リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~ 作:台風一過
そんなこんな色々なことがあったけれど、ジルヴェスは無事に訓練校の自室に帰って来ていた。
「おう、帰ってきたか、ジルヴェス」
部屋に入るとすぐにイライアスに声をかけられた。
「ああ。やっとって感じだな」
「てか、お前どこで何やってたんだ?予定よりかなり長く滞在してたろ?」
ジルヴェスの帰りが遅かったことを問われる。
「それなんだがな、強引なエース様たちに拘束されてたんだ」
「ああ、あの『3人組』ね。それでそれで?」
答えを聞いて、土産話を催促する。
「いやまぁ、楽しかったな。普通に。それに色々と新しい発見もあったしな。特に、『悪魔』として名高いなのはさんが意外といじられキャラで、かなり可愛らしい感じだったことに驚きを感じた。ギャップがな、すごいんだ……」
ジルヴェスは楽しそうに語る。
「くっそー、ジルヴェスばっか良い目見やがって!ずるいぞ」
それを聞いていて、イライアスは文句を垂れた。
「いやそもそも、イライアスお前が帰るからだろ」
「それはそうだが……あの3人全員と知り合いってのはこれから先相当有利に働くはずだ。あの人たちの人脈は結構広いからな」
「別に、人脈目当てってわけじゃ」
ジルヴェスはイライアスの言葉を否定した。
「そんなもん抜きにしたって、管理局のアイドルたる3人と仲が良いなんて、それだけですごいことなんだよ」
「そ、それは確かにそうだな……それに、実際に会ってみてアイドル扱いされてるのも分かった気がするしな」
ジルヴェスはここ何日かのことを思いだして、確かに、と頷いていた。その様子を見ていて、イライアスはほっとしたような、そんな表情を浮かべていた。
「ホント羨ましい限りだ。まぁ、ジルヴェスが楽しそうに他人との関係を話してるのを見てたらそんなことどうでもよくなったけどな。それに、お前はどこぞのエース様に惚れてるみたいだもんなぁ」
「なっ。な、何を言ってんだよ!?」
イライアスの言葉にジルヴェスは見事に激しく動揺していた。
「マジかよ。図星か……まぁ、いいんじゃないか?釣り合わないとは思わないし、何よりあの人たちの周りにはほとんど男がいない。チャンスだとは思わないか?」
「別にそんなこと思ってねぇから、何とも思わねぇよ」
「ふーん、まぁお前がそう言うならこれ以上は言わないことにするよ」
イライアスは、ジルヴェスが必死に否定するから、これ以上追及するのを止めた。
「(………………好きとかそういうのはもう……たとえ俺が誰かを好きになることがあっても、誰かが俺を好きになることはあってはいけないから…………あの人たちは、特にだ……)」
敢えて興味をなくしてくれたイライアスに感謝しつつ、内心ではそんなことを考えていた。
◇◆◇◆◇
「明日からまたお仕事だ。頑張らないと……」
なのはは自室で一息つきながら呟く。
「それにしても、ジルヴェスのために私に出来ること、何かないかな……」
そして考えるのはジルヴェスのこと。
「………って、どうしてジルヴェスのことを私は考えてるんだろ」
そこで、ジルヴェスのことを考えている自分に気付いてなんとなく恥ずかしさを、なのはは感じていた。
「でも、ジルヴェスは急に私に心を開いたような気がする……どうしてなんだろう。いつか、それも教えてくれるのかな…………だと良いな」
そして気になることに思い至り、いつかそれを聞こうと心に決めたのだった。
◇◆◇◆◇
「ねぇねぇ、ティアぁ」
部屋で寛いでいると、スバルがティアナに話しかけてきた。
「何よ、スバル?」
「夏休みももうそろそろ終わりだけど、夏休みが明けたら、戦技競技会があるんだよね?」
「そう言えばそんなものもあったわね」
ティアナは、スバルに言われて競技会のことを思い出したようである。
「あれって、総合成績の上位16人が個人戦での模擬戦をするものもあるよね?トーナメントの」
「ええ。だから、私たちも上手くいけば出ることになるわね。夏前は私たち2人とも10位くらいだったし」
スバルの問いに答えながら、少し悔しさを感じさせる言い方をティアナはする。
「そうだね。でも、選ばれるよ」
「そうね」
「じゃあ、私とティアが
ワクワクした様子でスバルは言う。
「まぁね。けど、決勝までいけたら、の話でしょうが」
個人成績の上位者を対象にしたイベントではあるが、個人での上位者は大抵コンビの相方も上位者でもあるから、基本的にコンビの両人ともが出場する場合にはお互いに別山に振られるようになっている。
「えへへ。そうだよね」
「でも、その競技会で良いところまでいければ私の目標は一先ず達成出来るもの。勝つ気で行くわよ。例えあんたと戦ることになっても」
「私だって負けるつもりないもん。絶対に決勝までいこうね」
「ええ。頑張りましょう」
2人とも、勝つ気満々といった様子であった。
◇◆◇◆◇
夏休みも残りわずかということで、そろそろ本格的に自主トレを再開しようと考えていたところに通信が入った。
「はいはい、誰ですかね………ん?この番号は知らないな。まぁ、とりあえず出るか」
相手を確認するも、登録された相手ではなく、誰だろうかと首を傾げつつ、ジルヴェスは通信に応える。
「はい。ジルヴェス・クラインです」
『た、高町なのはです。じ、ジルヴェス、ひさっ、久しぶり……』
なのはは、自分から通信を入れたというのに、どこかキョドって、噛みまくっていた。
「え、なのはさん!?」
『え、え?なんで驚いてるの?』
突然、なのはから連絡があって、ジルヴェスは驚いている。それを受けて、なのはもなぜか戸惑っていた。
「いや、なのはさんに連絡先教えましたっけ?」
『ううん。フェイトちゃんに聞いたの』
「そうなんですか」
『うん、そうなの。でさ、ジルヴェスは今日何か用事あったりする?』
なのはは、遠慮気味に訊ねた。
「いえ、特にはないですけど」
『じゃあさ、私に付き合ってよ』
「え、今からですか?」
なのはの予想外な言葉にジルヴェスはまたも驚く。
『うん、ダメかな?』
「いえ、そんなことはないです。それじゃあ、どこに行けばいいですか?」
しかし、ジルヴェスは意外とすんなり受け入れる。
『うーん、それじゃあ、クラナガンのレールウェイのターミナルでいいかな』
「大丈夫ですよ。時間はどうしますか?」
『ジルヴェスはどれくらいかかる?』
「10分もあれば行けますよ」
『そ、そうなの?じゃあ、30分後でもいいかな……?』
ジルヴェスが意外と早く着けると聞いて、慌てた感じで、そして少しばかり申し訳なさそうになのはは言った。
「分かりました。では、また後で」
『うん』
と、それで通信は切れた。
「……それにしても、なのはさんはどうして俺なんかを誘ってきたんだ?きっと、数少ない休暇だったろうに。まぁ、とりあえず行きますか」
ジルヴェスはそんなことを考えながら支度を始めた。
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