リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~ 作:台風一過
「今度こそ本当に訓練に入ろう。今日は、みんなが何を相手するのか知ってもらいたいからターゲットの破壊訓練をしてもらうね。それで……」
一度言葉を切って何やら操作する。
「……これがそのターゲット。ガジェットⅠ型」
そして、彼女たちの前に楕円球のような形をした機械兵器が現れた。
「それじゃ、配置について」
なのはに言われるがまま、4人は指示された位置についた。
「みんなが話し終えたら始めることにするよ」
なのはの言葉に4人は頷く。そして、ティアナは3人を集めて、作戦を説明し、指示を出す。
「スバル、あんたとエリオだっけ?…は前衛でターゲットの破壊。あたしとチビッコはサポートと遠隔攻撃を担当。問題ある?」
「ううん、ないよ」
「はい、僕もです」
「わたしも異存はないです」
「それじゃ行くわよ」
他3人の同意を得て、それぞれ移動を開始した。
「シャーリー、どうかな。いいデータ採れてる?」
4人にデバイスを手渡した、隊舎の屋上にあたる場所からなのはとシャーリーの2人は訓練の様子をチェックしていた。
「ばっちりです。スゴくいいですよ。でも、初めからガジェットで良かったんですか?」
「どうして?」
言いづらそうにして確認してくるシャーリーになのはは首を傾げる。
「だって、AMFなんて初めて見るんじゃないですか?しかも、何の説明もしてないですし……」
「そうだね。でも、実戦ではそんなこと言ってられないし、それに私は何とかなると思うよ」
「そうですか……?」
確信を持って断言しているような雰囲気を感じて、シャーリーは頷くしかなかった。
「前衛二人!しっかりしなさいよ!」
先ほどから全然攻撃を当てられていない2人をティアナは叱咤する。
「だって、ティア。こいつら速いんだもん。すばしっこくて当たんないよ!」
「はい、攻撃が避けられて……」
「そんなの言い訳にすらならないでしょ!仕方ないから、向こうにターゲットを追い込んで!」
しょうがないわね、という顔をしているのがスバルだけでなくエリオにも丸分かりな声音で次の指示を出した。
「うん、分かった。エリオ、行くよ」
「分かりました」
そして、指示するティアナも自分で遠隔射撃を行う。
しかし───
「えっ?AMF!?スバルたちに伝えなきゃ」
と、念話で伝えようとしたとき
「ああ、もうイラつく!一発殴っていいよね、ティア!………《ウィングロード》っ!」
スバルがウィングロードでガジェットまで跳び破壊しようと駆け出していた。
「あっ、スバル!危ない!」
そして案の定、ガジェットのAMFでウィングロードが相殺されガジェット手前で足場が消えた。
「え?あ!…………ととっ。びっくりしたぁ」
スバルはすんでの所で何とか体勢を整えて事なきを得た。
「びっくりしたのはこっちよ。勝手なことしないでよね。もし実戦だったら今の墜とされたかもしれないじゃない」
しかし、当然の如くティアナには怒られてしまった。
「うん………」
「じゃあ、次から気をつけてよ」
そう言ってティアナはいい作戦はないかと考えを巡らすのだった。
「うーん…魔力が打ち消されちゃうんだよね。だから、魔力で威力を増強しても意味がないってことだよね。………………あっ!でも、またティアに怒られそうだな…でも、うだうだ考えてても何にもならないよね!ひとまず行動してみなきゃ」
そう言って、スバルは何か思い付いたようにガジェットを追いだした。
(ランスター二士)
スバルが妙案、少なくとも彼女自身はそう思っている案、を思い付いていた頃、エリオも何かを思い付き、ティアナに相談していた。
(何?それと、二士っていうのやめてね)
(は、はい!ランスターさん。AMFについて確認したいのですが…)
(いいわよ)
ティアナはガジェットの方に意識を向けながらも、しっかりエリオの言葉にも耳を傾ける。
(AMFは魔力を打ち消すのであって発生効果は打ち消せないんですよね?例えば、魔力弾とか自己強化とかは打ち消されますが、サンダーフォールのような魔法は打ち消されないですよね?)
