コードギアス Hope and blue sunrise   作:赤耳亀

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SIDE 黒の騎士団
episode1 Boxer


バベルタワーと呼ばれる高層ビル。そこでは、かつてのブリタニア皇子であるルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが、一年ぶりにゼロとして復活していた。その眼前には四聖剣の卜部が乗る月下と、騎士団のエースであるカレンの乗機である紅蓮が膝を突き、頭を垂れている。

 

「ゼロ様、どうか我々にご命令を。」

 

「いいだろう。何故なら私はゼロ!世界を破壊し、世界を創造する男だ!」

 

そう宣言したのちに、ルルーシュはバベルタワーのセキュリティルームへ向かった。タワー全域を監視しつつ、指揮を執る為だ。

警備員をギアスで殺害し、モニターを見ながら団員に次々に指示を出していく。

 

「そろそろカラレス総督の出番かな?」

 

画面に向かってルルーシュが呟く。目の前のモニターには、ブリタニア軍のサザーランドが次々に騎士団員の手で破壊されていく様子が映し出されていた。

 

「順調そうね。」

 

ルルーシュが振り向くと、そこにはカレンの姿があった。

 

「カレン、21階へ向かえと…」

 

「あなたにどうしても聞いておかなければならないことがあるの。」

 

ルルーシュに告げながら、カレンは銃を向ける。

 

「ルルーシュ、あなたはずっと騙していた。」

 

そのカレンの言葉に、ルルーシュは表情を変えることなく聞き返す。

 

「ゼロが君のクラスメイトだったことか?それとも、ギアスのことか?」

 

「両方よ。…答えて!あなたは私にもギアスを使ったの?私の心をねじ曲げて、従わせて…ライまで!」

 

銃を構えたまま、カレンはルルーシュに一歩近付いた。

 

「カレン、ライは俺の正体を…待て、一緒にいるんじゃないのか?」

 

ルルーシュは、姿を見せないだけでライも今回の作戦に参加していると思っていた。

 

「彼はあの闘いから行方不明よ。あなたがあの時、逃げなければ…!」

 

ライの行方は東京決戦以降分かっていない。危険を冒してハッキングも仕掛けたが、彼が処刑されたという記録は無く、おそらくは捕縛されたのだろうと考えるしかなかった。

 

「ライも君も、その心は自分自身のものだ。信じられないか?」

 

ルルーシュはライが行方不明という事実に驚きつつも、カレンに問いかける。

 

「…信じたい。だから、奴隷になってでも…!」

 

構えていた銃を下ろす。そしてルルーシュを真っ直ぐ見つめて告げた。

 

「でも私が信じるのはゼロよ。ルルーシュ、あんたなんかじゃない」

 

「ああ、それでいい。…ところでいつまでその格好でいるつもりだ?」

 

その言葉でカレンは未だにバニーガールの格好でいることを思い出す。既にこの格好でいる必用はないのだが、一度ルルーシュを逃がしてしまった為に、着替える時間がなかったのだ。

 

「み、見ないでよ変態!」

 

慌てて両腕で身体を隠したカレンを見てルルーシュは苦笑する。

 

「こういうことは本当はあいつの役目なんだがな…」

 

苦笑しながら上着を脱ぎ、カレンの肩にかけてやる。

 

「そういえばさっき、ライはあなたの正体を知っているって…」

 

カレンの問いに対し、ルルーシュは表情を戻して答える。

 

「あいつの過去のことは聞いた。その時に、俺の過去も…あいつへの、信頼の証として。」

 

ライの記憶が戻っていたことを知らないカレンは驚く。そのカレンを、今度はルルーシュが真っ直ぐ見つめ返した。

 

「だから、俺にとってもあいつは親友だ。もしブリタニア軍に捕らえられているなら、あいつを助けることに全力を尽くすと約束する。」

 

その言葉は、偽らざるルルーシュ自身の本音であった。ルルーシュにとって、自身の死を偽装して以降初めて出来た親友の存在は、記憶を取り戻した今では何ものにも変えがたい存在となっていた。

そのルルーシュに通信が入る。

 

「援軍の到着か。」

 

「上からも来た。これじゃ…」

 

絶望的な表情を浮かべるカレンに、ルルーシュがゼロとして告げる。

 

「カラレス総督が出てきたのだろう。脱出は難しい。だから…私の勝ちだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

バベルタワーの倒壊にカラレス総督を巻き込み、倒壊したタワーのすぐ先にあった中華連邦の総領事館に逃げ込んだゼロと黒の騎士団。

テレビは復活したゼロの話題で持ちきりだった。

所属不明機からゼロを守り、卜部を失うという事態に陥ったものの、ゼロを奪還するという当初の目的は達成した。

 

「すごい騒ぎね、ルルーシュ。」

 

「当然だろう。自分達の領土にいきなり国ができたんだから。」

 

ゼロから発せられた声を聞いてカレンは驚く。そのゼロが仮面を外すと現れたのはC.C.の顔だった。

 

「…いつの間に入れ替わっていたの?」

 

「演説の前。」

 

「え!?だって…」

 

さらに驚きを重ねるカレンにC.C.は淡々と告げる。

 

「声は録音。現れた時点で既に別人。マジックショーと同じだな。」

 

「気に入らないわね。私達にまで秘密にするなんて。」

 

怒気を顕にするカレンに対してC.C.はため息をつきながら見つめ返す。

 

