コードギアス Hope and blue sunrise   作:赤耳亀

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ちょっとグロいかもです。ご注意下さい。


episode7 Don't be afraid

「ぐあぁぁっ…!!」

 

自身の右足の甲に突き刺さった剣による痛みで、藤堂は思わず声を上げる。

 

「さぁ、答えてもらおう。黒の騎士団の総司令、紅月ライとは狂王か?そして、ジュリアス・キングスレイとは何者だ?」

 

剣を刺したフロストの後方から問い掛けたのはボトムスだ。

 

「素直に答えたほうがぁ、身の為だと思うよぉ。痛い思いはしたくないだろぉ?」

 

右手に焼鏝を持ったジンダーも、それを藤堂の目の前にチラつかせながら告げる。既に剣で負わされた傷の上から止血の為に何度も焼鏝を押されているが、それでも藤堂は彼らの問いに答えなかった。

 

「耐えるねぇ。忠誠のなせる業ってかい?」

 

ジュビアが煙草を彼の体で揉み消しながら問う。彼女の問いにだけは、藤堂は息も絶え絶えではあるものの返答した。

 

「私は、彼に助けられ、そして、彼を裏切った…それに比べれば、この程度の痛みなど…ぐあぁっ!!」

 

フロストの剣が、今度は左足の甲を貫いた。彼は藤堂に近付くと、彼の耳元で呟く。

 

「その強がりが、いつまで続くかな?」

 

フロストが剣を抜くと、その傷口にジンダーが焼鏝を押し付けた。

 

「まだ斬り落とさないのは我々の慈悲だ。手足が無くなるのが早いか、貴様が喋るのが早いか…勿論、簡単に死なせてやるつもりはない。」

 

フロストの剣が右掌を貫く。唇を噛んでなんとか声を上げるのを耐えた藤堂であったが、彼の前にいる面々はその様子を楽しんでいるようですらあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジュリアス、作戦が開始されたら、君は月虹影でC.C.と共に一直線に神殿を目指してくれ。他の者達は彼の護衛を頼む。僕は、アレで出る。」

 

ライが指差す先には、シルバーのカラーリングが特徴的なナイトメアが鎮座していた。これは、消えたタカムラ博士が設計、製造した蒼焔轟柳型よりも、黒の騎士団総司令としてなお相応しい機体を、というラクシャータの思想の元、彼女の持つ技術の全てを集めて作られたナイトメアであった。その機体に乗り込みながら、ライはさらに指示を出す。

 

「朝比奈さんと千葉さんはジュリアスと共に神殿へ。そこに捕らわれていると思われる藤堂さんの救助を頼みます。ジュリアス、しばらく指揮は任せたよ。」

 

「分かった。そちらも、頼んだぞ。」

 

「ああ!月下特式、発艦!」

 

斑鳩から銀色の尾を引き、月下特式が飛び立った。蒼焔でそうしたように、頭頂部の角から全身を覆うブレイズルミナスを発生させ、高高度へと舞い上がる。

そして前回と同程度の高度まで上がると、ブレイズルミナスがまだ周囲をかこんでいる事を確認してから、コックピットを開いて立ち上がった。

 

「世界よ!集合無意識よ!Cの世界よ!私は、私達が築いた平和を維持する事を!人々が安心して暮らせる世界を望んでいる!だからこそ、もう一度君達の力を貸して欲しい!私を、Cの世界へ導いてくれ!!」

 

ライの目に、ギアスが宿る。その目は過去にギアスを使用したどの時よりも遥かに強く赤い光を放ち、それに加えてオレンジ色の光も発していた。そして彼からは見えないものの、世界各地にあるギアスの移籍跡地が赤く光り始めた。

 

 

 

 

「進め!この作戦はスピードが正否を分ける!止まらずに進め!」

 

ジュリアスの命令に従い、敵のナイトメアや戦闘ヘリ部隊を破壊してゆく。先頭に立つのは灰塵弐式と、ジノの専用機であるトリスタン・ネイビスだ。そのすぐ後ろには、カレンの専用機、紅蓮・真、ルーンの専用機の紫雲壱式も続いている。彼らは徐々に戦線を広げると、展開する敵部隊を押し包んでゆく。

