ドラクエ勇者の能力を持った一般人がホビットの世界で無双するだけの話   作:空兎81

9 / 13
ドワーフとエルフは仲が悪い

 

木から木へ移らなければならないこととあちこちが蜘蛛の糸でベタベタしていることから中々ビルボを引きずる蜘蛛に追いつけない。いっそ火でもつけてしまおうかと思ったが蜘蛛が手を離してビルボが地面に叩きつけられるような事態になっても困るので追いかけることにする。くそう、いっそこのクモの巣まみれの森をベギラマで燃やし尽くしてやりたい。

 

ある所まで来ると蜘蛛の動きが緩やかになる。見渡すとたくさんの蜘蛛がいるのがわかりここが奴らの巣だとわかった。

 

うん、それからめっちゃたくさんの繭があるんだけどまさかトーリンたちも捕まっているのですか?わたし達がいない間に何があったし。とにかくここで皆を助けないと旅が終わってしまうぞ。

 

木の幹の後ろに隠れながら深呼吸する。さて、どうやって助けよう。MPはまだ90近くあるから魔法はまだまだ使うことができる。しかしどの魔法を使うかが問題だ。

 

メラやギラの炎系の魔法は蜘蛛に効果が高そうだが下手したら繭まで燃えてしまいそうだ。そんなことになったらドワーフとホビットの燻製ができるのは間違いなしだ。やはりここは安定と信頼のニフラム様にお願いしようか?でもニフラムって相手を遠ざけて暫く戦線離脱させる魔法だから逃げる時に使うと効果的なんだけど今みたいに繭からみんなを助け出すという作業するときだとちょっと微妙だな。暫く結界を張ることができるみたいな魔法があると便利なのだけれど生憎わたしの手持ちにそんな魔法は存在しない。なんか別の手はないものだろうか。

 

使える呪文を順番に見ていくとふと目につく魔法があった。それは『ラリホー』だ。ドラクエでも有名な魔法のひとつでモンスターを眠らせることのできる呪文だ。噂によればDQ1では魔王すら眠らせることができ無傷で魔王戦を終えることすら可能という優れた魔法だ。でも残念ながらわたしはゲームで使ったことはない。だってわたしレベルを上げて物理で殴る脳筋勇者だったし。

 

蜘蛛を全て眠らせることができたらその間にビルボ達を助け出せるしその後みんなで蜘蛛にトドメをさせる。今の状況にぴったりな呪文だ。 うん、これいいんじゃない?早速使ってみよう!

 

 

「よし、『ラリホー』」

 

 

小声で呪文を唱えた瞬間ガザガザと蠢いていた蜘蛛たちが動きを止め手足を丸くし落ちていく。どうやら魔法は無事成功したらしい。ただ全ての蜘蛛に呪文が効いたようではなくまだ何匹か残っていたので更に2回『ラリホー』を重ねがけする。すると今度こそ全ての蜘蛛が活動を停止した。よし!これでビルボとドワーフたちを助けられるぞ!

 

 

「ナノ!蜘蛛が動きを止めたと思ったんだら君の魔法だったんだね!あれはどういう魔法なんだい?」

 

 

「ビルボ!よかった、無事で!あれはラリホーっていう敵を眠らせる魔法だよ。でもしばらくしたら起きてくるから急いでトーリンたちを助けないと!」

 

 

木を伝ってビルボがやってきた。どうやらビルボは自力で蜘蛛の繭から脱出したらしい。ドワーフたちはまだ捕まったままなのにひとりで脱出できたビルボって何気にすごくない?

