警察の捜査力とヒーローの制圧力の二分化に対して、攻殻機動隊という個性的なメンバーで構成された特殊部隊。彼らの活躍を描く物語。
中国の軽慶市での「発光する赤児」の報道以来世界各地で超常現象が報告され、世界総人口の約8割が超常能力“個性”を持つに至った超人社会である。“個性”を悪用する
その一方で、警察や公安と言った官営組織の国家権力は僅かずつだが国家権力としての能力は、超常社会への適応に遅れを取り始め、いつしか人は心のなかで警察といった国家権力よりもヒーローという超人的な英雄を求め始め、平和の象徴として絶大な人気と実力を誇る「No.1ヒーロー」の誕生により、それは決定的なものとなった。
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真に賢しい
これらの
このような事態に解消するため、そして失われた国家の権力を回復するため、ヒーロー公安委員会とは異なる系譜ながらも、ヒーローとしての活動を認められ、同時に警察としての活動も認められた部隊が誕生した。
表向きは国際救助隊として“個性”を活用した国際的な特別高度救助隊を構成するヒーローとして登録されながも、実態は内務省直属の特殊実行部隊。
正式名称を
『内務省公安9課』
別名
『攻殻機動隊』
と呼ばれる組織である。
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日本の首都であり、光が消えることのない町『東京』の一角。
力を持て余した
『我々は、異能解放軍である!我々は現在、トヨダ製薬本部を占拠した。要求は、一つ!タルタロスに収容されているメンバー11人の解放である!しかし、解放まで時間がかかることは承知している。しかし、解放の姿勢を示してもらうため、現時刻から東京で48時間以内に逮捕された
これは我々の出来る最大の譲歩である!
ヒーローや警察の諸君、無闇に突入して来ないことだ。人質の命は保障してないのだから…。』
「以上が一時間半前に出されたテロリストからの声明だ。」
運送業者に偽装したウォークスルーバンのなかに映し出された映像について、‘少佐’が説明を続ける。
「声明は警察に対して動画配信サイトのURLで送られたもので、動画の流出は限定公開のため抑えられた状態。知らずに付近をパトロールしていたヒーローが1名負傷した以降は、ヒーローと警察が施設を包囲してるためテロリストの逃走なし。警察は現在、報道管制を実施中。」
「けど、このネット時代。SNSなんかで情報が少しずつだが流れ始めてる。時間をかければ人がわんさか集まるぞ。そうなれば、もっと面倒になりそうだ」
CZN-M22を組み立てながら、特徴的な眼をした‘バトー’が愚痴を零す。
『しかし、少佐。奴らは本当に異能解放軍なんでしょうか?』
違う車両からブリーフィングに参加している‘パズ’が疑問を呈する。
「俺も奴らが異能解放軍なのか、少し怪しいと思います。」
それに突入用のコスチュームを調整していたトグサも、その疑問に同意する。
「それなりに根拠があるんだろうな?」
『異能解放軍は本部、そして各地方支部から構成されています。地方支部は、その土地の勢力に対してかなり敏感です。ここらは最近現れたとされる組織が囲い始めた地域です。異能解放軍の関東支部は、先日一斉摘発を回避したばかりです。そんな時に騒ぎを起こすとは考えられません。特に関東支部のリーダーは異能解放軍の中でも慎重派かつ、部下もそれを徹底していることは有名ですから。』
‘パズ’は自身が個性である“認識阻害”を利用した内偵の経験からこの事件に違和感を抱いていた。
「なるほどな、トグサは?」
「自分も一斉摘発を回避したばかりで、この行動は短絡的だなと。あとは、少し奴らの格好が不自然というか、おかしいというか…。すいません、なんか感みたいで。」
‘トグサ’の感覚としての違和感が何か分からない状態で、発言したことに少し申し訳なさを感じた。
「いや、構わない。‘イシカワ’準備はどうだ?」
『‘少佐’、十数分で流石に大企業のシステムは掌握出来ないぞ。』
護衛の‘タチコマ’を連れて、地下の配線からトヨダ製薬にアクセスを試みている‘イシカワ’は、‘少佐’の無茶ぶりに答える。
「監視カメラだけでも、直ぐに掌握しろ。‘サイトー’、状況は?」
『一応、上空から一帯を確認したが、外部に協力者らしき人影もなし。敵の見張りも2,3人しか確認出来ない。奴らあまり、外の様子を気にしてないように見える。』
