コードギアス Hope and blue sunrise   作:赤耳亀

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眠れないのでもう一話更新します。ようやく前回投稿したところまで来れました。


episode44 F.L.E.I.J.A

「退きな、ルーン!あんたじゃこの紅蓮は止められないよ!」

 

紅蓮の前に立ち塞がるヴィンセント・アソールト。カレンはルーンに向けて、最後の警告を発していた。

 

「退かないって分かってる癖に…カレンさん、あなたじゃ今のお兄様を理解することは不可能よ。」

 

MVSを構えるアソールト。紅蓮は右腕を突き出し、輻射波動砲弾を放った。

 

「私は彼を取り戻す!例えあんたでも、邪魔するんなら容赦はしない!」

 

輻射波動砲弾を避け、反撃としてハドロン砲を放つ。しかし紅蓮はそれをあっさりと避け、一瞬でアソールトとの距離を詰めた。

 

「取り戻してどうするの!?今のままじゃ、処刑されて終わりだわ!今のあなたに、お兄様を助けてあげることが出来るっていうの!?」

 

「私は、ライが隣にいてくれればそれでいい!それ以上は何も望まない!」

 

紅蓮のMVSがアソールトを切り刻む。第八世代の機体の中ではトップクラスの戦闘力を誇るアソールトであったが、それでも紅蓮との性能差は明らかだった。ルーンは慌てて操縦桿を倒すと、紅蓮との距離を確保する。

 

「半端に…!日本は捨てられない、でもお兄様は取り戻したいなんて!それはあなたの我儘以外のなんだっていうの!?」

 

「変えてみせるわよ!ライの…いえ、私の為に!」

 

アソールトは再びハドロン砲を放ち、次いで四基のスラッシュハーケンで追撃をかける。しかしその全てを輻射波動で防いだ紅蓮は、その勢いのままアソールトの頭部を右手で掴んだ。

 

「…ああもう!」

 

脱出レバーを引くルーン。それを確認したカレンは輻射波動を起動し、アソールトを破壊した。すぐに蒼焔とバーディクトの闘いに割って入ろうとした紅蓮であったが、その後方からルミナスコーンが突き込まれた。

 

「邪魔はさせねぇよ!」

 

リョウが騎乗する牙鉄が繰り出した一撃を、紅蓮は咄嗟に回避した。だがリョウは機体性能の差を理解しながらも、紅蓮への攻撃を続ける。

 

「リョウさん!どうして日本人同士で、闘わなくちゃならないの!?」

 

「分かってる筈だろ、アンタなら!あの人は隊長として、戦場では俺らを生かす為に闘っていた!そんなあの人に、今度は俺らが返す番だ!」

 

牙鉄が両肩に装備された小型ガトリング砲を紅蓮に向ける。だがカレンはどうしても同国人であるリョウと闘う気になれず、攻撃を避けながら機体を後退させるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スザク!あの守りを突破できるか!?」

 

ルルーシュが、ダモクレスに攻撃を仕掛けているスザクに通信を繋ぐ。しかしダモクレスは周囲に巨大なブレイズルミナスを発生させ、全ての攻撃を防いでいた。スザクはランスロット・アルビオンでダモクレスを破壊することを諦め、フレイヤ発射口付近に集中して攻撃を加える。

 

「やってはいる。でも、相手の出力が桁違いで…この状態なら、フレイヤは撃てない筈だけど…!」

 

「こちらの攻撃も通じないのでは、ただの傍観と変わりがない…」

 

スザクの言葉を受け、C.C.も勝機が見えないことに悲観する。それはルルーシュの隣に立つ咲世子も同様であった。

 

「世界はフレイヤという圧倒的な驚異に黙り混むしか…」

 

「それも平和な状態というのかな…?」

 

その直後、ルルーシュの前にロイドが姿を現した。それを見て何かを確信したルルーシュは、乗員達に命令を下す。

 

「残存戦力を、このアヴァロンを中心に集結させろ!人質ごとダモクレスに突撃をかける!」

 

