こんな時代があったのだろうかと、不思議なタイスリップのお話。
ココアはとある森の奥、
廃墟となった家に興味本位で押し入ってみるが、そこは過去では街中の菓子店であった。
未来では木目調。過去では生きている人間のおじいさんとココア、不思議な交流。
一話のみ。息抜きで書いたため続かない。
ココアが幼いころ
今日も近所の森の中を三輪車で探検に繰り出していると
藪に囲まれた、開けた土地に
煙突からあまい菓子の香りを漂わせる一軒の菓子店をみつけた
ガラス張りの展示ケースは何も並んでいないし、店内は暗い
ココアはお化け屋敷の探索の様な心持で恐るおそるドアをひらく、怖いもの見たさだ
ドアを開いたとたん埃が室内を舞って行った
中は蜘蛛の巣こそ張っていないが埃が床に積もっている。
少しせき込むと中へ入ってゆく
何か香水の匂いが後ろから香ってくる
振り返るとドレス服の気の強そうな貴婦人が邪魔だと言わんばかりに睨みつけていた
「ごめんなさい」ココアは思わず扉から奥へと入った
「ちょっと!今日のカヌレは売り切れですって!」
気が付くと店内は明るい。天井からの小さな楼台で照らされていた
中は、半透明の二回りも昔の格好の人間でにぎわっていた
誰もいなかったカウンターにたたずむ老人は黙ったまま聞き流している
かのように見えたが
「………三時に来い。エリーゼ」
「わかったわよ!」
女性はとても不機嫌でぶつぶつと物言い帰っていった
一瞬お爺さんと目が合ったココアははっとなると空間は先ほどの静寂な廃墟のものに戻っていた
息をして、話していたおじいさんは近づいて話しかけても返さず、近くに行くと樹の木目が見えていた
それはただの人形で、それでも生きているような木製人形だった
それからというもの、ココアはそのおじいさんの人形を見にやっていった
どうやらここに入るとこの場所の『むかしのきおく』のようなものが見れるらしい
帰る方法はおじいさんと視線が合うこと。
何日も通い詰めて分かったことはエリーゼと呼ばれる怒りっぽい人はおじいさんの娘で
およめにいったさきのだんなさんにここでお菓子を買ってゆくように言われているらしい
このお店はひっきりなしに人が入る。というほどではなく、ただ、昔の知り合いや数人の自分と同じ子供がやってきていた
窓から見える都会の石畳の雑踏は少し前に訪れたあの街を連想させた
それらを、おじいさんはゆったりと静かにカフェオレを飲みながらそこにたたずんでいた
今日もお昼を食べ終え、おねえちゃんやお母さんに見守られながらドアをくぐり
おじいさんを見に行く道中に唐突に大きな雨粒がざあ、と降り始めた
急いで店内に入ると、ある嵐の夜の話だった。
いつもと違うことは、外には大きなサイレン音が流れ、ひっきりなしに行き交う黒いコートに銃を持っている兵隊さん
そして。
「どちらの子だい?」
おじいさんがココアを認識していることだった