リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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とても時間が空き忘れ去られていそうな時に更新です…………





第116話 呼び出し

 

 

あれからしばらくは何とも平穏な日常が続いた。

不気味なほどに何も起こらず、さながら嵐の前の静けさといった様相であった。

それでもジルヴェスは毎日ずっとはやてと共に行動をして、一時(ひととき)たりと警戒を緩めることはなかった。

そんなある日の朝、ジルヴェスの元に通信が入った。

 

「…………誰だ……?」

 

ジルヴェスは一体誰なのだろうかと考えつつ、応答する。

 

『ジルヴェス、久しぶりだな。調子はどうだ?』

「ヴェルさん、どうしたんですか?」

 

果たして、通信を寄越してきたのはジークヴェルトであった。

 

『いや、少し手伝ってほしいことがあってな。俺の部隊のやつらみんな忙しくて手が離せないんだ』

「ですが…………」

 

ジークヴェルトの手伝いをすること自体はやぶさかではないものの、現在、はやての護衛をしているわけで、そんな中で安易に護衛対象であるはやてを一人で放っておくなど言語道断であろう。

 

『なに、心配するな。ちゃんと考えてある』

 

ただ、ジークヴェルトは当然ジルヴェスの言いたいことなど分かっているわけで、とりあえず話を聞くように言ってきた。

 

「はい」

『今日は守護騎士のお2人さんが休みなはずだからな、はやて嬢の護衛は問題ないだろうよ』

「そうでしたか。だから……」

 

ジークヴェルトの言葉に、納得というようにジルヴェスは頷いている。

ちなみに、その2人とはヴィータとシグナムのことで、2人とも家でのんびりとしている。ジルヴェスはそもそも、2人が揃って家に居ることに多少の疑問を抱いていたのだが、このジークヴェルトの話を聞いて合点がいった。

 

『そこまで急いでいるというわけでもないが、まぁ早めに来てくれな』

 

そして、ジークヴェルトはそう言うとそのまま通信を切った。

 

「…………それにしても、ヴェルさんの用って何だろうな」

 

ジルヴェスは一体、この時期にジークヴェルトが何のために自分に連絡してきたのだろうかと、考えてみた。

 

「いや、考えても無駄か」

 

しかし、その答えは出なかった。というより、出すのを止めた。

 

「とりあえず、はやてさんに言っておくか」

 

ジルヴェスはそう呟くと、はやてのいるキッチンへと足を運んだ。

 

「はやてさん」

「ん?なんや?ご飯やったらもうちょいで出来るからな、待っとってな」

 

ジルヴェスが彼女に声をかけると、はやては何を思ったのか、そんなことを言ってきた。

 

「別に朝食の催促に来たんじゃありませんよ。わざわざ作ってもらってるのにそんなことするのは失礼でしょう」

「いやぁ、あんたならそれくらいするかと思って」

 

若干呆れ声のジルヴェスに、はやては冗談めかして言葉を返している。

 

「……まぁ、いいですよ。ところでですね、先ほどヴェルさんに呼ばれまして、シグナムさんもヴィータさんも居ますから、今日は少し出かけてきます」

「そうなんや。分かった。うちのことは気にせんで大丈夫やからな」

 

ジルヴェスの話を聞いて、はやてはさほど驚きもせずに頷いていた。

 

「朝ごはんいただいたら行くのでよろしくお願いしますね」

 

ジルヴェスはそれだけ言うと、キッチンから出ていった。

 

「…………やっぱヴェルさんにお願いして良かったわ」

 

それを見送りながら、はやてはポツリと呟きを漏らした。

というのも、ジークヴェルトがジルヴェスを呼び出したのは、はやてに頼まれたからというのも理由にあったのだった。先日悩んでいる様子のジルヴェスを見て色々と心配になったはやては、どうせ自分には話してもらえないだろうと、ジークヴェルトにジルヴェスの状況を探らせようと考えたのだった。

 

「たまには、別行動する日がないと、気が変になりそうやし」

 

まぁ、実際のところは、あまりにも毎日顔を合わせるものだからたまには自由な自分の時間が欲しかったというのもあるにはあるわけだが。

 

「って、考え事してへんで、早く作らんと」

 

