リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~ 作:台風一過
今、ジルヴェスとシャルルは並んで園内を歩いていた。
「……………………」
「……………………」
けれど、2人とも妙に相手を意識してしまって、全く会話が途絶えてしまう。
「…………その……シャル」
だがそこで重い沈黙を破ってジルヴェスがシャルルへと話しかける。
「は、はい」
「…………さっきはごめんな。少し調子に乗りすぎた」
相変わらず目を合わせることはないが、ジルヴェスはポツリと謝罪の言葉を述べた。
「い、いえ。嫌とかそういうのでは決してなくて…………その、どちらかと言えば嬉しかったと言うか…………」
シャルルは慌ててフォローを入れるも、後半のセリフは彼には聞こえていなかった。
「そう?ならいいんだけど……」
ジルヴェスはほっと一息吐いた。
「それで、これからどうしましょうか」
「なのはさんたちの所に戻らなくて大丈夫か?もうとっくに、ショーも終わってるだろうし」
「それは大丈夫かな」
ジルヴェスの発した懸念をシャルルは気にもかけず、「大丈夫だ」と言ったことにジルヴェスは驚いていた。
「あのですね、なのはさんには言ってありますから。私がジルヴェスさんと一緒に居ること」
そんな彼の様子に気付いたか、シャルルはそう言って笑った。
「だから、もう少し2人でどこか行くくらいは許してもらえます」
そして、一言、そう加えた。
「そうだな……でも、これといって行きたい所があるわけじゃないんだよな……」
実際には
「シャルは行きたい所ないのか?俺はシャルに合わせるよ」
だから結局シャルルへと丸投げするのだった。
「あ、だったらジェットコースター行きましょう」
「いいよ」
「それじゃあ善は急げですね」
シャルルはそう言うが早いか、ジルヴェスの腕を取って歩き出した。
そんなシャルルの様子に、ジルヴェスは元気だな、なんてことを考えていた。
「……………………」
ジルヴェスとシャルルが2人して並び歩く様子をじっと見詰める人影が。
「………………まずは手始めに、あの2人から行きましょう」
そして、その人物は彼らの所へと歩き出す。
「……これは、私の復讐のため。誰にも邪魔はさせない。あの子たちはかわいそうだけど、仕方ないわよね」
そして、彼女はポツリとそう呟いた。
「そういや、シャルは武装隊でユナと一緒だったよな。あいつの様子はどうだ?」
目的のアトラクションへと足を運ぶ道すがら、ジルヴェスは話題を振った。
「そうですね、もうすっかり馴染んでますよ。元々、私たちの職場は実力があれば問題ないような所ですし、心配はしてませんでしたけどね」
「なら良かった」
シャルルからの答えに、ジルヴェスは安心したように息を吐いた。
「でも、ジルヴェスさんは優しいですね。ちょっとユナが羨ましいかな」
そんなジルヴェスの姿を見て、シャルルは自分でも意識せずに呟いていた。
「え、何で?」
だから、ジルヴェスに聞き返されてしまって内心「しまった」と思っていた。
「……えーと……だって」
シャルルはそう呟きながら、少しだけジルヴェスの前に行き、くるりと振り返る。
「ジルヴェスさんが----きゃっ」
そして、何か言おうとしたところで軽く悲鳴を上げて前に、つまりジルヴェスの居る方に倒れ始める。
「大丈夫か!?」
シャルルが地面に倒れる前に、ジルヴェスは彼女を抱き止めた。
「え、ええ。大丈夫、です…………」
シャルルは、気付くとジルヴェスの腕の中という状況に割とテンパっていたが、何とか平静を装っている。
「……そうだな、大丈夫そうだな」
ジルヴェスはシャルルのことをしばらく見て大丈夫そうだと判断すると、今度はシャルルが倒れた原因に意識を向けた。
「……ごめんなさい、大丈夫かしら?」
そちらでは荷物を辺りにぶちまけてしまっている女性が、シャルルへと頭を下げていた。
