コードギアス Hope and blue sunrise   作:赤耳亀

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episode45 Get out from the shell

蜃気楼へ向かうフレイヤを確認したルルーシュは、発射されたフレイヤのデータを打ち込んで行く。刻々と組成を変化させるフレイヤの膨大な情報を、ルルーシュはわずか19秒で入力を終えてみせた。

 

「スザクッッ!!!」

 

ルルーシュはすぐにスザクを呼ぶと、蜃気楼から対フレイヤ専用兵器、フレイヤイーターを起動した。

それを受け取ったスザクは、やり投げのような構えで、フレイヤに狙いを定める。

 

「うおおぉぉぉぉっっ!!!」

 

蜃気楼からフレイヤイーターを受け取り、僅か0.04秒で投擲したスザク。フレイヤイーターがフレイヤに直撃すると、一瞬爆発の兆候を見せたものの、その直後に収束、煌めきとなってその場に降り注いだ。

 

フレイヤ発射の為、発射口周辺のブレイズルミナスは解除されている。蜃気楼はそこへ飛び込むと、絶対守護領域で閉じようとするブレイズルミナスを留めてみせる。

 

「今だ!飛び込め!!」

 

蜃気楼に続き、ランスロット・アルビオン、ヴィンセント、そして数機の量産機がダモクレス内部への侵入に成功した。

スザクはスーパーヴァリスと、刃状にして分散させたブレイズルミナスをウイングから放ち、ダモクレスの外壁を破壊する。

 

「っ!?きゃあっ!!」

 

その衝撃により、ナナリーは車椅子から投げ出され、フレイヤの発射スイッチを取り落としてしまった。

 

 

 

 

ダモクレスの指令室では、下部からルルーシュ軍に制圧されてゆくダモクレスの様子が映し出されおり、シュナイゼルはそれを歯噛みしながら見つめていた。

しかし、彼は何かに気付いたようにフッと力を抜くと、いつもの微笑みを浮かべて顔を上げる。

 

「大したものだね、ルルーシュ。私に最後の策を使わせるとは…」

 

「えっ…本当にあれを…?」

 

シュナイゼルの言葉に、カノンが驚きを隠せない様子で振り返った。

 

「ああ、このダモクレスはルルーシュ達を捕らえた檻となった。私達が脱出した後、このダモクレスそのものをフレイヤで消去しよう。立派な棺だ。喜んでくれるだろうか、ルルーシュは…」

 

 

 

「ダモクレスが衛星軌道に上がってしまったら、ランスロットでも手が出せない…勝つ為にはシュナイゼルを押さえないと…」

 

ダモクレス内部を、アルビオンを先頭に走行する部隊。二手に分かれて順調に制圧を続けながらも、焦りを見せるスザクにルルーシュが返答した。

 

「内部構造は分析中だ。パスワードのブロックを…」

 

ルルーシュの言葉を、後方の爆発音が遮る。そちらに目を向けると、トリスタンを改造したと思われる機体、トリスタン・ディバイダーが立っていた。

 

「ジノか!!」

 

「ルルーシュ、お前のブリタニアは私が認めない!ここで消えて貰おう!!」

 

トリスタンが持つ二刀の剣。左からの斬撃を、ルルーシュは絶対守護領域を展開して防ぐ。しかしその絶対守護領域は、右腕ごと簡単に切断されてしまった。

 

「何ッ!?このパワーは…!」

 

蜃気楼が咄嗟にプリズム体と相転移砲を放つ。拡散された相転移砲が降り注ぐ中、アルビオンがトリスタンと蜃気楼の間に入った。

 

「ルルーシュ、先に行け!!君には倒さねばならない敵と、救わなければならない人がいる筈だ!!」

 

「分かった!!」

 

踵を返す蜃気楼。それを見たジノはトリスタンの左手を振りかぶる。

 

「行かせるか!!」

 

投擲された剣が蜃気楼の腰部分を貫く。慌ててコックピットから脱出して走り出したルルーシュの後ろで、蜃気楼は爆散した。

 

「ジノ!どうしても闘う気か!?」

 

MVSをトリスタンに向けるスザク。ジノはそれを見ても、一歩たりとも退く様子は見せなかった。

 

「ああ、自分の中にある、守るべきものの為に!!」

 

「守るものなら僕にもある!!」

 

トリスタンからの一閃を、アルビオンがMVSで受け止めた。

 

 

 

 

 

 

ダモクレスの外部では、ランスロット・クラブ・バーディクトと蒼焔が、超高速の戦闘を続けていた。

 

「お前達のやり方では、差別を増やすだけだ!俺は身を持ってそれを経験してきたぞ!お前とてそうだろう!何故同じことを繰り返す!?ライディース・リオ・ブリタニア!!」

 

バーディクトが振るうMVSを、蒼焔はギリギリで避ける。直ぐ様反撃の斬り上げを放つが、バーディクトもそれを躱してみせた。

 

「人は生まれを選べない!だからこそ、明日という日が希望になる!」

 

「それが闘争へと繋がるとしてもか!?」

 

