コードギアス Hope and blue sunrise   作:赤耳亀

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SIDE Lie
episode1


「う…ここは…?」

 

ライが目を覚ますと、そこは黒の騎士団が所有するG―1ベースの医務室内にある、ベッドの上であった。

 

(──僕はギアスにかけられたユフィを止めようとして、撃たれたのか…)

 

自分の身体を見下ろすと、いたるところに包帯が巻かれている。何発撃たれたかは覚えていないがよく生きていたものだと、自分の意外な頑丈さと運の良さに感謝するしかなかった。

 

(とりあえず、今は状況を確認しないと…。)

 

ギアスにかかったユフィを自分は止められなかった。であれば、既にブリタニアと戦争になっている可能性が高いだろう。その場合、少しでも戦力が必要なはずだ。そう考えると、ライは痛む身体を引きずって指令室へ向かった。

 

 

 

 

 

指令室の扉を開けると、まず目に飛び込んできたのは狼狽える扇と神楽耶、その他の騎士団員の姿であった。そしてその中でも特に右往左往していた扇が、指令室に入ってきたライの姿に気付いた。

 

「ライ!動いて大丈夫なのか!?」

 

その声で神楽耶や団員達もライに気付く。彼らが声を掛けようとするのを制して、ライは扇に問いかけた。

 

「扇さん、状況を教えて下さい。」

 

「い、いやしかし君は…」

 

そう言いながら、扇は困ったような顔を向ける。神楽耶も心配そうな顔で二人のやりとりを見守っている。

 

「…こんな身体でも、考えることはできます。みんなの表情を見る限り、戦況はあまり良くなさそうだ。そんな中で、出来たかもしれないことをしないで後悔することだけはしたくないんです。」

 

その言葉に、扇は気後れしながらもライに戦況を説明する。

政庁付近まで攻め込んだこと、テレビ局を制圧したこと、アッシュフォード学園でランスロットを捕縛しかけたものの逃走を許したこと、今は形勢を逆転され、騎士団が追い込まれていること、そして、ゼロがいなくなったこと。そのゼロをカレンが追いかけたことも。

 

ライは味方の識別信号を確認しつつ、黙って聞いていた。現在の状況では挽回が不可能な事はゼロでなくとも分かる。ゼロの乗機であるガウェインを含めても、現状三機しかない飛行型のナイトメアのうちの一機であるランスロットがゼロを追っていなくなったとはいえ、東京租界には未だにランスロット・クラブがいる。おまけに、コーネリアの騎士であるギルフォードも健在だ。元より数で劣る騎士団に打てる手はもうほとんどないだろう。

 

「扇さん、全軍に撤退命令を。それから、月下の出撃準備をお願いします。」

 

その言葉を聞いた扇は驚きを隠せない。しかし、それも当然の事であった。小規模なゲリラ戦に終始するしかなかった自分達が、あと一歩で国そのものを取り戻せるかもしれないところまできたのだ。撤退という判断に対して、そう簡単に納得ができる訳がない。しかし同時に、ゼロに並ぶ程の知略を持つライをもってしても逆転の策がないのだ、ということも理解できていた。

 

「でも、ライさんをその身体で出撃させる訳には…」

 

口を挟んだのは神楽耶である。ライの身体を心配しつつも、扇と同様に撤退という判断に納得ができず、さらには撤退という判断を下しながら自身は出撃しようとする、ライの真意を図りかねていたのである。

 

「僕は藤堂さんを救援します。彼は神楽耶様と同じく、日本の旗印たる存在です。そういう意味では、ゼロ以上にここで失ってはいけない存在です。」

 

「ま、待ってくれ!確かに君の言うことは分かる…しかし、君にもし何かあれば、カレンがどう思うか…」

 

ライの言葉に同意しつつも、扇は亡き親友の妹であり、自分もそのように思っている、そして目の前の人物の恋人でもある紅月カレンの名前を出す。二人の仲は騎士団の中ではすでに知れ渡っており、扇もその二人の背中を押した一人だ。その為、今のボロボロの状態で出撃を許可して万が一のことがあれば、カレンに合わせる顔がない。

 

「…もちろん、死ぬつもりはありませんし、カレンを追いたい、という気持ちもあります。ですがこの状況で僕が出れば、それだけで藤堂さん達が逃げられる可能性も高まる。

ただでさえゼロがいなくなったことで藤堂さんに敵が集中しているんです。僕の月下であればブリタニア軍には厄介な相手と認識されているでしょうから、それだけで敵の注目を逸らす事が出来ます。今は、やりたいことよりもやるべきことを。」

 

そう言うと、ライは誰とも視線を合わせることなく指令室を出た。扇は慌てて整備班に月下の出撃準備をするように伝える。例えゼロがいなくとも、ナイトメアを失おうとも、藤堂と騎士団員、それに騎士団の双璧さえいれば建て直すことは可能である、扇にはそう信じることしかできなかった。

 

「ライ、頼んだ…」

 

扇が呟いた直後に、部下から通信があった。扇に会いたい、という女性がアッシュフォード学園にいるという。

 

「まさか…千草!?」

 

扇は周囲の部下や神楽耶の制止を振り切り、一人アッシュフォード学園に向かった。

 




ライ
身長 181センチ
血液型 A型
搭乗機 月下先行試作機
記憶が戻った事により、頭と身体が繋がった為に身体能力が全盛期まで戻っている。乗機の月下はピーキーすぎてライ以外には扱えない。
カレンの事を誰よりも大事に思っており、ルルーシュとの間にも親友と呼べる関係を構築している。
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