とある科学の肉体支配   作:てふてふちょーちょ

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最近ツイッター始めました。なので『この垣根ハーメルンで見た!』とか『この絵柄ハーメルンで見た!』って思ったら本人です。


121話:前線へ

白く美しい怪物が言った。

ロシアへ行けと。

 

世界で最も広い国。日本列島の少し上にあるその大国は、寒く、閉塞的。

どこか寂しげなあの白い女の背中を思い出しながら、一方通行はギュッと腕の中で眠る柔らかい子供を抱きしめる。

熱と荒い呼吸。一目見て異常と分かる真っ赤な顔の少女は、薄らと目を開けて体を温めるコートを握った。

 

「ココ、どこ?って、ミサカはミサカはあたりを見渡してみたり……」

 

「列車の中だ」

 

ふにゃふにゃと寝ぼけ眼で打ち止めは一方通行の腕を枕に辺りを見渡す。

ガタンゴトンと心音のように規則正しく走る列車の中、息を潜んで二人は隠れる。連れ出した打ち止めの荒い呼吸が狭い列車の中で響いていた。

 

どうしてこんなことになったのだろう。

あの白い化物の言葉に彼女の様子を見にきたらこうだった。高熱、咳、意識障害。

言われるがままロシアへときた。何が起こっているのか、どうしてこうなっているのか、何もかも分からない。

 

ただ一つの希望に縋ってここにいた。

全てを癒す、偽善的な悪魔を追い求めて

 

「っふふ。やっと、久しぶりにアナタの顔が見れた」

 

酷く辛そうな顔を浮かべて打ち止めは小さな手を伸ばす。熱で赤くなった頬と息継ぎの多い声色、どうみても苦しいだろうに、打ち止めは真っ先に一方通行に手を伸ばした。

その想いが、その熱が、一方通行の奥底に眠る感情に火をつける。

 

どうしてコイツがこんな目に。

どうしてコイツなんだ。

どうして。

どうして。

どうして。

どうして。

 

綺麗とは言い難い感情。

忌々しい科学に対する憎悪。

ぶつける先のない憐れみ。

愛しいものが壊れる恐怖。

 

この世界全てが憎悪の対象だった。

小さく揺らいでいた憎しみの炎、頬を触る少女の姿に薪をくべて増幅する。

強く抱きしめた少女の体温に炎が広がった。

 

 

その炎に勘づいたように、唐突な金属音が列車の天井から不意に聞こえる。

誰かの足音、それも複数。

乱暴な足音の目的は、すぐに分かる。

 

「追って来たか」

 

列車の上に何かが飛び乗った音だった。列車を揺らし、天井を凹ませたそれらは、どう考えても偶然なんかではなく必然。

学園都市から脱出した第一位を連れ戻しに現れたと考えるのが自然だ。

 

「またあんな風に喧嘩したり、しないでね、ってミサカはミサカは聞いてみる」

 

「……あぁ、約束する」

 

優しく打ち止めを膝から下ろすと、忌々しい音の場所へと視線を向ける。

彼女をまっすぐ見れなかった。

 

心配そうな目付きが腹立たしい。

心配される立場はそっちであって、一方通行じゃない。

己を一番に考えず、好意に値しない悪党の心配を真っ先にする彼女が、本当に腹立たしかった。

 

「ゴミクズどもが、俺の癇に障ってんじゃねェーよ」

 

その純粋な瞳から逃げるように車両から飛び出て屋根へと上る。

現れた白い戦闘服に身を包んだ追っ手の前で、唸るように吐き捨てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰かの声が石を敷きつめた古い大きな建物に響く。通話でもしているのか、男は開いた本の前で誰かに話しかけるように呟いた。

 

『ここは空間だ。座標と容積、その両方が重要ってわけだ。俺様にとって、ここはモスクワより重要なんだ。プロジェクトベツレヘムという観点から考えればな』

 

豪華なテーブルと椅子で、赤毛の男は不敵に笑いながら背もたれに深く体を預ける。切れ長の金色の目が見晴らしの良い景色を見下ろすと、鼻で笑って開いた本に視線を向けた。

誰かに聞かせるかのように語りかける内容はあまり要領を得ない。自信に溢れた言葉がいちいちに癪に触る。

 

『さっさと調査結果を出せ。お前だって司教のままで終わるつもりはないんだろ?』

 

口ぶりからして、話し相手はロシア司教、教会の中でも上の立場の相手のよう。

しかし彼の酷く不遜で上からの態度は目上と喋っているように感じさせない。

 

『そう、そうだ、良い子だ。エリザリーナ独立国同盟か。確かに、それではロシア国内を探し回ってもサーシャ=クロイツェフを見つけられなかったわけだ』

 

不敵に笑うと、満足げに本を閉じて彼は席を離れる。冷気を送る外へ静かに飛び立つと、静かな建物で足音が響いた。

 

