コードギアス Hope and blue sunrise   作:赤耳亀

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episode11 Survival

「ブレインレイドシステムといったか。流石に、入りにくいな。」

 

アレクサンダ・レッドオーガにハッキングを試みているエイデンが洩らす。だが二対一となっているこの状況では、それが成功しなくても負ける要素はほとんど見当たらなかった。

そのレッドオーガは、ローランの放ったハーケンによって、短剣を持っていた右腕を破壊されている。

 

「ハッ!!俺はまだピンピンしてるぜ!この程度で勝ったつもりか!?」

 

だがレッドオーガ攻撃は悉くローランをすり抜ける。その間にも、ローランとモルゴースがレッドオーガに攻撃を仕掛けている。

 

「あぁ、めんどくせぇ!運がねえなぁ俺も!」

 

二対一になっている上に、特にローランからの攻撃はどれが本物かすら分からない。アシュレイは口では強気の発言をしているものの、追い詰められつつあるのは事実だった。

 

「諦めろ。この状況で、お前はよく闘った。」

 

その状況を理解した上でエイデンが投降を促すも、アシュレイは即座にそれを否定した。

 

「俺にはなぁ!例え勝ち目がなくとも闘わなきゃならねえ理由があんだよ!あの人に拾って貰った恩が!もう一度自分と向き合う機会をくれたあの人に、俺は闘う事でしかその恩を返せねぇんだよ!」

 

左手を剣からアサルトライフルに持ち替え、見えているローラン全てに向けて放つ。だが全てのローランは回避行動に移り、弾丸はそれらをすり抜けていった。

 

「時には諦めの良さも、騎士には必要だぜ!」

 

カールの言葉と共に、全てのローランがアサルトライフルを構える。だが、慌てて回避に移ろうとしたレッドオーガの前で、その全てのローランが刃状ブレイズルミナスに飲み込まれた。

 

「何っ!!」

 

「このサザーランド・センチネルは神経電位接続…ハッキングなど、私の忠義、その意思の前では…!」

 

突如として戦場に復帰したセンチネル。そのコックピット内には、機械部分からオイルが漏れだしながらも、力業でハッキングから抜け出したジェレミアの姿があった。センチネルも、全身に火花が散っている。

 

「我が君と、あの方が組んで出た戦場に、敗北は許されない!」

 

センチネルの機体下部から大量のミサイルが放たれる。後退しながら捌くモルゴースであったが、その背後に滑り込んだレッドオーガにまでは反応できなかった。

 

「言った筈だぜ!この程度で勝ったつもりかってなぁ!」

 

レッドオーガの剣が、モルゴースのコックピットを貫いた。

 

「エイデン!!」

 

刃状ブレイズルミナスから何とか生還したローランも、パイロットのカールがそれに気を取られた事で動きを止めてしまう。

 

「今度こそ、受けてみよ!忠義の刃!」

 

センチネルが縦横無尽にハーケン駆けさせる。その一つがローランの動力部に、もう一つがコックピットへと突き刺さった。

 

「こんなところで、終わるってのか!?」

 

ローランは、パイロットを乗せたまま爆散した。

 

「ハッ…!やるじゃねえか、ジェレミア。」

 

「そちらこそ、良き操縦であったな。」

 

二人はお互いの闘いぶりを称えあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「左腕一本程度で!」

 

アレミラによって左腕を肩から破壊されたトリスタン・ネイビス。右腕一本で猛攻を仕掛けるも、アレミラはMVSで受け流しつつ反撃に転じる。その間、ランスロット・ハイグレイルは狙撃の標的とならぬよう、飛び回りながらマックールの居場所を探していた。

 

「クッ…方角だけは絞り込めているのに…!」

 

そのハイグレイルに、足裏のジェット機構を使用してトリスタンの前から逃れたアレミラが突撃をかけた。

 

「どこ見てんだい!?見逃してやるつもりはないよ!!」

 

振り下ろされたMVSを、シュロッター鋼ソードで受け止める。その後ろから、トリスタンがエクスカリバーを振るった。

 

「私に背中を見せるなど、ずいぶんと余裕だな!」

 

しかしアレミラはそれを予想していたようにハイグレイルの前から消える。それにより、目標を失ったエクスカリバーはそのままハイグレイルへと向かう。

 

「ちょっ…!あぁもう!」

 

シュロッター鋼ソードでなんとかエクスカリバーを受け止めるハイグレイル。防御が間に合ったハイグレイルを見て、ジノは安心して息をついた。

 

「すまない。これを狙っていたのだと予測しておくべき…」

 

ジノが言い切る前に、トリスタンのコックピット内に警戒音が鳴り響く。咄嗟に機体を下げようと動いたトリスタンだったが、それを庇うようにハイグレイルが前に飛び出した。

 

「オズ!何を!?」

 

「絞り込んで!早く!」

 

