リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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第109話 射的でミニゲーム

 

 

「…………暇だ」

 

ジルヴェスたちが待ち合わせ場所に行くとすでにはやてたちは来ていた。

ジルヴェスが連絡を入れたとき、彼女たちも手持ち無沙汰にしていたのだろう。

そして、彼女ら女性陣は何だかんだ話に盛り上がっているようだったが、ジルヴェスの入っていくような話題でもなさそうで、彼は近くに一人で立ってボーッとしていた。

 

「……何かやることないかな……」

 

そう呟きつつ、さして期待もしないで辺りに注意を向けていると、パンッパンッという軽めの破裂音が聞こえてきた。

 

「……銃声、だよな」

 

そして、さらに注意深く見ていると正面の方にその音の正体を見付けた。

 

「射的か。面白そうだな」

 

そこにあったのはいわゆる射的というやつで、持ち弾10発中で当てた弾数に合わせた景品が貰えるという、テーマパークにはよくあるものだった。

そして、ジルヴェスはそちらへと歩いて行って遊び始める。

 

「……えーと、10発当てたら記念メダルか……要らないな……あ、8発当てたらぬいぐるみか、あれは良さそうだ」

 

ジルヴェスが目を着けたのはマスコットキャラクターのうさぎのぬいぐるみで、ヴィヴィオにあげたら喜びそうだなと考えていた。

 

「それじゃまず1発」

 

そう呟くと、アトラクション用のモデルガンを構えて狙いを澄ます。

このアトラクションのシステムはレーザーを用いたセンサー式になっていて、的となるセンサーが反応することでヒットしたかどうかの判断をしている。

そして、一呼吸置いて引き金を引くと難なく狙った的を撃ち抜いた。

 

「よーし。さて、次はあれにするか」

 

ジルヴェスは大して喜んだ様子もなく次々に狙う的を変えてそれらを撃ち抜いていった。

 

「8発当てたし、もういいか」

 

そして、当初の目的通り8発当てると満足したのか残り2発は適当なところに向けて放った。

ジルヴェスは景品の引換所に行って景品を受け取るとなのはたちがフェイトたちを待つ、待ち合わせ場所へと戻る。

 

「ヴィヴィオ、これあげるぞ」

 

そして、ヴィヴィオの目の前に行って、手に入れてきたぬいぐるみを手渡す。

 

「わぁ、お兄ちゃんありがとう!」

 

それを貰ったヴィヴィオはとても嬉しそうにしている。

 

「あれ、ジルヴェスどこで手に入れてきたの?」

「あそこの射的ですよ。何か面白そうだったので行って来ました。10発当てるとメダルが貰えるんですけど、そんなものよりこれの方が嬉しいですよね」

 

なのはの問いにジルヴェスは軽い感じで答えている。

 

「すごいね、てことは狙えば何発でも当てられるの?」

 

そして、なのはがふと気になったようでそんな質問をジルヴェスにした。

 

「ええ、ほとんど外さないと思いますよ」

「へぇ。ティアとジルヴェス、どっちが射的上手いのかな」

 

そんな、なのはの何も考えていない呟きがティアナを挑発してしまう。

 

「ジルヴェス、勝負するわよ」

 

そして、反対する間もなくジルヴェスはティアナに引っ張られていった。

そのとき、ジルヴェスは恨みがましい目でなのはを見ていたのだがなのははそれに気付いてはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁティア、一体何なんだよ」

 

手を引くティアナにうんざりしたように訊ねるジルヴェス。

 

「別に、あんたとなのはさんの話聞いてたらその射的やってみたくなっただけよ」

「それで何で俺が連れていかれるんだよ」

「そんなの一人でやったってつまらないからよ」

 

ジルヴェスの不満げな言葉にどうこうすることもなく、ティアナはしれっとそんなことを言う。

 

「ならスバルだっていいじゃんか」

「スバルじゃ相手にならないもの。競争相手がいなくちゃ」

 

そう言うティアナに、ジルヴェスはため息を吐く他なかった。

 

「はいはい。ティアのお相手をして差し上げればよろしいのですね」

 

けれど、ジルヴェスのその言い方はティアナをムッとさせるには十分であった。

 

「負けた方はお昼おごりね」

 

