選ばれし真の王と仲間達で世界最高   作:ゴアゴマ

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焦燥と月

「…まだ頭がグラグラしやがる…」

 

「調子に乗り過ぎたな…まさか真っ逆さまに落下するとは…。

あれだけの高さから落ちても無事だとは俺も驚いたが…」

 

水の滝を辿って見事な程に落下した2人は、逆さまに落ちたというのにまるで石頭が役立った様に目立った外傷は無かった。頭にヒビ所では済まない筈なのに、頭のぐらつきを訴える他はケロッとしている。

 

見るからに不思議だが、無事だったのなら何も言う事は無いだろう。

それに彼等は、立ち止まる事など許せないのだから。これは人の救出がかかっている賭けに買ったのだ。何時までも痛みと戦っている暇などない。

 

「いつつ…こんな事をしてる時でもハジメは苦しんでるかもしれねぇ。先を急ぐぞ」

 

「…」

 

「おい。何泣いてんだよイグニス。もう泣くのは止めるって言っただろ」

 

「いや、違う。これはそうだ。お前の貫禄の出る成長に脳が追いつかず、目頭が熱くなっているだけだ。そう、容量不足と言うやつだ」

 

「御自慢の頭脳はどうしたテメェ!? 見苦しい言い訳にしか聞こえねぇよ!! ったく…この世界に来てから過保護だと思ったら、涙脆くもなってんのかよ…。

 

 

 

 

…まぁ、俺が逃げてたらこんな気持ちも味わえなかったと思うと、新鮮な気もするか」

 

しみじみする気持ちをそれくらいに抑え、また前のように進むべきと思う道をひたすら進み続ける。歩みを止めないことによって、常に景色が移り変わり移り変わりを繰り返していく。それはもう目眩を引き起こす程に。

 

歩み続けるその先は飽きる程の洞窟続きで、時々現れる兎の様な魔物を、シフトや連携を駆使した戦法で軽く捻りながら怠げに前に進む。

 

時々何かを見落としそうになる様にこの風景に影響を受けると、その心情を察した様に隠し扉だというように口をあける穴が現れる。

誘い込まれる様に入ってみると、液体の入った瓶の様な物が一つ転がっているだけの空間のみで、他に目を引かれる様な物はなかった。

 

「ん? これは…魔道ブースト剤か…? 何でこんな所に…」

 

ノクティスが瓶を手に取って発した言葉は、この瓶の名称と思わしき名前。魔道ブースト剤というものだと言う。

 

その名の通り、この薬は魔力の上限を一時的に無限にまで引き上げ、服用者の魔力スキルを極限にまで引き出すアイテムなのだが、これは元々ルシスに存在していたアイテムでトータスに存在する事は有り得ないに等しい代物なのだ。

 

では何故こんな所にあるのだろうか。

 

「…あのスモークアイと言い、バンダースナッチと言い…このアイテム…明らかに空間的に何か異常が起きている事は確定だろう。でなければ此処まで続けての転移など説明が付かない」

 

「待てよ。その説が正しいってことは、あの時の鳥とかモルボルとかが召喚される可能性もあるって事か…?」

 

「…否定は出来ない。だが逆も考えると、俺達を助けて来たアイテムもこちら側に来ている可能性もある。ポーションの精製は出来るが、そんな状態でも役に立つアイテムが手に入るかもしれない。良く詮索してみよう」

 

「あぁ。取り敢えずこのアイテムはお前に預けとく」

 

拾ったアイテムをイグニスに投げ渡すと、ノクティスは穴から出て再び洞窟の世界へと舞い戻る。それからも幾つか目立つ穴が見つかり、そこから様々なルシスのアイテムが手に入ったのだが、手に入れば手に入る程、謎は増してくばかりだった。

そしてその疑問は、やがて刻々と大きなモノへと変わり始める事は、今の彼等にはまだ必要のない話。

 

 

 

 

 

 

 

休息を挟みつつ探索を進め続けて早3日が経った。

3日前から大分道も進み、行く手を阻む敵の数も増え、更に微かに耐久力も強くなっている感覚があった。

その感覚さえも僅かという時点で、ノクティス達が今どのくらいまで力をつけているのかが分かってしまうのだから、恐ろしい物だ。

 

因みに今のノクティス達のステータスはこの様になっている。

 

───────────────────────

 

ノクティス・ルシス・チェラム 18歳(30) 男 レベル5(35)

 

天職 真の王

 

筋力 250(1000)

 

体力 300(1500)

 

