リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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サブタイトルが浮かばなくて困りました…………何か良いのないですかね……







第33話 素数、それは偉大な数字

「それにしても、意外とジルヴェスにもかわいいところあるわね」

 

前をシャルルと並んで歩いているジルヴェスを見ながら、アリサはそう呟く。

 

「うん。ジルヴェスって素直じゃないから思ってること全然言ってくれないんだよね。でも、結構考えてることって普通の男の子の大して変わらないよ」

 

そして、なのははこの1、2年の付き合いの中で感じてきた彼女なりのジルヴェスについてアリサに話している。

 

「………………本当にそうなのかな……」

 

けれど、2人の話を隣で聞いているすずかは2人には聞かれないほどの音量で呟きを漏らした。

 

「………………ジルヴェスくん、ずっと壁を作って、それ以上踏み込んで来ないよね……まるで、何か人には言えないことを隠してる…………」

「……ず……ん…………すずかちゃん!」

「え?」

 

すずかは考え事に夢中で、話しかけられていることに気付かず、なのはの声に驚いていた。

 

「すずかちゃん大丈夫?何か考え事?」

「あ、うん。ちょっと……」

 

心配そうになのははすずかの顔を覗き込み、それに対してすずかははぐらかすように苦笑いを返している。

 

「……ジルヴェスだけじゃなくてすずかちゃんまでそんな難しい顔してたらダメだよ」

 

そして、なのははそんなすずかに対してほんの軽く責めるような声で注意を一つする。

 

「ごめんね。でも、もう大丈夫だから」

 

すずかがそう言うとなのはは、そっか、とだけ言って再びアリサと話を始める。

 

「………………ジルヴェスくんは私と()()、なのかな……」

 

すずかはポツリと、自嘲気味な表情を浮かべて呟いた。

けれど、その彼女の様子に気付く者はこの場には居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えばジルヴェスさんってこれからどこに行くつもりなんですか?」

 

シャルルは、ふとそうジルヴェスに訊ねた。

彼女の訊くその「どこ」とはもちろん場所のことではない。ジルヴェスの卒業後の進路のことである。

 

「ああ、俺は特捜隊に行こうかなって思ってるよ」

「そうなんですか!?」

 

シャルルは驚きの声を上げていた。

 

「あれ、意外?」

「いえ、その部隊はあの絶対不可侵、ジークヴェルト・クライスナーさんが部隊長を務めるところですよね?」

「そうだね」

「すごいじゃないですか!空隊で知り合った人に聞きましたよ、特捜隊は管理局の中でも一二を争う人気だって。しかも、人気だけじゃなくて実力もトップだって。そんな部隊に訓練校出たばかりで配属してもらえるなんてすごいですよ」

 

シャルルはいつものようにハイテンションでジルヴェスに言葉を放ち続けている。

 

「いや、ただクライスナーさんと個人的な知り合いってだけだよ。ある意味で七光りみたいなものでさ、俺の実力じゃないよ」

 

けれど、ジルヴェスは興奮しているシャルルを落ち着かせるように言葉を返す。

 

「でも、仮にクライスナー部隊長と知り合いだとしても実力が無ければ呼ばれないですよ。だからそんな風に自分のこと、(おとし)めたりしないでくださいよ」

 

シャルルは落ち着きはしたが、今度はそう言ってジルヴェスに向かって優しく微笑んだ。

 

「…………ありがとう。シャルは優しいな」

「そ、そんなことないですよ」

 

そう言って、一転シャルルは照れて顔をジルヴェスから背けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、なのははジルヴェスと最近どうなのよ?」

 

アリサはなのはにニヤニヤした笑みを向けながらそう言う。

 

「どうって、何も面白いことはないよ。でも、ちょっとジルヴェス笑ってくれるようになったかな」

「…………はぁ……」

 

予想通りではあるが期待外れななのはの答えにアリサは深い深い呆れからくるため息を吐く。

 

「アリサちゃん、どうしたの?」

 

当然、なのははアリサのため息の意味が分からず首を傾げているわけだが、それを見てアリサはもう一つため息を吐くのだった。

 

「えぇ、すずかちゃん、どういうことなの?」

「えっと…………気にしなくていいと思うな」

 

なのはは今度はすずかに訊ねたが、すずかはアリサからの「余計なこと言うんじゃないのよ」という視線を受けて、乾いた笑みを浮かべてはぐらかす。

 

「それにしても、あんた最近体調の方は大丈夫なの?」

 

アリサはこれ以上なのはに何も言わせず、別の話題を振った。

 

