魔法科高校の訪問者 ~真紅の双子~   作:冬元 鈴

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今回は主人公の生い立ちになります。

今回は短めですが、次話の入学編からは1話あたり5000字を目安に投稿していきます。

よろしくお願いします。


一条スチュアート

日本屈指の魔法師と、USNA屈指の魔法師の電撃結婚。

一条将輝とアンジェリーナ=クドウ=シールズの結婚は、全世界に大きな衝撃をもたらした。

魔法はその国の超軍事機密であり、ひいては魔法師の血は国の宝である。魔法師の国際結婚は珍しいわけではないが、このレベルの魔法師の国際結婚は前例が少なかった。

この出来事により、USNAの魔法技術の多くが一条家の知るところとなり、また一条家の魔法の粋の多くをUSNA軍は獲得することができた。

結果として、それまで友好国でありながら小規模な小競り合いを続けてきた日本とUSNAという2つの超大国が、名実ともに完全なる同盟国として認知されるに至ったのである。

この結婚を実現せしめたのは多分に一条家前当主・一条剛毅の尽力によるところが大きい。とある合同軍事作戦にてアンジー・シリウスと共闘した将輝が彼女に好意を抱いた事を知り、彼の覚悟を知った剛毅はアンジー・シリウスに接近しようとする将輝を妨害するUSNAの勢力を退け、また一条の魔法技術の流出を懸念する十師族の反対を水面下で懐柔するなど、八面六臂の活躍であった。

こうして、2102年7月21日、世界中の魔法師で知らぬ者はいない2人の世界屈指の魔法師の夫婦が誕生したのである。

 

周囲の思惑を退け結婚に至った2人ではあったが、二人ともお互いの国で非常に重要な立場に立つ人間である。USNA軍の勢力も、十師族の勢力も、最終的にこの二人の結婚を認めたのは一つの思惑が両陣営で一致したからである。

それこそが、「司波達也に対抗しうる魔法師」を作ることであった。

戦略級魔法「マテリアルバースト」の使い手であり、その威力が十分に世界の脅威になりうることは「灼熱のハロウィン」が証明している。また、司波達也自身が対人戦闘を始めとした様々な軍事作戦に高い適性を示していることもすでに周知の事実であり、彼が世界最強の魔法師であることは世界各国の魔法師が認めるところであった。

また彼が「アンタッチャブル」の四葉に所属していることも、彼の脅威度を大きく上げていた。

世界の軍事バランスは司波達也を中心として動いており、司波達也への対抗策を完成させることは世界の軍事バランスにおいて大きな優位を築くことと同義である。

その共通目的のためにUSNA軍と十師族は最終的にこの電撃結婚を看過したのだ。

 

 

 

 

このような経緯から、2人の間に生まれた子供はすぐに魔法師としての英才教育を受けることになった。「司波達也を殺せる魔法師」になるために。

 

 

 

 

このような動きに対して、将輝・リーナ夫妻は思うところがなかったわけではない。自分の子供達が一人の人物を殺すための教育を受け、そのための存在になることを、心底嫌悪していた。

故にこの2人は2110年5月、世界中の誰もが予想もしなかった行動に出る。

将輝・リーナ夫妻の双子の子、サラとスチュアートが司波達也に弟子入りしたのであった。

司波達也は忍術使い・九重八雲の弟子であり、体術に関しても世界屈指の腕前を誇ることは世界的にすでに知られている。加えて、四葉深雪はその実力を知らぬ者はいない世界屈指の魔法師である。5歳を迎え、本格的に師を迎えての魔法・実戦訓練を始めようとした矢先に夫妻が打った妙手であった。

当然これを認めようとしない動きが無かったわけではない。幼少から師として仰げば情も生まれ、達也を殺す駒としては機能しなくなる。その懸念からUSNA軍の上層部も十師族の大体の勢力もこの決定を覆そうとした。司波達也と一条夫妻の私人間で取り決められたこの約束など、この2つの勢力の反対の前ではなんの意味も持たない。そのはずだった。

