リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~ 作:台風一過
戦いの描写がお粗末な感じに…………
「クライン訓練生は強いから、始めから全力でやらないと勝てないよね」
開始の合図を待つその前、スバルはそう呟いた。
『────始め!』
そして、開始の合図とともにスバルは一気に距離を詰める。
「……《リボルバーシュート》!」
そして、ジルヴェスの目前に迫ると同時、先手必勝とばかりに、魔法を発動する。
「くっ!」
バコッという鈍い音を立てて、ジルヴェスは10メートルほど吹っ飛ぶ。
「クラインさん、調子悪いんですかね」
ジルヴェスとスバルの模擬戦を見ていたシャルルは、スバルに吹っ飛ばされたジルヴェスを見て、呟く。
「どうかしたの、シャル?」
「いえ、今の攻撃は確かに滑らかでしたけど、これまでのクラインさんの動きを見ていると、避けられない攻撃ではないと思ったので……」
シャルルの呟きに反応したなのはの問いに彼女自信なさげに答える。
「そうだね……やっぱり、まだダメだったのかな……」
「何か知ってるんですね、なのはさんは」
ふと
「う、うん。今のシャルは誤魔化しても誤魔化されてくれないね」
シャルルの目を見て、なのはは降参する。
「ジルヴェスは優しいんだよ。それもものスゴく。だから、
ただ、本当のところには触れず、濁しはしたが。
「怖いって、そんなのはただの逃げです。他人を傷付けるための技術を学ぶのなら他人を傷付けてしまうことへの覚悟を持たないといけません。私は──」
「シャル。シャルの言いたいことは分かるけど彼は、ジルヴェスはそれ以上のものを背負ってると思うんだ。だから、私はゆっくりでもいいと思うの」
なのははシャルルに最後まで言わせず、そして優しく、どこか諭すように言葉を並べる。
「…………別になのはさんがそう思われるのならそれで構いません」
シャルルはまだ何かを言いたそうにしていたが、言葉を呑み込み、引き下がった。
「きっと、シャルもいつか分かるときがくるよ」
不服そうなシャルに微笑みを向け、なのははそう言い切った。
「いってー……あれ重すぎだろ……」
立ち上がり砂ぼこりを払いながら、ジルヴェスは一人言を呟く。
「!」
と、何かに気付いたようにジルヴェスが慌てて姿勢を落とすと、それまでジルヴェスの頭があったところをスバルの足が通過していった。
「あ、あぶねぇ……」
「やっぱりすごい」
お互いそれぞれの感想を述べるもスバルの物言いには明らかな羨望が混ざっていた。
「な、ナカジマ訓練生、さすがに今のは危ないんじゃないか?」
「スバルでいいよ」
「え?」
「だから、ナカジマじゃなくてスバルって呼んで。あなたとは仲良くなれそうだから」
次々とパンチ、キックをスバルが繰り出し、それをジルヴェスが避ける。
その間にもスバルはジルヴェスに話しかけ続けていた。ただ、ジルヴェスは短く聞き返すような言葉ばかりで、スバルが一方的に語りかけるような感じになっている。
「仲良く……?」
「ねぇ、なんであなたはそんな目をしているの?」
「目?」
スバルが何を言いたいのか、ジルヴェスにはさっぱり分からなかった。いや、分かりたくはなかった。その言葉を理解することは新たな始まりを告げると同時に、これまでの彼を否定するものでもあるように感じられたから。
けれど、スバルの言葉は不思議とジルヴェスの心の
「私にはあなたの苦悩も何も分からないよ?だけど、私は本気のあなたと戦ってみたいって、そう思う。そして、次にティアと戦ってあげてほしい」
「………簡単に戦うなんて言うなよ。その拳を、この剣を、そして戦意を他者に向けるということがどういうことか、それを君は知らないから……」
気付けばジルヴェスはスバルへ言葉を返していた。
「うん。確かに今習っているのは他人を傷付けるための技術に違いないよ。だけど、それは同時に人を助けるための力でもある。そして私はそれを学ぶために、身に付けるためにここにいる。私は誰かを、困って、怖くて、泣いてる、そんな誰かを助ける力を手に入れたくてここにいる。あなたは何のためにここに来たの?」
スバルは真っ直ぐにジルヴェスの目を見詰めて問った。
「何のために…?そうだ……俺は人のためになる力を身に付けるために来たんだ……!」
ジルヴェスはスバルの言葉を繰り返すように呟き、そして、彼なりの答えに辿り着いたようだった。
「うん。やっぱり、ジルヴェスくんは嫌な人じゃなかったね」
ジルヴェスの言っていることのその全てをスバルは理解出来ていたわけではない。けれど、ジルヴェスの目の色が変わったことだけは分かった。
彼の瞳から迷いは一切消えた。
だから、ジルヴェスが本気で戦う気になったことも感じていた。
「ありがとうな、スバル。これからは俺も本気だから」
ジルヴェスはそう忠告を入れるように一言言って、スバルから一挙手一投足の間合いをとった。
「私じゃ相手にならないと思うけど、頑張るから」
スバルはそう言うと構えをとる。
「行くぞ!」
そう言って、ジルヴェスから間合いを詰めた。
「《疾風剣舞》!」
疾き風のごとき剣さばきで一瞬のうちに幾度となくスバルに攻撃を当てる。
だが、次第にスバルも目が慣れてきたか、的確に防御を入れたり、避けるようになってきた。このあたりは頑丈なスバルだからこその反応ではあったが……。
「目がいいな」
「ありがと。それじゃあ、今度は私の方から!」
お互いにまだ余裕があるのか、短くも会話をしていた。
そして、今度はスバルが攻勢に立ち、パンチキックの嵐を見舞う。
さらに、右足で鋭く蹴り上げジルヴェスの体が宙に浮いた瞬間、また別の構えをとった。
「この拳に全てを賭けて!……《リボルバークラッシャー》っ!」
そして、ジルヴェスに向けて右の拳を繰り出した。それも全力の。
「!!!」
それに気付いたジルヴェスは辛うじて拳をテバイスで受け、直撃は免れた。
しかし、威力が殺せたわけではなく、かなりのスピードで20メートル以上は飛び、壁に激突した。
「キツい体勢なのに防御されちゃった……」
ジルヴェスが防御を入れるところも見えていて、ただか吹っ飛んだだけなことが分かり、スバルは急いでジルヴェスの方へ向かう。
「ほんと、スバルは一撃一撃が重い……どんな鍛え方してんだよ……って、来たな」
スバルがやって来ていることに気付き、先に動くことにした。
「《水龍一閃》!」
そして、スバルが目の前に来たと同時、
予想外な放出系の魔法に動揺して、彼女はもろにその攻撃を受けてしまった。
「《水龍咬砕》!」
さらに怯んだところに追い撃ちを加える。
まるで龍が獲物を噛み砕くかのように水の塊が上下から襲うその魔法にスバルはダウンした。
『そこまで!』
その一言でジルヴェスとスバルの模擬戦は終わった。