リリカルなのはStrikerS ~悪魔と魔王と罪の記憶~   作:台風一過

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第55話 4機のデバイス

 

 

 

次の日の朝

 

「眠い…………」

 

スバルは目を擦り、欠伸をしながら呟く。

 

「ほら、シャキッとしなさい。高町教導官が来るわよ」

 

ティアナはそう言いながらスバルの背中をバシンと叩いた。

 

「!?」

 

すると、さっきまで眠そうにしていたのが嘘のようにスバルはシャキッとした。

それは背中を叩かれたからなのか、「なのはさんが来る」という言葉に反応したからなのかは言わずもがな、であろう。

 

「おはよう、みんな」

 

そして、ティアナの言葉のすぐ後になのははやって来た。

 

「「「「おはようございます」」」」

「今日の早朝訓練はちょっとしたゲームをしたいと思います。ルールは簡単。私から5分間逃げるか、私に1回でもクリーンヒットで攻撃を当てる。エリオとスバルはそれぞれストラーダとリボルバーナックルでの直接攻撃。ティアナは射撃での遠隔攻撃。キャロは無機物操作での攻撃。この攻撃以外はダメね。いいかな?」

「「「「はい!」」」」

「じゃあ、始めよう」

 

そのなのはの言葉で全員所定の位置に移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「5分間逃げるかクリーンヒット当てるか、か……あんたたち、なのはさんから5分間逃げ切る自信ある?」

 

ティアナ自身、自信がないようで弱気な表情を浮かべてそう確認をとる。

 

「正直ないなー」

「僕もです」

「はい、私も…」

 

他の3人も同じようで自信は無さげだった。

 

「じゃあ、目標はなのはさんに一撃当てるってことで。一応、作戦は───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ始めていいかな?」

 

ティアナたちの作戦会議を待っていたなのはは、そう言って誘導弾を2、30ほど作った。

 

「さすがなのはさんだね。一度にあんなたくさん作れるなんて」

 

そんななのはに憧憬の視線を送るスバルをティアナは注意した。

 

「スバル、感心してる場合じゃないでしょ」

「そ、そうだね……逃げ切れるかな…」

「さっき言った通りに動いてよ」

「わ、分かってるよ」

 

少し目を泳がせつつスバルは答えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティアナの作戦はいたって簡単。ティアナとキャロとでなのはを引き付け、スバルとエリオとでなのはを攻撃する。

しかし、相手は高町なのはである。そう簡単にいくわけもなく………

 

「はい、これで全滅、と………」

 

結局、ティアナたちの全滅であっけなく訓練は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ、結局全滅だったかー。まぁ、初めからそう上手くいくわけないけどさ……」

「そうよ。けど、悔しいわね」

 

そう言う2人の表情は悔しさで溢れていた。

 

「うん!結構惜しいとこあったもんね」

「そうなのよね。だから余計に………」

 

ティアナはかなり悔しいようだった。

 

「でも、次は絶対攻撃を当てるんだ!…………きっと、出来るよね……?」

「そんなこと訊かれても知らないわよ」

「ティア冷たーい。こういうときは『スバルならできるよ。頑張って』とか言うところだよ」

 

このティアナの冷たく接するところが実は、この2人が上手くいっている要因の一つなのかもしれない。

もう一つにはスバルの強引さとちょっとした天然さが要因にあるのだろうが。

 

「そう言えば、新しく一人フォワードが来るって話を耳にしたんですけど、どんな人ですかね」

「エリオにすらスルーされた!」

 

ガーンという音が聞こえてきそうな雰囲気をスバルは漂わせていた。

 

「え、いやそういうわけでは………」

「エリオ、スバルのことは気にしなくていいから。……そうね、どんな人でもいいけど協調性のある人がいいわね」

 

ティアナは心からそう願っていた。

 

「僕は頼りになる男の人がいいです。……さすがに男が自分一人だと辛いので……」

「そ、そうね………」

 

エリオの言葉に、ティアナとスバルはエリオも男の子だったな、とはたと思い出していた。

 

「私は優しい人でしょうか……」

 

キャロもポツリと答えた。

 

「優しいってフェイトさんみたいな人?」

 

スバルはそのキャロの呟きにこう訊ねた。

 

「はい。でも、保護隊にもすごく優しくしてくれる人がいて、色々と教えてもらってたんです。なので、その方みたいな人が来てくれたら嬉しいなって思います」

「そんな人が居たんだ……」

「それにしても、誰なのかしらね。なんとなく合流の時期が違うってことから、特別扱いされてる感じがするけど、『才能持ち』は嫌ね」

「でもティア、そんなわがまま言ってられないでしょ」

「そうだけど………」

 

