ドラクエ勇者の能力を持った一般人がホビットの世界で無双するだけの話   作:空兎81

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全力逃走

 

テレレレッテッテッテー

 

頭の中に軽快な音楽が鳴り響く。かの有名なドラクエのレベルアップの音だ。あたりを見渡しても誰も反応してないことからわたしの脳内だけに鳴り響いていることがわかる。改めて考えるとめちゃめちゃシュールな光景ですね。取り敢えずトロールを倒したせいかレベルが上がったということなのでレベルを確認することにする。

 

 

勇 者 ナ ノ

せ い べ つ : お ん な

レ ベ ル : 6

H P : 4 9

M P : 1 8

▶︎魔法

メラ

ホイミ

ニフラム

 

おお!レベルがふたつも上がっている!しかも新しい魔法を使えるようになっているぞ!

 

新しい魔法はニフラムだ。ニフラムは確か敵を戦闘から除外させる魔法のはずだ。ゲームだと敵はいなくなるけど経験値やゴールドは全然入らなくなるからまったく使わなかった魔法だね。この世界なら役に立つのだろうか?

 

トロールは襲った人々の身につけていたものを貯めこむ性質があるということなので皆でトロールが住処としていた洞窟に押しかける。洞窟は腐った牛乳をふいたぞうきんと中年男性の加齢臭をまぜたような何とも吐き気を催すような臭いでむせ返っていてハンカチなしでは進めないようなとんでもない場所ではあったがそれなりの収穫もあった。太古にエルフが鍛えたと思われる剣が2本とたくさんの金銀財宝が出ていたのだ。取り敢えずエルフの剣はトーリンが使い、金銀財宝はもてる分を除き土に埋めておこうということになった。

 

ボフール、グローイン、ノーリが夢中で穴を掘り始めたところでバーリンが朗らかにもう一度ここに戻ってくるのかという。3人が驚いた顔をしているがまあ当然の質問だよね。ここに埋めるということはいずれ掘り返さなければいけないということだ。というかそもそも君らは故郷を取り戻したら莫大な財宝を手にするんだよね。だからそんなショートケーキの最後の苺を食べられたみたいな絶望感にあふれた顔をしなくてもよくないですか?

 

 

「あ!そうだ!ナノに運んでもらえばいいんじゃない?確かアイテムボックスならいくらでも物を運べるんだよね?」

 

 

「え、わたし!?」

 

 

唐突に指名されて驚く。ナノならこの宝物を運べるよね!とボフールに詰め寄られてう、うんとちょっと押され気味に頷く。いやまあ運べるか運べないかでいえばたぶん運べると思うんだけどそのトロールの住みあったなんか色々な液で汚れた財宝をいれるのはちょっと。アイテムボックスって自分の体内みたいなところあるし。財宝に貴賤はないですよね、はい、はぁ。じゃあ運びますよ。

 

というわけで洞窟に遭った財宝はすべてアイテムボックスに入れました。その代わり私がなんかけがれた気がするよシクシク。

 

ビルボはガンダルフにエルフが鍛えた短剣をもらっていた。オークやゴブリンが近くに現れると青く光って知らせてくれるらしい。それなんという警告ランプ。戦えて敵を知らせてくれるなんて何とも便利な剣だなと思っているとガンダルフの目がこちらに向く。え、何でこっち見るの?わたし悪口とか何も考えてないですよ?同じ白髪のじいさんなのにダンブルドアの方が強そうだなとかなんて当然思ってないですからね。

 

 

「おぬしは真に素晴らしい魔法使いだ。トロールに火をつけた手腕といい無限に物を持ち運びできる能力と言い他にはない才能じゃ。わしにも同じことはできんだろう。よってその力を称賛しこの杖を渡そう。わしが昔使っていた杖で古いが業物だ。大切に使ってくれ」

 

 

そういって懐から白い杖を取り出す。ところどころ黒ずんでいるところもあるが先端に青い宝石がついていてなんか凄そうな杖である。アンティークとしても価値がありそうだ。え、これもらっちゃっていいの?ぶっちゃけわたしが今アイテムボックスに詰め込んだ金銀より価値がありそうだぞ?

 

てってれーん。ナノは杖を装備した!魔力15が上がった!といった感じのテロップが流れそうだ。やばいなんか凄い武器を手に入れてしまった。ダンブルドアより強そうじゃないとかいってごめんなさい!視力は断然勝っていると思うよ!

 

宝を手に入れて一息ついたと思ったら今度は巨大な狼のような大きな動物が現れてドワーフたちに襲いかった。そいつの名前はワーグというらしくオークの斥候らしい。あれ?オークってドワーフを滅ぼそうとした敵じゃなかったっけ?その手先が来ているってすごくまずくない?早く逃げねば!