 

「敵主力がこちらに気付いて再び出撃してくるまでが勝負だ!進め!」

 

ジュリアスがいる中央部分に向かって、ボルボナ率いる飛行ナイトメア部隊が突撃をかけた。騎乗している機体は、全てがタカムラ博士が設計した量産機、ブランシュフォールだ。

 

「貴様らの進撃は、ここで終わりだ!!」

 

真っ直ぐ突っ込んでくるボルボナの部隊を、コーネリアが率いる部隊が正面から受け止めた。

 

「行けジュリアス!ここは我々が引き受ける!」

 

「ああ、頼んだ!!」

 

ジュリアスの言葉に、コーネリアは少し驚いてから笑みを浮かべる。

 

「フッ…あいつが私に頼んだなどと…」

 

コーネリアの視線の先では、ロック達がこじ開けた道を突き進んでゆく月虹影の姿があった。

 

 

 

 

 

「おお、おおおお…ついに、我が願いが…!」

 

シャムナが集合無意識の根元である黒い球体に触れようと手を伸ばす。彼女の思いに引き寄せられるように、その球体も彼女に近付いてきた。

 

「狂王は間に合わなかったけれど、ナナリー、あなたのおかげで私は……人の意識、その根源よ!原初よ!初刻よ!私を最初の人間に…そして、やり直しを!ジルクスタンを!シャリオを!多くの民達を我の望むがままの姿として!この世にあらしめ…」

 

必死に訴えかけるシャムナ。しかしその時、黒い球体から二本の腕が伸びて彼女を突き飛ばした。

 

「ハッ…!」

 

目覚めると、そこは王城であった。彼女はナナリーが捕らわれたポッドの真下にある、ベッド型の装置に仰向けになっている。

 

「どういうこと…?何故Cの世界はここにきて私を拒絶したの…?」

 

呟きながら、彼女は上半身を持ち上げる。そして周囲を見回すと、部下達は倒れ、壁面を破壊して神殿内部に侵入した月虹影の姿があった。

 

「また、死んでしまったのねお前達…ナナリー、もう一度繋がればきっと…!」

 

シャムナは月虹影に向けて歩みを進めた。その彼女を眺めながら、ゼロは言葉を発した。

 

「それはさせない。Cの世界にアクセスしようとしているのか?」

 

ジュリアスは、ゼロの仮面を外して顔を晒す。それを見て、シャムナは大きく目を見開いた。

 

「その顔…悪逆皇帝ルルーシュ!?…そう、そういう事だったの。運命って面白い。私が計画を立てねばならなくなった原因にここで会えるなんて…」

 

「どうした?シャムナよ。使ってもいいんだぞ、ギアスを。」

 

ルルーシュの言葉を受け、シャムナは懐から銃を取り出す。そして自身の左胸に銃身を当てると、ルルーシュに返答した。

 

「そうさせて貰おうかしら…次の世界では、あなたを完膚なきまでに叩き潰してみせるわ。」

 

シャムナが引き金を引いた。しかし彼女の視線の先で、弾丸はあらぬ方向へと発射されている。自身の右腕も、そちらと同じ方向を向いていた。

 

「何が…!?」

 

目を凝らすと、彼女の右腕を掴む多数の手がうっすらと見えた。その手は、彼女の後方にあるCの世界と繋がる為の装置から伸びている。

 

「まさか、現実世界に干渉を…!?」

 

驚きの声を上げるシャムナに、ルルーシュはゆっくりと近付いていた。

 

「あいつを敵に回した時点で、貴様の負けだったんだよ。」

 

「あいつ…?まさか、やはり狂王だと…!?」

 

シャムナの疑問は確信に変わる。自身の手を読み、Cの世界にまで干渉してそれを破るなど、彼以外には考えられなかったからだ。

 

「そうだ。あいつは僅かな情報から、お前のギアスの正体を見破った。そして、あいつは失敗から学び、必ず勝つ男だ。」

 

