時だよ。……"続き"はまた今度だな」
「つ、続きって……!」
いきなりその気にさせられたのに、そのままお預けを食らってしまい、胸の当たりがきゅっと締め付けられる。
「今日の夜でも……いいです、けど……」
「───。決めた、絶対今夜湊さんを独り占めする」
「ひ、独り占めって……お、お願いします……ね?」
「湊さ──」
と、物凄い剣幕の彼に両肩をガシッと掴まれた瞬間。
ドアの向こうから、お嬢様達の催促の声が響き渡った。
「ど、どどどうやらここまでみたいですね……っ」
「後で……たっぷり……」
「お、落ち着いてくださいっ!」
飢えた獣のような目を向けてくる彼に、思わず脳天にチョップする。
へ、変態だぁーーーーー!!!
「……と、ごめんごめん」
「もぅ……変態ですよ……?」
「まあ、変態だからな」
「開き直らないでください!」
変態な恋人を見て、やれやれとため息がこぼれる。
まったく……この人には、ボクがついていないとダメですね……!
「それじゃ──行こうか、湊さん!」
「はいっ、悠さん……!」
伸ばされた手をぎゅっと握り締めて、ボク達は2人歩き出す。
世間から見れば、ボク達の関係は歪なものなのかもしれない。
それこそ受け入れ難いものであるために、後ろ指さされることだってあるだろう。
けれど──もう、大丈夫。
この人が──ボクの大切な"新しい家族"がいれば。
愛しい恋人である、悠さんさえいれば。
ボクは……この世界で、生きていけるのだから。
「(だから……ね)」
──窓の外に広がる青い空に、そっと微笑みを向ける。
お母さん。お父さん。……おばあちゃん。
全てを失ったあの日から……ボクは、ここまで来れたよ。
──眩しく照らす温かな陽の光が一層強くなるのを感じ、それに応えるようにとありったけの思いを空へ解き放つ。
ボクを、産んでくれてありがとう。
ボクを、育ててくれてありがとう。
ボクを……見守ってくれて、ありがとう。
これからは、皆と……悠さんと、生きていくから。
だから、心配しないで。
安心して、ゆっくり休んでね。
──そんなボクの思いに応えるように。
窓の外から降り注ぐ陽の光が、一際輝いてその存在感を表す。
いつか……悠さんを連れて、挨拶に行くから。
その時は……よろしくね。
──長いような一瞬の時が流れ、ボクは彼の方へと視線を移す。
そうしてボクは青空を振り返らずに、彼と共に歩いていくのだった。
「湊さん、どうかした?」
「なんでもないですっ!さ、皆さんの元へ急ぎましょうか!」
目の眩みそうな真夏の光が差し込む、午後一時の第二寮。
こうして1つの季節を乗り越えたボク達は、ニヤつきながら見守るお嬢様たちの元へと戻っていくのだった──。
めでたし。めでたし。
「──そういえばさ、夏休みが終わる前に、海かプールにでも行かない?」
「……え゛!?み、水着……どうしましょう……」
「た、確かに……!び、ビキニ……?」
「ぼ、ボクは男ですよっ!?そんなの、着れるわけ……」
「じ、じゃあ……海パン、のみ……!?ぐぁッ!?」
「ゆ、悠さんっ!?悠さ~ん!!!」
──完。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
これが、正しい形なのか。
それは、俺にも分からない。
これが、正しい選択なのか。
それは、ボクにも分からない。
もしかしたら、もっと別の未来があったのかもしれない。
もしかしたら、出会わない未来もあったのかもしれない。
けれど、それでも──
俺はこの選択に、後悔なんてしない。
ボクはこの形に、後悔なんてしない。
だから、これまでも。これからも。
2人で、生きていくと決めたんだ。
たとえその先に、何があろうとも。
これからも、歩き続ける。
だって、俺達の関係は。
ボク達の人生は。
始まったばかりなのだから───。
……いかがだったでしょうか?
もう言葉で語る必要はないと思いますが、これにて完結です。
書き手として、寂しいという気持ちでいっぱいで結構つらいですが、皆さんはいかがでしょうか?
散々色々あってつかず離れずを繰り返し、両想いになったかと思いきや色々な事情ですれ違い。
そして、ようやく掴んだ2人の幸せです。
2人のこれからの未来がより良いものになることを願っていただければ幸いです。
……とまあしみじみとしましたが、正直心残りがあります。
最後にやった水着回書きたいですし、クリスマスも書きたい。
そして何より大学に進んだところやその後の2人の関係を書きたい!という欲望が自分の中でぐるぐるしています笑
……あとR18の方書きたいです笑
と、書き手が一番未練タラタラです笑
なので、この物語は完結しましたが、一応終わりにはしません。
2人がこれから歩んでいく世界は、これからも続いていきます。
ですが、その一部を抜き取ってお出しするかも……?
という可能性がまだあるので、もしそうなったら読んでいただけると幸いです!
話は変わりますが、久しぶりにオトメドメインをやったら、湊への印象がバグってました笑
明らかに自分のせいなのですが、湊のとった選択と周囲の環境が違い過ぎて、もはや別人に感じます笑
まあでも、本編の幸せとは別の、「あり得たかもしれないIFの物語」
その果てに、この2人の幸せを見れただけで個人的には満足です!
というわけで、ここで一旦2人の物語は締めさせていただきます。
ここまで長い間読んでいただき、誠にありがとうございました。
感想や評価をいただけて、とても嬉しかったです!!!
なかなか投稿できなかった期間も読んでくださって、本当にありがたいです!
UA54000とか3度見くらいしちゃいました笑
本当にありがとうございました!
それではまた次の話がありましたら、その時も読んでいただけると幸いです!
……次は、オリジナルのバトルものでも書こうかな……笑