リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~ 作:台風一過
そうして時間は流れて話にあった休日がやってきた。
どんな魔法を使ったのか、元六課の前線メンバーがピタリと休みを合わせ、今回は結構な大所帯での行動となる。
なんてことを考えながらジルヴェスは車に揺られていた。
「そう言えば、どこに行くんでしたっけ?」
とそこでジルヴェスはふと思ったことを聞いた。
「ん?まずはミッド最大級のテーマパークに行くことになっとるな。名前は忘れてしもうたけど。初めからそこに向かってるんやで」
はやては何てことはないといった具合に答える。
「テーマパークですか……本当に
そして、ジルヴェスはため息まじりに呟いた。
「ええやんか。それに折角みんなで集まれるんやで、楽しまなあかんやろ」
そう言いながらはやてはあれしてこれして、と子供みたく呟いていた。
「こっちだよー!」
待ち合わせ場所へ行くとなのはが大きく手を振ってアピールをしてきていた。
そちらへ行ってみると、笑顔で迎えるなのはとヴィヴィオ、その隣に佇むシャルル、少し離れたところで談笑するフェイトとエリオ、キャロの姿があった。
「なのはちゃん早いなぁ」
はやては、遅くなってごめんな、と謝りながらなのはへ挨拶する。
「ううん。そんなには待ってないよ。それにジルヴェス来たんだね、良かった」
なのはは気にしないでと言いながら、ジルヴェスに目を向け微笑んでいる。
なのはは当然ジルヴェスがはやての護衛に就いていることなど知らないから、特捜隊は忙しくてジルヴェスは来られないかな、ということを考えていた。
「ええ、まぁ。はやてさんに言われて……」
所々言葉を濁しつつジルヴェスは返す。
「だからはやてちゃんと一緒に来たんだ」
「ま、まぁそんな感じです」
何となく、本当に何となくではあるのだが、なのはやこの場に居る人たちにはやての家に居候みたくしていることを知られてしまうのは絶対にあってはいけないことであると悟り、迂闊なことは口に出来ないと思い、割と警戒度MAXだった。
「あとはティアとスバルとユナだけですかね」
だから話題を別の方に向けようとした。
「えーとね、ユナは今日来ないって。私とシャルが休暇入れちゃったから自分は休めないって言って。ユナはすごい真面目なんだよ」
実は、あの事件が終わった後、ユナは正式に管理局員となり、飛行技能を持っていたことや、なのはが親身になっていたこともあって、なのはと同じ部隊へと配属されていた。
「あー、ユナなら言いそうですね。でもそんなの気にせず遊びにくればよかったと俺は思いますけど。まぁ、今度誘ってみようかな……」
なのはの話を聞いて、ジルヴェスはぶつぶつと呟いている。
「うん。それがいいと思う。私も誘ってみよ」
なのはは笑顔を浮かべて頷いている。
「すいませーん!」
「遅くなりました!」
とそこへすごい勢いで駆け込んでくるのが2人。
「よう、ティア、スバル」
その2人にジルヴェスは右手を上げて挨拶代わりにしている。
「あら、ジルヴェス来てたの?」
そんな彼の姿をティアナは意外そうに見ていた。
これもなのはと同じように、ジルヴェスは忙しくて来られないだろうという予想からこのような態度になるらしい。
「何だよ、それじゃあ来てほしくなかったみたいじゃんか」
「べ、別にそういうつもりじゃ……」
ジルヴェスの若干性格の悪い言葉にティアナは言葉を詰まらせる。
「ところで、これで全員揃いましたかね。では行きましょうよ」
何となくこのままでいると思わぬティアナの口撃を食らう気がして、ジルヴェスはなのはたちに声をかけて移動を促した。
「シャル、どうかした?」
談笑しながら目的のテーマパークの入園ゲートへと向かう道すがら、なのはは、先ほどから何も喋らないでいるシャルルを気にして声をかけた。
「え、いえ、特に問題は…………」
「本当に?」
