【本編完結】とあるTS女死神のオサレとは程遠い日記 作:ルピーの指輪
前半は雛森視点で、後半は一護視点です。
あと、いつも沢山の感想や誤字報告ありがとうございます!
感想欄を見て元気付けられてます!
シロちゃんと乱菊さんを追いかけたあたしは四十六室の凄惨な光景に足が竦んでいた。な、なんで、こんなことになってるの……? 四十六室が全員……殺されてるなんて……。
そこに市丸隊長が現れてあたしを呼ぶ……。
ここは、完全禁踏区域。見るのも初めてなこの場所で彼は会わせたい人がいると呟く。会わせたい人って誰だろう?
彼に促されるまま、後ろを振り向くと――あの人が立っていた……。まさか……そんな……。
「……久しぶりだね。雛森くん」
聞き慣れた優しい声で彼は私に声をかける。
ああ、生きていてくれてたんですね、藍染隊長……。気付けばあたしは涙を流してた。
彼に頭を撫でられ実感する。これは本物の藍染隊長の手だと。いつもと同じ心を洗い流してくれる藍染隊長の匂いだと。良かった……。生きていてくれて……。
「少し痩せたね。すまない、君をこんなに傷つけてしまって――」
「いいんです。もういいんです。隊長が生きて下さっただけであたしは何も――」
「君を部下に持てて本当に良かった……。ありがとう雛森くん……。本当に、ありがとう……」
藍染隊長は何かをやらなくてはならないことがあり、身を潜めるために死んだふりをしていたみたいだ。
そんなこと、どうでもいい。あたしは藍染隊長さえ生きていれば幸せだから――。
心の底からそう思った刹那……急に冷たい口調で藍染隊長は呟く。
「さようなら――」
あたしは肩に鋭く刺すような痛みを感じた――。藍染隊長があたしを刺した? どうして……。何でそんな――。
ショックで膝から崩れ落ちたあたしの頭の上で凍てついた声が静かに放たれる。
「邪魔をするにも随分と荒っぽいじゃないか。そろそろ、化かし合いを終わりにしようと思っているのだが……浦原副隊長」
「桃ちゃんから離れな。ゲスの極み眼鏡……! あと、ついでに市丸。あんたもことと次第によっちゃあ容赦しないぞ!」
なぜ、陽葵さんがここに――!? よく見ると後ろに大きい穴が空いていた。それに藍染隊長の頬から血が流れている。
邪魔って……まさか、藍染隊長はあたしを殺すつもりで……。陽葵さんが斬魄刀で攻撃してなかったら、急所を突いていたってこと……? いつも優しい二人が殺気を出して睨み合っている。
これはどういうこと……? 何が起こっているの……。
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◎月▼日 晴れ
今日は色んなことがあった。そんで、めっちゃ疲れた。どこから書こうかな……。
夜一様が一護くんの修行の邪魔だからと私を追い出したもんだから、代わりに砕蜂に彼女の身の回りのことを頼んでおいた。一護くんには優しくするようにお願いしておいたけど大丈夫かな……。
その後、私は藍染を探しに出ていった。
そこで日番谷くんや乱菊ちゃんがどっかに向かっているのを見つけて尾行しようとするも、あっさり見つかる。霊圧が駄々漏れでバレバレだったらしい。
日番谷くんとまた戦闘になりかけたけど、乱菊ちゃんが間を取り持ってくれて一時的に休戦するってことに。一緒に建て直されたばかりの四十六室に向かう……。
全滅してる四十六室。日番谷くんは驚愕しながら私を見る。いやいや、建物はぶっ壊したけど、人は殺ってないから半年の禁固刑で済んでるんじゃん。
そんな中、吉良くんがひょっこり現れて私たちは彼を追ったけど、ふと私はこのあと雛森桃ちゃんが藍染のやつに刺されるのを思い出して急いで元の場所に戻った。
案の定、藍染は桃ちゃんに殺気を剥き出しにしてたので、私は彼に霊丸を思いっきりぶっ放す。
彼女は無傷とまではいかなかったが、致命傷は避けられた。私は藍染と対峙して決着をつけようと意気込む。
しかし、日番谷くんが追いついてきて藍染が桃ちゃん刺したのを見て激怒。
藍染も「憧れは〜」とか「私にとって腹心は市丸〜」とか言い出す。そういや、漫画だと市丸は藍染のとこの副隊長だった時代があるけど、ほぼ二番隊の三席で過ごしてるもんな〜。
副隊長じゃなくて腹心か……。東仙のことはどうお考えなんだろう……。
「卍解――! 大紅蓮氷輪丸! 藍染! 俺はてめえを殺す!」
「あまり強い言葉を遣うなよ。弱く見えるぞ」
「嘘……だろ……?」