単身上空を旋回する偽装ヘリコプターから周囲の監視と狙撃位置の選定を進めていた‘サイトー’は、内部の様子を確認しながら、相手の見張りの緊張感の無さに呆れていた。
『‘少佐’、イシカワだ。社内の監視カメラを掌握した。ついでに、当たり一帯の防犯カメラも72時間前までのデータを集めておいた。』
「流石は“電子妖精”、やれば早いじゃないか。」
『やめろ、‘バトー’。その個性名好きじゃないんだよ。』
「確かに50過ぎた髭面したおっさんの“電子妖精”は厳しいよな、俺の娘なら個性暴走させそうだ。」
‘イシカワ’の個性名を弄る‘バトー’に、頭の中で‘イシカワ’の顔をした小さな妖精が飛ぶ姿を想像した、無個性ほ自分でなく、妻の個性を引き継いだ娘をもつ‘トグサ’はその異様な妖精像に苦笑を漏らした。
そんなメンバーを横目にし、‘少佐’がブリーフィングを続けていく。
「内部の様子はどうだ?」
『それは‘ボーマ’に確認してもらってる。今は社内システムの掌握に取り掛かってる。後1時間もすれば、完全掌握出来そうだ。』
個性が強力であるとはいえ、大企業のシステムを1時間で掌握出来る技術は流石の老兵と言えよう。
『こちら‘ボーマ’、監視カメラは全て無事。内部には
‘イシカワ’のサポートに付き合うことが多い‘ボーマ’は、‘パズ’共に別行動中ながらも器用に自身の爆発物を生み出す個性“
「‘パズ’と‘ボーマ’はそのまま待機、例の件もある。状況が変わり次第、動け。」
『『了解。』』
別件で分かれていた2人はブリーフィングから離脱し、残ったメンバーは突入の準備を進めていく。
「さて、ここは残った我々で対処する。‘イシカワ’は私の合図でドミネーションを実行出来る準備をしろ、‘サイトー’は狙撃位置につけ、‘バトー’と‘トグサ’は突入準備。」
「突入位置はどうします、‘少佐’?」
それぞれが強力で癖の強い個性や経歴を持つ中、完全なる無個性で元刑事の‘トグサ’は不安を抱えつつも、刑事時代から愛用しているマテバM-2007を腰に装備する。
「正面から堂々と入れ、光学迷彩は忘れるな。」
「マジかよ、‘少佐’。非常階段の方はどうする?」
「私が屋上から突入する。さっさと準備にかかれ野郎共。」
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眼下に広がる町。当たりが警察とヒーローに囲まれながらも、奴らは動けない。そんな風景を目に収めながら煙草に火を付ける。
「ヒーローと警察の奴ら、人質取ってから動きやしねーや。情けね奴らだぜ。」
一緒に外を見張ってた相方も煙草を取り出し、火を付けた。紫煙を吹かしながら、下の奴らを見ている。
「警察は人質が1人でも殺させれば、上層部が責任を追うことになるから、人質が多い時は何もしてこれねーよ。まし、ヒーローなんて人気がモノを言う職業だ。人質を殺したなんてレッテルが怖くて来られやしねーよ。」
個性という、今や人類の半数以上が所有している人を殺せる可能性がある武器に加えて、前世紀から使われ続ける銃という凶器により圧倒的な武力を保持し、敵《ヴィラン》はビルの上層階という物理的な高さと武力で勝るという精神的な高揚により全てのモノを見下していた。
「しかし、あいつなにがしたかったんだ?」
「あ?初めて触る銃に興奮しちまったんだろ。俺だってそうさ。」
人質を取る際に、脅しのためかオフィスで銃を乱射した奴がいたのだ。最もそのお陰か人質も抵抗しなくなったため、一カ所に集めやすかった。
そんな事を話している内に煙草は既に無くなりそうな程に短くなっていた。もう1本吸うために、箱を取り出す。
「クソッ。もう残ってねー。」
「なんだよ、1本いるか?」
同じ銘柄を吸う相方がポケットから箱を取り出そうとすると、エレベーターホールから叫び声が聞こえた。
「エレベーターが動いてるぞ!」
煙草を吸ってたとは言え、見張りはしていた。今見ても警察とヒーローは相変わらず動いていない。むしろ、より距離を置こうとしていた。
「お前はここにいろ。」
「ああ。」
もう一組に見張りを任せて、エレベーターホールに向かうと人質の見張り3人を除いた4人が既に集まっていた。
「どうなってる?」
「わかんねーよ。けど、エレベーターが上がってきてる。」
表示盤に映し出される数字は上の矢印と共に上がっていく。
「動いてるエレベーターは1つ、数人しか乗ってないはずだ。一斉に撃ってハチの巣にしてやれ!」
体のデカい異形型の奴が構えたアサルトライフルはその体との対比から自分が持つサブマシンガンと同じように見える。そんな事を考えながら、周りと同じく銃口をエレベーターへと向ける。
