リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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第106話 別行動

 

 

話の内容までは聞き取れなかったが、ジルヴェスとシャルルが話をしているのは見て取れたなのはは、少し心配そうに彼らを見詰めていたが、最終的に仲良さそうにして、シャルルもしっかり笑っているのを見て、思わず顔を綻ばせた。

 

「なのは、何か良いことでもあった?」

 

そんな楽しげななのはを見て、フェイトがそう問いかけてくる。

 

「うん。まぁ、ちょっとね」

 

なのはは詳しいことは何も喋らないが、フェイトは彼女の視線の先を追って何となく理由が分かった気がした。

 

「ジルヴェスとシャル、仲良いね」

「うん、実はシャルはあんまり乗り気じゃなかったのを私が無理矢理連れてきてたんだ。だから、本当は来たくなかったのかもって思ってたんだけどね……」

 

心から安堵しているということはフェイトに伝わってきた。

 

「へぇ。でもなのはは良いの?」

「な、何が?」

 

どこか含みのある笑みを浮かべながらなのはを見ているフェイトに、なのはは嫌な汗を流しつつ恐る恐る聞き返す。

 

「そうだな、シャルにジルヴェスを取られちゃうこと、かな」

「な、なな何言ってるの、フェイトちゃん!?」

 

完全に動揺した様子でたじろぐなのはは、まるきりフェイトの言葉を肯定してしまっているようなものであるのだが、それになのは自身は気付く気配すらない。

 

「だって、シャルとジルヴェス、結構仲良さそうだよ?」

「それはそうだけど、それと私とにどんな関係があるの?」

「それは、私が言うことじゃないから言わない」

 

フェイトの言いたいことをいまいち理解していないなのはが疑問を口にするが、フェイトはちゃんとした答えを告げることはない。

 

「えー、ズルいよそれは」

 

だからなのはは少しばかりブーブー言っているわけだが、フェイトがそれを気にしている様子もまたない。

 

「まぁ、そのうち分かるよ」

 

そして、なかなかの笑みを浮かべながらそれだけ言ってフェイトは逃げるようにエリオたちのところへ行ってしまった。

 

「今のは何だったんだろう……」

 

なのはは頭に疑問符を浮かべてしばらく考えてみたが、全くもって納得のいく理由は思い浮かばなかった。

 

「……まぁ、分からないならそれでいいかな。フェイトちゃんの言い方も別に何か悪いことになるような雰囲気じゃなかったし」

 

そして、なのはは暢気に一人呟くと、もうこのことは考えるのを()めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、まずはどこに行きますか?というか、この人数で行動するのはなかなか厄介だと思いますし、いくつかに分かれてしまいませんか?」

 

無事入園を済ませ、ミッド最大のテーマパークへと足を踏み入れた一行。そこで、折角みんなで来ているというのに早速別行動をしたらどうかとジルヴェスは言い出す。

 

「んー、確かにあんたの言うことにも一理あるんやけど……」

 

はやてはやはりみんなで来ているというのがネックになっているのか言葉を詰まらせイエスともノーとも言い難い状況に陥っていた。

 

「それに、みんなそれぞれ行きたいものは違うでしょうから分かれた方がいいと思うんですが」

「確かに……」

 

ただ、ジルヴェスのこの一言に他の面々も頷いている。

 

「とりあえず昼まで別行動をして、昼になったらまた集合みたいなのはどうですかね」

「せやな。それでええと思うよ」

 

そして、彼らはいくつかのグループに分かれることになった。

まずはティアナとスバルの2人に、エリオとキャロとフェイトの3人、そして、はやてとヴィータ、なのはとシャルル、ヴィヴィオといった具合だ。

 

「で、あんたはどうする?」

 

ジルヴェスは誰と一緒に行くのかというはやての問いに対して、ジルヴェスの答えは決まっている。

 

「それじゃあ、はやてさんたちと一緒に行くことにします」

 

理由は言うまでもない。そして当然、はやては察してくれる。

 

「えー!お兄ちゃんも一緒に行こうよ」

 

ただ、それを聞いてヴィヴィオが不満げにしている。

 

