とある科学の肉体支配   作:てふてふちょーちょ

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短いよ


15話:夜の病院

完全下校時刻もとっくに過ぎた深夜のこと、垣根は病院に向かっていた。

それは天羽の一言のせい。追い討ちのようにきたお誘いのメールもあって、好奇心が抑えられなかった。

 

『もし来るのなら緊急外来の入口から来てね』

 

そう書かれた携帯の画面に舌打ちをすると病院の裏手に移動する。わざわざ緊急外来の入口と指定してくる辺り、なにかあるのだろう。

 

(一体何を企んでいる?)

 

彼女の言動はたまに予想ができなくなる。なんでも知っているようで、かと思えば違って。

それもまた彼女を信頼していない理由のひとつ。この呼び出しだって罠かもしれない。

それでもここにいるのは、面白そうだから。ただそれだけ。

 

チカチカと非常灯が灯る外来入口に向かい、中に入ろうと手をかける。音のない深夜、聞こえるのは垣根の呼吸だけ。

そのはずだというのに。ガラスの扉に二つの光が反射する。

車のヘッドライト。ブレーキ音とタイヤが軋む音。

 

「君は……第ニ位……?」

 

「あ?木山春生か……御坂美琴も……」

 

ぱっと後ろを振り向くと、そこには青いスポーツカーから下りてきた二人の人影があるのに気づく。

スーツを着た女、木山春生と中学生らしい私服の第三位。互いに出会わないはずの存在に驚きつつも、全員口を閉ざす。

疑惑ばかりで、相手の顔を伺うばかり。

 

垣根に関しては、別のところに関心が向いていた。

御坂たちと会わせるのが天羽の目的なのか。しかし、木山と御坂の距離感をみるに、どうやらこの光景が偶発的のよう。

ますます天羽への疑惑が増す。

 

「……着いてきてくれ」

 

静かな空気に終止符を打ったのは木山だった。垣根の前を過ぎて緊急外来の入口を開け、彼女は二人の学生に目を配る。

疑問は多くあった。なぜここに、どうしてここに。

けれど質問をする気にはなれない。

 

暗い病院に入り、エレベーターで地下へ。

気まずい沈黙の中、音を立ててエレベーターが目的の階へつくとゆっくりと扉が開く。

 

「私の、教え子たちだ」

 

エレベーターを降りた先にはガラスで隔離された小部屋があった。十人ほどの少年少女が真っ白な明るい部屋の中、音も立てずに眠りにつく。

安らかとは言いずらいその無機質な部屋と、患者のような子供たち。

嫌な想像が膨らむのは当然のこと。

 

「やっぱり、ポルターガイストを起こしていたのはアンタなのね」

 

「そうだ」

 

御坂の言葉に木山は静かに頷く。

垣根の予測通り、元凶は木山春生で正解だった。

 

しかしまだ疑問が残る。

 

幻想御手(レベルアッパー)の際、木山はあくまでも「生徒を助けるため」にと事件を起こした。そう話していた。

狂気に走った生徒思いの教員が、助けたかった生徒を実験に使うだろうか。文字通り、彼女の人生全てを賭けてまでやったというのに。

 

「けど、それには複雑な事情があってね」

 

その疑問に答えるように男が返事をした。知っている声色にまた勘が当たる。

ガラスの部屋の隣にあった小部屋。そこから現れたのはカエル顔の医者、そして垣根のお目当てである天羽本人だった。

 

「電撃の使用は控えてね?病院だからさ」

 

「やっぱお前も絡んでたか」

 

「そりゃ、うちの先生の病院ですから。弟子が共犯なのは当たり前っしょ?」

 

いつものムカつく笑みを浮かべ、口元で指を交差させると今にも攻撃しそうな第三位を少し咎める。真っ暗な部屋、子供たちが眠る部屋だけが唯一の光源の冷たい部屋。その暗がりの中でも彼女の金髪は鮮やかだった。

 

「いったい、何がどうなってるのよ!」

 

「木原幻生、彼が全ての始まりなんだね」

 

