前回遂に湊達は恋人(偽)になったわけですが、これからどうなってしまうのか?
今回も読んでもらえるとありがたいです!
追記
一応言っておきますが、タイトルの「私達」は「クラスメイト」のことです。
悠君にやばそうな裏がある……とかではないので、心配しないでください!
「(はぁ〜……昨日は大変だったなぁ)」
喫茶店での事を思い出しながら、学園までの道を4人で歩く。
今日は柚子さんも一緒で、久しぶりにいつもの日常が戻ってきたようであった。
「……?どうしたの、湊?」
「あっ、いえ、何でもないですっ!」
「昨日から変よ?」
「だ、大丈夫ですからっ!」
「ごめんなさい湊さん……新聞のことですよね」
「い、いえっ、そのことはもう大丈夫ですよ」
「湊さん……」
そう言ってみたものの、柚子さんはどこか申し訳なさそうにしながら俯いてしまった。
というのも昨日、僕が悠さんと別れた後寮に戻ると、柚子さんが玄関で待っており、突然新聞のことについて謝ってきたのだ。
僕としては、確かに色々と大変なことになってしまったけど……柚子さんの気持ちもわからなくなかったし、柚子さんに悪意がないことも分かっているので、とりあえず許すことにした。
……したんだけど……。
「(柚子さん、ずっとこの調子なんですよね……)」
その後もずっと柚子さんは俯いたままで、結局今日になっても、柚子さんの表情は暗いままであった。
たぶん、新聞が予想以上の反響だったのもあってか、かなり負い目を感じているのだろう。
「柚子さん。気にしてないって言ったら嘘になりますけど……ボクはもう大丈夫ですよ
柚子さんの気持ちもわかっていますから」
「でも……」
「その代わり、今度からはこういうことはしないでくださいね?」
「湊さん……。分かりました、次からはちゃんと許可を取ってからにしますね!」
いや、許可も何も、そもそもそういう記事はやめて欲しいんだけど……。
まあでも……。
「(よかったぁ……少しは元気になってくれたみたいだ)」
心なしか、明るさを取り戻したような柚子さんの表情を見て、ほっと胸を撫で下ろした。
しかし、もう1人の方は……。
「お姉様が、取られたぁ……うぅ……取られたのだぁ……」
「ひなたさんも落ち着いてくださいっ!別に僕は誰のものでもないですから」
「でも、お姉様はあの騎士の恋人なのだ……」
「うぐっ」
確かに、悠さんの恋人(偽)になった以上、ひなたさんの言うことは間違っていない。
それに、恋人のフリをするって決めた以上、安易に否定する訳にもいかないだろう。
というか、騎士の設定ってまだ続いてたんだ……。
「きょ、今日は……寝るまで一緒にいてあげますから、ね?」
「……一緒に寝たいのだ」
「そ、それはダメですっ!」
慌ててひなたさんの要求を断る。
「(そんなことしたら……ボクの理性が持たないよぉ)」
強めに拒否してしまったことを申し訳なく思いながらも、心を落ち着かせようと少し深呼吸する。
この学園に入学してから結構経つので、流石にお嬢様たちとの生活には慣れてきたけど、そういうことにはまだ完全には慣れていない。
まあ、慣れたら慣れたで男としてどうなんだ、って話なんだけど……。
「……む、大垣さん。湊には彼氏がいるのだから、それはまずいんじゃないかしら」
「うぅ……確かにそうなのだ……」
「(あれ?風莉さん……怒ってる?)」
どうしようかと困っていると、風莉さんは助け舟を出してくれた……のだが、その顔はどこか少しむすっとしていた。
「彼氏さんに申し訳ないのだ……」
「ま、まあ寝るまで一緒にいることくらいはできますから、ね?」
「分かったのだ。それじゃあお姉様、約束ね!」
そんな話をしながら、通い慣れてきた学園へと向かう。
「(恋人のフリをすることになったのはいいけど、大丈夫かなぁ……?)」
覚悟を決めたはいいものの、どこか少し心配になってくる。
春の心地よい風に吹かれながらも、僕の心はどこか落ち着かなかった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