耐性 160(800)

 

敏捷 160(800)

 

魔力 800(3000)

 

耐魔 120(600)

 

技能 言語理解 武器召喚 武器収納 魔法精製 ポーションボックス シフト シフトブレイク 高速魔力回復 ファントムソード召喚 連携特化 連撃時攻撃力上昇 衝撃力耐性 王の威圧 ??? ??? ???_

 

──────────────────────

 

イグニス・スキエンティア 25歳(32) 男 レベル5(30)

 

天職 王の頭脳

 

筋力 160(800)

 

体力 300(1200)

 

耐性 250(1300)

 

敏捷 140(1500)

 

魔力 100(400)

 

耐魔 160 (520)

 

技能 言語理解 レシピドーム 料理保管 料理複製 状況把握 強制集合(ギャザリング) マーク 連携特化 ボーションボックス 戦術瞬間一致 ダガー属性切替 擬似魔力操作 連撃時速度速度上昇 衝撃力耐性 軍師の見切り

???_

 

──────────────────────

 

となっている。

 

ルシスでは表現の仕様のなかった特性が、技能という欄が表示された事によってそれらしい言語で表されるようになったからか、今の段階でもかなりの即戦力並みの、いや軽く反則を超えるステータスとなっている。そしてこれに更に付与されると考えると、恐ろしさを通り越して号泣する。

 

それぞれ追加された技能を使用して、その場にあった戦闘方法で道を切り開いていく。その判断すらも、イグニスの状況把握や戦術瞬間一致によって高速で行われる為、立ち止まる事すらない。

 

順調に捜索を続行していると、ふと、足元の色に違和感を感じたイグニスが不審に思い、よく確認する。そうすると、黒い洞窟の地に、明らかに不自然な赤色の乾いた色の何かが付着していた。

 

「これは…まさか血?」

 

「なんだと?」

 

「しかもこれ程の色は恐らく人間の物。そして、まだ新しい。…これはまさか」

 

「まさか…ハジメの…」

 

嫌でもここの血はハジメの物に近いという結論に、少しばかり動揺を隠せずに曝け出してしまう2人。しかし、その嫌な想像を振り切り、状況把握を駆使して希望を見出す。

 

「…恐らくだがここら辺の何かと争い、重傷を負って彼処の穴に向かって撤退したのだろう。血が水滴の様に点々として彼処に繋がってる」

 

「つまり、彼処に居る可能性が高いって事か?」

 

「いや、新しい血と言っても、ここ数十日前のものだと推測する事から、彼処に今も隠れているとは確定出来ない。もしかすると、脱出を目指して奥に進んだ場合もある」

 

進んでみるかと言うイグニスの問に、数秒も開かせずに頷くノクティス。一刻も早くハジメの無事な姿を確認したい二人は、バクバクし始める心臓を必死に落ち着かせながら穴へと入り込んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり、誰も居ない…いや待て。ここに僅かだが、何かを貪ったような、生活の跡のような物がある」

 

「マジか…でも、これも大分経っちまった様だな…」

 

穴を潜り抜けた先には予想通り誰も居なかったのだが、その場には食事を通した誰かが過ごした痕跡があり、望んでいた微かな希望が見えた。のだが、直ぐにそれも1つの恐怖にかき消されてしまう。

 

「待てよ…でもここって食料も何も無かっただろ? もしこれがハジメの痕跡だとして、何を食ったんだ…?」

 

「植物とか…も確認は出来なかった…。とすると、魔物の…?」

 

「は…!? それが本当なら身体が持たねぇぞ…!! 早く飯を食わせねぇと!!」

 

「落ち着けノクト。冷静さを早速欠いているぞ。

此処に侵入した途端に魔物が寄り付かなくなった。だと言うのに、此処で生活を行っていた誰かは此処に魔物の肉らしき物を持ち込んで食していた。そして、その肉片は大分腐食が経ったものからまだ真新しい物もある…。

魔物の肉は強力な毒を持つと言われる。それ故に一欠片でも喰らえば身体が持たない筈だ。それが長持ちしているという事は…恐らく、この空間に何らかの物体があり、それが南雲の毒を中和したと推測する。その証拠に、そこ。少し無理やり何かを取り出したような跡がある」

 

「…それはつまり」

 

「あぁ。もしこの正体が南雲だとして想定すると、南雲は生きている可能性が高いという事だ。

確かに俺達は南雲を見つけた訳じゃない。だが、自然の一つ一つの奇跡は、俺達に味方してくれているのかもしれない」

 

