【本編完結】とあるTS女死神のオサレとは程遠い日記 作:ルピーの指輪
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○月✕日 晴れ
とりあえず、日記帳というものを手に入れたのでつけてみようと思う。
最近、私の現状というものが少し奇妙だということに気付いた。それも含めて自分なりにまとめようと思っている。
まず私は前世の記憶を持っている。転生者という認識で間違いない。
現在、3歳という年齢でこれだけ文章がかけるというのは何よりの証拠だろう。だって覚えているんだもん。ある程度の漢字は。
私の語彙力についてはどうでもいいとして、現在置かれている立場だ。転生する前は普通に日本人としてサラリーマンをやってた私だが、何やかんやあって死んでしまう。
そして、目覚めたら女の子の赤ちゃんになっていて今に至る。まぁ前世は男だったので、最初のうちは違和感しかなかったが……。
周りの人間は日本語を喋るが薄々勘付いていることがあった。
ここ、BLEACHの世界だよね……。
みんなの着てる服が妙に古風で過去の世界に転生したのかと思っていたが、
知ってる漫画の世界だと……。
その前から疑ってはいたんですけどね。私には一つだけ年上の兄貴がいるんだが、そいつの名前が喜助だったんだ。んで、私もなんだけど、姓は浦原。
偶然だと思ったよ。兄が浦原喜助でも……。すっげー頭が良くて、ヘラヘラ笑いながら全てを見透かしているみたいな彼を只者じゃないとは前から思ってたけど……。
私の名前は浦原
何でも死神にさせたいんだって、両親は私も彼も両方とも。何だろう……とても嫌な予感がする……。
死神って、あれだよね。
ムリムリムリムリ無理だって。あんな化物と戦ったらすぐに死んでしまうに違いない。
それなりに家が裕福みたいだし、私は長生きというか化物に惨たらしく殺されるのはゴメンだ。
絶対に死神にはなるもんか。
△月○日 くもり
日記を付けてからもう2年ばかりが経つ。
生活の変化と言えば、5歳になった私と6歳になった喜助は五大貴族である四楓院家に奉公に出されることとなった。
ええ、ええ会いましたよ。夜一様に。いや、可愛かったなあの人は。そんで凛としていた。ついでにすげー、いい匂いもする。まだ幼女なんだけどもう可愛かった。
兄貴とは何かあったのか知らないけど、もうすでに親しそうだった。私も彼女と仲良くなりたい。そう下心丸出しで思っている。
とにかく、家の格なんてウチと天地ほどの差があるんだけど、幼いときから気さくないい人なのよ。奉公しがいがあるってもんだ。
あと握菱鉄裁さんにも会ったな。怖そうだと思いきやめちゃめちゃ優しい。
その人によると私の霊圧?はこの年齢にしては並外れて大きいらしい。喜助や夜一様よりも大きいんだってさ。でも関係ないよね。死神にはならないんだから。
私らは家がぶっ潰されないように尻尾振らなきゃいけないんだって。兄貴が変なことしないように注意しとかなきゃ。
▽月✕日 雨のち晴れ
早いもので、四楓院家に来てもう4年も経つ。この辺りの人間って長寿の人が多いから年月に関する感覚が私とは違う。4年って結構長いじゃん。でも鉄裁さんからすると最近みたいな感覚らしい。
最近といえば、兄貴が変な発明に目覚めた。ガラクタを貰ってきてはそれを直したりすることが趣味だった兄貴はそれをさらに発展させて新しい玩具を作るようになったのだ。この趣味が高じて後に色々と主人公をサポートするんだもんなぁ。
そんで、夜一様は夜一様で隠密機動だかなんだかの訓練を受けさせられるようになっていた。
すげー、身分が高いのに厳しい訓練をして腕っぷしを鍛えなきゃならないのはこの世界ならではだよね。まぁ、長が弱いと示しがつかないからなのか……。
んで、私も訓練に付き合わされている。これが死ぬほど辛い。子供がやることじゃないよあんなこと。
あと、瞬歩ってなんだアレ!? 意味わかんないんだけど、どうやって修得すりゃあいいの? 霊力を足に集中して重心をどうのこうのして……それから筋力を――わかるかぁ!