新しい仲間の存在に胸躍らせながらも、それぞれ不安に感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャーリー、デバイスの出来はどうですか?」

「あ、リィン。結構いい出来かなぁ。けど、マッハキャリバーで手こずってる。スバルのウィングロード、あれをマッハキャリバーでも発動出来るようにしたいんだけど、術式が複雑でね………でも、絶対に完成させますよ!」

「頑張ってくださいです!リィンも応援してるです」

「リィンありがとう!」

 

「だけど、どのデバイスもカッコいいです」

「うん!だよね、だよね!?」

「は、はいです………」

 

ハイテンションのシャーリーについていけずリィンは言葉を詰まらせた。

 

「は!テンションが上がり過ぎちゃいました……そう言えば、このデバイスたち明日みんなに渡されるらしいですよ」

「そうなんですか。………マッハキャリバーは間に合うんですか?」

「だ、大丈夫だよ………きっと」

 

リィンの言葉を自信なく否定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日、訓練後

 

「何があるのかな。今日は早く訓練終わったけど、集合かかったし………」

「分からないわよ、そんなこと」

 

と、話しているとなのはとシャーリー、リィンが現れた。

 

「今日はみんなに新しいデバイスを渡すね」

「デバイスですか…?」

「そう。これから、任務に出るようになるわけだけど、そのときにみんなが実力をちゃんと発揮できるようにみんな一人一人に合ったデバイスを使ってもらおうと思って。じゃあ、みんな受け取ってね。ティアのデバイスはクロスミラージュ、スバルのはマッハキャリバー、エリオのはストラーダ、キャロのはケリュケイヨン。エリオとキャロは今使ってるのとあまり変わらないかな。使い慣れてるものの方がいいだろうと思って」

「は、はい………」

「ありがとうございます!」

 

2人はそれぞれの反応を見せる。

 

「じゃあ、シャーリーから簡単な説明を聞いて今日は解散。一応、ちょっと各デバイスの調子を確認したり慣れておいてね」

「「「「はいっ」」」」

 

 

 

 

 

 

 

「シャーリー、マッハキャリバー間に合ってよかったですね」

「うん、ホントによかったよ………」

「シャーリー、デバイスの説明お願いできる?」

「分かりました、なのはさん」

 

シャーリーがリィンからかけられた声に安堵の溜め息を吐いていると、なのはにデバイスの説明を頼まれ、気を入れ直した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、ヴェルさんにおつかい頼まれてたんだった…………おつかい、かぁ……確かあのときもおつかいを頼まれてたんだったな。いや、今は関係ない。ところで、明日行くとして連絡もなしに行くのはあり得ないよな」

 

と、独り呟いていたジルヴェスは少し嫌々そうに通信を開いた。

 

『…………はい、八神です』

「あ、繋がりました。お久しぶりです」

『……ジルヴェス?何か用なんか?』

 

はやては唐突なジルヴェスからの通信に意外そうな表情を浮かべている。

 

「明日なんですけど、こた、いや、はやてさんのところにおつかいに行くよう言われまして」

『ちょっと、待て。今子狸言わんかったか?』

 

はやては心外な言葉を言われた気がして睨み付けながら問い詰める形をとった。

 

「いえ、言ってませんよ………」

 

しかしジルヴェスは、あはははと笑って白々しい対応をする。ただそうしてすぐに、それが肯定と同義なことに気付いた。

だからといって何かが変わるわけではないが。

 

『まぁ、ええ』

「で、はやてさん、明日行っても大丈夫ですか?」

『本題に入るの早っ。もうちょい無駄話に付き合ってくれたってええやんか……あんたうちと話したないんか?』

 

はやては少し悲しげな表情を浮かべるものの、ジルヴェスにはどうせ演技だと思われ、相手にされなかった。

 

「そういうわけではないですけど………」

『ふぅん。ま、そういうことにしといたる。で、明日やったな……んー……昼過ぎなら大丈夫そうやから、そのあたりの時間に来てな』

「了解しました」

 

ジルヴェスは頷いて通信を切った。

 

「ふぅ……とりあえずこれで明日行けばいいわけか…………あー、今気付いた……さっきの通信で用事の半分は済ませられたんじゃん……」

 

そこで、思わぬことに思い至りガクッと俯いていた。

 

「……まぁ、気にしても仕方ないか…………それに、久しぶりに会える人も向こうには多いからな。この機会をありがたく思っておこう」

 

ただ、すぐ思い直したように顔を上げて納得したように呟いた。

 

 

 

 







ここまで読んでいただきありがとうございますm(__)m
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