もう技能と言うよりも個人の力なのでは無いかという分析で、想定の先までも予測していく。縋っていると感じられるかもしれないが、その縋りの発想さえも疑う事の出来ない一つの可能性として成り立つ。

 

ノクティスは顔を顰めながら、イグニスが口に出す憶測と分析の結果を真摯に受け止める。全く希望の無いよりは、1本の髪程の望みに賭けるように、また此処での探索を終えて更に奥へ進もうと迷宮の通路を探し、足を向けた。

 

 

 

「気を付けろノクト! ハンドレッグはお前の苦手なモンスターだとは思うが、堪えてくれ!」

 

「堪えてくれってお前完全に克服した訳じゃねぇぞ!? あぁぁぁ虫は嫌いなんだっつーの!!」

 

 

 

「デュアルホーンか…。あの角を上手く躱す事が出来れば…」

 

「…いや待てイグニス。あの数は躱せないわ…!

 

魔法で一掃だろ」

 

「お前こそ待て! こんな狭い所で魔法を繰り出してみろ!! 自爆行為にも等しいぞ!!」

 

 

 

「…ノクト。今日はカルパッチョだ。野菜の部分もちゃんと食べるんだぞ」

 

 

「うげ…。 まぁ、食わねぇよりは……んぐぉ…ん…魚の部分はうめぇ」

 

「…野菜の部分は…」

 

「…聞くなっての…」

 

 

 

 

「…はぁ…」

 

「…手掛かりも、何もあれからなしか…」

 

 

 

何度目の戦闘だろう。

何度目の休息だろう。

何度目の溜息だろう。

 

二人が想定するよりも、オルクス大迷宮の下層はその名の通りの大迷宮を構えており、もうその迷宮の広さに呑まれかけていた。

こうしている間にも、一握りの希望が無くなってしまうかもしれないと言うのに、迷宮が、地形が、魔物が前に立ちはだかり予定通りに進出が困難なのだ。

 

その困難を潜り抜けてでも、捜索できるだけの範囲は全て捜索し尽くした二人は現在、魔物の血の濃厚な臭いに包まれて最悪な心持ちのまま、如何にも何かが待ち受けている扉の前にてある程度の身支度を整えている。

 

捜索優先とはいえ、血の臭いやら空腹やらを味わったままでは益々支障がきたされるから故、工夫を加えて水を浴び、軽い食事で体調を整える。やっている事は何時もの繰り返し。けれど、日に日に表情に余裕が無くなって来る事だけが、繰り返しの僅かな変化だ。

 

「…この扉…どう思う」

 

「…何かしらあるとは考える。が…何だろうな…つい最近、此処で何かあった気がする」

 

「何かってなんだよ。…中に何が居るか分からねぇのは確かだな…」

 

「行くか? ノクト。すぐ近くにもこの扉以外の道があるが、この道とは別に、別の下層に繋がる扉かもしれないぞ」

 

「でもそうとも決まった訳じゃねぇだろ。手当り次第怪しい所は探るって決めて来てんだ。行くぞ」

 

「…分かった。だが、無理と判断すれば一旦引き返すぞ」

 

「りょーかい」

 

罠等を承知で、意を決した二人は扉を開ける。

 

ギギギと古臭った音と共に、左右対称の絵柄の片方が闇に包まれる。その闇が作った切り目へと、2人は吸い込まれていく。

 

闇が広がってる故に視界が物体を感知する事は無い。ただただ足に感じる硬い床を踏み締めながら、前に前に歩んでいく。

 

「…この闇の中を彷徨う感じも、懐かしいな」

 

「だな。エレベーターを動かして進んだら、モンスターに道を塞がれて…。そん時はうざったかったけど、今はなんか思い出す記憶の1部になってるわ」

 

「あの後焦ったお前が、細道から間抜けな声を出してすっ転がったのも思い出す」

 

「お前ひょっとしなくてもSだろ。サドだろ。そんな泥記憶呼び覚ますんじゃねぇよぉぉぉぉ…

 

まさかとは思うが、愛子先生にもそんな調子じゃねぇよな」

 

「な…そんな訳が無いだろう。彼女にそんな真似ができる訳が無い」

 

「…ふーん?」

 

「…なんだその目は。何も間違った事は言ってないぞ」

 

「1回愛子先生からイグニス先生は意地悪だって真っ赤になりながら俺の所に怒りながら自慢して来たんだが…あれは何だったのかねぇ」

 

「うぐっ…そ、それは聞かないでくれ…」

 