しかしその一条姉弟の司波達也への弟子入りは現実のものとなる。

七草真由美、吉祥寺真紅郎、十文字克人の3名が連名で一条姉弟の司波達也への弟子入りを支持する声明を発表したのだ。十師族2人に加えカーディナル・ジョージの異名で知られる吉祥寺真紅郎の支持を得たことにより、すでに決定された2人の弟子入りを覆すことは困難になった。最終的には師族会議にて四葉真夜が登場、彼女自身が2人の弟子入りを支持する立場をとったことにより十師族は完全に沈黙、趨勢は決することとなった。

 

サラ・スチュアート姉弟は自分が血を引く一条・九島・リーナの魔法に加え、四葉の魔法技術をも叩き込まれることになった。この2人は真夜にとっても達也に対する切り札になる。真夜が2人の弟子入りを支持し、門外不出の四葉の技術を2人に与えたのは、2人を自分の駒とするためでもあった。

多彩な魔法技術、戦闘技術を叩き込まれたこの2人が実戦投入され、たった2人で新ソビエト連邦の魔法師を含む1個大隊を殲滅、北極方面の極秘基地の破壊任務を遂行し世界から「真紅の双子(クリムゾン・ジェミニ)」と呼ばれるようになったのは、彼等が弱冠11歳のときであった。

 

様々な思惑に絡められながら華々しい未来を約束されたかに思えたこの双子に、彼等の12歳の誕生日に悲劇が起こる。

それは12歳の誕生日を迎えたことで四葉の基準で魔法演算領域のうち精神に関する部分に干渉しても悪影響を及ぼさないと判断され、故人である四葉深夜しか使い手のいなかった精神構造干渉魔法を洗脳技術の応用でまず姉のサラから習得させようとしたときのことだった。

すでに調整体での実験により術者の魔法力が十分であれば精神構造干渉魔法を習得、再現することが可能なことは立証されており、安全面に関しても十師族の面々がデータを閲覧しゴーサインを出すほどには保証されていた。

故にこの悲劇は誰も予想だにできなかったことである。

まさか、習得した精神構造干渉魔法が即時に暴走するなど、世界トップクラスの魔法力を誇るこの双子に限って誰も起こることを予想していなかったのだ。

 

結果として一条サラは消滅、元々達也への対抗手段を失いつつあった真夜は達也と深雪の逆鱗に触れ失脚した。

それに伴いスチュアートへの精神構造干渉魔法の「植え付け」は中止(アボート)された。

 

真紅の双子(クリムゾン・ジェミニ)」、魔法事故により無力化。

このニュースは瞬く間に全世界で報じられ、様々な憶測を呼んだ。軍事バランスが大きく日米陣営に傾くことを恐れた東側陣営の工作であるとか、四葉の絶対戦力である司波達也への対抗手段を潰すために四葉が仕組んだものであるとか、実に様々な憶測がさらなる憶測を呼んだ。事実としてこのニュースを見て憂いた者よりも喜んだ者のほうが多かったのは事実だ。

 

生き残ったスチュアートは深い悲しみに沈んだが、周囲が心配するよりはずっと早くまた自己の研鑽に戻った。この姿は日本中の魔法師の心を打ち、これまで真紅の双子(クリムゾン・ジェミニ)を司波達也に対する最終兵器としてしか見ていなかった自分を恥じたという。皮肉にも、畏怖され嫌悪されていた側面があった真紅の双子(クリムゾン・ジェミニ)が日本中で人気を博したのはサラの死去後のことであった。「真紅の双子(クリムゾン・ジェミニ)」の異名は一条スチュアート一人によって受け継がれた。

 

サラ死去のニュースにより真紅の双子(クリムゾン・ジェミニ)は世界の注目を完全に失った。しかしそれ以降もスチュアートは実戦投入され、戦場の最前線に立つ者たちには変わらぬ異名で恐れられ続けた。

 

それからさらに3年。多くの者が恐れた事が起き、世界は滅びた。しかし直前に完成を間に合わせていた時間遡行魔法専用コフィン型CAD「De Lorean」により、「真紅の双子(クリムゾン・ジェミニ)」こと一条スチュアートは歴史を変えるべく26年前の過去へと向かったのであった。

 

 

 




この人達ならこう動くよなーっていう筆者の解釈で書いたので皆様の解釈と食い違っていたかもしれませんがご容赦ください。
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