責めるような声に、カエル顔の医者は答えた。

それは人の名前。垣根もよく知る、裏じゃ有名な年寄りの名前。

いわゆるマッドサイエンティストというもの。木原の名を持つ、頭のイカれた科学者たちの一人。

その名前が出たという時点で、もうこの実験の答えは出ているも同じだった。

 

絶対能力者(レベル6)、神ならぬ身にて天上の意思に辿りつくもの、通称SYSTEM」

 

突拍子もなく告げたその言葉の羅列は、天羽が知っていていいものではない。その言葉を、その存在をよく知っている者としては理解できないことが酷く羨ましく思える。

何も知らない、何も分からない、無知であることがどんなに楽な事か。

 

学園都市の最終目標。絶対能力者(レベル6)

この街の科学者が躍起になって追い求めるそれは、垣根にとってはひどく腹立つもの。

神に到達したい科学者たちの一番のモルモットは何やらクローンを殺しているという噂。

そしてそのスペアは他ならぬ垣根自身。

 

その言葉を聞くのは酷く忌々しい。

 

絶対能力者(レベル6)……?」

 

「この街の存在理由、目的、目標。絶対能力者(レベル6)ってのはこの街の研究者の最終目標ってやつなんだよ」

 

「まぁ、そうだな」

 

「そしてそれは木原幻生とて同じ。人間程度が神に届くと本気で信じている哀れな男」

 

その事実を知っているかのように天羽は言葉を続ける。

彼女の口振りはどこまでも傲慢で、どこまでも力強く、どこまでも気味の悪いものだった。

 

たまに彼女が人間以外の何かに見える。

その傲慢さ、神かのような目線と態度、異常な慈愛の心、かと思えば自分自身に興味がない。

その思考が、態度が、違和感を感じさせた。冒涜的で、奇妙で、気味の悪い何か。その性格はこの女の本質としか思えなかった。

 

例えこの女が全てを知っていても、知らなくても、きっと元よりそういう性格だったのだ。

 

その考えに吐き気を催す。名状しがたい感覚と、慄然たる考え。

この女は本当に人間なのか。

まるで何か得体の知れない生命体のよう。

 

「そして彼は調べ、考え、見つけた。暴走能力者の脳内では通常とは異なるシグナル伝達回路が形成され、各神経伝達物質、様々なホルモンが異常分泌されることを」

 

悪魔のような笑み。それはいつも見る彼女からは到底考えられない笑みだった。

 

「それらの分泌物質を採取して凝縮生成したもの、能力体結晶を生み出した」

 

善性と魔性、二つを持ち合わせた微笑みが子供たちの部屋のガラスに映る。

やっとこの女の底を掴みそうだったというのに。やっと理解ができるところだったというのに。

今の彼女は垣根の知っているものと真逆だ。

正解が遠のいていく。

 

「能力者にそれを投与すると絶対能力者(レベル6)が生み出せる。そう思ってモルモットに与えたの」

 

怒りも愉悦も何もかも混ざったような声色だった。

 

「それに意識障害などの副作用があることを知っていても。それでも彼は実験をした。何人もの犠牲者を出して」

 

そう答えると少しだけ怒気を含んだ声に変わる。

 

「あの事件に関わり、事の経緯を天羽くんから聞き、そして確信した。木山くんが救おうとしていた置き去り(チャイルドエラー)が能力体結晶の実験台にされたんだってね」

 

「あの時君達に話した暴走能力の法則解析用誘爆実験すらも方弁だったんだ。あれは能力体結晶の投与実験だった」

 

唇を強く噛んで呻きのような低い声が静かな部屋に木霊した。

彼女らの話は学園都市のことを考えれば有り得る話だった。というより、有り得ることだと感じさせるほどにはこの街はネジが一本どころか何本も外れている。

醜い都市の醜い現実。それ以上でもそれ以下でもない。

 

「そんな、絶対能力者(レベル6)なんて取っ掛りも見つかってないようなもののために……?」

 

その現実に少女は理解が追いつかなかった。

 

「そんなイカれた実験のせいで、この子達はこんなにされたっていうの?」

 

