リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~ 作:台風一過
つらつらと書いていきますのでよろしくお願いします
第1話 入学式と初めての訓練
講堂に100人以上の少年少女が集められ、話を聞いている。
「………試験に合格し、高い志を持ち本校へ入った諸君らであるから、管理局員、武装隊員の一員としての自覚を胸に平和と市民の安全のための決意を確りと持ち訓練に臨んで欲しい。以上、解散! 一時間後より訓練に入る」
「「「「はいっ」」」」
長い挨拶も終わり、各々指示に従い解散していく。
『各員、仮割り当ての部屋へ移動するように。2人部屋のルームメートは当面のコンビでもある。円滑に過ごせるよう努力するように!』
「……私の部屋はどこかな…………」
そんな中、一人の少女がそう呟きながら部屋番号を確認している。彼女の名前はスバル・ナカジマという。
「32号室、か…」
そして番号を見付けたのか、そのまま歩き出す。
「ここだ」
「あなた、32号室?」
部屋に着くと、ルームメイトとなる少女もちょうど到着したようで、スバルは声を掛けられた。
「あ、はいっ! そうです。私は、スバル・ナカジマ、12歳です。今日からよろしくお願いしますっ!」
「まぁ、班とコンビの正式決定までの、だけどね……私はティアナ・ランスター、13歳…………よろしく。準備運動したいから早く行きましょう」
「あ、はい」
元気よく自己紹介をしたスバルに対し、ティアナと名乗った少女はアッサリとした反応を返し、スバルは 「なんか、サバサバした人だなぁ」と思っていた。
一方その頃、別の部屋でもルームメイト同士の会話が繰り広げられていた。
「おい、ジルヴェス」
「ん、何だ?」
「部屋一緒だからそれを伝えに来た」
「イライアスには世話になる」
ジルヴェスと呼ばれた少年は、どこか遠慮を感じさせる物言いをする。
「別に気にすることじゃねぇよ」
対して、イライアスと呼ばれた少年は全く気にしていない様子でヘラヘラしている。
「そうか。つかそろそろ、着替えないとやばくないか?」
「それもそうだな。ちゃっちゃと着替えますか」
二人はさくっと着替えを済ませると、部屋を出た。
『では、訓練用デバイスを選択するように。ミッド式は片手杖か長杖、近代ベルカ式はボールスピアのみだ』
教官は整然と並ぶ新期生たちを見渡しながら指示を出す。
「スバル、だっけ? デバイスは?」
ティアナは隣に並ぶ自身のコンビ(仮)を横目で見やりながらそう訊く。
「わたしはベルカ式でちょっと変則だから自前で持ち込みなの。ローラーブーツとリボルバーナックル! ランスターさんは?」
スバルは楽しそうな、明るい声でその問いに答える。
「あたしも自前、ミッド式だけどカートリッジシステム使うから。まぁ、変則同士で組まされたんでしょうね」
「へぇ、カートリッジシステムかぁ。カッコいいね!」
「そ……」
ティアナはスバルはキラキラした視線を無視して、そっけない態度を取り続ける。
「(う……なんか、ランスターさん怖いな……でも、コンビなわけだし、ルームメートだし、仲良くなりたいなぁ)」
そんなティアナの態度に気後れしながらも、スバルは仲良くなりたいという気持ちを少しずつ温めていた。
「ジルヴェス、お前はデバイス持ち込みだったよな?」
教官からのデバイス貸し出しの連絡を受けて、イライアスはジルヴェスに訊く。
「ああ。許可も出たからな。やっぱ使い慣れたデバイスの方がいいし」
「それはそうだ。自分で調整も出来るしな」
「そうなんだよ。その上、自主練のときも不自由しないで済むのがいい」
自前の良さを二人は語り合う。
「やっぱり、自主練する気か?」
「まあな、基本こそ大事だからな」
「ジルヴェスは真面目だな」
「イライアスみたく天才じゃないからな」
「よせよ、照れるじゃねぇか」
イライアスはジルヴェスの皮肉に気付かないで、言葉通りに受け止め、勝手に一人で照れていた。それを見て、ジルヴェスは溜め息を吐く他なかった。
『次! ラン&シフト!』
「障害を突破、フラッグの位置で陣形展開。分かってるわよね?」