そうこう話してるうちに、教室の前に着いた。
「(あぁ……なんか緊張するよぉ)」
一昨日、昨日と質問攻めに遭ったが、その時は全部否定してきた。
しかし、今は悠さんの恋人(偽)である以上、否定することは出来ない。
……よし。
覚悟を決めて、ドアにそっと手をかける。
「お、おはようございま……す」
挨拶をした瞬間に、クラスのみんなの視線が一気に僕の方に集まる。
「(……け、気圧されちゃダメだ。しっかりしないと!)」
「あ、飛鳥さん!おはよう」
「み、美結さん、おはようございます」
「あ、あの……飛鳥さん」
「はい……?」
「……飛鳥さん、ごめんね!」
「み、美結さん……!?」
「浮かれてたのもあるけど、流石にやりすぎだよね……本当にごめんなさい!」
予想外の言葉に、開いた口が塞がらなくなる。
「(美結さん……)」
昨日柚子さんに謝られてから、まさか立て続けに美結さんにも謝られることになるとは思ってなかった。
こういうところを見ると、美結さんの育ちの良さというか、根の優しさみたいなのが伝わってくる。
「今度あたしと柚子さんでパフェでも奢るからさ……許して!」
「私もですか?……って、まあ湊さんにはそれくらいして差し上げないとですね」
「そ、そんないいんですよ美結さん、柚子さん。まあ、確かに最初は大変でしたけど…… どちらにしろ、紅月学園では噂になってましたしね」
苦笑しながら、2人に向かってそう話す。
実際、柚子さんと美結さんが新聞を作らなくても写真自体は撮られていたんだし、そうすると、紅月学園からこっちに伝わるまでは時間の問題だった。
だからと言って、2人は悪くないと言うつもりはないけど……そんなに恨むほどのことでもないだろう。
「だから美結さん。次からは、こういうことはしないでくださいね?」
「飛鳥さんっ……!」
そう言うと、美結さんは僕の手を掴んで、ブンブンと上下に振る。
「やっぱり飛鳥さんは良い人だぁ〜!私がお嫁に貰いたいくらいだよ」
「わかります〜!理想のお嫁さん、って感じがしますよね」
「(お嫁、さん……)」
何だろう……褒められてるはずなのに、すごく複雑な気分になる。
やっぱり、悠さんと比べると、僕って男っぽくないからなぁ……。
なんというか、悲しい現実に直面した気がした。
「それでさ、また今日も聞いちゃうんだけど……結局、あの人と付き合ってるってことでいいんだよね?」
美結さんがその質問をした瞬間、教室中からガタッという音が聞こえてくる。
この質問は昨日も一昨日もされたんだけど……何度否定しても、証拠がある以上信じてもらえなかった。
まあ、でも……曲がりなりにも、今は悠さんの恋人(偽)だ。
これで認めてしまえば、もう質問されることもないだろう。
「……はい。そう、ですね。お付き合い……させてもらっています」
そう言った瞬間、クラスのみんなが一斉にこっちを向く。
そして案の定、みんな一斉に僕の席へと集まってきた。
「やっぱり本当だったんだね!2人はどうやって知り合ったの?」
「助けてもらった時の状況教えて欲しいんだけど!どんな感じだったの?」
「こんな可愛い湊さんと付き合えるなんて、羨ましすぎる!ねぇねぇ、どっちから告白したの?」
「相手はどんな人なの?優しい感じ?」
「ちょっ、みなさん、落ち着いてくださいよぉ〜!?」
予想以上の質問攻めに、半ばパニック状態になる。
まさかここまで食いついてくるとは思わなかった。
「(悠さん……今頃大丈夫かな?)」
今頃同じ思いをしているはずの相手へと、思いを馳せる。
そんなことを考えながら、僕は聞かれた質問に1つずつ答えていくのだった――。
というわけで、湊くんは予想通り質問攻めに遭っちゃいましたね……
まあ、これを見ると実は恋人のフリしない方が良かったのでは?とか思っちゃいますが、毎日否定し続けるよりかはマシなのかな?
次回は悠サイドの話です!お楽しみに~
……ここのところ忙しくて、執筆どころかTwitterすら開けないような毎日なんですが、投稿ペースだけはしっかりと守れるように頑張ります!