蚊のような細い声。

しかし、その声は一人の女に殺される。それが常識だと言わんばかりにその女は淡々と現実を突きつけた。

 

「だって、この世界の全てはこの学園の研究者にとってはモルモット、ただのネズミ。それでも彼らにも正義があってそれをしている。それに変わりはない」

 

「……肯定するっての?」

 

「事実だもん。誰かの正義のため、誰かが不幸になるって当たり前じゃない?」

 

正義。

 

それが天羽彗糸を構成する。

自身が正義の名の下で妹とやらを助けるために全てを賭けた彼女には、それしか残らなかった。

それだけが彼女の誇りで、精神を繋ぎ止めるもの。

正義を成す妹が居なくなった今、彼女はそれを他人に押し付ける。

 

彼女にとって正義を成すものなら、彼女は助力を惜しまない。たとえそれが悪党だとしても。

 

虫唾が走る。

 

「僕にできるのは医者としてこの子達を救うことだけだ。幸い、全員を集めるのに時間はかからなかった。僕はこの街では多少顔が利くからね」

 

カエル顔の医者がコホンと咳払いをして話を遮った。

乾いた空気で火花を散らす御坂と天羽に軽く目配せをして言葉を続けると、眠る子供たちに視線を向ける。

安らかとは言えない機械ばかりの部屋。そこで眠る子供達。

医者としては不甲斐ないのだろう、カエル顔の医者は少しだけ複雑な笑みを浮かべていた。

 

「あとは目覚めさせるために専門家の話が聞きたくてね」

 

「あたしが呼んだってわけ。ま、いずれ連れ出す手筈だったから早くなっただけだけどね」

 

してやったりとピースをして見せてくる天羽の不愉快な面に垣根の中で苛立ちが増す。ガラスにもたれる彼女に近づくと、七センチの差で見下ろして乱暴に髪を掴む。

無理やり合わせた目線。つま先で立つと垣根とほぼ同じ、あるいは数センチ上か。

きつい体勢だというのに、彼女はニコニコとムカつく笑みを浮かべていた。

 

「テメェに一体なんの権限があってそんな芸当出来んだよ」

 

「それは秘密ってやつだよ、垣根くん」

 

笑顔でしーっと指を口に当てて、何も聞くなとその薄気味悪い目で訴える。

それ以上は喋らない、そういう意味だと垣根はよく知っている。そして彼女ならば絶対に喋らないことも。

少し舌打ちをして手を離すと、彼女は乱れた髪を整え始めた。呼吸も乱れず、精神も乱れず、気にするのは崩れた前髪。

異様だった。

 

「無理を言ったのは私の方だ。あなた方には感謝している。ここの設備を使えたおかげでこの子達を目覚めさせる目処が着いた」

 

「じゃあ助かるの?」

 

「いや、別の問題が発生したんだね」

 

顔を伏せ、苦しそうに医者は子供達を眺める。その先の答えは予想できた。

 

「能力の暴走か」

 

「そゆこと。そしてRSPK症候群の同時多発を引き起こした。知ってる通り、ね」

 

複雑な表情を浮かべる医者たちが口を開く。

 

「彼の研究は進んでいた。僕の知っていた能力体結晶ではポルターガイストなど起こるはずがなかったんだよ」

 

「だが、改良を重ねた能力体結晶はこの子達を眠りながらにして暴走能力者にしてしまった」

 

「じゃあこの子達が目を覚まそうとすると」

 

「ポルターガイストが起こる」

 

子供を起こすとポルターガイストが起きる。

選択肢は二つ。

起こして学園都市を海に沈めるか、永遠に子供たちを起こさないか。

 

なんとも残酷で皮肉なことか。

学園都市らしい闇、腹立たしい悲惨な実態は嫌な悲劇を思い出させる。

 

「なにか、方法はないの?」

 

「テメェなら何とかできるんじゃねぇの?」

 

「買い被りすぎだよ、垣根くん。少しだけ電気信号を操って細胞の活性化が促せるだけのあたしじゃ手も足も出ないよ」

 

残念そうに、悔しがりながら声を絞り出す。でもどこか無機質で、その声が本当の感情なのか推し量れない。

まるで演技をしているような、そんな声色。そんな表情。

 

「それに例え肉体を構成する全てを操れたとしても、一度に異常分泌する全てのホルモン、神経伝達物質、その他もろもろを正常な数値までに落とすことは困難だよ。しかも全員だなんて、あたしそこまで頭良くないからさ」

 

あたしじゃ、ダメなんだよ。

小さく呟くその言葉の数々に垣根は違う考えが過った。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?)