「私に言うな。まったく…あいつがいれば私がこんな格好をする必用もなかったのに。」

 

自分とて不本意だと言外に告げる。しかしその言葉は、ライが生きているということを全く疑っていないという意味でもあった。もう一度ため息をつくと、C.C.は着替える為に部屋をあとにした。

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

中華連邦の総領事館に逃げ込んでから数日が経った。

状況に変わりはないが、ルルーシュからの連絡もない。現在はC.C.がゼロの代役として、中華連邦総領事である高亥との交渉に望んでいた。その高亥の隣には、中華連邦の武官である黎星刻もいる。

 

「ブリタニアからの引渡し交渉は遅滞させています。一週間程度は持つかと。」

 

「ゼロに伝えておく。」

 

ゼロのギアスで操られた高亥に対して、C.C.は無表情で言葉を返す。こういった事もライがいればわざわざ彼女がしなくていいことである。C.C.は面倒事を自分が引き受けねばならない状況に、心の中でため息をついた。

一方、ブリタニア側も対応に苦慮していた。中華連邦の総領事館を囲んではいるものの、総督が死んだことで混乱が続いている事でゼロや黒の騎士団に有効な手だてを取れていない。コーネリアの騎士であったギルフォードが代理を務めているものの、彼は武官である為に文官からの信頼はそれほど厚くなく、中華連邦への対応を決める為の会議は紛糾していた。

 

「強硬手段を取れば中華連邦との戦争に突入してしまう可能性も…」

 

「本国から騎士団員の引き渡しを要請して貰った方が…」

 

「それでは我々にこのエリアを納める能力がないと言っているようなものでは…」

 

「アオモリで見られた大型ナイトメア、通称ボクサーの件もあります。今回の事案を早く終息させねばそちらにも影響が…」

 

武官、文官達の意見をギルフォードは黙って聞いていた。そして、意見が出尽くしたタイミングで自身の決断を述べた。

 

「収監している黒の騎士団の団員を使うとしよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変です!扇さんたちが!」

 

団員の声に、カレンやC.C.がテレビを着ける。そこには、磔にされた扇や藤堂が写っていた。ギルフォードが黒の騎士団を引っ張り出す為に、見せしめにしようとしているらしい。

 

「おそらく…あの中にライも…」

 

放送からは見えなかったが、ブリタニア軍に捕らえられたのであれば、あの中にライもいるだろう。カレンは今すぐに飛び出したくなる気持ちを抑え、ギルフォードの言葉を待った。

 

「聞こえるか、ゼロよ!私はコーネリア・リ・ブリタニア皇女が騎士、ギルバート・GP・ギルフォードである!明日15時より、国家反逆罪を犯した特一級犯罪者、256名の処刑を行う!ゼロよ、貴様が部下の命を惜しむなら、この私と正々堂々と勝負せよ!」

 

一方、中華連邦の総領事館でも騒ぎが起こっていた。

 

「大変ですゼロ!中華連邦が突然…ぐあぁっ!」

 

その騒ぎの中心にいたのは、中華連邦の武官である星刻だった。ゼロとして振る舞うC.C.に連絡をとろうとした団員に剣を向けて告げる。

 

「黒の騎士団は、ここで滅びよ!」

 

なんとなくではあるが事態を覚ったカレンとC.C.は、星刻やその部下達と闘う覚悟を決め、準備を始めた。

 

「青森を思い出すわね。」

 

「あれよりはマシだろ。全員服を着ているからな。」

 

会話をしながら二人は銃を組み上げる。

 

「総領事にはゼロがギアスをかけたんでしょう?なのにどうして…」

 

「さあな。ただ、ここを取られると私達とルルーシュは…」

 

C.C.が言いかけたところで組み上げた銃がばらけてしまう。

 

「またバラバラに…」

 

C.C.が銃を拾い上げようとしたとき、星刻が二人の前に現れた。

 

「意外だな。一人で来るとは。」

 

「中華連邦の総領事は、合衆国日本を承認したはずだけど?」

 

二人が星刻へ言葉をかける。

 

「その方は亡くなられる予定だ。」

 

「ッ!」

 

「それとも、ここで黒の騎士団が潰える道を選ぶか?」

 

星刻の言葉にカレンは動揺する。まさか星刻が独断でここまでするとは思ってもいなかったからだ。

 

「待て!いきなりそんな…」

 

「わかった。」

 

言いかけたカレンをC.C.が制す。

 

「総領事は私達と闘って死んだことにすればいい。」

 

いち早く星刻の考えを理解したC.C.が、内心を隠したまま言葉を返す。

 

「ゼロは思わぬ引き金を引いたらしいな。高邁なる野望か、俗なる野心か…全く、あいつがいない事で私達ばかりが面倒事を背負うハメになるな。」

 

「あいつ…?誰の事かな?」

 

星刻の問い掛けに、C.C.が少し笑みを浮かべながら答えた。

 

「ライという男で、騎士団のもう一人のエースだ。今ここにいれば、ゼロの代わりどころか、しばらく騎士団の指揮を任せていてもいいくらいの男だ。ライならお前とも、もう少し上手くやれただろうな。」

 

彼女の言葉を、星刻は黙って聞いていた。

 




寝れないので一話だけ投稿します。この辺りは手直しするところが少ないので個人的に助かりました。
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