今回はいよいよノクティスの記憶と同行人の判明回です。
どうなることやら。
後、ご指摘いただいた空欄等について、かなりの削減をさせて頂きました。大変ご迷惑をおかけ致しました。
では、どうぞ。
目覚め
《ここは…どこ…だ?》
深い深い、闇の中。
意識さえも飲み込まれそうな程の、暗い…闇。
いつか味わったような、孤独。
それら全ての感覚が、今の彼を覆い尽くしていた。
『俺は…何してたんだっけ…。誰かを誰かの所へ、連れてって…確か…デカブツに…』
誰かって…誰だ…? デカブツって…なんだっけ…
違う…俺は世界の闇を…世界に…光を取り戻すために…
世界の…何を取り戻すって…? そんな記憶…無い筈…なのに…な…』
なにかすべき事があった気がする。だが、それすらも思い出せない。
あるのは、頭に走る微かな痛み、それだけ。
ただひたすらに彼は…ノクティスは闇に身を任せんとしていた。
《め‐‐‐よ‐‐‐お‐‐ス‐‐》
『…なんだ…?』
《めざ‐‐よ‐‐しん‐お‐‐ノク‐‐ス‐‐》
『…しん、お…? 何の…話を…』
《めざ‐めよ‐‐しんの‐おう‐‐ノク‐‐ティス》
『…王…俺が…』
《めざめよ‐しんのおう‐ノクティス‐》
『…そうだ…俺は…既に世界を…そして…俺は…』
ー 無いよなぁ…。えぇ? ノクティス王子? ー
ー ノクト。薬類の買い出しは、忘れずにな ー
ー ノークト! あのさあのさ、何か写真撮って欲しいリクエストない? ー
ーどうする? ー
ー んー…。行ってみて ー
ー やばけりゃ戻る ー
ー 俺、本当はニフルハイムの人間なんだ ー
ー どこの世界にこんなだらしねぇ王様がいる ー
ー ノクト。 王とは、決して逃げ出さない者の事だ ー
ー 俺はノクトの右腕になるって決めたんだ。だから何時までもグズグズしてられない。じゃないと、またアラネアに怒られるからねっ ー
ー 俺はお前の剣だ。だから、お前が最後までやり通すってんなら、シガイだろうがなんだろうが薙ぎ払ってやる。それが、俺に出来るせめてもの助けだからな ー
ー 例え眼が見えなくなったとしても、俺はお前を支え続けると誓った。…逃げ出さないというのならば、俺は俺の使命を全うして、お前を全力で支えよう。
ー ノクト! ー
ー ノクト ー
ー ノークト! ー
ー 常に 胸を張れ ー
ーさぁ、目覚めよ 真の王 ノクティス・ルシス・チェラム ー
仲間達と共に…!!