 

例え話、フィクション、嘘。彼女の言葉はただのもしもの世界の話。

それでも彼女が嘘を言っているようには見えなかった。

 

もしもこの言葉が本当だとしたら、この女は絶対能力者(レベル6)になりうるのではないだろうか。

体の構成を無理やりにでも変えられるということは、その力に相応しい体に変われるということ。

神に至る器になれる、もしくは作り出せる。

その前提で学園都市の研究員に売り渡されず、五体満足で生きている彼女は奇妙だ。

 

しかも今回の件でこの女は暴走能力者のデータを得ている。

詰まるところ、自発的に、理性を放棄せずに、暴走能力者になれる可能性があるのだ。

 

もしもこの女が本当に肉体を構成する全てを操れるのだとしたら、自分で自分の肉体を操って、絶対能力者(レベル6)になることが出来るかもしれない。

そんな女が、プランに組み込まれてないなんて思えなかった。

 

「彼女を責めないでくれ。彼女の協力もあって暴走を鎮めるワクチンソフトの開発が予定より早く進んでいるのだから」

 

「じゃあ!」

 

様々な疑念が生まれ始める。だがそんな事お構い無しに話は続く。

 

「ただ、能力体結晶の根幹をなしているのはファーストサンプルと呼ばれる、最初期の人体実験の被験者から生成された成分。ワクチンソフトを完成させるにはどうしてもそのデータの解析が必要なんだ」

 

弱々しい声が木山春生の口から零れた。

 

「そのデータを探して昔居た研究所に行ってみたが結局何も残されておらず、御坂君と鉢合わせしたってわけだ」

 

だがその目には決意と野心が見える。

 

「だが諦められるものか。あのデータは能力体結晶の研究に必要不可欠なんだ。それだけのものが廃棄されるはずがない。どこかに必ず。私はどんなことをしてでも必ず見つけ出してみせる」

 

「もし、見つからなかったら?」

 

「この子達は覚醒させる」

 

力強く宣言すると、第三位が声を荒らげた。

学園都市を敵に回すような木山春生の覚悟は彼女には伝わらない。

 

「ポルターガイストを承知の上で?!」

 

「これ以上この子達を眠らせては置けない!」

 

「だからって!そんな……」

 

残念ながら、言い返せる言葉を彼女は持ち合わせていなかった。

それでも最良の結果を模索する。しかし、彼女には思いつかない。光しか知らないから。闇を知らないから。

ご都合展開なんて訪れない。

 

「そう、そんなことはさせない」

 

そんな彼女の後ろからハキハキとした女の声が聞こえた。

薄い色素の長い髪の毛は高い位置でひとつに結ばれ、フレームのない眼鏡をかける女の後ろには何人かの部下と思しき人物らがいる。

 

「テレスティーナさんっ!?」

 

先進状況救助隊の隊長と研究所の所長を務める女。

 

「ごめんね、後をつけさせて貰ったわ」

 

「一体……」

 

「先進状況救助隊です。子供たちを保護します。大人しく我々に従ってください」

 

MARがこの場に出てくるのに違和感を覚える。

ポルターガイストの元凶ではあるが、それを取り締まり、摘発するのはアンチスキルの役目だろう。なぜ、わざわざ救助隊が出てくるのか。

 

「MARが一体なんの用だよ。テメェらは災害救助が目的で作られた組織じゃねぇの?こういったケースは別の組織が動くはずだ」

 

「学園都市に被害が出る事態を阻止するのがレスキュー隊の仕事ですから」

 

「レスキュー、ねぇ?」

 