馬鹿な奴らだ。そんな事を考え、舌なめずりをしながら獲物を待つ。
そんな時、周りの光が消えた。
「停電だ!」
急な停電で動揺が生まれ、規律が乱れた。
「うるせーぞ、銃口はエレベーターを向いてるんだ。着いた瞬間に引き金を引くだけでいいだよ」
存在感のある異形型の奴の大声で皆、前を向く。これが本当に前なのか暗闇の中で不安を抱きながも、エレベーターの表示盤が発する光が目標を示してくれる。
そして、自分達が立っている階と同じ数字を示した次の瞬間、開閉を告げる音は銃声によってかき消された。
撃ち尽くしたマガジンを交換しようとすると、明かりが薄い非常灯ながらも復帰した。トヨダ製薬も大企業であるため、非常時の設備はしっかりしているのだろう。
そして、開いたエレベーターの中には誰もいなかった。俺にはそう見えた。しかし、次の瞬間エレベーターからスピピと小さく、軽い音が聞こえたと同時に正面に立ってた奴の頭が吹き飛んだ。
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「逃した2人は俺が追撃する。‘トグサ’、お前は‘少佐’の援護に回れ。」
エレベーターの上に隠れ、突入用コスチュームに装備された最新式の熱工学迷彩を使用して初撃で3人を倒し、異形型ともう1人を逃した‘バトー’と‘トグサ’は、異形型のパワーに対応できる“サイボーグ”である‘バトー’が追撃。残った‘トグサ’は人質回収を行う‘少佐’の援護に向かう。
「ヘマするなよ、『‘少佐’、カバーに入ります。』」
『速くしろ、あと30秒で突入する。』
事前情報で人質と
人質の安全を確認している途中に、壁でも崩れたような音がしたのは気のせいではないのだろう。
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俺は最高の気分だった。日々抑圧され、社会不適合者として扱われた過去において、見下してた奴らよりも上にいる。
「クソッ、クソッ、クソッッ!何なんだよ。姿が一切見えないなんて、どんだけ巫山戯た個性だよ。」
一目散に逃げて来た、途中で大きな音が聞こえようとも、脇目も振らずに。気づいたらもとの見張り場所に戻ってきていた。
「落ち着け、煙草。煙草だ…、さっきので最後だった。」
腰を下ろして息を整え、煙草で気持ちを抑えようとしても、箱を取り出すと煙草は僅か数分前に吸ったもので最後だったのを思い出す。
空の箱を叩きつける。項垂れた頭を回して辺りを見ると相方が座っていた。
「なんだ、そこに居たのかよ。おい、煙草くれよ。」
立ち上がり、相方へ近寄る。そして、見たのは頭があるべき部分がなく、血を首から噴き出してる相方だった。
「なんだよ、お前も煙草1本もないじゃないか」
相方の片手には、自分が捨てた銘柄の箱が煙草の1本も無い状態で握られていた。
それが男が見たものの最後だった。
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『こちら‘サイトー’、2人目を始末した。』
「流石、‘サイトー’、何メートルの狙撃だよ。」
『ざっと、900ってとこだ。』
「“鷹の目”からは逃れられないか。」
異形型の首を絞め落とした‘バトー’は、格闘戦で荒れたオフィスとぶち抜いた壁を見渡し、逃げた1人をサイトーが始末したことを確認する。
『これで全員か?』
「そのはずだ、‘少佐’。俺と‘トグサ’で3、俺が1、‘サイトー’が2。そっちはどうだ?」
数分の戦闘を振り返り、
『私が4、‘トグサ’が1。これで終わりね。警察とヒーローが銃声を聞いて上がってくる。ドミネーションでエレベーターは使えないから階段でね。光学迷彩の使用限界も近い、私と‘バトー’、‘トグサ’はヘリコプターに回収して貰う。‘イシカワ’はデータを抜き取り次第、‘タチコマ’で、‘サイトー’はバンで離脱。急げよ。』
掃討を確認し、非公式に近い秘密部隊であるため、警察にもヒーローにも見つかる訳にはいかないメンバーはそれぞれ隠密に離脱を準備する。
「忙しいこって、休む暇がねえ。」
『あら、‘バトー’。嫌なら、このまま残る?警察とヒーローを囲まれて、
「冗談じゃねえ。」
一向に動かないエレベーター、何故が降りてる防火壁、そしてたどり着いた階段で人質のいる階に着いた時には、銃撃で死亡した10人の
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途中で終わった形になりましたが、続きは書けたら書きます。