【本編完結】とあるTS女死神のオサレとは程遠い日記   作:ルピーの指輪

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遂に、お気に入りが10000を超えました。こんなアホな作品を読んでくださって本当にありがとうございます。
いつも沢山の感想を頂けて嬉しすぎます。

いくつかの感想で言及されてたんですけど、基本的に完結するまでは、アニオリは挟まない方向でいくつもりです。閑話休題的にオリジナルエピソードは挟むつもりですが……。
千年血戦篇が終了して余力が残っていれば、番外編みたいな感じでその辺も書くかもしれません。

それでは、破面篇のスタートです。


破面篇
十七ページ目


 ●月◆日 くもり

 

 明日から久しぶりの現世だ〜。しかも空座第一高等学校の女子の制服が着れるなんて。

 いやー、まだまだ私もイケるじゃん。どっからどう見ても女子高生だもん。

 一緒に現世に行く阿散井くんにそう確認したら目を逸らしながら、「そ、そっすね」みたいな微妙な返事をしやがった。

 ルキアちゃんはそんな彼を蹴飛ばして「陽葵殿はまだまだお若いであろう。頷け、頷くのだ」とフォローしてくれるも段々むなしくなってくる。

 

 砕蜂の制服姿は本気で可愛かった。なんでこいつ老けないんだよ〜。私のほうが歳上だけどもさ〜。この子だっていい歳じゃん。

 

 「こういう子供っぽい服はどうも好かんな」

 

 頬を赤らめて制服姿を恥じらう砕蜂だが、君の横乳が見える戦闘服の方が割と性的なんだぞと、かれこれ百年以上思ってる。

 

 ネムはいつの間にこんなに巨乳になってたんだ。私の遺伝子なのに……。いや、私だって揉んだりするにあたっては満足させるくらいはあるよ? でも、あんたのそれは成長しすぎだろ……。

 つーか、制服のサイズ小さくない? 乱菊ちゃんじゃあるまいし、谷間みえてんじゃん。

 相変わらずの仏頂面だけど、現世に行くことはそれなりに楽しみなんだそうだ。

 

 あとは阿散井くんが推薦した、十一番隊の一角くんと弓親くんが一緒に来ることとなった。

 阿散井くんと一角くんはガラが悪いヤンキーみたいだな。どう見ても不良じゃねーか。

 

 『現世に行けばカープの試合が見れるけぇ、楽しみじゃのう』

 

 ウチのカープ馬鹿が何か言ってる。前に一護くんにセ・リーグの状況聞いたけど、今年のカープも8月の時点で優勝どころかAクラスも絶望的らしいぞ……。

 

 彼に「カープ好きなんすか?」って問われて「ウチの斬魄刀がね」って答えると本気で心配をされてしまった。頭の……。

 

 とりあえず、兄貴の家に泊まるつもりではいるけど、テレビくらい持ってるはずだ。運良くナイターの中継がやっててカープがいい感じで圧勝してくれたら、もしかするかもしれん。

 9月のカープが強いのかよく分からんけど……。

 

 

 ●月♡日 晴れ

 

 現世に来て初日から色々とあり過ぎだったよ。順を追って書こう。

 一護くんたちと再会を喜んだ私たち。砕蜂は織姫ちゃんと仲良くなってたのは知らんかった。

 ネムは男子からすげー見られてた。特に一護くんの友達の何だっけ……、浅野啓吾くんがルパンみたいなダイブしてぶん殴られてたな。

 死んでないか、真面目に心配してしまった。一護くんの幼馴染のたつきちゃんって子は彼女の格闘センスをひと目で見抜いて意気投合。なんだかんだでネムも学校を楽しんでるみたいだった。

 

 そんで、ルキアちゃんはどうも覇気が足らない一護くんを一喝して彼にやる気を取り戻させる。

 どうやらウルキオラやらヤミーとの戦いで内なる虚が目覚めたりして、死神の力を発揮するのが億劫になってるみたい。てことは、もう平子さんに会ったりはしたのかな? 挨拶しときたいけど、彼は私には会いたくないとか思ってるかもなぁ。

 ひよ里ちゃんや矢胴丸さんとも久しぶりに会いたい。でも、今の時点で仮面軍勢(ヴァイザード)と関わるのはダメなのかも。

 

 放課後は一護くんの家に行く。屋根裏から侵入して……。

 そして、私たちがここに来た理由を説明した。破面のこととか、ギリアンやらアジューカスやらヴァストローデとかそんな話を。隊長である砕蜂が代表して。

 

 「ヴァストローデ級の戦闘力は隊長格より上だ」とか、「ヴァストローデ級が十体以上いたら尸魂界は終わり」とかそんな説明もすると一護くんが私を指差してきた。

 

 「あのさ、そもそも陽葵さんより強えのがいる時点で尸魂界終りそうなんだけど。ヴァストローデ級ってもっと上なのか?」

 

 「「…………」」

 

 一護くんの発言にみんなが黙ってしまう。なんで、黙るんだよ。砕蜂、腕を組んで考え込むような話じゃないだろ。

 