 

幸い襲ってきたワーグは1匹だけだったから直ぐに倒せたがこれから次々と敵がやってくるのは明らかだ。こっちは徹夜明けだという最悪のコンディションである。しかも馬は逃げちゃったんだって。馬を取り戻すためのトロールとの戦いはなんだったんだろうね。はい、絶体絶命の大ピンチです。

 

その時草むらがガサリと動き何かが飛び出した。ひぃぃぃ!!新手のオークか!と思ってビビっているとそこにはボロボロのローブを纏ったお爺ちゃんがいた。ん?オークではないよね?

 

ドワーフたちに剣を突き立てられ人殺し!と叫んでいるお爺さんはラダガストという名前でガンダルフの知り合いの魔法使いらしい。なんでもとんでもないことが起きてガンダルフを頼りにきたとか。

 

うん、そっちも大変かもしれないがこっちはさらに大変ですよ?なんたって今からオークがたくさん押し寄せてくるからね。わたしの人生もここまでか。元の世界に戻ってやりかけのドラクエ攻略したかったわ。

 

状況を話すとなんとラダガストが囮役を買ってくれるとのことらしい。マジですなラダガストさん!汚いお爺ちゃんだなとか思ってごめんなさい!めっちゃ期待してます!

 

ラダガストが兎にソリを引かせてオークの中を突っ切っていく。兎ソリとか可愛いな。わたしも乗ってみたいとは間違っても言えないような恐ろしい状況だ。オークってあんなにたくさんいるの?いよいよここで我が人生も終わりな気がするわ。

 

敵の注意がラダガストに向けられているうちに岩肌を背にわたしたちも荒野をかけていく。最初のうちはうまくいっていたのだがオークたちもドワーフたちの姿がないことを不審に思いラダガスト以外にも捜索に戦力を割き始めた。

 

そして大きな岩の陰に隠れている時ついにオークのひとりに嗅ぎつけられた。殺られる前に殺る!とばかりに先手必勝、キーリがオークに弓矢を射かけ岩の上にいるオークを射落した。

 

わたしたちを嗅ぎつけたオークは無事倒すことができたが一連の動作により他のオークたちに気付かれ囲まれてしまう。あたりは荒野で逃げ場もない。

 

うわー、戦うしかないのか。といってもわたしにはメラ以外に戦う手段がないぞ?MP切れたら即お荷物だ。なんというダメ勇者だろう。

 

敵の一団がこちらへ近付く。5、6人だから頑張れば倒せるのかもしれないが戦っている間に新手が来るだろう。それでも戦わないという選択肢はないので杖を構える。そしてメラを唱えようとしたところでふと気づく。そういえば新しい呪文があったなと。

 

実際にゲームしてて使ったことがほとんどないから効果のほどはいまいちよくなわからないが消費MPも2だし試してみるのもありだろう。これで効果なければ諦めて杖を使って戦おう。先端に石ついているし殴ればきっと痛いはずだ。

 

 

「くっ、この数はまずい!直ぐに囲まれるぞ!」

 

 

「だからといって目の前のこいつらを放置するわけにもいかんだろう!全員かまえろ」

 

 

「えっと、消費MPは2で対象は目の前のオークたち。うん、おっけー。『ニフラム』!!」

 

 

周りの状況を見て呪文を叫ぶ。すると剣を構えて襲いかかってきたオークがいきなり吹っ飛び数メートル先まで転がっていく。そして転がった後もすぐに立ち上がらず呆然としているようだった。

 

剣を構えていたドワーフたちが驚いた表情でこちらに視線を向けてくるがわたしもめっちゃ驚いたよ。ゲームのエフェクトでは画面からいなくなるだけだったから現実で使うとこんな風に強制フェイドアウトされるとは全く思い至らなかったわ。ニフラム、いやニフラム様マジぱねーす!これはめっちゃ便利な呪文を手に入れたかもしれん。

 

ドワーフたちはせっかくできたが好機ということですぐに逃げるぞ!と声が上げて走り始めた。それに続くようにわたしも駈け出す。

 

 

「今のナノの魔法だよね?すごいよ!あんな魔法使えたなんてどうして教えてくれなかったんだい?」

 

 

「いや、教えなかったわけではなくてさっき使えるようになったんだよ。トロール倒して強くなったみたい。あはは」

 

 

「すげえ!魔法ってそんな風に使えるようになるのか!?俺もたくさん敵を倒したら使えるようになるかな?」

 

 

ビルボと並走しながら駆けていると興奮した越えでフィーリが話しかけてくる。うん、そんなキラキラした目を向けてくれるとこ悪いけど残念ながら使えないかな。だってこれは勇者の特権だからね。諦めてもらうしかないだろう。

 

ニフラムで敵を追い払いながら進んでいくとガンダルフが裂け谷への道を見つけて皆で転がり落ちるように駆け込んでいく。

 

ドワーフの賛同を得ないままわたしたちはエルフの住処へたどり着いたのだった。

 

 

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