教官の指示を聞いて、ティアナはスバルに確認をとる。
「うんっ! 大丈夫!」
スバルは問題ないと元気良く答えた。
「フォローするから先行しなさい」
「うんっ!(ランスターさんの足引っ張らないようにしなきゃ…)」
『32、セット! ……ゴー!』
バーンッ
「うわっ!?」
そして、スタートした直後、スバルの飛び出す勢いにティアナは体勢を崩されてしまった。
『32! 視野狭窄、安全確認違反、コンビネーション不良! 何をやってるんだ! 腕立て20!』
それを見て、教官は呆れ顔をしていた。
「はい……」
「緊張しないで、落ち着いてやんなさい」
とぼとぼと戻ってきたスバルにティアナはそう声をかけた。
「う、うん………ごめん…」
「そう思うなら、次はちゃんとやってよね」
「うっ……………はい」
スバルは当然言葉を返すことも出来なくてただ大人しく頷くだけだった。
『次、始めろ』
教官は前の組の動きに一言二言コメントをすると、またスタート位置に向き直って次の組に指示を出す。
「「はいっ」」
そして、その指示でジルヴェスとイライアスの二人は指定位置に着き、合図に従ってスタートを切る。二人は、設置された障害を難なく突破し、また最後の陣形展開まで完璧であった。
『よし、初めからよく出来ている。その調子で、より錬度を高めるように』
「「はいっ」」
教官は満足そうな顔をして、二人を褒めた。
そして、二人は息ぴったりに返事をした。
「次は垂直飛越ね。これはカンタンでしょ?相手を押し上げて────」
「上から引っ張り上げてもらう!」
「そう、分かってるわね。でも、あんたを先行させると不安だからあたしが先に行くわね」
そう言うティアナは本当に不安そうな顔をしている。
「分かった」
「ちゃんと上まで届かせてよね。ぶつかったら痛いんだから」
「うんっ!」
スバルは、ティアナの疑わしい視線にもめげず、明るく答えている。
「いち、にの───」
「「さんっ!」」
「!?」
ピューン
「(あ、またわたしやっちゃった…)」
持ち上げるはずが、放り投げてしまったスバルは、宙を舞うティアナを見てそう呟いた。
「ひゃぁぁぁ!!」
ティアナは、勢いよく、むしろよすぎるくらいに強く、高く上げられ、軽く悲鳴を上げていた。
そして、スバルは危ないと感じると同時、動き出す。
ダダッ!ドンッ!
スバルは、慌てて壁を蹴って空中に上がりティアナを抱き抱え、着地した。
「ご、ごめんなさい……大丈夫!?」
「……………」
ティアナは目を回していて、返事をしてはこなかった。
『32ーっ! 訓練は中断! 一度引っ込めっ!』
「は、はいっ!」
結局、怒られて、スバルとティアナの二人は一旦撤収することになってしまった。
「訓練初日から、反省清掃………あー、全くもう! 油断するんじゃなかったわ………」
教官に怒られ、その埋め合わせとして校舎周りの清掃を言い渡された。
そのとき、ティアナははぁ、と溜め息を吐いた。
「あ、あの…。ホントにごめん…」
スバルは自分のせいだと自覚し、申し訳なさそうに謝る。
「謝らないで、うっとうしいから…」
けれど、ティアナはそれを鬱陶しがって相手にしないでいる。
「わたし、ランスターさんに迷惑かけないようにもっとちゃんとやるから………」
「………あのさ、気を付けて出来るんだったら、なんで最初からやんないわけ!? こっちは遊びじゃなくて、本気でやってるの!」
そして、謝ってばかりのスバルにイライラを募らせ、ついに怒鳴ってしまう。
「べ、別にあたし遊びでやってるわけじゃ……真剣だし、本気だし……」
「…分かったわよ。でも、次からはあんな失敗は許さないから」
「う、うん……」
怒鳴られて萎縮するスバルに、さすがに悪いと思ったのか、ティアナの口調から棘が多少なくなった。
とは言え、まだまだ厳しいものであることに変わりはないのだが。
ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
しばらくは、スバル、ティアナと、主人公であるジルヴェスとをそれぞれ描写する関係で、話がぶつ切り状態になってしまいますがお付き合いください……