そうして2人の勝負は始まった。

 

「…………勝っても負けてもどっちでもいいんだけどな……わざと負けると、それはそれでティアの機嫌が悪くなるからな…………」

 

ジルヴェスはティアナには聞かれぬように気を付けて呟く。

 

「とりあえず初めの内は簡単な的を狙っていくか」

 

そして、ジルヴェスは初め絶対に外すはずのない近めの的を狙うことにしたようだった。

一方のティアナは近過ぎず遠過ぎずの的を次々に撃ち抜いていた。

 

「やっぱ、ティアは銃の扱いが上手いな」

 

それを見てジルヴェスは感心したように呟いている。

 

「そんじゃ、俺も本気でいくとしますか」

 

そして、今度は的の散らばるフィールドの角などに隠れている的を狙い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………えーと、あの2人は何をやってるの?」

 

待ち合わせ場所に指定した場所、そこへフェイトとエリオ、キャロが急いだ様子でやってきた。

ごめんね、といったことをなのはたちに言いながらふとなのはたちの視線の向く方向を見やると、何やら躍起になった雰囲気のティアナと、彼女とは対照的に余裕綽々な様子のジルヴェスがいた。

 

「今2人で勝負してるんだよ」

 

そして、フェイトの問いになのはが答えた。

 

「勝負?」

「うん。射的で勝負してるの」

「へぇ」

 

フェイトは納得はしたものの、どうしてそうなったのか不思議に思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで9発……」

 

ティアナは確実に的を撃ち抜いて、残り1発を残して他を全て的中させていた。

 

「さて、ジルヴェスはどうかしら」

 

そして、そこで隣のジルヴェスの様子を窺ったティアナは正直驚いていたりする。

 

「……どこを狙ってんのよ」

 

ティアナが見たのは、よくよく見てみなければそもそも見付からないような場所にある的を狙うジルヴェスの姿だった。しかも、寸分違わず()てており、彼もまた、未だ1発も外していなかった。

 

「……私も負けてられない」

 

ティアナはそう呟くと彼女も物陰にある難度の高い的に狙いを定めた。

 

「……ふう、これならいける」

 

そう呟いて引き金を引いて放たれた(レーザー)は真っ直ぐに的を射抜いた。

 

「よし!」

 

その結果を確認したティアナは小さくガッツポーズをしていた。

 

「あっ」

 

すると、横から間の抜けた声が聞こえてきた。

 

「どうしたの、ジルヴェス?」

「……いや、外した」

 

何となくは察していたが、改めてジルヴェスの口からその事実を聞いて、ティアナは結構嬉しく思っていた。

 

「じゃ、私の勝ちね」

 

ティアナはそれで満足したのかご機嫌な様子でなのはたちの元へ戻って行った。

 

「……はぁ」

 

ティアナの後ろ姿を見詰めながらジルヴェスはため息を吐いていた。

そして、彼もティアナの後を追って歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ジルヴェスさん」

「何だ、シャル?」

 

ティアナとジルヴェスが戻ってくると、周りには聞こえないくらいの声量でシャルルがジルヴェスへ声をかけてきた。

 

「……最後の的、わざと外しましたよね?」

「何でそう思うの?」

 

シャルルの指摘に大きく反応することもなく、ジルヴェスはあくまで冷静に対応している。

 

「だって、ジルヴェスさんが最後に狙った方向には的なんてなかったですから」

「……はぁ。よく見てたな、シャル。まぁ、そうだよ。だって、ティアのことだ、同点になったら延々と続くだろ?さすがにそれは疲れるしな。けど、これティアには内緒な。ティアはこういうのが一番嫌いだから」

 

シャルルの言葉に降参というように肩を竦めるジルヴェス。そして彼は内緒にしてくれとシャルルに頼む。

 

「んー、じゃあ今日中に1つ私のわがまま聞いてくださいね」

 

シャルルはジルヴェスの頼みに頷くも、交換条件を提示してきた。

 

「まぁ、それくらいならいいよ」

 

ジルヴェスも、シャルルが無理難題を言ってくるタイプだとは思ってなかったから快諾する。

 

「約束ですよ!」

 

シャルルは嬉しそうに笑っていた。

 

 

 

 

 







ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m

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