 

吊るされた繭を切り裂いてドワーフたちを助けていく。そしてその作業が終われば眠りこけている蜘蛛にトドメをさしていく作業に移行する。MP勿体無いから杖で殴ろう。なんかこのガンダルフにもらった杖が魔法使うためっていうよりは物理的に使うことのほうが多くなってる気がするぞ?わたしは現実でも脳筋勇者のようだ。

 

蜘蛛は柔らかく殴るとベコリとへこんで緑色の汁を溢れさせる。うえっ、気持ち悪いなと思いながら蜘蛛退治をしているとビルボが引き攣った笑みでナノって力も強くなってないかい?って聞いてくる。え、マジで?巨大蜘蛛を殴り飛ばせるって普通のことではないの?ビルボのドン引いた顔にわたしの方がへこみそうだ。ビルボに嫌われたら生きていけません。死にそう。

 

わたしが自殺しなくても事態は切迫したものに変わっていく。繭から脱出したドワーフたちも蜘蛛を攻撃しているが後からどんどん蜘蛛がやってくる。このままだともう一度わたしたちが繭に包まれるのも時間の問題だろう。仕方ない、ここは森が丸ごと焼き払われそうで怖いがベギラマを連発していくことにしますか。ついでにこの森の鬱蒼な気配もなくなるかもしれん。うん、一石二鳥だね。

 

そう思いながら呪文を唱えようとした時だった。上空の木々の間に影が遮ったと思った瞬間金色のイケメンが弓矢を放ちながら降りてきた。金髪のイケメンは2匹の蜘蛛を仕留めると蜘蛛をソリにしながら滑り降りわたしたちの前に降り立った。

 

金髪イケメンが矢をこちらに向ける。それと同時に四方から何人ものエルフが現れ無数の矢がこちらに狙いを定めている。反射的に手をあげたくなったけどドワーフたちが誰も剣を下ろしていないので一応わたしも杖を構える。蜘蛛の次は人的災害ですか?この森本当に落ち着く暇がありませんね。

 

最初に現れた金髪イケメンが『射たないと思うなよ。いつだって殺してやる』と物騒なセリフをいう。そのセリフにガタガタ体を震わせながら金髪イケメンの顔を見て呆然とする。

 

え、あれオーランド・ブルームやん。えっと、確かキャラクター名はレゴラスだったっけ?ということはこの人たちはエルフってこと?あのバリバリの味方キャラが何故わたしたちに弓を向けるんだよ。あ、そういえばエルフとドワーフは仲が悪かったっけ?ということは今は敵キャラかなんてこった。無双レゴラス様が敵とか勝てる気がしません。

 

状況は最悪だ。このまま射殺されそうな雰囲気すらある。これって逆らわずに捕まることが正解なのかな?いやでもそれでワンチャンしくったら人生ゲームオーバーですよ?うーん、何が正解かわからないけど弓矢向けられるのは嫌だから抵抗しようか。えーと、平和的解決したいから、

 

 

『ラリホー』

 

 

「な、なんだ?急に眠気が、」

 

 

「くっ、皆意識を強く持て!」

 

 

敵1グループを眠らせる魔法、ラリホーを使う。周りのエルフたちは魔法が効いたのかパタパタと倒れていった。エルフってなんか神秘的で魔法が効かないイメージがあったけどちゃんと効果があってよかったよ。まだ起きているエルフもいるしついでにあと2、3回重ねがけをしておく。立っているエルフはレゴラスだけになった。

 

 

「くっ、あの女性は魔法使いだったのか!何故魔法使いが我らに敵対する!」

 

 

「ナノは我々の仲間だ。エルフの指図は受けない」

 

 

ふらふらなレゴラスにトーリンが勇ましく言う。いやいや、レゴラスはシリーズを通して絶対的な味方なのだからあんまり喧嘩売るのはやめとこうよ。

 

 

「みんな!こっちに道があるよ!」

 

 

「ナイスだよビルボ!よし、皆行くぞ!」

 

 

「くっ、待て。行かせるわけには行かぬ!」

 

 

「この森にはまだ蜘蛛がたくさんいるようだしわたし達を追いかけるよりその寝ている人達をなんとかした方が良いですよ。蜘蛛の餌にはしたくないですし」

 

 

逃げようとする我々にレゴラスが立ちはだかるが寝ている仲間のことを指摘すると悔しそうな顔で引き下がる。原作のチートキャラ、レゴラスと戦闘なんてしたくなかったから退いてくれてよかったわ。

 

しばらく進むと後ろが騒がしくなった。たぶんラリホーの効果が切れて蜘蛛とエルフが戦っているのだろう。

 

まあでもエルフが蜘蛛に負けてたりしないよね。そのままわたし達は森を抜けるため走り抜けた。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。