何時の間にか痛みが引き、ゆっくりと瞼を開けると、ふよふよと時空の歪んだような場所が目にうつった。
それと共に、巨大な甲冑に身を包んだ存在が、こちらに近づいて来るのもわかった。
『漸く再起を果たしたようだな。ノクティスよ』
「あんたは…夜叉王か…」
ノクティスが夜叉王と呼んだ甲冑の存在は、彼の前へと接近し、話がしやすいように位置を変えて言葉を発し始めた。
『その様子であると、記憶は蘇っているようだな…ならば話が早く済む…』
「と言ってもかなり強引にだけどな。まだ曖昧な所は何ヶ所かある。…ところで…」
『承知している。ルシスの事であろう』
「あぁ。やっぱ、最後は見届けられなかったからな…。気になるんだよ」
ノクティスの純粋な疑問に、表情の見えない夜叉王が少しだけ安らぎを纏ったように感じた。
『何も案じることは無い。そなたが命をかけて守り抜いたルシスの民は、無事太陽の光の下に照らされ、今を生きている』
「…そか」
それ以上ノクティスは何も口を開くことは無かった。満足した訳ではないのは目に見えているが、失望した様子も感じられない。
ただひたすらに、達成感と安堵、そしてどこからともなくの喪失感を感じていたのだった。
それを感じ取ったのか、夜叉王は口を開かず、静かに静観していた。
「…悪ぃな。待ってもらって」
『構わぬ。再びあの時の記憶を取り戻して直ぐなのだ。故に、何も言わぬ』
座り込み、少しだけ体を震わせていたノクティスが冷静を取り戻した所で、彼は今置かれている状況を確認し始める。
「ここは…クリスタル…か?」
『その問に答えるのであれば、否だ。ここは剣神が住まう場所等では無い。いわゆる、そなたの精神空間、と言った方が早いな』
「精神空間…まさか、スモークアイに頭ぶん殴られうんぬんの拍子に気ぃ失っちまったのが原因か…?」
『左様。加えるのであれば、それに力と記憶の解放が偶然にも重なったと言うのが、今の現状と言えよう』
夜叉王の言うところによると、気を失ったのが原因ではあるが、それと同時に力と記憶を取り戻す時期が来たのがもうひとつの原因であり、その条件が合致することによって精神空間での対話が可能になったとの事である。
「にしても、何で俺は別の世界に俺のままで居たんだ? グラディオもイグニスもプロンプトも、アーデンまで一緒にいるだなんてよ…」
『…それも踏まえ、我々が把握していることは全て教えよう。まずは状況を整理しなくては、本題にも入れぬのでな』
「なら、頼むわ。早めに動きてぇ所だが、何も知らないままじゃな」
『良かろう。
先ず、そなたの身に何が起こったのか、だが…。確かにあの時そなたの身も魂も消え、そなたの犠牲によって世界から闇は消し去られた…筈だった。
だが、何の因果か消えたと思われたそなたの魂は、姿形をそのままに別の世界へと行き着き、今に至るという訳だ』
「…てことは俺がルシスからハジメ達の世界に来た根本的な理由は分からない…てことか」
静かに首を縦に振る夜叉王は、『だが 』と言葉を続ける。
『何か意図的な力が加わっている、と言うのは確かだ。微かだが、何やらの力で無理やりあの世界に引きずり込まれた感覚があったのでな』
意図的な力。
その一言だけでこの出来事が偶然や確率で起きた事ではないことが証明される。寧ろ、偶然だと断定できる方がおかしい状況だ。
あの戦いにて命を失った者達と、それに付き従った者達が綺麗に同じ世界にちょうどいい年齢で過ごしてきたのも、当然のように一緒にいたのも、運命様のささやかな贈り物で済まされればそれで纏まるかもしれない。
だが、だとするのであれば突如としての転移はどう説明する? 戦争に巻き込まれることが贈り物とは大したものになる。
それになによりも、突如として現れたルシスからの使者とも取れるスモークアイが現れたのが何よりもの決定打だ。まるで、手を加えられた自分達が苦しむ姿を楽しむかのように…。
『続けるぞ。恐らくそなたは、なぜ我らもここに存在しているのかそして、なぜ力が再び使えるようになったかが知りたいであろう』
「まぁな。言っちゃなんだが、あんたらも俺が役目を終えると同時に消滅したはず…だが」
『ああ。だが我等は消えず、そなたの精神の内に宿り、王が真に覚醒するその時を待っていたのだ』
「我等? てことは他にも…?」
