リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~ 作:台風一過
「あの子、なのはの知り合い?」
なのはがスバルの元に行き、2人が会話する様子を見て、フェイトははやてに訊ねた。
「4年前に航空火災があったやろ?うちの研修先に遊びに来てくれたときの」
「うん…」
「そのとき、なのはちゃんが助けた要救助者の内の一人なんよ、ナカジマ二等陸士は」
はやてはこの質問があると分かっていたかのような間でフェイトの問いに答えた。
「そうなんだ」
「せやけど、そのときフェイトちゃんはナカジマ二士のお姉さんを救出しとるんよ?」
「一人、女の子を救助したのは覚えてるけど…………うん、そうだね、確かに似てる」
フェイトは自身の記憶を辿るように目を細めて頷いた。
色々と落ち着いて、今は試験会場となった演習場の敷地内にある会議室へと移動している。
「4年前の航空火災のことは知ってますね?その場には私もいました。その時の経験から迅速に行動できる、そんな部隊が必要であると思っていました。そして、今回新設部隊ができることとなりました」
「遺失物管理部機動六課です!」
はやてが言い切ると同時にリィンが言葉を続ける。
「登録は陸士部隊、フォワード陣は陸戦魔導師を主体として、特定ロストロギアの対策と保守管理を主な任務とする部隊です」
「広域捜査は一課から五課が担当してるですから、六課は対策が専門になるです」
またもリィンがはやての言葉を補足するように言葉を続ける。
ティアナがはやてとリィンの話を聞いていると、スバルが念話で話しかけた。
(ティア…、ロストロギアって何だっけ?)
(説明してあげるから後にしなさいよ)
(うん、分かった…)
スバルは目で頷いて、意識をはやての話に戻した。
「それで、私はあなたたち二人に六課に来てもらいたいと思ってる。仕事は結構ハードやと思う。けど、昇進機会もその分多いし、ナカジマさんは高町教導官に直接魔法戦を指導してもらえる。それに───」
「ランスターさんは執務官志望だったよね?私で良ければ執務官試験とか色々アドバイスも出来ると思うから。ね?」
はやての言葉を強引に切ってフェイトは話した。
「は、はい…」
「お誘いはうれしいですが……」
スバルもティアナも突然のスカウトに面食らってしまい思うように言葉が出なかった。
「……今、お話し、大丈夫?」
「ええよ」
その空気を壊すように会議室に入ってきたのは試験を陰から見ていたなのはだった。
「じゃあ、ランスター二等陸士、ナカジマ二等陸士、試験結果を伝えます。……危険行為や試験官への報告をしなかったこともあるため今回は不合格となります。ルールとか、相方を守れない人が他人を守ることは出来ないよね?」
「「はい……」」
なのはは真面目な、厳しさを感じさせる表情を浮かべていた。
そして、なのはの真っ直ぐに見つめてくる視線にスバルとティアナの2人は素直に頷くしか出来なかった。
「だけど、二人の力量とスキルで、残り半年Cランクという方が危険だというのが私と試験官の意見」
「はいです!」
「だから、これ。本局武装隊の特別講習への申し込み用紙と推薦状。腕のたつ先輩たちの中で3日間、しっかりもまれて、4日目に再試験が受けられるから」
申し込み用紙と推薦状を2人に渡したときのなのはの表情は笑顔で優しい雰囲気を漂わせていた。
「「はい!」」
2人は元気よく返事をした。
「そういうことなら、再試験の結果が出てから六課への異動の結論出してくれるんでええよ」
そして、はやてはそう言って、2人に部屋から出てもいいと彼女ら促す。
「スバル、あんた新部隊の話どうする?なのはさんに教導してもらえるなんて良かったじゃない」
一通り話も終わり、スバルとティアナは中庭のようなところに来ていた。
「うん、そうなんだけど……ティアはさ、どうするの?」
スバルは思案顔でとりあえず、ティアナの答えを聞くことにした。
「そうね……機動隊って言ったらさ、エースとか優秀な生え抜きばかりの部隊じゃない?それに、今度の隊にはなのはさんたちがいるわけでしょ?そんな中で私みたいな凡人がやっていけるか不安だし……だからまだ決めてないわ」
ティアナはいつものように自分を卑下するようなことを言っていた。
「ティア!」
「何よ…」
そんなティアナに向かってスバルは大きな声で名前を呼んだ。
それにティアナは驚いて怯えたようになった。
「ティアはさ、凡人なんかじゃないよ!」
「え!?何を突然……」
「って言って欲しいんでしょ?」
スバルはニタニタした顔を浮かべていた。
「スバル、あんた~」
ティアナはしてやられたという顔をすると同時にスバルの頭を掴んでグリグリと側頭部を拳でこする。
「ごめんって、ティアぁ………でもさ、もっと自分に自信、持っていいと思うよ。だって内心ではティア、フェイトさんにライバル心メラメラでしょ?」
「べ、別にライバル心ってわけじゃないわよ」
笑顔で訊いてくるスバルにティアナは条件反射的に否定の言葉を発する。
「ライバル心じゃなくてもある種対抗心はあるんだ?」
けれど、スバルは言質をとったとでも言いたげなドヤ顔を浮かべる。
「あんたには関係ないでしょ」
ティアナはスバルに一本取られたことで不機嫌なポーズをとった。
「なぁ、なのはちゃん」
ティアナとスバルが出ていってからはやては
「何?はやてちゃん」
「あの子ら、どうかな?教導官として見て」
はやては考え込んだ様子で訊ねた。
「うん、二人とも育てがいがあって、しかもかなり伸びる子たちだと思うよ」
「そうか。なのはちゃんが言うなら間違いないな」
「そんなことないよ。私の眼はそんなに良くないと思うよ……でも、二人ともが芯に何か強いものを持ってる、そんな気がするんだ」
なのはは言葉の自信のなさとは裏腹に確信に満ちた表情をしていた。
「それにはうちも同感や。そして、それはきっと間違ってない。だから、二人の返事が良いものであって欲しいな」
◇◇◇
無事に特別講習を済ませ今度こそ試験に受かった。
そして私は……私とスバルは六課への配属の話を受けることにした。
だってスバルに
『ティア、新部隊の話だけど私はやってみたい。絶対に将来のためになると思うから!もちろん、なのはさんに直接指導してもらえるってのもあるけど……でも私、ティアともう少し一緒にいたい。一緒に仕事をしたい!だからお願い、ティアも話、受けて!』
と、言われて
『………そうね、私がいないと寂しくて泣いちゃうスバルがいるから、新部隊の話受けようかしら』
と、返したからだ。
その時はそんな風に言ったけど別に、新部隊が嫌なわけじゃない。
でも不安なんだ。自分がやっていけるかどうか。
だけど、だからといって何もしなければ何も変わるはずがないってことも分かったから。それに、スバルの言う通り新部隊行きはきっと将来のためになると思う。だからあたしは新部隊行きを決めた。それに、生え抜きばかりの機動隊で実績を残せば兄さんの魔法が意味のないものなんかじゃないこと、証明できるし。いや、絶対に証明してみせる。
───この機動六課での生活があたしに魔法戦技だけじゃない、多くの大切なことを教えてくれることになるとはこの時思ってもみなかった。そして、あたしがアイツと再会するのはもう少し先のこと。
ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
元々書いていたものを編集したので所々変なところがあるかもしれません……
また、誤字脱字等々あればご指摘ください