コードギアス Hope and blue sunrise   作:赤耳亀

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「答えは、この人に。来週赴任される、エリア11の新総督だ。」

 

場所はアッシュフォード学園の屋上。ナイトオブセブン、枢木スザクの歓迎会が佳境を迎える中で、かつて親友[だった]ルルーシュとスザクは向かい合い、そのスザクは携帯電話を片手に持っていた。

 

「ただの学生が総督と…?」

 

苦笑いを浮かべながら、ルルーシュはスザクに問う。しかしそのルルーシュを無視して、スザクは電話の先にいる新総督に言葉を向けた。

 

「枢木です。…はい。今、目の前に。はい。」

 

話ながらルルーシュに歩みより、携帯電話を手渡す。

 

「困るんだけどな…そんな偉い方なんかと──」

 

『もしもし、お兄様!』

 

「ッ!!」

 

電話の先から聞こえた声に、ルルーシュは凍りつく。

 

『…お兄様なのでしょう?私です!ナナリーです!総督としてそちらに…』

 

その言葉に、ルルーシュは何も言葉を返せない。自身にとって掛け替えのない妹であり、黒の騎士団を作った大きな理由の一つに、彼女を守る為に、という思いもあった。そのナナリーの行方は記憶が戻って以降探し続けていたが、まさか皇族に復帰し、自身の敵という立場である総督となってエリア11に戻ってくるなど想像もしていなかった。いや、想像したくなかったのだ。

 

『…あの、聞こえていますか?ナナリーです!』

 

一方、ナナリーもブラックリベリオン以降行方不明となっていたルルーシュを心配していた。ゼロの正体がルルーシュであることも知らされていなかった為、弾んだ声で問いを重ねた。

 

(本当に記憶が戻っていないのなら、ナナリーの事はわからない筈…さぁルルーシュ、答えを出してもらおう。)

 

ルルーシュのナナリーへの溺愛を知っているスザクは心中で考える。記憶が戻っているとしたら、ルルーシュがナナリーを裏切ることなど絶対にできないと分かってのことだ。

 

『あの…お兄様ではないのですか?』

 

(チィッ…!ライがいればあいつのギアスでスザクを押さえられるものを…!どうする…どうすればいい!?)

 

ルルーシュは、未だナナリーからの問いに答えることが出来ていなかった。彼はナナリーに嘘をつくことが出来ない。だからこそ、スザクを前にしている今は何も言葉を紡げないでいるのだ。そのルルーシュの目に、スザクの後ろに歩みでた男子生徒が映った。

 

(ロロ!)

 

ロロは自身の、人の体感時間を止めるギアスを使って、スザクの動きと思考を止めた。

 

「時間制限を忘れないで。」

 

「分かっている!」

 

ルルーシュはロロの言葉に返事を返すと、すぐにナナリーに意識を戻した。

 

「聞いてくれ、ナナリー。今は他人の振りをしなければならない。必要なんだ、俺に話を合わせて欲しい。」

 

『…えっ?』

 

「必ず迎えに行く!だから、それまで…愛してる、ナナリー!」

 

ロロのギアスが解けたのは、ルルーシュが言い切った直後だった。

 

「─あの…人違いではないかと。はい、ただの学生ですし。」

 

(ルルーシュ、やはり記憶は戻っていないのか…?)

 

ルルーシュにとって何よりも大事であろうナナリーに対して、他人のように振る舞う様子を見て、スザクは自身の予想が外れている可能性が高い事に落胆する。ロロが裏切っていることを知らないスザクには、これ以上確かめる為の手立ては無かった。

 

「いえ、皇女殿下とお話出来て光栄です。」

 

『あの…電話を戻して頂けますか?』

 

「イエス・ユアハイネス。」

 

ルルーシュの言葉に、ナナリーは悲痛を堪える。ナナリーにとっても兄であるルルーシュは最愛の存在であり、そのルルーシュに他人として、そして一般人と皇女という立場の違いを言葉で示され、ナナリーの喜びはすぐに萎んでしまっていた。

 

「ごめんナナリー、誤解させるような形になっちゃって…それに、彼の情報も得られなくて…」

 

『いえ、雰囲気が似ていたので…ライさんの事も、無理を言ったのは私ですし…では、エリア11でお会いしましょう。』

 

そう言って通話を終了したナナリーのもう一方の手には、折紙で出来た桜が握られていた。

 

 

 

 

 

 

 

『新潟での物資受け取りは上手くいったらしい。しかし、この総領事館に戻る方法がないが…』

 

「だろうな。」

 

C.C.の言葉に、ルルーシュはどこか上の空で言葉を返した。その手は、チェスの駒を弄んでいる。

 

『新しい総督がナナリー。闘えるのか?妹と。』

 

「闘う?それは何の冗談だ?」

 

ルルーシュは画面の先にいるC.C.を睨み付ける。

 

『では放っておくのか?』

 

「論外だな。このままでは、昔のようにナナリーがまた政治の道具に…」

 

『歩けず、目も不自由な少女。駒として使い捨てるつもりかな?』

 

C.C.の言葉を受け、ルルーシュは思わず立ち上がった。

 

「そうさせない為に俺は行動を起こした!その為の黒の騎士団だ!ナナリーの為のゼロなんだ!」

 

そのルルーシュに対し、あくまでC.C.は冷静に言葉を返す。

 

『それがお前の生きる理由であることは知っている。しかし、戦力も人材も不足している今の状態では…』

 

「確かにあいつがいればもう少し打てる手もあるが…しかし、誰に何と言われようとも俺はナナリーが幸せに過ごせる世界を造る。その為にもブリタニアを破壊する!」

 

その言葉とともに、持っていたキングの駒をチェス盤に叩きつけた。

 

 

 

_______________

 

 

 

 

「朝比奈、カレンは?」

 

「本人は大丈夫だって言ってるけど、どうだろうねぇ?」

 

ゼロは朝比奈に問い掛ける。ライが死んだかもしれないという事実を突き付けられ、丸一日部屋にこもっていたのだ。友人としても、作戦を遂行する上でも心配であった。

 

「とりあえず、何かあったらフォローはするよ。」

 

朝比奈の言葉にゼロは頷く。

 

「頼んだ。…では、出発するとしよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「いない!?黒の騎士団が!?」

 

星刻に問いかけたのはスザクだ。

 

「ああ、我々も先程確認した。情報は共有しよう。…これで、我が国にはブリタニアに対する敵意はないと分かって頂けるかな?」

 

星刻は平然と告げる。

 

「ゼロも一緒に!?」

 

「そのようだ。ナイトメアごといなくなっているしな。地下の階層から立ち去ったようだ。」

 

「どこへ…?まさか、ナナリーを!?」

 

ゼロの狙いに気付いたスザクが顔を上げる。

 

「やつらにフロートユニットはない。その考えに付けこまれたな。」

 

「ああ、やられたな。」

 

アドニスとジノが、スザクの考えに同意する。すると、横にいたアーニャが携帯電話から顔を上げ、三人に問いかけた。

 

「…お返し、する?」

 




ルルーシュ、ナナリー、C.C.、スザクの台詞を追加、手直ししました。
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