「いまなら行けたのに……!」

 

「落ち着けって」

 

男、フィアンマが消えた吹き抜けの二階を、下の柱から見つめていた上条と垣根がちらっと顔をだす。

今にも突撃しそうな上条の首根っこを掴んで制止させて、垣根たちはフィアンマが消えていった空を見つめていた。今行けば何かできたかもしれない、そう信じる上条を引き止めるのは少々骨が折れる。

 

列車から降りて、ついた先。

たどり着いた広い軍事施設を適当に順路に沿って歩いていたら、()()ラスボスの謎の会話を目撃してしまった。

そう偶然、あくまでも偶然。

 

「アイツが何か隠し球でも持ってたらどうする?とりあえず今はその独立国とやらに行って、話をする方がいいんじゃないか?」

 

「……なんか、落ち着いてんな、お前」

 

「だてに修羅場くぐって来てねぇよ。罠であれなんであれ、相手の基地(ホームグラウンド)で喧嘩をふっかけるのは得策とは言い難い。味方をつけてから殴りに行け」

 

物語の道筋を知る垣根にとっては必然だったが、それでも偶然というていで話を進める。今はいないレッサーの代わりを務めるために。

とはいえ垣根本人も別に嫌々物語に沿っているわけではない。腹立たしい()()を知ってしまった彼は慎重にならざるを得なかった。

 

準備もなしにフィアンマに勝てるとは思えず、現状使える策もない。というか、そもそも垣根の目的は別であるためあまり茶々は入れたくなかった。

ここで喧嘩を吹っかけて、万が一負けたらどうする。死んでしまったらどうする。

誰があの子を迎えに行く。あの世界一孤独な子供を、彼以外の誰が迎えに行くというのだ。

 

「お前がいると、なんか心強いわ」

 

「うわ、きっしょ。だから彼女できねぇんだよ」

 

「ひでぇー!褒めてんのに!あとそれは関係ねぇ!!!」

 

軽口を叩きながら、彼らはしっかりとした足取りで向かう

エリザリーナ独立国同盟。フィアンマが呟いたその場所へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなところで油売ってるわけにはいかないんだけどな」

 

寒々しい雪景色が広がる土地。眩しい雪景色に目が眩む。足元においた鞄も、靴も濡れ、少し不快だった。

小さな集落に車を預け、しばらくぶりに体に外気が触れる。涼しさよりも、今は内臓の痛みの方が酷い。

それでも動くために50は少しばかりの休息を過ごしていた。

 

「本当に医者に行かなくていいのか?薬草くらいなら出せると思うが」

 

「持病の原因くらいわかってる。治すすべはここにはねぇよ」

 

適当な柵に背を預けて白い空を眺めていると、ここまで連れてきた胡散臭いロシア人が困ったように隣へと歩いてくる。

ガソリンの匂いをつけて歩いてきたその男は50の熱っぽい顔に診療所を案内したくも、頑なに拒絶されほとほと困っていた。

 

「しかし、それだと私たちがもらいすぎだ。何かお返しを」

 

「これが俺の神様の教えなんだよ」

 

「神……?」

 

車の燃料なんてものを貰い、彼は50に恩がある。だからこそ平気か否か何度も尋ねる。

しかし意味はなかった。

恵みを与え、見返りはもらわない。それが彼の主人の考えであり、それに従っているだけのこと。

 

不思議そうな男を尻目に、雲行きの怪しい空を見上げる。

ここで道草を食っている暇はない。エリザリーナ独立国同盟とやらまで行って、彼女を治癒してもらうのがこの旅の目的。

ここにいてはダメだというのに、律儀に主人のを守ってしまう。そういう思考回路しかない。

 

犬として合格なのだろうか。いや、彼はカブトムシだが。

もやもやとした感情が満ちては引いて、波のように押し寄せる。なんだか痛まないはずの心臓が痛かった。

 

「ママ!アリス!アリスがいるよ!」

 

「……あ?」

 

雪を踏む足音と、誰かの声に思考が中断する。柔らかな少女の声が真っ白な雪に響いた。

あまりにも突拍子もない声に驚き、ふと視線を移す。

そこにいたのはなんの変哲もないただの子供。キラキラした瞳で美しい乙女を見る、ただの夢見がちな少女だった。

 

「コ、コラ!!静かに!」

 

「でも、ママ!」

 

「やめなさいっ!」

 

輝く瞳で青いワンピースと白いエプロンを着た有名なキャラクターの名を呼ぶ。母親と思しき女性に手を引っ張られ、制され、それでも名残惜しそうにこの体を見ていた。

一体何だったんだと一瞬疑問が浮かぶも、現在の見た目を思い出すとすぐに理解する。

 