オルドリンの言葉とほぼ同時に、ハイグレイルの左肩と胴体の接続部分を弾丸が破壊した。だが彼女の意図を理解したジノは、後方から襲いかかってきたアレミラの斬撃を片腕で受け止めた直後にメギドハーケンを連結し、狙撃手がいると思われる方向へハドロンスピアーを放った。

 

「ぬっ…!?」

 

マックールの近くに着弾したハドロンスピアー。ダメージを負わないまでも、飛来する岩などから機体を守る為に横へと転がって移動する。だが、それによって出来た景色の揺らぎを、オルドリンは見逃さなかった。

 

「はああぁぁぁっ!!」

 

上空から降下の勢いに任せて剣を振り下ろすハイグレイル。ダニエルには、自身の最後を前にして映像を遮断する事もできず、コックピットごとその剣に貫かれるしかなかった。

 

「暗い…何も、見えない…」

 

「ダニエル!!」

 

すでに手遅れであるものの、それでも仲間を見捨てられないジュビアは彼の元へと機体を向ける。だがそれは、トリスタンから完全に意識を外して無防備な背中を晒してしまう結果となった。

 

「まだ闘いは終わっていないぞ!」

 

エクスカリバーが、アレミラを背中から貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

ヘクトールの集極音波によって距離を詰められず、ウォリックの銃口からも逃げ惑う紫雲と奏月。なんとか距離を詰めようと飛び回るが、ヘクトールとウォリックのコンビネーションを前に、思うような闘いを展開できていなかった。

 

「逃げ足は早いだなぁ。だけど、こっちの武器はフレイヤだけじゃないだよ!」

 

内蔵型機銃を放つウォリック。それにより、逃げ場を限定された奏月を集極音波が襲った。

 

「くあぁっ…!」

 

苦悶の声を上げる朝比奈。奏月の各部も悲鳴を上げており、朝比奈はなんとか距離を取ろうと操縦桿を倒す。

 

「馬鹿がっ!お前さん達では、最初から俺達に勝てる筈が無かったんだよ!」

 

ヘクトールのルミナスハーケンが奏月を襲う。なんとかそれを防いだものの、左腕に持っていたMVSは破壊されてしまった。

 

「まずはお前さんからだ!」

 

ヘクトールがMVSを振り上げる。しかし次の瞬間、ウイリアムの目の前で刀身が真ん中あたりから寸断されて落下していった。

 

「な、なんだぁ!?」

 

ウイリアムが見た先には、左腕をこちらに向ける紫雲の姿があった。その紫雲の左腕から、長剣といっても良い程の大きさのブレイズルミナスが射出される。

 

「まさか、虎の子の兵装を使うことになるとはね。」

 

ブレイズルミナススピアー、これは紫雲建造時に考案されたもので、質量を圧縮して縦長に形成したブレイズルミナスを超高速で射出する事で、MVSの何倍もの斬れ味を実現したものだ。紫雲は次々とそれを放ちながらヘクトールを牽制し、ウォリックとの距離を詰めた。慌てたウォリックは銃口を紫雲へ向けるも、紫雲が腰から抜いたブレイズルミナスソードによって右手ごと断ち斬られてしまう。

 

「ま、まだ!このウォリックが負けた訳じゃないだよ!」

 

手斧型MVSを抜き、紫雲に向けて振り下ろすウォリック。だが紫雲はブレイズルミナスソードを一閃すると、手斧型MVSも半ばから寸断してしまった。

 

「あなた達には、分からないでしょうね。自分の命と、プライドだけを大事に生きてる人達には、お兄様の思いなんて…」

 

紫雲がブレイズルミナスソードを振り下ろす。だがウォリックに当たる直前でヘクトールが紫雲の前腕を蹴る事で何とかそれを逸らした。

 

「俺達がこうなるよう追い込んだ奴には言われたくねぇな!俺達はただ殺されるのを大人しく待ってる家畜じゃねぇんだよ!」

 

集極音波を紫雲に向けるヘクトール。しかしそれを放つ前に、紫雲から放たれたスラッシュハーケンが装置を貫いていた。

 

「全て、あなた達の選択でしょう?」

 

動きを止めたヘクトールを、奏月のマイクロメーサーキャノンが貫いた。

 

「ウイリアム!ウイリアァァァムッ!!」

 

「これが、あなた達が招いた結果よ。」

 

必死にヘクトールに通信を繋ごうとするウォリックを、紫雲がブレイズルミナスソードで両断した。

 




紫雲壱式
体高5.04メートル
重量8.61トン
ラクシャータがルーン専用に開発した機体。左腕に新兵器であるブレイズルミナススピアーを装備し、飛翔滑走翼も従来のものよりも強化されているが、後にエナジーウイングに取り替える予定。その他の兵装として、ブレイズルミナスソード、ルミナスハーケン、ヴィンセント・アソールトと同型のハドロン砲。
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