その命令を聞いたロイドは、薄ら笑いを浮かべながらどこか余裕のある表情でルルーシュに問い掛ける。

 

「いいんですかぁ?」

 

「お前が戻ってきたということは、目処が着いたんだろう。」

 

「あとは陛下とスザク君にかかっていますがね。」

 

 

 

 

 

ダモクレスの死令室では、星刻からシュナイゼルに宛てて通信が入っていた。

 

「シュナイゼル!人質ごと消すつもりか!?」

 

星刻の問い掛けに、シュナイゼルは一切表情を変えず、微笑みを浮かべたまま答える。

 

「黒の騎士団が敗れた今…」

 

「まだ負けてはいない!」

 

シュナイゼルの言葉を遮り、自分達はまだ闘えると主張する星刻。それを受けて、シュナイゼルは一つの条件を告げた。

 

「では、十分待ちましょう。」

 

「十分…!?たった十分だと!?」

 

それは即ち、シュナイゼルが提示した十分が経過すれば再びフレイヤが放たれるという事だ。その為に逡巡する星刻に対して、シュナイゼルはさも当たり前の事であるかのように言葉を告げる。

 

「反撃の位置取りをしたから、こちらに連絡を入れているのでは?」

 

シュナイゼルの言葉通り、残った部隊を再編して戦力を整え、アヴァロンに迫っていた星刻は、渋々ながらもその条件を受け入れた。

 

「…分かった。十分だな。」

 

星刻からの通信が終わった事を確認し、カノンが彼らを見下したような笑みを浮かべながら、シュナイゼルへ言葉をかける。

 

「次弾発射までに必要な十分を、高く貸し付けたものですね。」

 

「戦後処理の手を打っただけだよ。」

 

そのシュナイゼルに、傍らに立っていたディートハルトも質問を投げ掛けた。

 

「黒の騎士団はもう必要ないと?」

 

「集合体としての軍事力に、何の意味が?」

 

 

 

シュナイゼルがディートハルト達とのやり取りを終えた直後、アヴァロンに後方から攻撃が仕掛けられていた。

 

「後ろから!?」

 

アヴァロンに攻め寄せる黒の騎士団。その先頭に立っているのは神虎だ。

 

「必ずや我らの手で!」

 

「回り込んだのか星刻!」

 

驚きに目を見開くルルーシュ。彼はなんとか星刻達を止める術を考えるが、ジェレミアやロロは左右の部隊を指揮し、ライはアドニスと闘っている。ダモクレスに到達するのは不可能かと思われたその時、アルビオンが神虎に向かって高速で飛来した。

 

「このアヴァロンは、墜とさせない!」

 

ヴァリスを神虎に向けて放つアルビオン。神虎はそれを避けつつ、ハーケンをアルビオンへと射出した。しかしアルビオンはそれをMVSで受け止め、刃を起動する事で切断してみせる。

 

「星刻、止める!」

 

「道理なき者などに!」

 

二機が剣を合わせながら、アヴァロンの回りを飛翔する。アルビオンは神虎の蹴りに合わせて後退すると、超高速で背後へと回って飛翔滑走翼の一部を破壊した。

 

「終わりだ!」

 

アルビオンが剣を振り上げるが、そこへ突っ込んできた斬月がそれを受け止める。斬月は破損が激しく、全身から火花が散っている。そしてパイロットの藤堂も、それと同様にボロボロの状態だ。

 

「枢木!国を捨て、位にのみ固執する醜い存在となり果てたな…お前の願いはどこにある!?」

 

「自分はただ、明日を望んでいるだけだ!」

 

スザクの返答に、藤堂はさらに剣を押し込みながらそれを否定する。

 

「お前の望む明日など…!」

 

しかしアルビオンはその剣を受け流すと、上空からMVSを振り下ろした。完全に破壊された斬月からはコックピットが射出され、それを千葉の暁が受け止める。藤堂を守る為に千葉が暁の右腕からミサイルを放った事で、アルビオンはそれを避ける為にアヴァロンから離れてしまう。そしてその隙をついて、神虎がアヴァロンに天子砲を放っていた。