「……うん、大丈夫だよ。もう、あんなことはないようにするから……」

 

ただ、自然と空気は重いものへと変わってしまう。

 

「……ごめん。私が楽しくやりなさいって言ってるのに自分でこんな重い空気作っちゃったわね」

「ううん、気にしないで」

 

なのはは笑ってくれる。それにアリサは救われた思いがするのだった。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

時は簡単に過ぎるもので、すでに日は沈み夜の(とばり)は下りていた。

 

「はぁ…………良い湯だった……」

 

そして、ジルヴェスは部屋のソファーに体を預け、お風呂の余韻を楽しみ、瞳を閉じつつ呟く。

 

『わっ、アリサさん何するんですか!?』

『良いじゃない、減るものでもないんだし。ほら~』

『うあっ、きゃっ』

 

けれど、その静寂を断つように遠くから少女たちのかしましい、でも楽しそうな声が聴こえてくる。

 

 

 

 

 

 

「……………………はぁ……」

 

しかし、ジルヴェスはそんな会話に深いため息を吐いている。

 

「……この状況は俺の精神衛生上よろしくない…………早く終われー、早くみんな上がってこいー……そうだ、こういうときには素数を数えればいいんだ」

 

そして、ブツブツと呪文の如く、数の羅列を呟いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ェスさん…………ジルヴェスさん!」

「え?」

 

どれだけ経っただろうか、自分の肩が叩かれているのを感じてジルヴェスが意識を外に向けるとそこには風呂から上がり、浴衣を羽織っている4人の姿があった。

そして、そのときのジルヴェスの格好というのは両手を耳に当て、小さく丸まるようにして(うずくま)っているという、何とも奇妙なものだった。

 

「ジルヴェス、何やってたの?」

 

早速なのはがそのことに言及した。

 

「あ、いや……ちょっと……」

 

ジルヴェスは正直に答えるのは恥ずかしくて言葉を濁す。

 

「ははぁん、そういうことね」

 

けれど、アリサは一人納得したように呟き、ジルヴェスにニヤリとした面白がる視線を向けている。

 

「な、何ですか、アリサさん……」

 

ジルヴェスは警戒するようにアリサに視線を集中させつつ、彼女の次の言葉を待つ。

 

「…………私たちの風呂での会話を聞いて悶々としてたんでしょ?」

 

するとアリサはジルヴェスのところまで歩いてきて、耳元に口を近付けると、他の3人には聴こえないようにして、そう言った。

 

「な!?」

「あははは」

 

ジルヴェスは割と図星を突かれて目を見開いている。

それを見てアリサは盛大に笑っていた。

 

「何々、どうしたの?」

 

そんな2人の様子が気になったのかなのはが割り込むように声をかける。

 

「いや、本当に何でもないですから!…………アリサさん、マジでそれ言わないでくださいよ……」

 

しかし、ジルヴェスは何でもないと誤魔化し、そしてアリサの耳元まで顔を近付け、そう頼み込んだ。

 

「えー、どうしようかしらね」

 

けれど、アリサは面白いものを見付けたとばかり、意地悪い笑みを浮かべて、ジルヴェスの反応を楽しんでいたりなんかする。

 

「じ、じゃあ、俺もアリサさんの恥ずかしい秘密喋っちゃいますよ?」

 

それまで防戦一方だったジルヴェスも最後の手段とばかりにアリサに問いを投げかける。

 

「ひ、秘密って何よ?」

 

アリサは恐る恐るそう訊ねる。

 

「それは----です」

「そ、それはダメよ!」

 

そして、ジルヴェスから返ってきた答えに大きな声を上げて、禁止の意思を表す。

 

「じゃあ、さっきの俺のも無しでお願いしますね」

 

ジルヴェスはそう言って良い笑顔を浮かべていた。

 

「アリサちゃん、さっきからジルヴェスと何を話してるの?」

 

いい加減、蚊帳の外になっているのがあれで、なのはがまたも話に入ってくる。

 

「い、いや、何でもないのよ、本当に。あは、あははは……」

 

けれど、アリサは答えを誤魔化し、そして、乾いた笑いした出ないのだった。

 

「…………ふふふ、そういうことかぁ……」

 

ただ、一連のやり取りの雰囲気からすずかは大体の感じを理解したようだった。が、だからといって何かを言うような野暮なこともしなかった。






ここまで読んでいただきありがとうございます。


先日言ったように、もしかすると更新が連日というわけにはいかないかもしれませんがよろしくお願いします
なるべく連日更新出来るようにします……
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