卍解して、煽り合いをして、藍染に斬りかかる――という三行動をした後に日番谷くんはびっくりした顔をして、倒れた。
――藍染のやつ……、やっぱり強いな……。強い言葉を遣うと弱く見えるとかは、私にはよくわからん。
「また、僕の邪魔をするか。君もなかなか狸だね。雛森くんも、日番谷くんも本当はどうでもいいはずだろ? なぜ、助けるのか理解に苦しむ」
藍染は私が日番谷くんを突き飛ばして、彼の斬撃から守ったことに対して疑問を呈している。
日番谷くんを守れたかどうかはビミョーだな。斬られはしないけど、めちゃめちゃ痛がってるし、起き上がれなくなってるし……。力加減間違えちゃった……ごめんね。
だけど、狸ってどういうことだ? 別に私は思ったままの行動しかしてないけど……。
「これほど他人の行動が不可解で理解出来ずに苦しめられたことはなかったよ。しかし、ある一つの結論が生まれた。君を消してしまえば、その苦しみから解放されるってことをね」
藍染が私に斬魄刀を振る。私が
うへぇ……、今まで受けたどの攻撃よりも重い……。最初からリストバンドを五分の一に調節しておいてよかった。
そっから何度か打ち合い。霊力をありったけ込めて放った霊丸が躱されて、四十六室の建物が半壊したときに卯ノ花隊長が現れた。
んで、藍染は得意気に完全催眠についてベラベラ話す。ついでに私と東仙にだけ効いてないことも……。卯ノ花さんが私に対して「敵なの?」みたいな怖い視線を送ってくるから全力で首を横に振った。
それにしてもよく喋るなぁ……って思っていたら、藍染のやつ市丸と一緒に変な道具を使って消えやがった。
あれ――?
し、しまったぁぁぁぁぁっ! 最初からルキアが狙いなんだから、そっちを見張ってればよかったんだぁぁぁぁぁっ!
霊力を高めてジャンプして、藍染の霊圧を感じ取り、急いでそっちに向かう。
やばい! これじゃ、私がバカみたいじゃないか! ごめん、卯ノ花さん、勇音ちゃん。日番谷くんが倒れてるのは藍染じゃなくて、私のせいです!
《日記はまだ続いている》
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「――破道の九十“黒棺”……!」
目の前で狛村とかいう名前の隊長があっさりと藍染ってやつにやられてしまった。
なんてこった。同じ隊長でこんなに差があるなんて……。
白哉と決着をつけ、恋次にルキアを任せて終わりだと思っていたのに……。急に黒幕みてぇなのが現れやがって、俺と恋次はなす術もなくやられてしまった。もう、指一本動かせないのが悔しい……。
藍染ってやつは浦原さんと陽葵さんがルキアに何かを隠してそれを守ろうとしてたとか、よく解かんねぇこと言いやがる。
そういや、あの人どこに居るんだ? 夜一さんと、砕蜂さんって人みたいに総隊長って人を止めているのか……。
あいつはルキアから何かを取り出して、もう用済みだからと部下にトドメを刺すように命令していた。くそっ! このままルキアも殺られて……。
――そう思ったとき、藍染に向かって馬鹿デカい霊力の塊がいくつも飛来してきた。
「縛道の八十――“断空”!」
藍染はデケェ壁みたいなのを出現させて、それを防ぐが、何個も何個もそれは飛んできて壁を突き破り大爆発を起こす。あっ――ルキアも吹っ飛んだ……。
「私とのデートの途中でふけるとはいい度胸してるじゃないか。藍染〜〜!」
針が刺すような凶悪な霊圧だった。俺がこの前見たときの軽く二倍はある。
その
「君に出し抜かれる前に出し抜こうと思ったまでさ」
「ルキアちゃんまでボロボロにして、許さない!」
「そら、陽葵さんのごっつい爆発のせいや」
「……うっ。とにかく、お前が全部悪いんだ。バーカ!」
「……藍染隊長が悪いのは正解やけど、説得力ないのはなんでなんやろ」
「そういや、お前、ルキアちゃん刺そうとしてなかったか?」
「はて、何のことやらわからんなぁ」
ルキアを吹っ飛ばしたことを藍染の部下の狐目の銀髪の男がツッコミを入れると、陽葵さんは頬を赤らめてバツの悪そうな顔をする。なんか、言い争ってるし、仲が良さそうだな……。
「――浦原陽葵。副隊長ごときが藍染様に狼藉を。……ぐはっ!!」
そんな陽葵さんにドレッドヘアの男が斬撃を繰り出そうとしたが、何か顔面をバットでぶん殴られて吹き飛ばされてた。あれ、地面に大穴空けてたスイングだよな……。ピクピク痙攣してるから、生きてるんだろうけど痛そうだ……。
「
藍染はメガネを外して霊圧を上げる。
嘘……だろ……。あいつも陽葵さんと同じくらいの霊圧……?