踝に届く長い金髪、儚い顔と、赤い目。

見た目はお姫様そのもの。

しかも着ているのは上品な水色のワンピース、白いエプロン。物語に出てくる少女アリスを彷彿とさせる格好に、少女はえらく興奮していた。

 

「アリスねぇ……そんな可愛い存在か?」

 

「仲間が失礼をした。すまない、気にしないでくれ」

 

血相を変えた母親に連れていかれた少女の後ろ姿を見つめ、ぼんやりとしていると申し訳なさそうに男が謝る。

謝るようなことをされた記憶はないが、少女の母親の行動は少し不審だ。

 

はたから見たらただの金髪の外人、しかも会話にロシア語を使っているからロシア人と思われてもおかしくない見た目だというのに、なぜ未知の生き物を見たような仕草をするのか。

赤い目が気に入らないのか、それとも身長か、いまいち分からなかった。

 

「ずいぶんピリピリしてんな。同胞と思しき女をあんな目で見るなんて只事じゃねぇな」

 

「……第三次世界大戦が始まる前からここはきな臭い場所でな。余所モンは目ぇつけられやすいんだ」

 

「ふーん……日本でも田舎は開発に潰されることが多いしな、理屈は分からんでもない」

 

子供がつけた足跡と、静かな集落の異様な空気。この異質な集落にいるのは少し肩身がせまい。

カブトムシでも分かる嫌な雰囲気は田舎特有のものかと思ったが、どうやらワケありのよう。

共産主義で、喧嘩っ早い国、学園都市との戦争が間近で、内政はずっとギクシャクしている。

 

「すぐ近くに独立同盟の国境があるだろう。ロシア軍はここを潰して前線基地を作りたいのさ。独立同盟からの侵略行為を阻止するためなんて名目で、輸送機から大量の地雷をばら撒かれたりもしているくらいだ」

 

「地雷?そんなとこに住んでて平気なのかよ」

 

「なぁに、ポイントシールみたいなもんだ。回収してNGOに渡すと、食料や物資と交換してくれる────ッ!?」

 

たくましくも辛そうに笑った男の笑みを消すように、大きな音が地鳴りのように雪景色に響く。遠くから感じる火薬の匂いと、木々が焼ける匂い。

爆発。

発火。

襲撃。

色々な単語が50の頭を巡る。この体の安全が保たれない場所であるなら、ここから一刻も早く立ち去らなくてはならない。

柵から離れた彼女の瞳越しに50は見る。黒い煙が空に登る遠い景色を。

 

「どうやらまずいことになった。プライベーティアだ」

 

「プライ……?」

 

「公認の山賊みたいなもんさ、ロシア軍に存在する空白の部隊だが、正式要員は0、軍人崩れのゴロツキを雇い入れた、汚れ仕事専門の部隊だよ」

 

大きな爆発だったと言うのに、男は余裕そうにその景色を眺める。ため息交じりに呟いて、対岸の火事とでもいうような姿がなんだか違和感を覚えさせる。

 

「ここを消しに来たのか」

 

「あぁ、この戦争を機にここを更地にするつもりなんだよ」

 

「それにしては随分余裕だな。逃げる当てがあんのか?」

 

「いいや、ない。車を動かす燃料がないからな、どうにもできない」

 

余裕と感じたのは諦めだった。これからの死を回避することを諦めた男の哀れな声。

気が立った母親も、脅迫まがいとはいえなんだかんだこの体を心配する男も、アリスと喜んだ少女も、一緒に暮らした集落も、全て失うことを受け入れている。

そんな声。

 

死を受け入れるにはステップがある。

死の受容、キューブラーロスが提唱した死を受容するに至る五つのステップ。

否認、怒り、取引、抑うつ、受容の五つ。

彼らはここに住むだけでそのステップのさらに先、諦めまでたどり着いていた。

それが心理的におかしい状態なのは、さすがにカブトムシといえどわかっていた。

 

服の姿をした未元物質の中からメモを取り出す。頭の中でその短い言葉を反芻して、考えて、顔をあげる。

 

『人を助けなさい』

 

神の言葉を綴ったメモ。

その重みは聖書と同じ。

 

「おい、どこ行くんだ嬢ちゃん!」

 

「俺のマスターを『可愛い』なんて褒められちまったら、犬としては応えなきゃダメだよな?」

 

車のキーを男に投げつけ、煙舞う空へ足を一歩、一歩と出す。

この体一つ守れないなんて、きっと彼女につまらない男と罵られる。そんなこと耐えられない。

完璧で、誰よりも強い騎士だと知っていてほしい。

 

全て守りきって、目的地までたどり着けば、あの女を見返せる。さらに必要としてくれる。

オリジナルよりもいい男だと見せつける。

それが彼の思考回路。弄られた思い。

 

結局、彼もただの虫だった。

寄生蜂に脳を乗っ取られ食い破られ、養分を吸われ生き絶える。

彼も同じ。

恐ろしい女に思考を犯され、都合のいい駒になってしまう。

 