『あぁ。だが他の者達との対話はまたの機会にして欲しい。日を改めて言葉を重ねたいと言う者も居てな』
夜叉王は言葉を続ける。
『力が復活したのはそれ自体がそなたと深く結びついている為である。そして、何よりも歴代の王達が力の復活を望んだから…というのもある』
普通であれば酷な使命を背負わされ、命さえも捧げる事になってしまった者に望むべきことでは無いが、そうする事には何かしらの理由があるのだとこの場合は考える。実際、ノクティスもそうであると確信し、夜叉王もその通りに言葉を述べ始めた。
『我々も万能ではない。それ故に、確定された事実を述べることも、知る事も不可能だ。だが、そなたが別世界へと生をうけ、我々がそなたの中に宿ったという以上、そしてなによりも王の力がそなたから消えてなかったこと…。それら全てが、我々がそなたに力の完全復活を望む理由なのだ』
「…要するに何かが起こるからこうなったってのは胸張って言えるってことか…。結局振り出しじゃねぇか…。でも、望むってことは、きっとルシスを生き抜いてきたあんた達にとっても、俺達にとっても、打破すべきことが起きるってことなんだよな」
それを聞くと、どこか納得したような面持ちで、すっと足を立ち上がらせる。
「…一つ質問がある。この件に、六神は関わってると思うか?」
『…述べるのであれば、何かしらの形で干渉はしているだろう。でなければ、あの獣を説明する事が出来ぬ』
「…だろうな。俺は正直、エヒトってやつとグルなんじゃねぇかな…なんて気がしてきたわ。いや、流石に…
…ないで終わらせられねぇのがつれぇわ」
『…有り得ぬ話では無いのが恐ろしいな。特に2名程』
随分と自分達の世界を見守る立ち位置であった存在に手厳しい様子の2人。いや、他の歴代王達も同様だと彼は話した。
というのもなんも不思議なことは無く、エヒトの同胞の可能性が高いと思われる程に疑われる行いをした者が実際にいるのだから。
「なぁ、夜叉王」
『何用か。ノクティスよ』
「これって詰んでないか?」
『…何とも言えぬな。そなたの仲間達の中には話の通じぬ者が幾度となくおり、後ろ盾となっている組織の連中も信用がならぬ…。更にはルシスの化け物が乱入に加え、現在置かれている状態は救援が困難な何処か…。ルシスからの刺客とこの世界での刺客に用心しながら歩み続けなければならぬ…。
いや、訂正しよう。最早これ程までに最悪な状況は無いであろう』
「んだこのクソゲー。キングスナイトの劣化版なんてもんじゃねぇぞ全く」
『…そなた、まだあの遊戯を手放してなかったのか。ルシスの頃からそうであったな。試練の最中だと言うのにそのうんぬんナイトとやらの職業しかり素材しかりで訳の分からぬ御託を並べていつまでもいつまでも訳の分からぬ話を…』
「なんでそこまで言われなきゃなんねぇんだよ! てか何!? 見てたの!? 俺あんたに見られてた自覚ねぇんだけど!?」
本人達は漫才の如く言い争いを繰り広げているが、事態は発言通りかなりの悪状況である。下手に行動すれば、上げられるもの全てから狙われる可能性が高い。かつて水の都へ向かう道中よ時も、この様な状況になった事があったような気がする。
『…それはさておき、どう判断するノクティス・ルシス・チェラム。最悪な状況に変わりはないが、手はあるのか』
「別に、どんな状況であれやることは1つだ。ハジメを見つけて上のヤツらの所へ戻る。先ずはそうして準備を整える事だな」
『…上に戻ったところで、状況が変わるとは思えんぞ? むしろあのイシュタルとやらとで挟み撃ち等にされる危険性もあろう』
「…でもな、どっちみち何処を選ぼうがやべぇ時はやべぇだろうし。
何より、約束したからな。俺の手を取ってくれって。
姿をくらましたままどっか行ったなんて、そんな薄情な真似、出来っかよ。
まーそれに、俺はアイツらの初々しい物を最後まで見届けなきゃなんねーしな」
友人や後輩の晴れ舞台を見るまではどこも行けねぇよ。なんつってなと付け加え、膝に勢いを付けて立ち上がる。その眼は、かつての父親や恋人を失った時とは真反対の決意の固い眼だった。
『…成長したようだな。ルシスの頃であれば、仲間の指示を待つか立ちすくむだけだったと言うのに。色恋沙汰にも興味が無いようであったのに』
「うっせぇな! それなりに俺だって考えは変わんだよ!!」