「い、いえ、大丈夫です。そちらこそ大丈夫ですか?」
そしてシャルルはむしろ、相手の
「ええ、私は大丈夫です」
「……良かったです。私がよそ見してしまったので…………」
また、相手の荷物が散乱しているということもあって、シャルルはより一層申し訳なさそうにしていた。
シャルルとジルヴェスは早速地面に落ちている荷物を拾い始めた。
「……ありがとうございます」
シャルルとぶつかった彼女も、彼らに感謝しながら荷物を拾う。
「これで、全部ですかね」
シャルルは手に持つ荷物を彼女に渡しながら呟く。
「ええ。ありがとうございました」
そして、彼女は感謝の言葉を述べつつ、シャルルの頭に手を伸ばした。
「せっかくのデートを邪魔してごめんなさい」
さらに、そんな言葉を重ねる。
「……そ、そんなデートなんて…………」
それによってシャルルはオーバーヒートしていた。
「彼氏くんもごめんなさいね」
「いえ、お気遣いありがとうございます」
彼氏というのは大いに間違いではあるのだが、それをわざわざ目の前の女性に言う必要をジルヴェスは感じていなかった。
そして彼女は今度はジルヴェスの頭に手を伸ばす。
彼女は、まだまだ若いジルヴェスとシャルルが自分の荷物を拾ってくれたことで、彼らを「いい子ね」といった風に思っているのだろう。
ジルヴェスはそう考えて、軽く頭を撫でられることを甘んじて受けた。
「…………っ」
しかし、ほんの一瞬、どうして気付けたのかすら不思議な程のごく一瞬、目の前のその女性がニヤリと笑ったのに、ジルヴェスは気付いた。
そして、彼は慌てて相手のことを警戒度MAXで観察して、気付いた、いや気付いてしまった。
今、自分が何をされたのかということに。
「(…………ちくしょう、やられた……もしかすると、これはまずいかもしれない……)」
内心、苦虫を噛み潰すような気持ちになったが、ここで
「本当に助かったわ、ありがとう」
そして、件の女性はジルヴェスとシャルルにそう声をかけて、去っていった。
「……………………くそっ」
そこに残されたジルヴェスは吐き捨てるように呟く。
そんなジルヴェスの様子に、それまでトリップしていたシャルルが正気に戻って、そして、彼を心配そうに見詰めている。
「ジルヴェスさん、大丈夫ですか?」
「え、あ、ああ」
シャルルにかけられた声に、ジルヴェスは驚いたように返事をした。
「…………?」
シャルルはジルヴェスの様子のおかしさに首を傾げているものの、その理由を聞く気には何となくなれなかった。
「………………ふふふ、案外簡単だったわ」
テーマパーク内のとある場所に、一人笑みをこぼす女性が居た。
「ジルヴェス・クライン…………この子も犯罪者のくせして、のうのうと生きているのね……だけど厄介よ…………彼が護衛に就いているとなると私の計画の邪魔…………出来れば引き入れたいけれど、付け入る隙はあるかしら…………」
彼女はどこでジルヴェスのことを知ったのか。
そして、何故彼を引き入れようとするのか。
「…………もう一人の女の子は……シャルル・ウィンザー、武装隊の子みたいね…………へぇ、
と、そこで、シャルルに関して気になることが見付かったようだった。
「…………ああ、『ウィンザー』と言ったら…………何よ、この子たち、憐れにも程があるわね」
そして、彼らに憐憫の言葉をかけると共に、くくく、と面白いものを見付けたというような笑い声を上げる。
「これでジルヴェス・クラインは私のもの…………無理矢理にでも、私の
自らをエレンと言った彼女は、そう呟くとその場から居なくなった。
ジルヴェスが自分に
ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
今後は私事も立て込んでおり、まとまった時間が取れなくなってしまうために更新が不定期になると思いますが、よろしくお願いします。