リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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前回から、しばらく時間が飛びます。


あと、ジルヴェスの配属先の部隊名を「特別捜査隊」というものにしました


特別捜査編
第42話 油断は禁物


 

 

 

陸士訓練校を卒業して1年近くが経った。

ジルヴェスの配属された特別捜査隊、通称:特捜隊では、基本的に2人のコンビで行動することになっており、そのコンビで事件解決などにも、臨んでいる。

部隊の根拠地はミッドにあるものの、ミッドのみならず、各管理世界での危険度の高い事件の捜査、急襲、鎮圧など手広くやっているために、この部隊には管理局随一の戦力が揃えられている。

そして、各部隊の保有可能な魔力ランクの総計の規定もこの隊に限り黙殺されている。

そんな部隊でジルヴェスは仕事をしているわけだが、彼も例に漏れずコンビを組んでいる。その相手は5歳ほど歳上のオスヴィン・エーベルハルトと言う。愛称は、苗字からだが、ハルト。部隊内では大抵そう呼ばれている。

 

「ハルトさん、先ほど次の出撃命令が出されました」

「そうか、ジルヴェス。今度はどこだ?」

 

ジルヴェスからの連絡に真剣な雰囲気を纏わせて詳細を求めるハルト。

 

「はい。第83観測世界に違法研究所を発見、至急殲滅せよ、とのことです」

「分かった。すぐ準備して出発するぞ」

「了解です」

 

そう言い交わして、2人は急いで準備を整えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、違法研究所ってのは、何をやっているんだ?」

 

件の観測世界へと転移し、目的の研究所を目指し翔んでいると、ハルトが確認するように問ってきた。

 

「事前に渡された情報では、質量兵器と魔法兵器の製造をしているようですね。局の許可が下りていないという意味でも違法ですね」

 

ジルヴェスはハルトから質問がくるのが分かっていたかというくらいの早さで即答した。

 

「質量兵器か…………迎撃に使われると厄介だな……」

 

質量兵器は「引き金一つ引くだけで子供にも扱えるような単純な兵器」であり、単純であるが故に魔法以上の速度で効果を得ることが出来る。

つまり、魔法の発動と質量兵器の使用が同時だった場合、圧倒的に質量兵器の方が速度で勝るということである。

 

「そうですね。目標が銃火器で武装していた場合は、俺の魔法でそれらを凍結させますから、その間にハルトさんが制圧に向かってください。仮にグレネードのような爆発物を所持していた場合には」

「俺が魔力障壁を張って、爆発の影響を抑えてる間にジルヴェス、お前が制圧に回る」

「おっけーですね。いつも通り」

「ああ、いつも通りだ」

 

すでにコンビを組んで1年が経っているから、状況状況での対応の担当分けは規定事項として2人の間には存在していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれが、目的の研究所ですね」

 

ジルヴェスは前方に見える、一見すると研究所には見えない建物を指して、呟いた。

 

「地下に施設があるタイプか……」

「そうみたいですね。とりあえず様子を窺ってみましょう」

 

2人はその建物の入口の傍に降り立ち、中の様子を確認する。

 

「……見た感じ、見張りに誰かが居るわけじゃないようだな。その代わりに、そこには監視カメラが隠して設置されている」

 

ハルトは入口の扉のすぐ上に付けられたカメラを指差す。

 

「でもそれ、フェイクみたいですね。実際生きてますけど、向こう2ヶ所に幻術で隠された監視カメラがありますし、入口の扉には感知魔法が展開されているみたいですから」

「そうか。それにしてもよく気付くな。いつも思うが」

 

ハルトは感心したようにジルヴェスを見る。

 

「まぁ、よく()えるというだけのことです」

 

それに対し、ジルヴェスは謙遜しているようだった。

 

「それで、どうやって中に入る?」

「それもいつも通りで良いんじゃないですかね。いつも通りに、建物内へと移動すれば」

 

そう言ってジルヴェスはハルトの肩を掴むと、魔法を発動した。

 

「……ごほっごほっ…………何度やってもこの感覚には慣れない……」

「まぁ、仕方ないですよ」

 

ハルトは、もう少しどうにかならないのか、という視線をジルヴェスに向けるが、彼は無理だという答えを返してきた。

 

「まぁいい…………だが、妙に静かだな……」

「ええ……」

 

無事、建物の中への侵入を果たした2人だったが、そこは人の気配が全くなく、違和感を覚えずにはいられなかった。

 

「少し探索してみるか」

 