どう見ても怪しい。

 

「令状も用意しましたが、私としては自発的に引き渡して頂けることを望みます」

 

「本物のようだね」

 

「安心してください。我々は人命救助のスペシャリストです。能力者を保護し、治療するための設備は整っています」

 

本当に人命救助のためと言えるのか。

迅速すぎる行動、組織の目的とはかけ離れた言動。

どう考えてもおかしかった。

 

「あなたにアクセスできないデータも、我々であれば合法的にアクセス出来ます。今のお話にあったファーストサンプルのデータも入手できる可能性が高いのです」

 

しかしそれに従う木山春生でもなかった。仕組まれたような言葉の数々は明らかに罠。

テレスティーナを睨み子供たちを庇うように身を構える。

だが、その視線を遮るよう彼女の前に御坂が立ち塞がった。大きく手を広げ立ちはだかるように立つ第三位。

挑むような目つきで木山を見据える。

 

「なんの真似だ」

 

「気に入らなければ邪魔をしろって言ったのはアンタでしょう?」

 

「どけ!あの子たちを救えるのは私だけなんだ!」

 

悲鳴に近い叫び声が鼓膜を揺さぶる。

 

「救えてないじゃない!」

 

御坂の言葉はとても鋭利で、痛ましい。突きつけられた現実は心を裂き、木山は目を見開いた。

 

幻想御手(レベルアッパー)を使って、ポルターガイストを起こして!でも、一人も救えてない!」

 

「あと少し、あと一息なんだ」

 

消え入るような呟きだった。

諦めきれないと、絶望を受け入れまいと歯を軋ませながら顔を歪ませる木山はついこの間の天羽と重なる。

こいつも隣にいるこの女も、他人のために身を捨てる。人生を捨てる。

その思考が気持ち悪くて反吐が出る。

 

「枝先さんは、今助けを求めているの。春上さんが、あたしの友達が、彼女の声を聞いているのよ」

 

「救えないだなんて、研究者に対して面白いこと言ってくれるね?」

 

その間に天羽が割って入る。

悪魔のようで、天使のようでもある笑顔で穏やかに、しかし力強く。

感情にブレが見えているが、爆発させないのはある程度の成長か。

 

「例え何があってもあたし達の手で救う。そのためにあたし達がいるんだから」

 

「先輩……」

 

「それに素敵じゃん。どんな犠牲を払ってでも突き詰めたい正義なんて。それを人は無償の愛と呼ぶのよ」

 

寂しそうな、現実を見たくないような目。

現実を直視せず、幻想を追い求める彼女は哀れで、醜くて、虫唾が走る。

彼を心配して、救うことに囚われている、弱い女。

 

「あたしはその愛に応えてあげたいの」

 

姉だと言い張り、他人を救おうとし、自らを嫌い、自分が出来なかった事を成したものに憧れ、赦しを与える。

とてもじゃないが人間なんかに見えなかった。

 

「さてと、令状がある限り、あたしに出来ることは少ない。まさかこんな早くに来るとは思ってもなかったしね。連れてっても構わないよ」

 

「ご協力感謝致します」

 

大きくため息をつき、道を開ける。

それでも何かを知っているような目つきは止めなかった。

 

「後でそちらに伺うと思うけど、その時はよろしくね」

 

二人の女の間に奇妙な空気が流れる。

一瞬動揺したかに見えたが、すぐに笑顔を張りつけて後ろの部下たちに目線を配った。

 

「……回収しろ」

 

はい、と短く部下たちが答えるとガラスの部屋に勢い良く突入し、子供たちをベッドごと移動していく。

数分が経った頃、部屋には呆然とした木山春生と複雑な表情をした御坂美琴、カエル顔の医者に垣根、そして無表情の天羽しか残されていなかった。




垣根くんはシノビガミのシノビじゃなくてクトゥルフの探索者。

木山先生、ついでに教育免許取ったって言ってましたが、ついでで取れるほど簡単じゃないわけですよ。そう考えると木山さんって大学生の頃から子供好きだったのかなと。
やっぱ好きだ木山せんせ……
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