「今のお前の心の中を当ててやろうか? あん時は初だったノクトがこんな冗談を言う立場になったのか…だろ? それと、もう少し優しくするべきだっt」

 

「人の心の中を捏造するな…!!」

 

「んー? 事実を言われたくないだけなんじゃねぇの?」

 

「もう分かった…俺がからかい過ぎたのが悪かったから…」

 

日常会話を続け、場を和ませようとするふたりだが、その心の奥の様子は再び言うが余裕が無い。その証拠なのか、ノクティスとイグニスの反論の仕方に勢いが無くなっている。

 

2人はそれに気づく様子は無いが、疲労が自然と行動に出る程には疲弊していると言うのだろう。その代わりに、周りへの警戒心だけは研ぎ澄まされていた。

 

 

 

故に、急な視界の発光に対応する事が出来たのだ。

 

「ノクト! 目を塞げ!」

 

「もうやってる! お陰様で目眩ましは喰らってねぇ!」

 

「良い反応だ!」

 

突然の閃光に対応した2人は、瞼の外で感じる光が弱まるのを感じると、恐る恐ると目を外の世界へと向ける。

 

 

 

「さて、こんな事をしやがったのは……っ…お前は…?」

 

『ようやく目覚めたのですね。ノクティス。そしてその軍師たるイグニス』

 

2人の眼に映し出されるのを待っていたかのように光が集まり、具体化したのは人の形だった。ノイズのかかったアルトボイスを響かせ、まるで知り合いのように2人に発言を交わす。

 

「アンタは…誰だ? 顔が全然見えないんだが…」

 

『…面目ないのですが、今の私に全てを曝け出して話す力は残っていません。なので、最低限の魔力による遠距離会話を行っている次第なのです』

 

「…そうか。だから光で象った人型しか投影することが出来ないという事か」

 

『流石は王の頭脳。予想が早いですね』

 

今対話している女性、と予想される光は指摘通り、僅かながらに口が動いているように見える以外は何の情報が得られない発光をしている。

脳に直接話し掛けられているような音の震えを届けられながら、ノクティス達は彼女の話に応じていく。

 

『必要最低限の事を話させていただきます。まず、貴方々が探されている人達は、生きています。この迷宮のこれより下の階層に』

 

「…! 本当か!」

 

「…」

 

謎の人物からの希望の言葉。この言葉一つでノクティスの顔にみるみる活気が戻っていく。しかし、この迷宮の広さは2人が身をもって知っている。場所を知ったとしても、そこまでに合流する事が出来るか…。

 

『…では、特別に二人にこの動物の力をお貸ししましょう。速さには自信がある子達なので、十分に協力し合ってください』

 

「は? なにを…って!?」

 

 

 

光が指を鳴らすと、その前付近に新たな光が形成されていき、次は鳥型へと形を変え始め、黄色のノクティス達には見慣れたあの鳥が姿を表した。

 

「クェェ!」

 

「クェェェ?」

 

「…この感触、懐かしいな」

 

「…あぁ。本当にな。チョコボの羽毛を触るのは」

 

ノクティス達をつぶらな瞳に写したチョコボ達は、警戒すること無くその身を擦り付けるように出会いを喜ぶ。懐いているようだ。

前世界で、ノクティス達がこの鳥のことをどれだけ可愛がり、頼っていたかが分かる様子である。

 

『この子達は人に懐きやすく、人の気配を感じ取りやすい敏感なのです。きっと貴方達の探し人も見つかるでしょう』

 

「そか。ありがとな。態々俺達のために」

 

『…正確には、貴方よりも貴方を想う人の為なのですが…私自身も貴方には幸せを掴んで欲しいのでまぁ良しとしましょう』

 

「…! まさか…

 

そう言えば、もう1人の探してる人とは…」

 

『そして、もう1人…月の人は、この迷宮の真相を一人で抱え込んだ人物の試練の場で、安息の時を過ごしています』

 

「月の…」

 

「試練の場…?」

 

疑問を口にする彼等と共に、光がだんだんと拡散していく。すると、見えない女性が焦りを声にのせ始める。

 

『…っ…もう時間ですか…

 

 

ノクティス。今度こそ…私の…し…ゆう…との…し…あ…せを…つ…で………』

 

「!? おい!」

 

回線の悪い携帯のようにブツ切りを繰り返す声を必死に届ける光は、やがて虚しくも全てが光の粒へと変わり…そのまま消えていった。

 

「…魔法効果が切れたのか…」

 