訳のわからん技をやれと言われてボコボコにされる生活……辛くてしょうがない……。
□月○日 晴れ
兄貴が元服とかいう儀式を経て一人前の大人と認められたらしい。
私はというと、霊圧だけは馬鹿みたいに大きくなってるみたいだけど、白打も剣術も鬼道も全部才能ナシって言われた。
兄貴の発明はそろそろ玩具の域を超えてきて修行グッズみたいなものも創り出し、夜一様を楽しませている。
こっちは相変わらず瞬歩すら出来ずに毎日の特訓でボロボロになる日々だってのに。漫画だと当たり前みたいに使われている技術なんだけど、全然出来る気がしない。何回床に穴をあけて怒られたことか……。
白打の才能は全くと言って良いほどなかったんだけど、とりあえず一発が当たればKOみたいな組手が続いて
「
兄は兄で私を溺愛してくれるのは確かなんだけど、その方向性が間違っているというか近年の霊圧の急上昇は彼の発明品による特訓のせいなのではないかと疑っている。
そもそも一発当てれば良いみたいな戦法は彼の指南から生まれたものである。
「
兄がこんなアドバイスをするものだから、霊圧を込めた右ストレートの威力が半端ない威力になっていった。
この前、試しに全力で地面を殴ったらミサイルが落ちた後みたいなクレーターが出来た。これじゃ、まるでウボォーギンの
◇月✕日 晴れ
進路について問われるときが来た。というより半ば強制的に真央霊術院を受験する感じになってしまった。
夜一様から同期になりたいって言われたら二つ返事でオッケーするしかないじゃない。すでに私は至るところが成長しまくってる夜一様の虜だった。だってあの人、スキンシップ激しいんだもん。あのおっぱい押しつけられて拒否できる人間って居るんだろうか……。まぁ、私より先に兄貴を誘ったみたいだけど。
あと、死神にならないと決めてたのは確かなんだけど、死神ならないならならないで隠密機動に入るか、もっと厳しい仕事をするかしか進路がなかったんだよね。進路の幅狭すぎだろ。
これでも下級貴族の娘なので嫁の貰い手がいれば働かずに食うことも出来るのだが、すでに獅子女という渾名が完全にその足を引っ張っているし、結婚したいとも思わない。
死神なら何とか身のフリ方を考えれば比較的に安全な仕事が出来ると兄貴に吹き込まれて受験を決意したのだ。
だけど、問題は霊圧以外に何の能もない私が試験を突破できるかどうかだ。それについてはとても不安ではある。
♤月◎日 くもり
今日は真央霊術院の入試の日だった。
やっちまった……。何をやっちまったって試験に落っこちたとかそういう次元の話じゃない。
実際、試験の出来は良くはなかったと思うけど、才能は無くとも何年も稽古を強制的にやらされてたので、人並みの成績にはなってくれた。
で、問題は面接のときに起こった。なんか特技はないかと聞かれたので唯一出来る霊気を拳に集中するという特技を披露した。
それを見た試験官が面白半分にこういったのだ。
「
私は思わず「ツェズゲラかよっ」って人生で絶対に使わないであろうツッコミが思いついたけど、それは言わずに我慢する。
んで、バカ正直に壁を殴ったんだ。するとどうだろう……学校の壁が壊れただけなら良かったんだけど……その余波で屋根が倒壊して大惨事になってしまった。
一応、真央霊術院って特殊な結界で守られてるみたいだけど、私の強化した拳はその耐久力を超えてたらしい。
そんな騒動があったせいで私は入学試験で初めて建物を壊した大バカ者みたいなレッテルを貼られることになった。
ちょっと待ってほしい。殴れと言った男が悪いんじゃないかしら……。
もしかして入試に落ちちゃった?
◆月○日
不本意な騒ぎはあったけど、私は無事合格。当たり前だけど、兄貴と夜一様も合格していた。
あとから聞いたけど、四楓院家の関係者が落とされるなんてことは余程のことがないとあり得ないらしい。先に教えて頂きたかった。
このままでは学校生活もめちゃめちゃになりそうだと危惧した私は兄貴に霊圧を抑えられないかどうか相談する。
すると彼は私にリストバンドをプレゼントしてくれた。これは自身の霊圧を全開にし続けないとまともに動けないという謎アイテムだ。でも、霊力はリストバンドに集中するから見た目の霊圧はガクッと下がる。
「慣れて自然に動けるようになれば、今の力を大体2割程度で出せるようになれるっスよ」
いや、霊光波動拳の修の行――呪霊錠かよ! どう解釈すれば今よりも霊圧を上げたいになるんだ? 私は心の中でツッコミを入れた。
しかし、実際にそのおかげで霊圧は下がってるし、要するに剣八の眼帯みたいに取らなきゃ良いんだからと思い直す。
明日から死神になるための授業だ。兄貴と夜一様は特別クラスの一組に入ってるから別々だけど、好都合だと思った。どうせ物覚えの悪い私は付いていけないだろうし。
それにしても結局、死神になるのか。脳筋の死神なんてオサレとは程遠いんだろうなー。
なんか書いてて女版の剣八じゃんとも思えなくもない。
一応、始解とか卍解とかも手こずりながらゆっくり覚える予定です。