【本編完結】とあるTS女死神のオサレとは程遠い日記 作:ルピーの指輪
前回に書き忘れた補足ですが、市丸が残ってるので、ローズは護廷十三隊にいません。
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★月◎日 晴れ(ニページ目)
あかん……私の素行が悪いせいで「卍解使うなよ、絶対に使うなよ!」がフリになってしまって、白哉くんや日番谷くん、そして狛村さんが卍解を使っちまった。普段からインテリキャラで売っていればこんなことにならなかったのに……。
砕蜂は近くに居たから直接止めることが出来たけど。
彼女ったら「ふっ、私の卍解など奪ってもどうせ連中は持て余すだろうから構わなかったのだがな」とか冗談なのか反応に困ることを言うんだから。あの
最初に私たちの目の前に現れたのは何かサイボーグっぽい滅却師。名前は忘れたのでサイボーグマンという名前をつけてあげた。
ガトリングガンみたいなのとか放ってくるし、今までの敵とは一味違う。「特記戦力の浦原
卍解が使えないということで砕蜂は新技を使うと口にする。
――無窮瞬閧。瞬閧を改良して、より長時間発動することが出来るこの技は風の性質を含む白打と鬼道を組み合わせた超必殺技だ。
速い――蝶のように舞い――蜂のように刺すとはまさにこのことである。
彼女がこっちにサイボーグマンを飛ばしてきたので、私は紅鯉をフルスイングしてそいつを吹っ飛ばした。
サイボーグマンは壁に突き刺さってそのまま動かなくなっちゃったから、多分倒せたんだろう。
私と砕蜂のチームプレーの勝利だと彼女の露出した肩を叩くと「私の無窮瞬閧……必要だったか?」とか言って首を傾げていた。
いやいや、隊長が素早く不意討ちをしてくれたから、あっさり片付いたんだって。こいつら、変な最終形態みたいな切り札があるんだから。
とりま、一護くんがこっちに向かってるって報告を受けたから私たちはバラけて戦闘中の仲間を助けに向かった。
白哉くんと阿散井くんの霊圧が近かったので、そちらに向かっていくと、無数の刃が空中に浮かんでいる光景が見えた。
あれは……千本桜景厳か。奪われちゃった卍解を使われてるんだ……。
「真ノ恐怖トハ――」とか高説を述べてるロン毛で変なマスク付けてる滅却師が白哉くんに千本桜で攻撃しようとしていたので、私は霊丸を飛ばす。てか、そういう喋り方はサイボーグマンの方がするやつだろ。
生憎、滅却師には命中はしなかったけど、攻撃を逸らさせる事が出来た。まぁ、爆発の余波で白哉くんと阿散井くんが吹き飛ばされちゃったのは申し訳無いけど。
「無事で良かった」って声をかけたら、「おぬしにはこれが無事に見えるのだな」と軽口を叩いてきたから大丈夫そうだな。
ロン毛マスクは「お前ニモ真ノ恐怖ヲ――」とか言ってきて千本桜を飛ばしてきたので、さっきより巨大な霊丸を乱れ撃ちして弾き返しながら反撃した。
よし、ここから距離を詰めて紅鯉で――とか思ってたんだけど……。ロン毛マスク、「コレガ恐怖カ……」って呟いて動かなくなる。
「一応、味方には当たらないように調節してるのは知ってるんすけど、怖すぎます」
瓦礫から傷付いた白哉くんを守ってた阿散井くんが苦言を呈してきたので、とりあえず謝っておいた。
彼は滅却師の皮膚が異様に硬かったから、殴ってもビクともしなかったとか言ってるけど、何故素手で戦おうとしたし……。
それにしても、漫画で見たよりも連中の攻めが消極的のような……。被害もそれほど出てないみたいだし……。
てか、奴らより私の方が建物壊してるって、後で怒られたりしないかな……。
そして、山本総隊長が動いた……。口煩い爺さんだけど温情をかけてもらっているのも事実。亡くなった雀部さんの意志を引き継ぐためにも――あの人を死なすわけにはいかん。
ユーハバッハもどきが剣八を倒したところに、私と総隊長はほとんど同時に到着した。
それにしても総隊長のせいで暑いなぁ。まったくビール飲みたくなるじゃないか。
私と総隊長を狙っていた滅却師が何人か付いてきてたらしく、背後から攻撃をしてきたので、私たちは斬魄刀を振ってそれを迎撃する。どうやら、消極的に見えたのは私や総隊長を見張ってた連中がそれなりに居たからのようだ。