そして、二人の斬魄刀がぶつかり合い――天が割れた――!
「君の戦闘スタイルは知っている。力任せで、白打も鬼道も斬術も技術的には取るに足りないレベルだ。今まではそれで通用していたのかもしれないが……私には通じない! いい加減、手の内を見せたらどうだ?」
「痛っ! やっぱり強いなぁ……!」
霊圧の大きさは互角でも技術的なことは藍染って奴の方が上みたいだ。陽葵さんは少しずつ傷付いているけど、藍染に攻撃を当てられていない。
「ふむ、斬られる瞬間に霊圧を集中して防御力を跳ね上げる……か。そういえば、霊力の感知は超一流だったね。私の急所を狙った一撃を食らって軽傷とは……それだけで警戒に値する」
「うるさいぞ! この、ストーカー野郎め! おりゃああああっ!」
陽葵さん、完全に頭に血が上ってるのか馬鹿デカい霊力の塊を無数に撃ち出す。
爆風で近づくことが出来ない。ルキアは――白哉が助け出したみたいだ。
よく考えたら当たらないなら数を撃つのは有効かもしれねぇ。これなら藍染も――ひとたまりもないだろう。
「……その無尽蔵の霊力だけは厄介だと思っていたよ。悪いが、君にペースを掴ませるつもりはない。――雷鳴の馬車……糸車の間隙……光もて
「嘘っ! 動けない!」
しかし、俺の考えは甘かった。藍染はとっくに空中に回避行動をとっていて、陽葵さんは六本の光の帯みたいなので動きが封じられた。
「当然だ。完全詠唱した私の縛道だ。いかに霊圧が規格外な君といえども、動くことなど叶うものか……。――容赦はしないよ。破道の九十九――“五龍転滅”!! これで終わりだ。君との因縁も……」
さらに藍染は地割れを起こして地面からビルくらいの大きさの光の龍を繰り出す。
何だよあれ……。今まで見たどんな技とも次元が違う。
俺も恋次もここから離れねぇと……無事じゃ済まなそうだ。
だが、光の龍が陽葵さんに接近したその時……! 彼女は決心したような表情で何かを叫んだ。
「……ン解ッ――!!」
まるで台風みたいな……、異次元の霊圧が彼女から吹き出す。
し、信じられねぇ。ただでさえ、馬鹿デカいあの人の霊圧がさらに何倍にも膨れ上がった。
陽葵さんって、卍解は出来ねぇとか言ってなかったか? いや、そんなことはどうでもいいか……。
あの人を拘束していた光の帯は弾け飛び、光の龍は――彼女がバットを一回振っただけで……粉々になって消滅してしまった――。
つーか、陽葵さん……さっきから周りの人のこととか全然考えてねぇな。俺も恋次もさっきからトドメが刺されるんじゃねぇかってくらい岩の欠片とか石とかが頭に当たったりしてんだけど――。
「なるほど、それが君の卍解か。詠唱破棄したとはいえ、まさか私の“五龍転滅”を打ち破るとは――」
「――喋ってる時間が惜しい。泣いて謝るまでぶん殴る!!」
「――っ!?」
陽葵さんの言葉が俺に届いたとき、藍染は既に空高く吹っ飛ばされていた――。
何かラストバトルみたいな描写になってしまった。
つーか、陽葵の方が藍染よりも死神サイドに被害を与えてるような気がしないでもない。
陽葵が霊圧全開にしても大丈夫な理由とかはまた次回。
SS編がたったの四話で終わりそうなんじゃが……。