「…月の人…

 

まさか…な…」

 

「ノクト…」

 

月の人という言葉を聞いた時から、顔に影が入り込んだノクティスは、うわ言のように繰り返している。そのノクティスに何かを感じたイグニスは、案じる様に背中を軽く叩く。

 

「重く捉えるな。お前はもう十分に重さを知ったんだ。これ以上背負い込む必要は無いんだ。

もし仮にあの方が生きているとするなら、幸せになってやるという気持ちで出迎えてやれ。それが、俺達がお前に望む一つなのだから」

 

「…イグニス」

 

イグニスはそう言うと、クールなその口角を優しく、ふわりとあげて笑った。

 

 

イグニスはその言葉を口に出せるほど、ノクティスを信頼していた。だから、決められた使命を与えられ、世界の全てを背負わされた友を見守り続けた。使命を果たすことを思いつつも、人としての、生きる者の幸せを掴んで欲しいと願ったからこそ、この言葉には意味があるのだ。

 

「…ん。そうだな」

 

イグニスからの激励に、頬を力強く叩きながら心配そうに顔を覗き込むチョコボを撫でる。クルクルと気持ちの良さそうな音が聞こえ、比例するようにノクティスの表情に淡さが灯る。

 

コウ…と言った洞窟の唸り声に押し負ける事の無いように、何度目にもなる膝の力を入れ、未来を掴むための踏ん張りを身に付ける。

 

「今ので分かった。まだ俺には受け入れ切れてない心があるって事が。…でも、俺はもう、自分の未来を掴むって決めたからな。

…足がすくんだら、手を引っ張ってくれるか。イグニス」

 

「ふっ…。今は俺だけじゃない。この子達も、だろ」

 

「クエエエエエ!!」

 

「クエッ」

 

「…そだったな。

 

…うしっ。しょげんの終わり! …こんなウジウジしてたら、またグラディオに怒られちまうからな」

 

「ふっ。その意気だノクト」

 

騒がしく頼れる鳥達を得た二人は、沈む一方だった気持ちを高め、諦める事を止める理由を得、再び再起をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

「ひ…ひひ…あいつらが悪いんだ…俺の前でムカつくことばかりして…か、香織に手を出そうとする南雲も、ムカつくノクティスも…ヒヒ…」

 

グラディオラス達がホルアドの宿で休んでいる頃。夜の静けさの中に、一人の怪しい男が、気味の悪い悪笑を口から吹き出している。

人が通れば、ぞわりと背中が寒くなるような不気味さを醸し出し、此処には居ない誰かへの恨みを向ける。

 

「…へぇ。やっぱり君だったのかァ…やっぱり碌でも無い連中なんだね。君達は」

 

「本当にね〜。ま、ボクは正直センセ以外のヒトには興味が無いからどうなろうと構わないんだけど♡」

 

「…!? お、お前らは…!!」

 

「あー。大声出すのは無し。此処夜だよ? 近所迷惑ダメ。絶対ってね

 

「多分この子には無理だよ。だって、自分が中心だもん。迷惑だなんてきっとこの子の辞書には無いよー?」

 

「お、俺をどうする気だ…! ま、まさか売る気じゃねぇよな!? 頼むよォ! 俺は何もしてねぇ! 俺は俺は悪くねぇんだよぉ!!」

 

「あー喚かない喚かない。大丈夫。君を売り飛ばしたりなんてしないさ。俺、何だかんだ優しいから…さ」

 

「ほ、ホントか!?」

 

「そーそー。だからさぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

大人しく聞いてよ? 檜山君ン?」

 

闇が似合うニヒルで獰猛な笑みが、檜山の瞳を喰らって離さない。

 

 

この日、歪んだ男は闇の糸に絡まった。




あの人の生存確認と、ff15の良心的立ち位置の彼女の登場です。

アーデン編は、次の回でも触れられます。

彼が何故このような事を檜山に言ったのか…。

でかい事では無いですが、アーデンなりの何かがあるのです。

後、ノクティス達の年齢は王都決戦当時の年齢になっています。
ご了承下さい。

今更ながらですが、感想等は御気軽にどうぞ。お待ちしております。

番外編で、転生後のルシスの皆とヒロイン達の出会い(+α)を書こうと思っていますが、特に見たいのは誰でしょうか。人気順に書いていこうかなと思います。

  • プロンプト×優花
  • グラディオラス×雫
  • イグニス×愛子
  • アーデン×恵里
  • ノクティスとの日常side
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