「…ねえルルーシュ、あなたはやり直したい過去はない?私のギアス、無限新生なら、過去は変えられる。悪逆皇帝などと呼ばれて、世界から退場する必要もない。ならば、ここは手を組んで…!」

 

シャムナがなんとか挽回しようと発した言葉を、ルルーシュは即座に否定する。

 

「それは、俺達の歩みを否定するということだ。痛みも、悲しみも、後悔も、俺達は全てを分かち合ってきた!俺から傷痕を奪うな!」

 

「お前は、よりよい明日が欲しくはないのか?」

 

「明日は、多くのものの積み重ねだ!そこには、間違いや失敗だってあるだろう。この国だって同じことだ!」

 

ルルーシュの言葉を受け、シャムナは怒りを露にする。

 

「私は!世界を救おうと…!」

 

「お前だけが思い通りにできる世界など、おとぎ話でしかありはしない!!」

 

彼の叫びと同時に、Cの世界から伸びる腕が無数に増えた。それらはシャムナの身体を掴むと、まるで魂を引き抜くように彼女を強く引っ張る。それと同時に彼女は装置に向かって倒れ込むと、そのまま意識を失った。

すぐにルルーシュはベッド型の装置に走り寄り、コンソールを操作してナナリーを救出する。しかしナナリーは、ぐったりとしたまま目を覚まさない。

 

「おい、ナナリー?ナナリー!?」

 

彼女の体を揺さぶるルルーシュに向けて、月虹影から降りたC.C.が声をかける。

 

「まさか、意識はCの世界に…?」

 

「なっ…!監獄の地下にあった門は、アドニスが破壊してしまったぞ!ここからでは、あちらにいるライと連絡を取る手段も…!」

 

C.C.はルルーシュから視線を外し、彼の奥にあるものに目をやった。

 

「使うしかないだろうな…シャムナが作った門を。」

 

ルルーシュは近場の部屋に走り、小さなベッドを持ってきた。そこへナナリーを横たえると、シャムナを寝かせた状態で装置を起動し、それに触れる事でCの世界へと入り込んだ。

 

 

 

 

 

 

「君をこちらに引き摺り込めるかは賭けだったけど、上手くいって良かったよ。」

 

Cの世界で椅子に腰掛けるシャムナの前に、ライが現れていた。

 

「あなたは…やはり、狂王本人なのですね。」

 

「そうだ。ギアスの契約によってこの時代まで生かされていたのだけど、間違いなく本人だよ。」

 

「一つ、質問しても良いでしょうか?あなたは、どうやってCの世界を支配したのですか?」

 

彼女の問いに、ライは苦笑混じりに返答した。

 

「支配なんかしていないさ。僕はただ、本当にこれでいいのか問いかけて、みんなに協力を促したに過ぎない。そして、世界の意思が君を否定したんだ。」

 

ライの言葉を聞いて、シャムナは思わず立ち上がる。

 

「あなたは…過去をやり直したいと思わないのですか!?優しい王と呼ばれたあなたが、最後は狂王などと…!私なら、あなたの過去を、世界を取り戻す事だって…!」

 

「それも自分の責任さ、シャムナ。後悔も未練もある。だけど、だからこそ今の僕があるんだ。世界を自分一人の都合に合わせて作り替えようなどと、それは自分で自分を否定するのと同じ事…それでも、抗うというのなら…」

 

ライがゆっくりと彼女に近付く。しかしシャムナは深く息を吐くと、椅子に座り直した。

 

「いいえ、ここなら…ここなら私の為に散っていった命にも会える。いずれはシャリオにも…シャリオ、私の為に幾度傷付き、命を落としてきたことか…」

 

涙を流す彼女を、ライは黙って見ていた。だがしばらくすると、彼は踵を返してその場を去った。

 




月下特式
体高5.15メートル
重量8.64トン


ラクシャータが設計していたライ専用機。頭部には角を装備し、そこから全身にブレイズルミナスを発生させる装置と、集極音波発生機。左腕は輻射波動、右腕にはブレイズルミナスソード。三対のエナジーウイング、ルミナスハーケンも装備している。カラーリングは白がかったシルバー。
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