雀部さんのことで頭に血が上ってる総隊長は卍解しようとしたので、私は頭を叩いて「止めろ、少しは頭を働かせろ」と声をかけた。
総隊長ブチ切れ。「おぬしにだけは頭を使えと言われたくないわ!」と怒鳴ってくる。
いやいや、未知数の卍解だから奪われないって根拠ないじゃん。あんたの卍解奪われたら、終わりだよ。
私が反論すると総隊長「ぐぬぬ」ってなって、始解で戦うことを了承。ついでにあいつが偽ユーハバッハだということを伝える。
偽ヒゲ野郎は「何をバカなことを――」みたいな感じでしらばっくれてたけど。近くにいた、ピアノが上手そうな副官っぽい奴は眉を少しだけ動かしてたから、図星つかれて動揺したんだろうな。
私と総隊長が二人がかりで偽ユーハバッハに挑む。副官くんは手を出すなという命令を律儀に守ってるけど、あいつも結構強いはずだから警戒しなきゃいけないな。
そして、私はそのスキに偽ユーハバッハとの間合いを詰めて、彼の苦し紛れの斬撃を躱しながら、紅鯉で彼を突き上げた。
彼は口から血反吐を吹き出しながら上空に舞い上がり、体勢を何とか立て直そうとするも、そこを総隊長が流刃若火で一撃。
偽ユーハバッハは胸から血を流しながらぶっ倒れる。
「申し訳ございません……ユーハバッハ様……」
正体を現した偽物。しかし、彼は一瞬で消し炭になった。
本物のヒゲオヤジ――ユーハバッハが現れたからだ。
「山本重國に、特記戦力……浦原陽葵か。二人がかりとはいえ、卍解すら使わせずに倒れるとは――」
ユーハバッハは藍染に会いに行ってたらしい。自分の麾下に入るように説得するために。
さて、ラスボス相手に手加減するわけにはいかない。一応、総隊長に「色んなモノを壊すけどごめんね」って先に謝ると「今さら何を言っとる」って渋い顔をされる。
最近、やっと薬を飲まずにリストバンドを外してまともに戦う事が出来るようになったんだよね。
まぁ、破壊の規模が抑えられない弱点があるけれど。
「――安解!」の言葉と共にユーハバッハに紅鯉で殴りかかる。こいつをここでやっつければそれで終わりなんだから、そのつもりで私は彼に挑んだ。
――避けられた上に斬られちゃった。ブンブン紅鯉を振るうもティッシュペーパーでも相手にしてるみたいで一向に手応えがない。
じれったいから、霊丸をグミ撃ちする――しかし、あいつは被弾しないポイントが解っているのか、当たらない上に逆に反撃してきた。
「並外れているのは、霊圧の高さだけか。取るに足らん」
喉元に剣を突きつけられて、私はこれまでにないくらいの敗北感を味わう。
すぐさま紅鯉で弾いたけど、こいつには藍染以上に勝てる気がしない。しかも、こいつってまだ力をすべて取り戻してないんだろ……。いつの間にか、何回も斬られちゃってるし。
相手が総隊長でもユーハバッハは見事に躱し続けた。
ちくしょう。動きを読もうとしても更に上を行かれる。相性が最悪なのかもしれん。
総隊長はざっくり斬られて大怪我。私は体が頑丈なだけが取り柄だから、軽傷で済んでるけど、一撃も与えられずにいた。
そんな中、主人公の一護くん登場。そして、速攻で返り討ち――からの
滅却師の血の力も解放されたみたいだね。やっぱり、あの男を倒せるのは一護くんしか居ないのかも。
しかし、そんな一護くんも時間切れで撤退しようとしたユーハバッハに手を出そうとして、副官くんに天鎖斬月を折られてしまった。
悔しい。悔しい。悔しい……。あいつに勝てる気がしないって思っちゃった。
こっちの被害は漫画ほどではないけど甚大だ。殉職者も多かった。漫画と違って白哉くんは軽傷で済んだけど、阿散井くんとルキアちゃんは重傷。どうやら、阿散井くんは私が居なくなった後で滅却師に不意討ちでやられてしまったみたいだ。
市丸は卍解無しでもそれなりに戦えたみたいで、軽傷だったらしい。京楽さんは片目を失明してしまっている。ネムは元気というか滅却師返り討ちにしてた。
私は結局、五十三箇所斬られてたけど、浅い傷なのでもう治ってる。
朗報なのは総隊長が重傷ながら生きてることだ。彼がいるから護廷十三隊の士気は依然として高かった。
一護くんは死神の力を取り戻して以前よりも霊圧が凄く上がったから負ける気がしないと思ってた矢先に天鎖斬月が折られたから私よりも意気消沈しているみたい。