「これも天啓か。この天使様が、哀れな他人のために天罰を下してやるよ」

 

どろり。

青いスカートに手を入れて、真っ白な足から銀色を取り出す。広げた六枚の白い翼が、雪の光を反射して輝く。

権力の象徴を手にして、50は女の声を吐き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終点。停まった列車から暖かい子供を抱きかかえて降りると、寒さが鼻をツーンと痛める。

強く少女を抱いて温めながら、崩壊した基地の燃える建物と、煙の臭さを横目に雪の上を歩く。

 

「一足先に襲われてやがる……目的はこれか?」

 

降り立ったロシア軍の基地は壊滅状態。

人がいない廃墟と化した軍事基地をここまで徹底的に潰せるのは学園都市しかおらず、簡単に目星がつく。

理由は何か。

ロシアとの戦争だけじゃない、きっと一方通行の服の中に入れた紙も関係あるのだろう。

 

「この俺の回収任務と同レベルの作戦……なんかあると思って終着点まできたはいいが、このザマか」

 

ショート丈の白いコートから取り出したのは一枚の羊皮紙。

見たこともない不思議な文字の羅列と図形が描かれたその紙は、先ほど打ちのめした追っ手から取り上げたもの。

 

何か禍々しさを感じる一枚の紙を見つめ、再びコートの内ポケットへとしまい込む。何か役に立つかと思って持ってきたが、そこまででもなさそうだ。

 

「止まれ!学園都市か!?」

 

ざっと誰かが雪を踏む。突然呼び止めた黒いローブを羽織った怪しい集団が一方通行の前に立ち塞がる。

面妖な杖を握って顔を隠す、まるで御伽噺に出てくる占い師のような格好の集団が敵意をむき出しに声を荒らげて杖を向ける。

 

攻撃される。

そうと分かれば話は簡単だった。

 

「あぁん?そういうお前の方こそ、この基地を襲った連中じゃねぇのか?」

 

首に繋がれた演算装置の電源を入れるのを合図に敵が杖を振り、彼らの身振りに合わせ生きた虫のように雪が宙へ浮かんだ。

雪を操る能力者、または技術か。一方通行へと放たれた雪に深く息を吐いた。

 

ただの雪、雪合戦でも行うのかと拍子抜けし、子供のような攻撃をいつものように反射する。白い雪は砕け散り、水となる。

はずだった。

 

雪は解けることなく光となった。スターダストと呼ぶにふさわしいただの光に変わり、水分も何もない。

おかしい。

既存の物理法則が当てはまらない。

 

考える必要がある。片足で地面を蹴り飛ばし、人を飲み込む雪崩を生み出す。

生き埋めにでもしてから考えよう。敵を粉砕してから考えても遅くはない。

 

現時点で一番大事なのは腕の中の打ち止めのみ。

目の前の邪魔な壁は真っさらな雪で覆い隠すに限る。

 

「めんどくせぇ……あ?」

 

再び静かになった雪景色の中、風を切り、何か大きな気配を感じる。

轟く戦闘機の音、頭上を通る鉄の塊。

学園都市製と思しき戦闘機から誰かが落ちる。それはハンググライダーの翼を広げ、風に乗って降下する。

白いボディスーツを着たそれは、縁を描くように回遊して滑空するも、一方通行を狙っているのが丸わかりだった。

 

雪を蹴って翼を壊す。穴の空いた翼では空は飛べず、生身の体が地面へと落下した。

嫌な光景が来ると、ほんの少しだけ目を薄める。赤くなる雪に身構え、手を握る。

 

通常ならば、地面へとぶつかり白を赤へ染めるのかもしれない。

しかしそいつは違かった。

視力を奪うほど眩しい雷が目の前に落ちる。落ちる体に掛かる力を雷で相殺し、それは難なく地上に降り立った。

 

「……誰だ?」

 

雷。その雷に喉の奥がぞわぞわと縮み、一つの考えが脳裏に張り付く。

知っている。本当は聞かなくたってわかっている。

電気を操るその人の名を。

 

第三次製造計画(サードシーズン)って言えばミサカの事はわかるかな?」

 

その予感は的中する。

 

ミサカ。

御坂美琴。

超能力者第三位。最強の電撃使い。

妹達のモデル。

殺した一万ものクローン。まだ辛うじて生きる一万のクローン。

 

「ミサカは戦争の行方なんか興味ない、そういう風なオーダーはインプットされていない」

 

白い仮面をつけた少女が吐き捨てるように笑う。

 

「ミサカの目的は第一位の抹殺のみ。ミサカはそのために、そのためだけに培養液から取り出されて来たんだからね」

 

大切な少女の生き写しが立ちはだかる。

最強の怪物を殺しに。

 




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