ドラクエ勇者の能力を持った一般人がホビットの世界で無双するだけの話   作:空兎81

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ドラゴンはヤバ過ぎる

 

取り敢えず中へはビルボ1人で行ってもらって、何かあったらすぐさま皆も突入しようということになった。

 

いやでもドラゴンがいるんでしょ?そんなとこにビルボ1人で行かせるの嫌だし、わたしもついて行きたい、と言ったのだけどこの中で1番小柄で身軽なのがビルボだ。大人数で行くよりも少人数の方がスマウグに見つかる危険が少ないということで、ビルボ1人で行ってもらうことになった。

 

どうでもいいがこのメンバーの中でわたしが1番背が高かったりする。ホビットとドワーフのパーティですからね。そりゃ皆小人であるから当然だけど、ムキムキマッチョの集団の中でわたしが1番デカいとかなんかやだ。乙女心は複雑なのです。

 

『大丈夫、見つからない自信があるんだ。危なくなったらすぐ戻ってくるよ』と言ってビルボは中に入っていった。落ち着かない気持ちで待っていると、しばらくしてエレボール全体が地鳴りを上げて大きく揺れた。え、何これ地震?ドラゴンが起きたのか!?

 

中が赤く光るのが見える。どう見てもドラゴンの吹いた炎ですありがとうございます。やばいやばいドラゴンが目覚めてるじゃん。早くビルボに合流しないと!

 

 

「早く助けに行かないと!」

 

 

「少し待つのだ」

 

 

中に行こうと言うオーリをトーリンが制す。え、なんで?早くビルボを助けに行こうよ。

 

 

「何を待つのです?彼が死ぬのを?」

 

 

「恐れているのか?」

 

 

「ええ、恐れています。貴方の事を」

 

 

トーリンが財宝の魔力に取り憑かれることを恐れているのだとバーリンが言う。いつもの貴方ならすぐにビルボを助けに行くでしょう、と。それに対してトーリンが冷徹に言い放つ。

 

 

「盗っ人1人のために全てを不意にできん」

 

 

全身から血の気が引くのを感じた。今トーリンは何と言った?

 

盗っ人?それは誰のことだ?いや、わかる。状況的にそれはビルボのことを指しているのだとわかるのだけれど心が追いつかない。

 

トーリンは何を言っているんだ?だって、トーリンは言っていたじゃないか。貴方の勇気を疑ったのは一生の不覚だって。そう言ってビルボのことを抱き締めていたじゃないか。

 

ここにいるのは誰だ?あの仲間想いの誇り高い王は何処へいったのだ?

 

やっと竜の病の恐ろしさを理解する。かつてトーリンのお爺さんもこの病にかかり、猜疑心と黄金への執着に苛まれ高潔な心を失ったという。勇気と誇りが欲に侵される、それが竜の病なのだ。

 

病にかかったと分かってもトーリンは王様だ。ドワーフの王なのだ。だから彼の決めたことには皆従わなければならない。

 

だけれどもわたしは関係ない。わたしはドワーフじゃない、人間だ。

 

周りの静止も聞かずにわたしはエレボールに続く道へと飛び込んだ。

 

走る。暗い坑道を転がるように駆けていく。

 

そして開けた場所に出たと思った瞬間、わたしの目に飛び込んできたのは眩いばかりの黄金だった。

 

金だ。巨大な広場を埋め尽くさんばかりの金が辺り一面に広がっていた。まるで金の海だ。

 

思わず呆然とする。前世も今も小市民だったわたしはこれほど価値のある宝を見たことがなかった。

 

え、やっば。何この金の量。これ全部この鉱山で採れたの?うわっわっわっ。そりゃトーリンも病気になっちゃうよ。でも頑張って堪えてくれ。

 

 

「ナノ!」

 

 

「ビルボ!!無事だったんだね!」

 

 

「ナノ!まずい、ドラゴンだ!早く逃げないと!!」

 

 

階段の方からタッタッと音がし、それに振り返るとビルボが走ってくるのが見えた。ビルボは焦った様子で叫んでいる。なに、ドラゴンだと?やっぱり見つかっちゃったんだねビルボ。それはヤバいから全力で逃げないと。

 

今度はバタバタと慌ただしい音がする。私が通ってきた秘密の道からトーリンが飛び出した。トーリン!何だかんだ言いつつ追いかけてくれたんだ。

 

 

「トーリン!ドラゴンが来ている。早く逃げよう!」

 

 

「アーケン石は?」

 

 

後ろの坑道へ入ろうとしたビルボはトーリンに手で制され阻まれる。トーリンの顔からは危険を顧みずエレボールへ飛び込んだビルボへの気遣いは窺えない。ただただ血走った目でアーケン石を気にしている。

 

あ、うん、これはダメですわ。やはり今のトーリンは正気ではない。ここまで一緒に旅したビルボよりアーケン石を気にしてる。

 

何とかしたいんだけど今はそれよりドラゴンだ。後ろからガシャンガシャンと金をかき分ける音がする。

 

振り返るとそこには巨大な生き物がいた。全身が赤黒く、鋭い牙と爪を持った生き物がこちらに向かってやってくる。

 

第一印象は巨大なトカゲだ。だけれども背中に生えた翼と金色の肉質な瞳を持つこの生き物がそんな可愛いものでは済まないことを伝えてくる。

 

ドラゴンだ。ドワーフ達の命と故郷を奪った黄金の番人、スマウグだ。

 

うわああああっ!!ドラゴンだぁぁぁ!!!ここに来るまでは何とかなるかも?と思ってたけど絶対何とかならんわ。デカすぎでしょ。うん、ヤバい。取り敢えず逃げよう。

 

他のドワーフ達も秘密の小道から飛び出し、そしてスマウグの姿を見て驚く。瞬間、全員全力で逃げた。一目散に走った。

 

スマウグが我々を焼き殺そうと炎を吐く。後ろから炎が迫って来てトーリンのマントが焼けた。あとは無事だ。皆取り敢えず少しでもスマウグから離れる為に奥へ奥へと進む。

 

だけれども奥へ進むとそこは行き止まりだった。たくさんの白骨と崩れ落ちた建造物が辺りに積み重なっている。

 

まるでここはドワーフ達の墓場だ。

 

『逃げ場はありません。坑道に逃れれば数日は命が伸びるでしょう』と言うバーリンに『全てが炎で終わるのなら竜と共に燃え尽きよう』とトーリンが答える。

 

確かにこの場に逃げ場はない。覚悟を決めてドラゴンに立ち向かうことを決意するドワーフ達なのだが、

 

……これ、リレミト使ったら外に出られないかな?居住区ではあるけどドラゴンがいるんだし、もはやここはダンジョンでしょ。だったらダンジョン脱出魔法リレミトさんで何とかなる気もするけど、根本的な解決にはならないんだよな〜。

 

結局エレボールを取り戻すにはスマウグを何とかしなくてはならない。ならば今出来る限りのことはしてみるべきだろう。ドワーフ達の故郷を取り戻すためにスマウグと戦うのだ。まあダメだったら即リレミトするけど。命をだいじに!

 

 

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