リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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更新が遅くすいません。気付けば、クリスマスイブですね(-_-;)


しかも、今回はかなり短いです。もう少し長くしようと色々やっている内に、かなりの時間が経ちました…………




第118話 絶望

 

 

ジルヴェスは道を一人で歩いていた。

 

「シャルがウィンザーの生き残り…………」

 

そしてジルヴェスは未だ尚、悩んだままだった。

まぁ、それも無理はないことだろう。自分が知らぬ間に信頼と友情とを築いてきた相手こそが、自身の贖罪の相手であり、そして相手からすれば、ジルヴェスは怨敵であるのだから。

 

「……でも、相手がシャルだからこそ、しっかりと向き合わなくちゃいけないんじゃないのか……?隠し通すなんて無理だし、そんなことしてはいけない。それに、自分で決めたことじゃないか、自分の罪を贖うんだって」

 

ジルヴェスは自分自身を鼓舞するように一人言を呟いている。

 

「…………だけど……」

 

しかし、そのとき突然に色々なことが頭の中で繋がった。

それまでは驚きに占められシャルル本人のことを考えてはいなかったが、少しずつ落ち着きを取り戻す内にいくつかのことを思い出した。

 

『---私にはジルヴェスさんしか居ないから』

『---昔のジルヴェスさんとは違う』

 

ゆりかごを脱出したあの時にシャルルがジルヴェスに掛けてくれた暖かい言葉。

 

『---嘘だ……』

 

ジルヴェスがガジェットを破壊したときに使った氷結魔法を見て愕然とするシャルル。

 

その他にもこれまでのシャルルとの楽しい記憶が鮮明に思い出された。

そして、自分の贖罪を理由にわざわざシャルルに真実を語る必要があるのかと、確信が持てなくなっていた。

 

贖罪と言えば聞こえは良いが、本質的には自分自身の罪悪感に堪えられず、罪滅ぼしをすることによって自分の抱える罪悪感を軽くするものに他ならない。結局は自己満足の延長にしかないもの。

にも関わらずだ、何も知らないが故に良好な関係を築いてきたその相手に真実を語り、絶望を与えることは正しいことなのだろうかと、ジルヴェスは思い始めていた。けれど、そう考えていること自体、自己保身故の思考であるようにも感じられた。

 

「…………何が正解かなんて分かんねぇよ……」

 

そして彼はいつになく弱気な表情を浮かべ言葉を発していた。

 

「…………それに--いや、そんなことは有り得ない、か」

 

さらに、彼の心のどこかには、もしかしたらシャルルなら許してくれるかもという淡い期待があった。すぐに自分で否定はしたものの、そうであって欲しいという気持ちまでは否定出来なかった。

 

「…………だけど、シャルだったらって思ったっていいじゃないか……」

 

そのとき彼はそのことを考えることに集中していて、自身に近付く気配に気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと見付けたよ、ジル」

 

一人、思考の海に沈んでいたジルヴェスへと誰かが声を掛けてきた。

 

「え?」

 

そして、その声と、自分を呼ぶその呼び方に、ジルヴェスはまさかという思いを抱きつつ、そちらの方へと視線を向けた。

 

「ふふふ、何年ぶりかな。ずっと会いたかったよ」

「レイ、ナ……?」

 

そこに居たのは、ジルヴェスが罪を抱える者の一人である、レイナ・オルフィンだった。5年よりも前、突然の襲撃に際して、ジルヴェスが自分自身の過ちで瀕死の怪我を負わせてしまった少女。

 

「ジル、私のこと覚えててくれたんだ」

 

レイナは自分の名前を呼んでくれたことで嬉しそうに笑顔を浮かべつつ、ジルヴェスに言葉を掛けている。

 

「当たり前だろ!ずっと、ずっと会いたかった。そして謝りたかったんだ」

 

ジルヴェスは今にも泣き出しそうなほどに不安げな表情を浮かべている。

 

「私もジルのこと忘れたことなんてなかったよ?」

 

そう答える彼女を前に、ジルヴェスはわずかに安心感を覚えた。

 

「だって私はジルのせいで死にかけたんだから。ううん、ジルに殺されかけた」

 

けれど、彼の表情は、続くレイナの言葉に一瞬にして凍りついた。

ジルヴェスは何も言えなくなっていた。

 

「あれ?もしかして、ジルは謝れば私が許すとでも思ってたの?何甘えたこと言ってるの?そんなの有り得ないよ。だってジルは私を傷付けた挙げ句、逃げ出したんだよ?そんな奴のことを許す人、この世に存在するとでも思っているわけ?」

 

レイナは冷めた表情でジルヴェスを見て笑っている。

それはまるで心の底から見下しているような、そんな冷たさを帯びていた。

 

「そ、それは……」

 

ジルヴェスは言葉を失い、口ごもる。そして、再びシャルルとの記憶が呼び起こされた。

 

『--私はただのふく……いえ、醜い、黒い感情を持ってるに過ぎませんけど』

 

陸士訓練校での事故のときの言葉、

 

『--ジルヴェスさんだって私のこと知らないでしょ?』

 

ゆりかごで掛けてきた言葉。

今思うと、それらには全て、シャルルの本心が隠れているようだった。

ジルヴェスはそこで気が付いた。

シャルルは家族を亡き者とした犯人を決して許すことは出来ないのだと。今目の前に居るレイナも自分を許してはいないのだ、シャルルも自分を許すことないに違いないと。

それに気付くと、ジルヴェスは身の震えを抑えることは出来なかった。

 

「ふふふ。冗談だよ。そんな酷いこと、私が言うわけないでしょ?でも、私のために働いてもらうね。きっと、ただ許すだけじゃ、ジルは納得出来ないだろうから」

 

けれど、レイナの言葉はジルヴェスには届いておらず、彼が気付いたときには、彼女はずてに彼の目前にまで近寄っており、そして彼の頭に手を(かざ)していた。

するとその直後、彼の意識は深い深い暗闇に飲まれ、辺りは真っ黒く染まった。

 

 

 

 

 






ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m


今後ともよろしくお願いします


では、よいお年を
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