(そうね。発生効果に対してAMFは意味ないわね。ただ、シールドだって張っているだろうから……)
(いえ、大丈夫だと思います)
そう言うエリオの顔は、仕掛ける気満々でなかなか良い顔をしていた。
「魔力が打ち消されちゃうなら初めから魔力を使わなきゃいいんだよね。でも、それだけだと威力が足りないしなぁ」
そう言ってどうするか考えていると流れ弾が当たったのかビルが崩れ落ちてきていた。それをみたスバルは───
「そうか!足りない威力は落ちるときの速度で補おう!」
両の手をポンと叩いていた。
「……そうと決まれば」
すぐに行動するのがスバルだ。
(ティア、今ガジェットどこにいる?)
ティアナから情報を得て、スバルも勝負を仕掛けた。
その頃エリオは───
「発生効果が打ち消されないならサンダーフォールで撃破できるはず。でもガジェットの先回りをして最大威力を出さないと……」
ガジェットを倒す算段をすでに立てていた。
「───きた!…………今だ!《サンダー--》」
力を溜めるようにして
「《--フォール》っ」
魔法を放った。
するとそこを通った5体のガジェットにヒットし、撃破することが出来た。
しかし、最大威力で発動したためか、体力は大幅に使ってしまったようだ。
「さすがにこの威力は無理をし過ぎたかも」
ヘタヘタと座り込んでエリオは息を整えていた。
「今のはエリオかな。結構威力あったよね。私も負けてられないな」
そう言いながらウィングロードでガジェットを追う。そして、攻撃のタイミングを計る。
「(今だ!)」
そう言って、ウィングロードをスキーのジャンプ台のようにして跳びガジェットに殴りかかる。
割と、いや、かなり高い位置で飛び出すという離れ業であったが。
そして、その攻撃は隊列を組むように走るガジェットの最後尾に当たり、そのまま前にいるガジェット数機を巻き込んで近くの建物に衝突した。
「急にエリオどうしたのかしら。確かに発生効果なら打ち消されずに済むけど………」
「ランスターさん、それは本当ですか?じゃあ、私にもできることがあります。やってもいいですか?」
ティアナの傍に居て、エリオとの会話を聞いていたキャロは嬉々とした表情でそう言った。
「いいわよ。てか、あたしもそろそろ倒さないと………」
ティアナはそう言ってガジェットを捕捉し、射撃体勢に入る。
「へぇ、エリオもスバルも考えるね。まぁスバルのは力技って感じだけどね」
苦笑しながらシャーリーに向かってなのはは呟いた。
「ええ、ですがなかなかいいと思いますよ。それにティアナさんやキャロさんも何かするみたいですよ、なのはさん」
「そうだね。この子たちはなかなか面白いことをするね。見てて楽しいな」
なのはは満足げに呟いていた。
「発生効果で攻撃するなら私にも考えがあります」
そう言いながら魔方陣を展開する。
「《アルケミックチェーン》っ」
すると、ガジェットの下に魔方陣が展開し、そこからチェーンが出現、そのまま数機のガジェットを締め上げ破壊する。
「………こんなところでしょうか。ジルヴェスさんに教わったことがこんなところでも役立つなんて……ジルヴェスさんは本当にすごいな…………」
エリオのように大きく体力を消費することもなくガジェットを仕留めた。
射撃体勢に入ったティアナ。しかし、その顔は苦しそうだった。
それもそのはず、いま彼女がやっているのはAAランク相当の『
多重弾核射撃とは弾本体の周りにさらに魔力層を張った魔力弾で射撃する射撃法のこと。
通常の魔力弾ではAMFでその魔力が打ち消され消滅してしまうが、多重弾では周囲に張った魔力層の魔力が打ち消されている間にAMFを本体の魔力弾が通過できる。
「もう少し…………くっ、あと少しなのに」
とは言え、実際に扱う上ではそんな単純なことではないのだが…………
けれど、除々に多重弾が形成されていく。
…………そして
「よし!できた。………シュートっ」
見事に多重弾核射撃を成功させた。
「すごいね。あれ、AAランク相当なのに」
ティアナの射撃を見て、なのはの口からは感嘆の声が聞こえていた。
「そうなんですか?あと、ルシエさんもすごいですね」
「そうだね。おそらく無機物操作を混ぜてるんだろうな。詳しいことはあとで映像で見るから。………そろそろ終わりにしようかな」
なのははそう言うと4人に訓練の終了を言い、集合させた。
ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m