リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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第26話 少女との戦い

 

 

 

 

「なんか、途中途中で二人が話してたみたいですけど、急にクラインさんの動きが変わりましたよね」

「そうだね。………スバルも成長したのかな」

 

何だか嬉しくなって、なのはは自然と笑みを浮かべていた。

シャルルは聞きたそうな顔をしていたが、ぐっと堪えて話を続けることを選んだ。

 

「結局、クラインさんだって覚悟、ついていたんじゃないですか。少し勘違いしていたかもしれないです。……それにしても、なのはさんは何でもお見通しなんですね」

「そんなことないよ。私だって分からないことだらけだよ。でも、やっぱりジルヴェスみたいに悩んでる子は放っておけないから」

 

そう言いながら照れくさそうに顔を赤らめ、なのはは笑って誤魔化していた。

 

「なのはさん、可愛いです」

「シャル、からかうのはやめてよ。ほら、次の対戦が始まるよっ」

 

さらに、シャルルが可愛いと言ったことで、顔は真っ赤に染まっていた。

 

「はい~。決勝戦のクラインさんが楽しみです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何なのよ、あいつは……!やる気なさすぎじゃない。絶対に許さないんだから!」

 

しばらくして、準決勝のもう1戦が終わった。

それに勝ったのはティアナだったが、何故だか大層立腹している様子だった。というのも先のティアナとイライアスの試合で明らかにイライアスがわざとティアナに負けるような行動をとったのだった。だから彼女は怒っていた。

 

「クライスナー訓練生が手を抜いたから勝ったなんて言わせない。あいつのコンビをやっつけて力を証明するんだ……」

 

ジルヴェスの知らないところで、逆恨みもいいところな理論によって必要以上の敵意を向けられていた。

ただ、これまでの訓練や競技会の態度がよろしくなかったことは事実であり、一概にジルヴェスを擁護出来るわけでもなかったが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ、ジルヴェス。結局本気、出したじゃねぇかよ」

 

イライアスはニヤニヤとした笑みを顔に張り付けてジルヴェスのもとに歩いてきた。

 

「お前は、手を抜いてわざと負けたけどな」

 

ジルヴェスは、対して皮肉を込めて言い返す。

 

「いや、俺じゃなく、あっちのツンツンした女の子とやった方が試合が面白くなると思ったんでな。しかも、俺がわざと負けたんで大層ご立腹な様子だったな」

 

ははは、と笑いながら自然に人を煽るイライアス。

 

「マジ、やめてくれよ。そういう面白そうだからやった、みたいなやつ」

「仕方ねぇよ、こればっかりは」

 

イライアスからはまったくもって反省の色は見えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それでは、両者所定の位置について』

 

ジルヴェスとティアナの対戦場所は市街地(を模した競技場)である。

2人は教官の指示を聞き、お互い約200メートル離れた所定の位置に移動した。

 

『では、始め!』

 

2人が位置につき、準備を済ませたことを確認して教官は開始を告げた。

 

「───ファイア!」

 

開始と同時にティアナはジルヴェスに向けて雨あられのように撃ち込む。

ジルヴェスは射撃がヒットすることなど気にせずフィールド、と言っても市街地を模しているためさながら街中を駆け抜けるように、距離を詰める。

 

「この程度なら、被弾しても大丈夫。削られたのは大体500ってところか……」

 

この模擬戦において、開始時には互いに体力は10000で設定されている。それに対して使用魔法の威力と防御姿勢などを加味してダメージを計算し、開始時の体力から減らしていく形をとっている。

 

「さて、俺の間合いに持ち込もう」

 

そう呟き、さらに歩を進める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついに始まりましたね、決勝戦」

 

シャルルは興奮した口調でなのはに話しかける。

 

「うん」

「それにしても、ランスター訓練生、スゴいですね。開始と同時にあれだけの魔法を繰り出せるなんて」

「いや、シャル、ちゃんと見てないとダメだよ」

 

シャルルがスゴいと言ったのは高ランクの魔法を繰り出せたことではなく、序盤から相応の魔法力を消耗するような魔法を繰り出せたことである。

ただ、この戦法は始めっから本気出して魔法を使いまくっても疲労しないだけの体力、これにはもちろん魔法力も含まれる、を持っている必要がある。

だからこそ、シャルルは感心したのだ。

そして、なのはもそこまで汲んだ上で、シャルルのその感心を否定した。

 

「え?」

「ランスター訓練生にはもうそんな余裕はないよ?初めの試合から結構魔法を使ってたよね。だから、かなり疲れてるはずだよ。よく見れば気付くはず、シャルなら」

「……確かに」

 

なのはに言われて、ティアナのことを見て、納得した。

 

「それに対して、ジルヴェスが本気出してたのはスバルとの試合だけ。かなりジルヴェスが有利だよ」

「やっぱり、なのはさんはクラインさんのことを評価してるんですね」

 

また、シャルルは別の意味でも納得がいったという表情を浮かべていた。

 

「そんなこと言ってないでしょ」

「いや、言葉じゃなくて、なのはさんの顔にはっきり書いてありますもん。別に悪いなんて言ってませんよ」

「むー……」

 

結局言い返せなくて、なのはは少しむくれてしまう。

 

「……なのはさん、ごめんなさい」

「あ、別に気にしないでいいよ。確かにジルヴェスには頑張ってほしいと思ってるから」

「な、なのはさんズルいです!」

 

この二人がとても仲がいいことの分かる会話だった。

 

 

 

 

 






ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
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