蒼焔が一瞬で距離を取り、ブラストメーサーキャノンを放つ。バーディクトはそれをギリギリまで引き付けてから避けると、蒼焔の懐に飛び込んで一閃を振るった。

 

「ダモクレスによる支配こそ闘争そのものだ!ここで僕らを倒しても、結局は同じ未来しかない!君の力で、止められるというのか!?」

 

右腕のMVSで受け、鍔迫り合いとなる。両者は同時に剣を弾くと、再び剣を振るい合った。

 

「だからお前達を認めろと!?強制された日常を!平和を!それはお前達の自己満足以外の何なんだ!?」

 

既にお互い100回以上剣を振るっている。しかし、先読みと経験、そして瞬時の状況判断に優れる二人は、未だに一撃すら当てる事を許していない。この闘いが決着する気配は本人達だけでなく、周囲で闘う者達ですら全く感じられなかった。

そこから少し離れた場所では、灰塵壱式とアッシュズ・アトリビュートが対峙していた。

 

「ふむ…ダモクレス内部に入られたか。ならば、そろそろだな。」

 

アッシュズの右太股にぶら下げていた大剣を手に取るビスマルク。それを見たロックも一旦動きを止め、言葉を返した。

 

「ああ、間もなく決着だろう。あちらも、こちらもな!」

 

ロックが叫ぶと同時に、灰塵壱式からフロートがパージされる。そして背中からは、折り畳まれていたエナジーウイングが現れていた。

 

「ビスマルク、覚悟はいいか?」

 

「フッ…それで勝ったつもりか?」

 

それを見たビスマルクも、アッシュズのコックピット内でコンソールを操作する。すると、アッシュズもフロートがパージされると共に、背部から折り畳まれていた三対のエナジーウイングが現れた。そして彼は、左目のギアスを解放する。

 

「…何!?」

 

「我はシュナイゼル殿下の配下ではなく、シャルル皇帝陛下の騎士!故に、ダモクレスが破壊される目処が立つ、この時を待っていた!」

 

アッシュズが左手を腰に回す。手に取ったのは、片手でも扱えそうなライフルだ。

 

「シャルル皇帝陛下の意思は、私が受け継ぐ!この、フレイヤをもって!」

 

ロックはアッシュズから放たれたフレイヤを避けるが、騎士団、ブリタニア両軍の機体がいくつかその爆発に飲み込まれていった。

 

「貴様…!!」

 

「ロック!!私を止めてみせろ!!」

 

アッシュズはアルビオンや紅蓮を遥かに超えるスピードで飛翔する。灰塵壱式が追いすがるも、速力の差は圧倒的だ。

 

「…どういうつもりだ!?ビスマルク!!」

 

そのアッシュズに、突如としてバーディクトが斬りかかった。しかしその斬撃は、簡単に躱されてしまう。

 

「貴様も、フレイヤによる強制的な平和を認めろというのか!?」

 

「アドニス、貴様は私に言ったな?我々は仕えるべき主を失ったと。ならば、私が主の意思を継いでみせる!このフレイヤで、ダモクレスも騎士団も、ルルーシュも全て消し去ってくれよう!!」

 

その背後から、蒼焔がメーサーキャノンを放った。

 

「シャルル皇帝の望む世界は、その世界の意思によって否定された!あなたはそれでも…!!」

 

しかしそれも、アッシュズには掠りすらしない。

 

「これは選択だ、狂王よ!!ダモクレスか!?ルルーシュによる支配か!?それともこの私か!?選ばせてやろうというのだ!!世界に!!」

 

「なんということを…貴様は…なんということを!!」

 

アドニスはバーディクトのコックピットの中で、あまりの怒りに身体を震わせていた。その間にも、ビスマルクは周囲の機体を破壊してゆく。

 

「アドニス!貴様が真に仕える主を思うのならば、私に従え!!」

 

「……貴様は、貴様のやろうとしていることは結局虐殺ではないか!!ダモクレスでの支配を唱えるシュナイゼルと何が違う!?」

 

アドニスの叫びに、ビスマルクは深い溜め息をついた。

 

「…ならば、ここで死ね!!」

 

アッシュズがバーディクトの後ろに回り、剣を振るった。怒りのあまり視野が狭まっていたアドニスは、それに反応する事が出来なかった。

 

「ほう、意外だな。そのような行動を取るとは。」

 

ビスマルクの目の前には、アッシュズの剣を受け止める蒼焔の姿があった。

 

「アドニス!しっかりしろ!!今は…!!」

 

ライの言葉を受け、アドニスは我を取り戻す。

 

「…ああ、甚だ不本意だが、貴様と協力してでもここで奴を止める!!」

 

「フン…ここはプライドよりも、奴を倒す事を優先すべきか…」

 

ロックもそれに同調する。この戦場で最強クラスの三機を前にしても、ビスマルクはなお余裕の表情を崩すことはなかった。

 




アッシュズ・アトリビュート
全高7.22メートル
重量14.6トン
三対のエナジーウイングを装備し、現行の第九世代を遥かに上回るスピードを誇る。また、トロモ機関から逃げ出した研究員が盗み出したフレイヤのデータから、自身の開発チームにフレイヤを作成させる事に成功し、弾頭を複数搭載している。

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