なのはは尚も心配そうな表情を浮かべている。
「本当に私は大丈夫ですから」
「だけど、ジルヴェスが来たの見てから黙り込んじゃったし…………」
なのはからの追及を上手くはぐらかそうとする気満々といった雰囲気をなのははシャルルから感じていた。だからこそ余計に気になってしまって、こうしてしつこく聞いているのだった。
「別に何でもないですから気にしないでください。せっかくテーマパークまで来てるんですから楽しみましょうよ」
それでもシャルルはなのはからの問いに答えることなく話を逸らしていく。
「……まぁ、シャルがそこまで言うならこれ以上は聞かないけど…………でも、シャルの方こそ楽しまなきゃだからね」
分かった?と確認するようになのははシャルルへと視線を送っている。
それにはシャルルも頷くことしか出来なかった。
実際にはまだ楽しめるような心の余裕はなかったのだけど。
「…………私は、ジルヴェスさんと1回しっかりと話をしなくちゃいけない……だって、ジルヴェスさんが私の
なのはの追及に耐えきり、そして彼女を追い払ってただ一人の状態になって、シャルルは呟きを漏らしている。
「シャル、今ちょっといいか?」
そこへ、なんとジルヴェスが話しかけてきた。
「ふぇ?」
予想外なことにシャルルは驚きの声を上げる。
「いや、驚かせるつもりはなかったんだ。ごめんな」
「あ、いえ…………」
シャルルとしてはどういう顔でジルヴェスと対していればいいのか分からず俯きがちに地面に視線を向けるしかない。
「そのな、六課解散のあたりから気になってたんだけどさ、シャル、俺のこと避けてるよな?」
「そ、そんなことは……!」
いきなり核心を突くようなジルヴェスの言葉にシャルルは慌てたように声を上げかけるが、その後に言葉が続かない。
「別に無理に否定することはないよ」
それに気分を害するでもなく、ジルヴェスは笑顔を浮かべながら話を続ける。
「それでさ、もしも俺が何かをしてしまったんなら直すから言ってほしいんだ。その……さ、こういうの言うのはあれだけど、俺はシャルとそこそこ仲が良いと思ってたんだよ。だけど、急に避けられるようになってちょっと困惑してるというか…………」
ただ、恥ずかしさやら何やらで言いにくそうにしているが。
「………………ジルヴェスさんが何かしたというわけではなくて……ただ、あの日ジルヴェスさんの使った魔法が気になってしまったというか……」
そして、シャルルの方も非常に言いにくそうにしながらジルヴェスへ言葉を返している。
「魔法…………?」
ジルヴェスはいまいちピンと来ていないのか、おうむ返しに聞き返していた。
「はい…………あの凍結魔法が気になって……」
「あれ、ね…………」
シャルルの言葉で、彼女が何について言っているのかが分かったジルヴェスは、それにより一層言いにくさを感じてしまうことになってしまった。
「……シャル、ごめん。それは話せないかな。だから、聞かないでほしいと思う。いつか話を出来るときがくると思うから」
ジルヴェスは申し訳なさそうに謝った。
「それで、こんなこと言うのはあつかましいけど、今日は思いきり楽しもう。せっかくみんなで来てるんだし、勿体ないと思うぞ」
そして、シャルルの手をとって握りながらそんなことを言う。
シャルルはまだ色々と心の整理は追い付いていなかったけれど、ただ一つ思うこともあった。
そうやってジルヴェスに手を握られているのは悪くないと。
だから、今日はややこしいことはすっかり忘れて心から楽しもうと思えた。
「……うん。今日は全力で楽しみますよ」
そう言って本物の笑顔を見せながらシャルルはジルヴェスの手をそっとぎゅっと、握り込んだ。
自分の大好きな「ジルヴェス」がどこかへ行ってしまわぬように。そして、自分の抱く懸念は全て
ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m