ハルトの呟きにジルヴェスは頷いて、2人は研究所内を一先ず探索してみることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく経って、とある一室に入った頃

 

「……これは…………」

 

ジルヴェスはどこか見覚えのあるものを見て、反応していた。

 

「ジルヴェス、知ってるのか?」

 

彼らの目の前にあったのは、楕円球状の機械と、それよりも大型の球状をした機械だった。それも一つや二つではなく、その一室の至るところに並べられている。

 

「……確か…………そうだ、思い出した。これは局で、ガジェットドローンなどの名称で識別される、出所不明の機械兵器です」

「あくまで、魔法兵器ということか?」

「そうですね。ただ、これは単体でAMFを展開出来るという特徴を持ってます。ですから、一般の部隊だと、対応に困るというのが現状のようですね」

 

ジルヴェスは厄介なものを持ってます、と呟く。

 

「まぁ、俺らには関係ないか」

「ところで、どうしましょうか。数機回収して、陸上本部に情報提供しますか?」

 

見てみると機能を停止しているようなガジェットを指差し、ジルヴェスはハルトに問う。

 

「そうだな。あまりレジアス中将に恩を売るのは好きじゃないが、貴重なデータであることには変わりないからな」

「了解しました」

 

そう言って、ジルヴェスは部屋の中に大量に並べられたガジェットに手を伸ばした。

 

「っ!」

 

しかし、まるでそれを待っていたかのようなタイミングでそれらのガジェットが一斉に起動し、さらにはその部屋を完全にAMFの効果範囲に収めてしまった。

 

「……すいません。油断してました」

 

とりあえず、ガジェットから距離をとってから、ジルヴェスはハルトに頭を下げた。

 

「気にすんな。俺もこんなこと想定してなかった。まだまだ認識の甘さを捨てきれないな。それに、謝る暇があったらこの状況を打開するのが先だ」

 

ハルトはそう言って臨戦体勢に入った。ジルヴェスもそれに続くようにして体勢を整える。

 

「とりあえず、この濃度だと普通の魔法は使えませんね。ハルトさんはどうですか?」

 

ジルヴェスは苦虫を噛み潰したような表情でハルトに問う。

 

「同感だな。さっきお前から、こいつらがAMF使えるって聞いてたが正直、その威力を舐めていた。向こうの数が多すぎるのもあるが、これだと魔法はなかなか使えない」

「やはりそうですか……まずはこの部屋から出ますか。追ってくるようであれば、AMFの効果範囲の外側から順次破壊していく。追ってこないのであれば、効果範囲外に出て、そこからここを狙い撃つ感じでいきましょう」

「そうだな、ここからは二手に分かれるぞ」

「了解です」

 

2人は次の行動を確認すると、先ほど入ってきた扉から外に脱出し、それぞれ別の方向へと移動した。

そして、ガジェットも彼らを追うように、部屋を出ていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かかった。《アイスバレット》!」

 

ジルヴェスはある程度の距離をとると振り向き、いくつもの氷の塊を作り出す。そして、後方から追ってくるガジェットに向けてそれらを撃ち出した。すると、その氷の塊が貫通して数機を破壊した。しかし、貫通せず、内部に氷の塊が残っているもの、またそれらが(あた)らなかったガジェットがまだ何機も残っている。

 

「……《爆散(バースト)》!」

 

そこで、ジルヴェスは次なる魔法を発動した。

すると、先ほど撃ち出した氷の塊が一気に水蒸気へと昇華する。水の固体から気体への体積の変化率は1500倍以上。周囲のガジェットもろとも、大爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠くで爆発音が聞こえてくる。

 

「……あれはジルヴェスか。また、豪快にやるな。俺も負けてられない」

 

ハルトはそう言うと、振り向き、後方から迫るガジェットに意識を集中させる。

 

「《ジオ・コンプレス》」

 

そして、彼が魔法を発動すると、ガジェットが見えない何かによって上から、そして下から力を加えられているかのようにミシミシと音を立て始めた。

そこでハルトが、握り潰すように手の平を閉じるアクションをとると、ガジェットは圧力に負け、圧し壊された。

 

「案外、耐久性はなかったみたいだな」

 

ハルトは物足りなさそうな声音で呟きを漏らしていた。








ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m


どんな感じに話が向かうか分からなくなってきました…………(-_-;)
もしかしたら、連日の更新ができないかもしれません。
今回は割と険しいです。でも、連日の更新が出来るように頑張りますのでよろしくお願いします
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