純白の空に緑のy軸が突き抜ける。
どうやら夢を見ているようだ。
とても居心地が良い。空も飛べる。
体がフワッと浮き上がり、天高く舞い上がる。
どこからが天でどこからが地なのか、デカルト座標の世界ではそのような境界は存在しない。
何処かを原点と定めない限り、座標は打てない。
暫くこの純白の、汚れ一つない世界を楽しんでから、俺はここを原点とすることに決めた。
緑の3本の軸が、手の元に集結する。
幅、奥行き、高さの3つの要素の再決定。
遊覧飛行を楽しみながら、単位をcmに設定。
5メモリに1つの間隔で、少し大きなメモリを振る。10進法で、5の倍数のメモリにはそれぞれ数字を振ってゆく。
物理量を導入したから、実際に物質を出現させる。鉄を100g。常温(300k)で出現せよ。
ポン!と鉄の塊が現れる。重さは感じられない。
無重力だからだろうか?
ならばもう一つ。地球を出現させよ。
緑は要らない。雪山でいい、生命体は必要ない。
太陽も要らない。
地球内部を高温にすればそれで良い。
地球表面の重力加速度を9.8m/s²になるように調整して、地球をポンと出現させた。
突然できた地球もどきの惑星。
俺は成層圏に独り、浮いていた。
純白の星一つない宇宙。
高尚なる天空からの眺め。
眼下に広がるは青い大海。
大陸には雪化粧をした山々が連なっている。
この作り物の地球には、
オゾン層どころか大気すら無い。
生命は他に居ない。たった一人、自分だけ。
でも息ができる。何一つ不自由な事はない。
地球の重力に捉えられ、少しずつ落ちてゆく。
でも何も怖くない。ここは夢の世界だから。
終端速度に達した時、ふと思いつく。
一人で飛ぶのも良いけど、やっぱり仲間が欲しい。ほら、宇宙船とか憧れなんだよねぇ。
一人乗りの小型の宇宙船。小型の水素/酸素スラスターを4基搭載。コクピットは単座、強化プラスチックで3面が覆われていて視界がよく効く物を。
一度落下を辞めてから宇宙船を呼び出す。
黒塗りの機体。近未来的なデザイン。
宇宙船が重力に引かれて落ちる前に、コクピットハッチを開け、操縦席に座る。
シートベルトを閉めたら、自動的にエンジンが掛かった。コクピット内の電子機器が一斉に点灯する。
暗がりを照らすには十分な光量だった。
操縦桿を握るとロケットエンジンが勝手に点火され、フワッと浮き上がるような感覚がした。
地球に向けて突っ込んでいる。
操縦桿を倒すと機体の制御が出来た。
突入角度を滑らかに。時速は2000kmをとっくに越えている。ここまで来たなら最高速度突破チャレンジだ。
エンジンのノズルを最大限まで開き、最高の推進力を。惑星に向けて急降下する。機体は全くガタつかない。優秀な機体だ。俺は過去1でいい夢を見てる。いつもならここら辺でガタが出始めるのだが。
高度が十分下がったら減速。
地表スレスレを時速300kmくらいで飛行する。
山岳地帯に差し掛かる。ここからが腕の見せ所だ。
大渓谷の中をぶつかるギリギリで飛行する。
ヒヤヒヤしながらも渓谷を通過した。
満足したので近くの山頂に着陸。砂埃を巻き上げながら、機体は分厚い雪の上に降り立った。
コクピットを開けて外に出る。
地面には降りず、機体の上に腰掛けた。
白と黒のコントラストが良い味出してる。
景色も最高。北欧の山々に近い何かを感じる。
そのまま機体に寝っ転がった。
しかし、不運にも足を滑らせる!
ヤベッ!
必死の抵抗。機体に捕まろうと手を伸ばすも、
その望みは叶わない。
いでッ!
意識が現実に引き戻された。
ベッドから落ちていた。
落下の衝撃で目が覚めたらしい。
ぐぬぬ、悔しい。儚い夢だ。
しかし俺は気持ちを切り替えて、
何時ものルーティンに戻る事にした。