「ヴィヴィオごめんな、ちょっと色々あるんだ……」

 

ジルヴェスは、すまなそうな表情を浮かべつつ困ったなという感じでどうしようか考えていた。

 

「むー……仕方ないから我慢する……」

 

案外聞き分けよくしてくれたヴィヴィオに感謝して、ジルヴェスはほっと一息吐いた。

 

「ほんなら、とりあえず分かれるとしよか」

 

そして、彼らはそれぞれに行きたいところへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずはどこに行く?うちはジェットコースター乗りたいんやけどええかな」

 

ヴィータとジルヴェスに向かってはやては確認をとる。

 

「はやてが行きたいなら着いてく」

「別にいいですよ。俺は着いていくだけなんで」

 

やはり、彼女の護衛をしているという意識が強いのか、ジルヴェスは自分の意志を主張するつもりはないということを言っている。

 

「…………まぁ、とりあえず行こか」

 

はやては何か言いたげに口にしかけたけれど、結局その言葉を呑み込んで何も言わなかった。

 

「それにしてもよくみんなの休みを合わせられましたね」

 

目当てのジェットコースターの所へと着いて、乗車待ちの列に並んでいるときに、ふとジルヴェスが呟いた。

 

「せやな、武装隊に特救、執務官と補佐等々……とりあえず言ってみたけど、実際改めて考えてみるとこのメンバー凄いな」

 

客観的に自分たちを見たとき、平時に遊園地などに居るのはあり得ないような職を持っていることにここにきてようやく気付き、はやてはため息を漏らしていた。

 

「もし仮に今日ここで悪さをしようとしている人が居たら御愁傷様と言う他ありませんね」

 

そしてジルヴェスは苦笑を浮かべながら、仮定法的な想像を口にしている。

 

「確かに。子供相手に何かやればフェイトのやつが地の果てまでも追いかけるだろうし、何か卑劣なことでもすればティアナが絶対に追い詰めるだろうからな」

 

それを受けてヴィータは同意しつつこれまた勝手な想像をしているのだが、自分でした想像なのに、フェイトやティアナに向かって「あいつら恐ろしいな」などと言うのだから勝手である。

 

「まぁそんなんにならんのが一番ええねんけどな」

「そうですね。でも、悪さどうこうはともかく、みなさんというかフェイトさん、なのはさん、はやてさんの3人は特にですけど、ミッドでは有名なんですからそちらの騒ぎにならないか心配ですよ」

 

ジルヴェスは真面目な顔して心配している。

 

「まぁ、大丈夫やろ」

 

けれど、はやては割と楽観的に構えているようでさほど気にしている様子はない」

 

それを見てジルヴェスは「自覚が足りない」と思ってため息を吐くのだった。

はやてはそこで話題を変えてジルヴェスに話しかけてきた。

 

「せや、言うか迷っとったけど、やっぱり言うことにするわ。あんたさ、うちの護衛どうこう気にせんでみんなのとこ行きや。今日はヴィータも居るし何も心配あらへんって」

「ああそうだぞ。それにな…………お前がみんなのとこに行かねえと不機嫌になる奴らが出てくんだよ」

 

はやての言葉に同意を示しながら、ヴィータはジルヴェスの耳元に口を寄せ小声で言った。

 

「……よく分かりませんけど、確かにヴィヴィオには悪いことしたと思ってますから、それはありがたいですが……」

「ああもう、今日くらいパーっと遊んでこい言うてんのや。これからいつまでこの生活が続くかは知らんけど、いつもいつも一緒に居ったら気持ち悪いやんか。せやから、こういうときくらい別々に行動したってええと思うで」

 

護衛などという、はやてにしてみれば下らないことで折角の休暇を無駄にさせるのは忍びない気がしていたのだった。

ジルヴェスもこれ以上食い下がろうものなら2人から色々言われるような気がして、素直に頷くことにした。

 

「じゃあ、これだけ乗ったら適当なところに行くとしますよ」

 

丁度、ジェットコースターに乗るための順番がくる頃になったところでジルヴェスははやてたちにそう言った。

 

 

 

 







ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
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