次は絶対に負けちゃいけない。でもどうやって勝とう……。
こんなに不味いビールは初めてだ。
★月△日 晴れ
零番隊が現れた。一護くんを霊王宮に連れてくんだってさ。
連中の尊大な態度にキレた砕蜂にリーゼント頭がちょっかい出そうとしたから、イラッとしてそいつを小突いたら、曳舟さんに怒られた。リーゼント頭の方が。私は料理頑張ってるかどうか尋ねられて、抱きしめられて久しぶりの再会を喜んでくれた。
この人とは百年以上ぶりか……うわぁ、こうやって考えると私も年を取ったなぁ。ピュアで可憐な乙女だったあの時期が懐かしい。
和尚のおじさんは上機嫌そうに笑いながら、私に見所があるから零番隊に来ないかって言われたけど断っておく。だって私の居場所は二番隊だもん。
というわけで、重傷のルキアちゃんと阿散井くん、そして一護くんは霊王宮に行ってしまった。
総隊長も重傷だから行くことを勧められたけど、自分がいなきゃ指揮を取る者が居なくなるということで固辞したみたいだ。
あと、兄貴は
なんか、すげー私の名前を叫んでる奴が居たんだけど……。聞き覚えがある声だ……。
そんで、何でか分からんけど総隊長命令で剣八と戦い続けることになった。こっちは、落ち込んでるっつーのに、嫌だなぁ。
★月♧日 晴れ
やっと、終わった〜〜。まったく、あの野郎容赦なく斬りやがって。
かれこれ、2日くらい戦い続けてたかな。剣八のやつ、ドンドン強くなるの次元を超えてるだろ。
剣八は斬り合いじゃないことに不満げだったけど、私ももっと不満だよ。
そんで、つい反射的に半殺しにしてしまったら、始解は覚えてくれたからこれで良かったみたい。
とにかく疲れた。こんな仕事は二度としたくないね。
★月♤日 くもり
今日は見えざる帝国が攻めてきた。こうして日記を書いてるからって、浦原☆ネタバレ乙☆陽葵と呼ばないでほしい。
色々と大変だったんだから。そりゃ、今は3本目のビール瓶を空けてるところだけど、これは頑張った自分へのご褒美というか何というか。
あいつらは、瀞霊廷を塗り替えるみたいなやり方でいきなり現れやがった。
ピカピカの衣装で戦うネムはめっちゃ目立ってたな。マユリさんは影から侵入してくる見えざる帝国の手段にいち早く気付いて自分の研究室を守ったみたいだ。
卍解無しでも戦えないことはないけど、やはりこっちは戦力的にかなり不利だった。
しかし、兄貴による解析で虚の力をちょっと取り込むことで卍解奪還が出来るということで、卍解を使えない制限が取っ払われる。
まぁ、滅却師たちは
――私が
前にナイターを見に行った時、カープが惨敗したのを見て、あいつは何も話さなかったりしてたけど、ああいう敗戦を続けても折れずに立ち直る強さこそがカープの強さなんだと噛み締めてたんだって。知るかよバーカ。
そんで、私が何でもかんでも力任せでぶん殴って解決してたことが段々と腹が立ってカープっぽくないってムカついてたんだそうだ。お前の能力のせいだろうがってツッコミを入れたいのだが……。「命を刈り取る形だろう?」とか「故に侘助」とか言えるオサレ斬魄刀ならまだ戦い方変わってたよ。
剣八との修行中に、紅鯉はユーハバッハにやられまくった事で私が悔しさを噛み締めてる姿がちょっとだけ気に入ったとか言い出した。うるせぇとしか言いようがない。
あと、叩かれれば叩かれるほど強くなった剣八からカープっぽさを見出して良いもんを見せてくれたと機嫌が良くなっていた。
『度重なる敗北から立ち上がる不屈の闘志こそカープ魂じゃけぇ。まだまだ負け数が全然足りんけど、オマケじゃ』
私は後出しジャンケンが嫌いだ。あいつらにはとっとと居なくなってもらおう。
これで終わりだ。絶対に勝つ。負ける気がしない。
死亡フラグのセリフを立て続けに吐き続けながら私は約二年ぶりにオサレなセリフを吐く――。
「卍解――!」
全てを塗りつぶす真っ赤な光が身体から発せられ――赤の軍団が私の後ろに整列していた――。
《日記はまだ続いてる》
2日前の投稿と同じ引きにしてしまうなんて、オサレじゃないんですけど、こういう締め方しか思いつかなかったので……。
今度こそ卍解の能力がちゃんと発動します。もう最終章なので……。