 隊長格より上なんだから、ヴァストローデ級は私よりも上に決まってるじゃないか。十刃(エスパーダ)の誰がヴァストローデ級の破面かは知らないけど。

 

 「この人を基準にしたら色々とおかしくなるから無視してくれ。ウチの隊長と夜通し戦ってほとんど無傷だった化物だぞ」

 「戦闘力という面()()で見れば陽葵様は隊長格以上です。砕蜂隊長くらいを基準にしなくてはなりません」

 「だからといって砕蜂さんが弱いってことじゃねーぞ。寧ろ、この人の上司が出来てるんだから有能な方だ」

 「こら、恋次! 陽葵殿が問題ばかり起こす困った人みたいな言い草は止せ。十三番隊はこの方にどれだけ助けられたことか! 始末書も増えたが問題などない!」

 

 えっと、とりあえず私は戦闘にしか能がなくて、砕蜂はそれをフォローしてくれる有能な上司で、十三番隊は私のせいで始末書が増えてることを一護くんに教えてあげたわけね……。

 

 それで今日のところはお開きになったんだけど、問題は泊まるところを何処にするかって話になった。

 私と砕蜂とネムは兄貴の家に行こうと思うって口にすると、砕蜂がそれを嫌がる。兄貴の世話になるのは嫌だから織姫ちゃんのところに行ってみるんだって。夜一様も来るかもしれんのに……。

 

 ルキアちゃんは一護くんのところの世話になると当然のように口にして、一角くんと弓親くんは適当に探すと言ったので、私もネムと二人で帰ろうとしたんだけど……。

 

 「頼んます、陽葵さん。お兄さんを紹介して下さい!」

 

 阿散井くんが兄貴を紹介して欲しいと頭を下げる。なんか意味深な言い方するけど、どういうことなんだろうと話を聞くと、一護くんを短期間で鍛え上げた手腕を聞いて、修行をつけてほしいとのことだ。

 あー、良かった。てっきり彼にそっちの気があるのかと思ってしまった。それでも別にいいけど、兄貴を紹介するのはちょっと勇気がいるじゃない。

 

 

 で、兄貴のところにネムと阿散井くんを連れてったんだけど、修行の件は面倒だからヤダって言いやがる。私には変な修行を頼まなくてもつけたクセに。

 

 「陽葵ちゃんはそうでもしなきゃ、日常生活に支障をきたしましたから。必要度合いが違うんスよ。この子の霊圧放置してたら藍染サン以上に尸魂界が損害を被るでしょ?」

 

 兄貴の言い分にめちゃめちゃ納得する阿散井くん。

 いやいや、君はどっちの味方なのか言いたい。

 

 「陽葵様、それよりも『カープ』とやらの試合をご覧になるのではなかったのですか?」

 

 そんなやり取りをしてると、ネムがナイターの中継をテレビで見ようと言っていたことを思い出させてもらう。そうそう、ちょうどこっちでカープの試合がテレビでやるって一護くんの家でテレビ欄を見せてもらって知ったんだよね。

 兄貴にテレビを見せてくれとせがむと、「いつからプロ野球なんか」みたいな顔をされたが、ジン太くんと(うるる)ちゃんと鉄裁さんにチャンネルを譲ってもらえないか頼んでくれた。

 

 そして、なぜかカープの試合をみんなで観戦することに。阿散井くんは「雛森、こんなもんをやりたがってたのか」みたいな感想で特に興味を示さなかった。

 

 兄貴は全く野球の試合には興味を示さず、ネムと何やら会話をしていた。「良いものを上げるっス」とか言ってたけど、何をあげたんだろう……。

 

 試合は貧打も貧打でお互いにゼロ行進が続く。んで、9回の表――ワンナウト満塁……バッターは――みたいな場面で大きな霊圧が幾つも発生したのを私たちは感知した。

 

 ――まさか、破面たちが来たのか。こんなに早く来るなんて……。

 紅鯉(アカリ)が嫌がってるのはわかってたけど、行くしかない。阿散井くんとネムを引き連れて外に出ようとすると、兄貴が「限定霊印されてるなら、アレを取っても問題ないはずっスよ」とかアドバイスしてきた。

 あー、そうか。リストバンドで十分の一にした霊圧がさらに限定霊印で五分の一にされてるから、今の霊圧は五十分の一になってるのか……。道理で体が重たいはずだ。

 

 「でも、アレを取ったら絶対に限定解除()()()()くださいね。絶対っスよ」

 

 真顔の注意を受ける私。やだなー、そんなことしたらそこら中のモノが全部吹き飛ばされて更地になることくらい分かってるよ。

 私のことバカだと思ってるのかな……。

 

 まぁ、確かに十刃(エスパーダ)とかと殺り合ってしまうなんて展開になったら、リストバンド付けてたせいで、瞬殺って展開もあり得るな……。“安解”しとこーっと……。

 

 私はリストバンドを外してみた。いつもはそれで大変なことになるけれど、限定霊印のおかげで何とか霊圧をコントロールすることが出来る。五分の一だから、ちょっと気を付けなきゃ色々と怒られそうな気もするが……。

 

 『試合の続きが早く見たいのぉ』

 