夜叉王に対してツッコミを入れると同時に、ノクティスの身体がぽわぽわと光を出しながら輝いていく。
どうやら、現実世界での目覚めが近いようだ。
『…時間か。最後に伝えておこう。力が戻ったとはいえ、全ての力を一気に再生できた訳では無い。もしそうなっていれば、お主は負担に耐えれなかったであろうからな。戦いを続ける中で、かつての力までに戻るであろう』
「…まじかよ。俺TUEEEEが出来ねぇとか…。異世界っつったら定番だろが…」
『…良いか。ノクティスよ。』
「あ、無視なんだな」
『これは、聖石からの掲示でも、我々からの指示でもない。ただひたすらにそなたは、己の描いた未来を手に掴むために尽力せよ。それが、新たな世界でのそなたの目標となろう』
「…元よりそのつもりだわ。寧ろ、アンタがそれを言うと違和感しかねぇけどな」
その言葉に夜叉王は苦笑するように肩を震わせた。
そして、その言葉がトリガーになったのか、頼みがある、とノクティスに伝える。
『どうかーーを、よろしく頼む…』
「…あんたは反抗期の子持ちかよ…。俺たちの問題は俺達が解決するけどよ…。あんたも自分の問題は片付けられるように整えとけよ」
夜叉王は小さく感謝すると口にし、今度こそ意識が完全に戻る頃であるノクティスは、粒子となって舞い上がっていった。
『…願わくば、そなたにも添い遂げる者との物語があらんことを』
「…ん…」
深い深い闇から這い上がるような感覚とともに、ノクティスはその眼をパチリと音が聞こえてきそうな程に直ぐ様開ける。すると、目の前にはベヒモス階や、トラップ階よりも真っ暗な世界が広がっていた。
「戻ってきたか…。にしても、い、たくない? あれほど衝撃があったにも関わらず、時間が経っているとはいえこんなにも回復してるもんなのか…?」
ならなぜ、と思考を巡らせることは出来なかった。
魔物が出たわけでもなく、誰かと再会した訳でもない。ただ1つ、有り得る可能性が低い事が嗅覚を通して伝わったからである。
鼻をくすぐるような美味溢れる匂い、即ち料理。そのような匂いが漂ってきた。
「…こんな所でなんで料理の匂いが…」
「ふむ、目覚めたか。いつもいつも心配ばかりかけさせるなお前は」
「っ!?」
その匂いを頼りにしていると、更にありえない声が聞こえ、その匂いと声の発生源であろう背後を振り返る。
そこには、彼が目的の1つとして掲げた物のうちの1つが、少し潤みを見せながらこちらを凝視している者がいた。
「約束通り、お前の手を離すことなく助けることができた。今度こそ、いや、今度は真にお前を支え抜く事を改めて誓おう。ノクト」
「お前…やっぱり1番情熱的なのはお前だろ絶対…
イグニス」
王の軍師が、彼の手を取った。
如何でしたか。
ということで、同行人はイグニスでした。まぁ、手をとる発言からもう決まってたんですが…。次回は何故イグニスがここに来たのかが明らかになります。
歴代王についてですが、親父はハジメ達の世界線は普通の父親していて、ルシス側の方はちゃんといます。ちょいとめんどくさい感じにしてしまった…。
まぁ、会話が無かったのは多めに見ていただけると…。
話を進めると何かしらイベントがあるので((((;゚Д゚))))
あと、イグニスの料理についてですが、ステータスプレートにてまぁ、ある意味1番チートな能力を持っておられるので、食料には困らないかと…。
では、また次回。
番外編で、転生後のルシスの皆とヒロイン達の出会い(+α)を書こうと思っていますが、特に見たいのは誰でしょうか。人気順に書いていこうかなと思います。
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プロンプト×優花
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グラディオラス×雫
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イグニス×愛子
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アーデン×恵里
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