はやてはそう呟くと、料理に集中した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シグナムさん、ヴィータさん、今日は自分出かけるので、はやてさんのことお願いします」

 

キッチンを後にしたジルヴェスがリビングへと向かうと、そこにはすでにシグナムとヴィータが席に着いていた。

そこで、ジルヴェスはそう言って言葉をかけた。

 

「ああ、あたしらに任せておけ」

「そうだな。それにお前には日頃、(あるじ)を守ってもらっている。たまにはこういう日があったって構わんさ」

 

それに対して、ヴィータ、シグナムは別段咎めるわけでも何でもなく、返事をする。

 

「助かります」

「気にするな。今日は私たちのことは忘れて羽を休めてこい」

「そうだぞ。はやてを守ってくれてんのは助かってっけどよ、おめぇだって休まねえと、身体がもたねぇだろ。無理ばかりするやつはもう間に合ってんだよ」

 

シグナムもヴィータも、ジルヴェスのことを心配してくれているようだった。随分と言い方に違いはあったが。

それに、ヴィータの言葉には、ジルヴェスに対してだけでなく他の誰かに対する非難の色が見えた。それが誰に対するものなのかは、容易に想像がつくというものだ。

 

「ありがとうございます。それにしても、ヴィータさんってなのはさんのこと大好きですよね」

 

だから、ジルヴェスは少しからかってみたくなってしまった。

 

「な!?そ、そんなんじゃねぇし。誰があんなやつ」

 

すると案の定、ヴィータは盛大に慌てる。

 

「そうでしたか。でも、ヴィータさんは正直じゃないですからね。そうは言っても、ですし……」

「おい、てめぇ!ぶっ潰されたいのか!?そうなんだろ!?」

 

ジルヴェスに茶化されたのが気に入らないのか、ヴィータは今にも掴み掛からんとする勢いで立ち上がる。

 

「ヴィータ、落ち着け。ジルヴェスのいつもの悪ふざけだ。図星を突かれたからと言って暴れるな」

 

それをシグナムが宥めるのだが、その言い方が悪かった。

 

「シグナム、お前まで……もう、いい」

 

ヴィータは不貞腐れて、ムスっとした表情で腰を下ろした。

 

「ジルヴェス、悪のりもほどほどにしておけ」

「あ、はい……」

 

そして、シグナムはさらにジルヴェスにも注意をするのだが、ジルヴェスは内心では、今のシグナムには言われたくないと思っていたりする。

 

「え、あれ、なんでヴィータは不貞腐れとるん?」

 

と、そこに完成した朝食を持ってはやてがやって来た。

 

「……何でもない」

 

ヴィータは少しだけ不機嫌な様子で聞かないでくれアピールをする。

 

「んー、ヴィータがそう言うんやったらこれ以上は聞かんけど。ジルヴェス、あんまりヴィータのことイジメんといてな」

 

はやてはそんなヴィータの様子にそれ以上の追及はしなかったが、その代わりに、ジルヴェスのことを軽く注意してきた。

 

「ちょ、なんで俺を疑うんです?」

「そりゃ、あんた、全くと言うていいほどデリカシーがないからや」

 

自覚ないんか?という言葉が、はやての顔に貼ってある。

 

「はやてさん、失礼ですね」

「間違ってはおらんやろ。ほら、朝ごはん食べるで」

 

ジルヴェスからの非難じみた視線を軽くスルーして、はやてはシグナムとヴィータに向けて声を掛けた。

 

「おぉ、はやてのご飯だ。はやてのギガウマ飯!」

 

はやての手料理を前にして、ヴィータは非常にテンションが上がっているようだった。

 

「そう言えば、ヴィータさんが家で食事するの久しぶりでしたね」

 

ジルヴェスはその様子を微笑ましげに眺めながら呟く。

 

「あぁ。隊舎の飯もウマいんだけどよ、ギガウマじゃねぇしな。やっぱはやてのご飯が一番ウマい」

「ヴィータ、ありがとうな。それじゃ、食べよ。いただきます」

「「「いただきます」」」

 

4人はそれぞれ手を合わせてから食事を始めた。

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m


今後も当分の間、こんな感じに時たま更新という形になります……
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