噂への対策?として風莉様から思わぬ解決策を伝えられた湊。
果たして湊はこの解決策を悠に話すのか?そして、湊達の関係はどうなってしまうのか!?
今回も投稿ペースが遅くてすみません……
いつもいつもこんな拙い文章なのに、読んでくださって本当にありがとうございます!
感謝しかないです!
翌日の夕方。
学校が終わり、みんなが部活動やら何やらで青春を満喫している中。
俺は一人、あの喫茶店へと向かっていた。
というのも、昨日の帰り際に、次の日の4時にまたここで集まろうと湊さんと約束したからなのだが……。
「湊さん……大丈夫だったかな?」
通い慣れた道を歩きながら、ふと、湊さんのことを考える。
昨日は湊さんに、噂の件を"理事長をしているルームメイトの子"に頼んでもらうこととなった。
そのため、今日はその結果を聞くことになっているのだ。
悠「(良い結果が聞ければいいけど……まあ、もしダメでもまた一緒に考えればいいか)」
そんなことを考えながら、最後の曲がり角を右に曲がる。
ここさえ曲がれば、もうそろそろ店が見えてくるはずだが……。
「(……おかしい)」
俺は確かに、5分前に着くように学校を出たはずだ。
それなのに、店の前には既に……キョロキョロと周りを見ながら俺のことを待つ湊さんの姿があった。
「……あ、悠さん!」
「ごめんっ!……待たせちゃった、よね?」
「いえいえ、そんなことないですよ。ボクが早く着いてしまっただけですから」
逆にすみませんと言いながら、湊さんがにこやかに笑う。
どうやら、湊さんも早く着くように動いていたらしい。
「女の子を待たせるとか……反省しないとなぁ」
「そんな、気にしなくていいですよもう友達なんですから!」
「ありがとう、湊さん。けど、これは男としての意地みたいなものなんだ……!」
「確かn……あっ、そ、そうなんですねっ!」
「次は絶対、先に待つようにするから!」
「そうですか……じゃあボクは、もっと早く来るようにします!」
「じゃあ俺はもっともっと早く……ってこれじゃキリないじゃんか!」
そんな他愛もない話をしながら、店の中に入る。
でも、俺としては湊さんに「ごめんなさい、待たせちゃいましたか?」なんて、ちょっと言われたかったが……。
「(いや、落ち着け俺。そんなこと考えてる場合じゃないだろ)」
店員に案内されながら、そんな雑念を頭から追い出す。
席に座り、昨日と同じものを頼むと、俺は単刀直入に尋ねることにした。
「それで……相談できた?」
「……はい」
「どう……だった?」
「……すみません……ダメでした」
申し訳なさそうに、湊さんがそう告げる。
「理事長として、平等に扱わないといけないらしくて……」
「なるほど、な。しっかりしてる良い人なんだね。そしたら、どうしようか……」
状況が振り出しに戻り、新たな作戦を考え始める。
まあ、昨日は湊さんに任せる形になっちゃったから、今度は俺が考えないとな。
そう思って、気合いを入れ直す。
そうして考え始めようとした瞬間、湊さんが口を開いた。
「あの……その人が考えてくれたんです。……こうすればいいんじゃないかって方法を」
「え……まじ?それは……どんな方法なんだ?」
「それは……」
少し緊張しているようで、言葉に詰まる。
湊さんの次の言葉を待ちながら、一体どんな方法が出てくるのかと身構えていると――
「……こ、“恋人のフリをする”……です」
俺の予想を遥かに超えたような、そんな言葉が飛び出してきた。
………。
……。
…。
「(え?どゆこと!?)」
一瞬、頭が完全にフリーズした。
「(いや、言葉の意味は理解出来る……理解はできるんだ)」
しかし全くといっていいほど、思考が追いついてこない。
え?恋人って、あの恋人だよな……?
冗談かと思って、湊さんの方を見る。
しかし、その様子は冗談を言ってるようにも見えない。
「困ります……よね?」
「いや、あの……マジで何があったの!?」
「それが……」
そうして湊さんは、昨日の夜に理事長の子から言われたことを俺に話してくれた。
「なるほど……だんだん分かってきた」
湊さんの説明を受け、少しずつ思考が落ち着いてくる。
理事長さんの考えとしては、“証拠も取られているし、女子校だから男友達は難しいから、いっそのこと付き合うフリでもすればいい”といったもので、俺としても割と的を得ているように感じた。
「でも、嫌……ですよね」
「え?」
「ボク、一度振ってしまってますし……」
「…………」
「こ、この話は忘れてください!すみません、こんな話してしまって……あはは」
そう言って、申し訳なさそうにしながら、湊さんは俺でも分かるような作り笑いを浮かべた。
「湊さん」
「……はい」
「俺も最初は驚いたけどさでも、その子の言うことはあながち間違いじゃないのかな、って思ったんだ」
「悠さん……」
「俺は湊さんに振られたこと……気にしてない、って言ったら嘘になるけどさ。でも、俺は言って良かったって思ってるし……それに、湊さんは何も悪くない。悪いのは、あの時告白しちゃった俺の方なんだから」
「そんな、こと……」
何か言いたげな表情で、湊さんは俺の顔を見つめてくる。
けれど、俺は俺の気持ちを伝えるために、そのまま話を続ける。