 

「しまった!」

 

スザクの視線の先で、フロートを損傷したアヴァロンが降下を始める。指令室の中で、ルルーシュは自身の目論見よりも遥かに早くアヴァロンを墜とされた事に唇を噛んでいた。

 

「墜ちるか、このアヴァロンが…」

 

同時に、星刻率いる部隊がアヴァロン内部へと侵入を開始した。彼らは格納庫でナイトメアから降りると、武器を手に人質の元へと走り出した。

 

「白兵戦に持ち込めば勝機はある!動力制御と通信を押さえ、人質を救出する!」

 

内部に侵入された事を知ったルルーシュは、指令室で自身の椅子から立ち上がった。

 

「本艦はこのまま太平洋に着水。君達はミッション、アパティアレティアを!」

 

命令を下したルルーシュに、咲世子が不安そうな表情で歩み寄った。

 

「ルルーシュ様…」

 

「これまでよく仕えてくれた。君達の覚悟に感謝する。」

 

指令室を出たところで、ニーナが彼を待っていた。彼女は自身の引き起こした惨劇の責任を取る為に、ロイドと供にギリギリまでこのアヴァロンで作業を続けていたのだ。

 

「これは俺個人の望みだ。しかし…」

 

「ユーフェミア様の願いでもあるんでしょう?」

 

二人は肩を並べ、格納庫までの道を供にする。

 

「だから、俺がやらないと…」

 

「でも、あれの最終プログラムは環境データを打ち込まないと完成しない。私も一緒に…」

 

ルルーシュは足を止め、彼女の方へ顔を向けた。

 

「もう十分だよニーナ。今の言葉で君の本心は理解した。ユフィの敵である俺に、ゼロによく付き合ってくれた…」

 

「──私は、ゼロを許しはしない。多分一生…でも、それとは別に私自身の答えを出さないといけないと思ったから、ただそれだけなの…」

 

そこまで言うと、ニーナは十字路を格納庫とは逆方向へ折れていった。ルルーシュは、その背中に向けて言葉を投げ掛けた。

 

「君は立派だよ。」

 

ルルーシュは彼女からの返答の有無も確認せず、格納庫へと足を進めた。

 

 

 

 

 

格納庫へたどり着いたルルーシュは、そこで護衛の為に一旦アヴァロンへ戻ってきたC.C.と顔を合わせていた。彼女にこれまでの感謝を伝えようと近付いたその時、アヴァロンの壁面が崩壊した。

 

「…カレン!?」

 

そこには、蒼焔から離れてアヴァロン内部へと侵入した紅蓮の姿があった。紅蓮はルルーシュに向かって右手を構える。

 

「あなたをここで止める!さようなら、ルルーシュ!」

 

その紅蓮へ、パーシヴァルが使用していたものと同型のシールドから、フロンティアがミサイルを放った。それを輻射波動で防ぐ紅蓮。しかしその爆発により視界が一瞬遮られ、気付いた時にはフロンティアがシールドを構えて突撃していた。

 

「ここは私に任せて、ダモクレスを!」

 

「しかし、紅蓮相手では…」

 

「嬉しかったよ…ずっと私を気にかけて…早く行って、そして戻って来い。私に笑顔をくれるんだろう?」

 

その言葉を聞いたルルーシュは彼女の決意を知り、自身の為すべき事を思い出していた。

 

「ああ、約束しよう!」

 

ルルーシュが蜃気楼でアヴァロンから出撃すると、彼の護衛の為にサザーランド可翔式やヴィンセント・ウォード、そして黄金色のヴィンセントが集結してきた。

 

「兄さん!!」

 

「ロロ!!周囲の敵は頼んだぞ!」

 

ロロが率いる部隊に護衛され、ダモクレスへと飛翔する蜃気楼。その彼らに向けて、フレイヤが発射された。

 

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