 紅鯉はさっきからそればっかりで五月蝿い。よく考えたら、十刃(エスパーダ)は一護くんに興味を示しているから彼のところに行ってるはずだ。だったら、私のところに来るはずがないじゃん。

 

 そう思ったとき、私は青髪で顎のところに仮面の残骸がある口の悪い男の破面と対峙した。死神如きに負けないか……。すげー自信満々じゃん。

 

 私と破面との戦いが始まった――。

 

 戻って試合が早く見たい紅鯉は絶好調で霊丸のコントロールも急上昇。何か破面が避けた方向にグニッと曲がっていったんだけど……。

 霊丸が炸裂して、やって来た破面を一瞬でボロボロにする。

 

 ネムや阿散井くんたちも限定解除してからは一方的に敵を打ち破った。ネムは破面の霊圧に中てられて出てきた(うるる)ちゃんを守りつつ、相手が気の毒になるくらいボコボコにしていた。

 つーか、なんで私だけ限定解除の許可下りないんだよ。使わないけど、何か腹立つ……。

 

 で、私の相手は意外とタフでまだ生きてる。十刃以外ならやれると思ってたけど、結構耐久力あるな……。とか、思ってると――。

 

 「(きし)れ――豹王(パンテラ)!」

 

 何か目の前の破面……帰刃(レスレクシオン)してかなり強くなってる気がする……。もしかして十刃? そういや、「一番デカい霊圧辿ったが……違ったか」みたいなことを言ってたような……。

 

 「王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)――!」

 

 あっ――オサレな虚閃撃ってきやがった。やっぱり十刃だ。あいつ……。

 私も霊力をありったけ吸わせた霊丸を撃つと空間に歪みのようなモノが生じてそれを貫き、目の前の破面は大爆発に飲み込まれる。

 

 やばっ! あいつが空中に居なかったら……始末書じゃ済まなくなるところだった。その辺のビルの壁が亀裂が入ってる気がするけど、セーフということにしてもらいたい……。

 

 オサレな虚閃と霊丸を同時に食らって、息を切らせてる破面。そこに東仙がやって来て、彼を強制的に連行した。

 なんか、私を殺したいのは自分も同じとか言ってるけど、恨まれるようなことしたっけ?

 

 「はぁ、はぁ……、俺は……、グリムジョー……、グリムジョー・ジャガージャック……! 絶対にお前を……がふっ……、殺してやる……げふっ……」

 

 破面はグリムジョーと名乗り、吐血を繰り返しながら、私を殺すと捨て台詞を吐いて帰って行った。

 あー、あいつが6番目の十刃のグリムジョーだったか。これ、良いのかな……? 一護くんのライバル取っちゃったらまずいんじゃ……。

 

 とりま、虚化のことを兄貴に相談するように促しとこう。じゃないと一護くんがパワーアップしないまま終わっちゃうかもしれんし……。

 一護くんの相手の破面は弱かったみたいで彼は無傷で戦いを終えてた。

 

 砕蜂は限定解除する前に結構やられちゃったみたいで、怪我を負っていたが織姫ちゃんに治してもらっている。彼女の能力が藍染の計画の鍵になってるんだっけ……。

 とりあえず、織姫ちゃんの家のキッチンを借りて傷が癒えた彼女や仲間たちに霊力が回復する料理を作って、振る舞ったので全員が戦闘前の状態まで一気に回復してくれた。

 

 「陽葵さんって料理出来るんだ。なんつーか、超意外……」

 

 一護くん、そりゃあねーよ。これでも随分と長いこと()()()をやってるんだ。曳舟さん直伝のこの料理だけは好評なんだぞ。

 

 何にせよ、みんなが無事でよかった。テレビでは空座町で謎の大爆発とか竜巻発生とかそんな報道がされていて兄貴から久しぶりにお説教を受ける羽目になってしまったけれど……。

 

 そうそう、カープはあのあとゲッツー取られて、9回の裏にサヨナラ犠牲フライを食らって負けたんだって。紅鯉はご立腹であった……。

 

 「カープが勝ったら卍解? 寝ぼけてんスか? 卍解に野球の結果なんか関係あるはずがないじゃないですか」

 

 ちなみにカープの試合が見たかった理由を兄貴に話すと真顔でそう返された。

 私と砕蜂が話し合った結論だと力説すると、“お察し”みたいな表情をされた。「脳筋同士らしいアホな思考っスね」とか思ってんだろうな……。

 

 じゃあ、どうやったら卍解習得できるんだよ! ちくしょー!




【朗報】いつからカープが勝てば卍解に至れると錯覚していた……?

グリムジョーの件はスマンかった。かませにするつもりは無かったんですけど、原作と差別化をはかりたかったので、こんな展開になってしまいました。
東仙にした仕打ちを覚えてないのは反射行動で倒してしまったから、印象に残ってないという酷い理由です。
あー、それにしても、砕蜂とネムの制服姿が見たい……。

5/29 ――追記――
朽木_様より、ネム(金髪制服Ver)の素敵なイラストを頂きましたので、掲載させてもらいました。やっぱり、ネムかわいい。

【挿絵表示】

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