「だからさ、1度振ったからって気にしなくていいんだって。湊さんが気に病む必要なんかないんだって。そんなこといったら、湊さんにそんな辛い思いさせてしまった俺が全て悪いんだから、"なんでこんなことしたんだー"って、俺の事怒ってくれても、恨んでくれてもいいんだからさ」
「悠、さん……」
「だからさ、どうするかは湊さんの好きなように決めて欲しい。俺はそれに従うから……いや、俺もそれに賛成するからさ」
全て、言いきった。
湊さんが自分を責めないように、湊さんが気を遣わないように。
色々考えて、今言えること全てを湊さんに話した。
「(これで、伝わったかな)」
そうなっていることを願いながら、湊さんの方を見る。
しかし、湊さんはどこか困ったような顔をしながら、力なく笑っていた。
「……やっぱり」
「うん?」
「やっぱり……悠さんは、受け入れてくれるんですよね……」
「え……」
「僕、分かってたんです。悠さんなら、絶対最後は受け入れてくれるんだろうなって」
「…………」
「だからこそ、嫌だったんです。そうやって悠さんに甘えるのが……」
「湊さん……」
「普通、振られた相手と恋人のフリするなんて、辛いに決まってます……!でも……それでも、悠さんは僕のことを優先して、辛くても困っても“いいよ”と言ってくれる……だから僕はっ――」
「湊さん」
言葉を断ち切るように、彼女の名を呼ぶ。
俺にはもう……これ以上、こんなに辛そうな湊さんの姿を見ていられなかった。
「さっきも言ったようにさ、湊さんは悪くないんだって」
「でもっ……」
「俺は嬉しいよ。湊さんがそうやって俺の事を考えてくれてたなんてさ。考えてみれば、女の子からこんな風に心配されたのって初めてだよ。それだけで、俺も湊さんと出会えて良かったなぁって思えるくらい、すごく嬉しいんだ」
「悠、さん……」
「だから、さ……」
早まる鼓動を抑えるために、大きく深呼吸をする。
そして、こちらを見つめる彼女の瞳に、そっと目を合わせる。
数え方によっては2度目と捉えられるこの瞬間。
決して慣れたわけじゃないけれど、それでも俺は――
「飛鳥湊さん。俺と恋人のフリ、してくれませんか」
抱いた気持ちを全部込めて、彼女にぶつけたのだった。
「……いいん、ですか……本当に?辛いんじゃ……ないんですか?」
「ああ、いいんだって。というか、逆に俺の方こそ申し訳ないよ」
「なんで、悠さんが謝るんですか……?」
「だって、さっき言ったこともそうだしさ。それに、理事長さんに頼むからって湊さんに全部任せちゃったし」
「それは……僕が適任だっただけで……」
「でも、それなら他の考えを出すくらい出来たはずだし」
「それは……」
「それに……たとえフリであったとしても、俺なんかが湊さんみたいな可愛らしい人の恋人になるなんて、おこがましいよなぁ……なんて――」
「そんなことありませんっ!悠さんは優しくて、正義感があって、それでいて自分より他人を優先する人で……この人ならいいかなって、そう思えたんです!」
「……っ……」
「だから……悠さん以外ありえません!それくらい、相手が悠さんで良かったって思ってますからっ!」
店中に聞こえるくらいの声で、湊さんは力強くそう言ってくれた。
「(や、やべぇ……!そういう意味じゃないって分かってるけどさ……!)」
一見、告白してるようにすら思えるほどの言葉がどんどん飛んできて、もはや気が気じゃなくなってくる。
ドクドクと心臓の鼓動が次第に早くなっていく。
感情の熱が心臓の鼓動と共に高まり、涼しい店の中なのに手汗が止まらない。
しかし、それにはもう1つ理由があった。
――周囲の目が、完全に俺たちに集まっていた。
「……あ」
自分の言ったことに気づいたようで、湊さんが少し顔を逸らす。
しかし、逸らそうとしても、今店にいる人たちから注目されちゃっているわけで……。
「あ、ああ……あああっ……」
「み、湊さん……落ち着いて、ね?」
「わ、忘れてくださいっ!」
「いや、でも……」
「いいから!お願いしますから!」
「そんなこと言われても……忘れられるわけないって」
「うぅ……」
湊さんが項垂れながらショックを受けていると、奥の方から店員さんがそっと近づいてきた。
「コーヒーをお持ちしました」
「あ、ありがとうございます」
「あっ、あの……うるさくして、すみません」
「大丈夫ですよ。それにしても……お2人とも、お熱いですね〜」
「「へ?」」
「なんだか、青春って感じがします。末長くお幸せにね!出来立てホヤホヤのカップルさん♪」
そう言うと、店員さんは別の客の方へと行ってしまった。
「(一体、何だったんだ……?)」
とりあえず気分を落ち着かせようと思い、持ってきてもらったコーヒーを一口啜る。
そうしてふと、周りを見回した時に――気づいてしまった。
周りの視線が、好奇心的なものから見守るようなものへと変化していたことに。
「あ……み、湊さん?」
「あ、ああ……」
「ちょっ、落ち着いて……!」
「な、なんで……なんで、こうなるんですかぁぁぁぁぁ!?」
湊さんの悲痛な叫びが、店中に響き渡る。
こうして、俺と湊さんとの“ちょっと変わった不思議な関係”が始まるのだった。
……ということで、
今回の話でやっと物語が動き出した……という感じになります。
次の話から悠と湊くんのもどかしいような関係が始まりますので、お楽しみに~!
次の投稿も同じくらいのペースになっちゃうかと思います。すみません!
次も読んでいただけたら幸いです!